仕掛けいっぱいのミニバンと思いきや、走りもイケる実力車

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コンセプト

先代とは異なる新発想3列シート

初代スパシオは「コスト抑えるためカローラのシャーシを使って3列シートとする」という前提で設計されたため、本来ならセダンのトランク部分となる場所に3列目シートを置き、確保できたスペースへ子供用の小さい2列目シートなど押し込んでいた。

結果、ユニークな3列シートのミニバンができたのだけれど、やっぱり使い勝手からすれば無理も多かったようだ。モデル末期の販売台数を見ると、3列シート仕様は10%程度しか売れておらず、マイナーチェンジで追加したごく普通の5人乗り仕様が販売台数の大半を占めていた。そこで新型は基本を5人乗りのミニバンとし、補助用として3列目の小さいシートを採用することになったのだ。ライバルは大ヒット中のホンダストリームになるだろう。
室内&荷室空間

余裕をもたせた1・2列目 どうしても狭い三列目

1列目と2列目シートの居住性は「快適です!」の一言。2列目シートが前後にスライドするようになっているため、3列目シートを使わないときは2000ccクラスの乗用車と比べても負けない座り心地をもつ。気になる3 列目シートの居住性は、写真を見ていただければわかる通り、大柄な男性だと絶望的。これでも2列目シートを一番前にスライドさせているのだが、ヒザが2列目の背もたれに突き刺さる感じ。

遊びに行った友人宅から駅までの10分であれば、歩くより千倍くらい楽ですけど。全長がストリームより31cm短いというメリットと、3列目シートの居住空間はキッチリ反比例していると思った。2万円でオプション設定される2 列目シートの組み込み式チャイルドシートは便利なので装着すべきだ。
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ドライブフィール

今までのトヨタ車にはない欧州小型車風の乗り味

これまでのスパシオはソフトな乗り心地と、過不足なく回るエンジンをもつトヨタ車の代表みたいだった。新型スパシオのハンドルを握ってビックリ! 何から何までヨーロッパの小型車みたいなのだ。敏感でいながら気むずかしくないという絶妙なハンドルの操作感や、コーナーでピタリと狙ったラインに乗せられるコーナリング、キッチリ利くブレーキ、硬質な回転フィールのエンジンなど、どれをとっても好ましい。

ただ「良い車」に仕上げると、今までのトヨタ車ファンから「乗り心地が悪い」などとクレームがつくんじゃないかと思えるほど。だがワタシは強く支持したい。車好きなら気に入るだろう。欲を言えば、ボディを20cm延ばし3列目シートを広くしてほしい。そうしたらメチャ売れすること確実。
こんな人にオススメ
3列目シートの居住性を重視するならストリームという強力なライバルがいる。でも「めったに使わないと思う」と考えるのであれば、取り回しが良く燃費も良い(ストリームより120kgも軽い!)スパシオをプッシュしたい。4WDモデルは秋までに追加されるとのこと。
SPECIFICATIONS
グレード 1.5 X Gエディション
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4240 x 1695 x 1610
ホイールベース(mm) 2600
車両重量(kg) 1210
乗車定員 7人
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1794
最高出力 100kW(136ps)/6000rpm
最大トルク 171N・m(17.4kg-m)/4200rpm
車両本体価格 162.7万円
写真:桜井健雄 文:国沢光宏