リコール通知▲リコールは自動車ユーザーなら知っておきたい知識。その内容を理解しておけば、愛車がリコール対象になっても慌てずに済む

車のリコールについて解説! 中古車への対応など気になるポイントも説明

ニュースなどで耳にすることがある車のリコール。しかし、所有する車がリコール対象かどうかや、中古車で購入した場合は対象となるのかなど、詳細を知らないも少なくないだろう。

そこで、今回はリコールの概要から中古車で購入した場合の扱い、リコール対象車の確認方法を解説。加えて、リコールの対応やリコール対象車を購入する際の確認事項なども紹介する。
 

 
 

1.車のリコールとは?

自動車のリコールとは、メーカーなどが保安基準に適合させるために行う改善措置のこと。リコールの対象となるのは「設計・製造過程に問題があった場合」であり、事故や故障、公害を未然に防止するために実施される。

リコールは国土交通省によって制度として確立されており、メーカーなどが自主的に実施することが基本。リコールが自主的に実施されない場合でも、国が必要性を認めたらメーカーなどに勧告・公表・命令が行われる。

いずれにせよ設計・製造過程の問題が確認されたら、おおむね次のような流れでリコールが実施される。
 

リコールの流れ

ネガティブなイメージがつきまとうリコールだが、あくまでも不具合・事故の拡大を防止するために実施されている。リコールの流れを覚えておく必要はないが、国が関与する「ユーザーの安全を守るための制度」であることを知っておけば、リコール通知を受けた際にも動揺が少なく済むだろう。

リコールは頻繁に発生している
車のリコールは珍しいことでなく、実は頻繁に発生している。例えば、2022年には国産車と輸入車を合わせるとリコール総届出件数が383件、総対象台数が464万9433台だった。

ただ、リコールの程度は小規模であることがほとんど。ニュースで報じられる大規模な不具合は希だ。もちろん、だからと言って「リコールなんてたいしたことがない」とはならないが、過度にショックを受ける必要もない。大切なのは、車の現状をきちんと把握してリコールに対応することだ。
 

 
タイヤの交換▲リコールは自動車だけでなく、タイヤやチャイルドシートといった「特定後付装置」も対象となる
 

2.新車だけでなく中古車もリコールの対象に!

リコールは、メーカーが対象車への改善措置であるため、新車・中古車を問わない。中古車で購入してもリコールの対象になったら、ディーラーで無料の修理を受けられる。ただし、並行輸入車はリコール対象とならないので注意が必要だ。

法令上リコールが義務づけられているのは下記3者。並行輸入車の場合、安全の確保および環境の保全を図る責任はユーザー自身が負うため、リコールの対象とならないのだ。

1.日本の自動車メーカー
2.日本で自らの自動車を販売する海外の自動車メーカー
3.海外の自動車メーカーによる自動車を日本で販売する契約を当該メーカーと交わしている者

 

2代目タンドラ▲並行輸入車が販売されている国の情報を調べて国内のディーラーに持ち込んでも、仕様が異なるため、一般的には対応してもらえないので注意。写真は米国トヨタのタンドラ(2代目)
 

3.リコール対象車を確認する方法

新車・中古車を問わず購入後にリコールが発生した場合、メーカーやディーラーからダイレクトメールなどでリコール通知が送付されてくれる。

一方で、ニュースなどで所有する車と同車種のリコール情報を通知前に知ったり、リコール通知を受け取りそびれた可能性があったりする場合には、自ら確認したいだろう。所有する車がリコール対象か確認する主な方法は以下の4つだ。

1.メーカーのサイトでリコール情報を検索する
メーカーのホームページでは、不具合の内容や必要な作業などリコール情報が必ず記載されている。車の型式と車体番号などを入力すれば、簡単に検索可能。リコール対象車だけでなく、所有する車がリコール対応済みどうかも知ることができる。

車の型式と車体番号は車検証などで記載されているので、手元に置いて確認すると良いだろう。ただ、古い車だと情報が未掲載である可能性もあるので注意が必要だ。国内の主要な自動車メーカーの情報は下記にまとめておいたので、ぜひ活用してほしい。
 


2.国土交通省のリコール情報サイトを利用する
国土交通省のWEBサイトでは、各メーカーのリコール情報を閲覧できる。「車名(実際にはメーカー名)」「型式」「届出日」の条件で検索でき、1993年4月15日~ 2023年12月31日に届出されたリコール対象車を確認可能。それ以降のリコール情報も、同サイトのリンクにある「リコール・改善対策の届出(令和6年分)」で知ることができる。

