レクサス雪上試乗記~雪上で感じたプレミアムブランドの走り~
2017/04/28
悪いコンディションでの試乗は他ブランドとの違いを教えてくれる
トヨタ自動車の北海道・士別試験場にて開催された、レクサスの雪上試乗会。まずはじめに、高級ラグジュアリーブランドと雪上の関係は何かを考えてみたい。雪上での走行は、豪雪地帯に住んでいなければ日常からはかなり遠いコンディションだ。
しかしそれだけに、どこまで気を使って開発しているかがわかる。バッドコンディションでのブレーキとアクセルの制御はどうなのか、モードによってどこまで姿勢制御は介入するのか。海外のプレミアムブランドを含めて滅多にないシュチュエーションでの試乗である。
レクサスは国内自動車メーカーで唯一、高級ブランドに名乗りを上げている。それだけに、様々な明確な違いを知ってもらおうと意図していることもある。我々が知らない世界を伝えてくれるに違いない。
実は昨年、氷上での制御を確認していた。氷上を上手く走るにはそれなりに高度なテクニックがいる。ただステアリングを切れば曲がるというものではない。路面と相談しながらアクセルをコントロールするのだが、そんなことのできるドライバーはごく限られている。
そのコンディションの中でも、AWDのRX450hは特に特別な技術を使わずに滑る路面をするりと曲がっていった。これは前後バイワイヤー方式であるから、機械的に前後がつながっている仕様と違い、細やかにAWDを制御するのだ。
氷上での制御を体感した去年に加え、今年は雪上。圧雪路中、中速域までのコースがとても勉強になり、試乗会の中でも、最もエキサイティングなものの一つであった。
2種類のSUVは雪上でどちらも好感触だが違いも見て取れた
合計4車種に試乗させてもらったが、まずは雪上という悪路と関係性の深いSUVのNX200tとRX450hについて。前後が機械的につながったAWDの2車種は、どちらも発進から直線の安定性は良好であった。しかし、制御となるとRX450hの方がきめ細かく制御して唐突な動きを和らげていた。一方NX200tは、引き締まったボディを武器に雪上でもきびきびとスポーティな動きができた。
究極のコンディションで垣間見えたプレミアムブランドの解
今回、AWDではないが素晴らしい制御だと感じたのは、ハイパフォーマンスのGS FとRC FのV型8気筒の面々だ。
どちらもATのFRであるが、モードを『ノーマル』、『スポーツ』、『スポーツ+』の3種類を試してみた。『ノーマル』は圧雪路では最も楽しかった試乗だったかもしれない。慣性ドリフトを容易に誘発するのだ。コントロール性もとても良い。滑っていてもアクセルを適度に踏んだ方が上手に左右のトルクバランスをコントロールして、気持ち良くゼロカウンター(ハンドル操作なしにアクセル操作のみ)で曲がっていく。
興味深かったのは『スポーツ』と『スポーツ+』だ。最新の車は、細かな操作をしなくても快適に走れるよう様々な制御をしている。しかし、ドリフトをするような極限状態で車を扱う際には、その制御が邪魔をすることがある。一般的なスポーツモードと呼ばれるものは、その制御を抑えその操作をドライバーに委ねることで、車の限界性能を引き出すものだ。
そんなイメージを持ち、GS FとRC Fのスポーツモードに試乗した。本来ならばもっとハードな動きになるかと思いきや、こちらの方が滑りを抑制してコーナーを上手く曲がっていける。変な話だが安全な印象を受けた。車を信じてアクセルを踏んでいけばステアリングの修正を行わず曲がることができるのだ。これは意外な印象だった。
ドライビングテクニックに関係なく、高速域でも目に見えない制御で気持ちの良いドライビングへと誘う。運転するだけでドライバーのプライドを高めてくれる。それがレクサスというプレミアムブランドが出した酸いも甘いも噛み分ける大人への解答だ。
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