ただ、これはあくまで「届出情報」の確認となるため、基本的にはメーカーサイトでの確認が便利。特に中古車で購入した場合は、メーカーサイトでリコール情報を調べるのがベターだ。

3:ディーラーに確認する
同じブランドのディーラーなら、中古車販売店で購入した車両であってもリコール対象とっているかどうか調べてくれる。問い合わせをするときは、電話にせよ直接訪問にせよ車検証を手元に用意しておこう。

ディラーであればリコール対応済みか調べてもらえるし、未改修だった場合には修理のダンドリもそのまま組むことができる。メーカーサイトで調べるより手間を要するが、その後の流れを考慮するとディーラーに確認する方法が最もスムーズだ。

4:中古車販売店に連絡する
自動車を購入した中古車販売店に電話やメール・直接訪問などに問い合わせるのも一つの手だ。サービスとして確認してくれる店舗もあるが、中古車販売店にはリコールに対応する義務はない点は留意しておこう。
 

カーセンサー編集部のリコール通知▲リコールは通知を受けて行動するのが一般的。こちらはカーセンサー編集部の社用車に送られてきた実際のリコール通知書。文面には決まった形式がなく、通知書ごとに内容もそれぞれ異なる
 

4.所有する車がリコール対象だったときの対応ステップ

所有する車がリコール対象であったら、通知書の指示に従ってディーラーに連絡し、修理を依頼する。その基本的な流れは下記のとおりだ。

STEP1:ディーラーに連絡する
まずは、リコール通知に記載されている、あるいは最寄りや車を購入したディーラーに連絡する。混雑状況によっては対応できない場合もあるので、直接訪問よりも電話などの方が良い。なお、リコールに対する事前準備は特に必要ない。
 

STEP2:修理を予約する
ディーラーに連絡したら、修理の予約を取る。複数の候補日を提示すると話が早いだろう。もし車の修理中に車が必要なら、代車の貸し出しについても確認しておきたい。代車はあくまでディーラーのサービスなので、無料か有料かはディーラーによる。また、リコール発表直後やディーラーの繁忙期などは代車が用意できない場合もある。
 

STEP3:車を持参して修理してもらう
予約当日はディーラーの指示どおり、車を持ち込む。修理の時間はリコールの内容によって異なるため、一概に言えない。数十分で終わることもあれば、数日かかることもある。修理に要する日数はディーラーに確認しておこう。
 

 

5.リコール対象車を購入するときの確認ポイント

新車で購入する際は、以前に実施されたリコールは対応した状態で納車される。つまり、購入後のリコールにのみ気をつければ良いが、中古車の購入時にはリコール情報について確認が必要となる。具体的には、以下の2点について問い合わせておこう。

気になる物件がリコール対応済みか
中古車の場合、リコール対応済みどうかはケースバイケース。必要なリコール対応が済まされていない車両も存在する。リコール対象であればディーラーが必ず無料で修理してくれるため、購入後すみやかにリコール対応すれば大きな問題とはならない。

しかし、リコール対応には少なからず時間や手間を要するし、リコール未対応を知らずに乗り始めるのは危険や不便が伴う。気になる物件がリコール対応済みかどうか、納車前に販売店側でリコール対応してくれるかどうかなどは、購入前にきちんと確認しておきたい。

所有者の情報が更新されているか
購入後には名義変更(移転登録)や中古車新規登録がきちんと行われたか確かめよう。リコール通知は自動車の登録情報を元に送付されるので、きちんと処理されていないと、自分の住所に通知が届かない。

そもそも名義変更や中古車新規登録は、中古車購入時に必須となる手続きだ。リコール情報を確認するためだけでなく、きちんと確認しておくこと。もし名義変更や中古車新規登録を自分で行うなら、すみやかに対応しよう。
 

車検証▲リコール通知は車検証の住所に送られてくる。購入時に確認するのはもちろん、住居を引っ越したらも、転入から原則15日以内に車検証の住所変更を行おう
 

6.リコール未対応時のリスク

リコール通知が来たら、所有する車を修理しなければならない。道路運送車両法でユーザーにも保安基準に適合するように自分の車を点検・整備する義務が定められているからだ。もしリコール未対応で使用し続けると、ユーザーの責任を問われることもある。

当然リコール未対応が原因で、周辺・関連部品が故障したらリコール部分以外は有償での修理となるし、事故が発生したらユーザーに賠償責任が生じる。重要な保安部品がリコール対象の場合には、修理しない車は車検にも通らない。

そもそも、リコールは自身の安全を確保するためにも行うべきこと。いずれの観点にせよ、リコールに対応しないのはリスクでしかない。

 

7.リコール対象車の売却は可能?

結論から言うと、リコール対象車は売却できる。リコールの有無自体は、原則として査定額に影響しない。ただ、リコールの多発によってメーカーや車種の人気が下がった場合は、査定にマイナスの影響が出るだろう。

また、リコールに対応しないことが原因で、リコール部品以外が故障したら当然、査定で減額される。そういった意味でもリコール対象となったら、すみやかにディーラーに修理を依頼しよう。
 

車の修理▲リコール対象車だからといって慌てて売却を検討する必要なし。それよりもディーラー修理に出すのが先決だ
 

8.リコール対象車を売却するときの注意点

リコール対象車だからといって、他の車と売却時に大きな違いは発生しない。ただ、早めにリコール対応した方が車体のコンディションを保つのに有利。リコールを放置したままだと買取店にネガティブな影響を与える可能性もあるので、リコール対応しておいた方が無難だ。

リコール対応済みなら対象車だからといって特別することはない。売却するときの注意点は、他の車と同様だ。まずは、同車種でコンディションの近い物件の査定額などをネットで調べたり、一括査定を利用したりして、相場を把握。リコール以外の修理箇所が見つかったら、査定額の上昇分よりも修理費の方が高くつくケースも多いため、冷静に判断する必要がある。

なお、高額査定を得るためのポイントは以下の記事で解説しているので、気になるならチェックしてみると良いだろう。
 

 

9.車のリコールに関するよくあるQ&Aまとめ

Q.中古車購入時のリコール対応は販売店にお願いできる?
リコールへの対応は中古車販売店によって異なる。中古車販売店にはリコール対応義務がないので、販売店側ではリコール対応しないケースもあれば、納車前に販売店が対応してくれることもある。販売店にリコール対応をお願いしたいなら、ダメ元で相談してみると良いだろう。

Q.所有している車がリコール対象となったら、通知は必ず来る?
リコール通知は、対象車の所有者に必ず送付される。通知が来ない場合は、自動車の登録情報が更新されておらず、正しく送付されなかった可能性がある。また、生産工場やグレードの違いなどによって、対象とならない車も含まれている場合もケースも考えられる。どちらの場合でも、最寄りないし購入したディーラーに確認すると良いだろう。

Q.リコール対応に有効期限はあるの?
リコールに期限はなく、無期限で修理してもらえる。だからといって、リコール対応を先延ばしするのはNG。すみやかにディーラーに連絡し、早めに修理してもらおう。
 

リコール通知▲リコールの内容が軽微であっても決して侮らないように。通知書に書かれた指示に従って、早めに対応すること

Q.国産車と輸入車で対応方法は変わる?
日本で正規販売されている輸入車であれば、国産車と対応に違いない。リコール通知を受け取ったら最寄りないしは指定された正規ディーラーで修理を受けられる。一方で、並行輸入車はリコール対象外となる。

Q.リコール通知前に有料で修理していたらどうなる?
ディーラーで修理した場合は、基本的に申請手続きをすれば修理代を返金される。ただ、そのためには返金を受けるには「納品書」と「分解整備記録簿」の2つが必要となるので、紛失しないよう保管しておこう。なお、ディーラー以外の工場やカー用品店で修理した場合は返金されない。

Q.リコール以外にも修理・回収に関する制度はある?
該当するのは2つ。1つ目は改善対策で、保安基準に不適合状態でないが、安全確保・公害防止するうえで修理が必要な場合に実施される。設計・製造過程に問題があると認められた場合、メーカーが国土交通省に届出を出して改善措置を行う。一方で、サービスキャンペーンとは、リコールや改善対策に該当しない不具合を国土交通省に通知して改善措置を行うことを指す。どちらもメーカーが無料で修理してくれる点は共通だ。

Q.リコールステッカーって何?
2020年10月31日をもって廃止された制度で、リコール対象車を修理したら目印として統一されたステッカーを貼付していた。現在では行われていないので、かつてリコール対象車を見分ける手段として活用していた人は留意しておきたい。

Q.リコールステッカーのようなリコール対応済みの目印はある?
実は、メーカーはリコール対応済みの車両に識別を施している。識別内容は各リコールの「改善箇所説明図」で知ることができる。ただ、所有する車や購入したい中古車のリコール確認に活用する場合、リコール情報を調べたうえで車両の識別もチェックしなければならない。少なくない手間がかかるので、メーカーサイトやディーラーへの問い合わせで確認するのが最も楽な方法だろう。
 

文/綱島剛(DOCUMENT) 写真/Adobe Stock、トヨタ、カーセンサー編集部

※記事内の情報は2024年2月21日時点のものです。