温暖化問題がクローズアップされる中、自動車メーカー各社が環境対策に力を入れるのはもはや当たり前の時代。そんな中、ドイツの自動車メーカーを見てみると、各社の個性がはっきりと現れていて、結構面白いのです…。

■メルセデス・ベンツ:ディーゼル+ハイブリッドの市販化は近い!?

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F700に搭載されるというエンジン「DIESOTTO」や、すでにアメリカではEクラスに搭載されて発売された次世代ディーゼル「ブルーテック」、さらにそのブルーテックとハイブリッドとを組み合わせたモデルや、燃料電池車…と、同ブースでは環境対策パワーユニットがメイン。

特にブルーテック、ぜひ日本でも販売して欲しいですよね。日本ではディーゼルのイメージがひところ芳しくありませんでしたが、最近はようやく認められつつあるようですし。ガソリン価格高騰の今、燃費がよくて燃料費も安いディーゼルはかなり魅力。またディーゼル(同社ではブルーテック)にハイブリッドを組み合わせたパワーユニットも、そう遠くない将来に市販化されそう。
メルセデス・ベンツブースでは、ぜひそんなところを見て欲しいです。

■BMW:ハイブリッドでも水素でも「駆けぬける歓び」

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かっこもいいし燃費もいい。そんなX6アクティブハイブリッドはやはり注目の的でしょう。従来のハイブリッドの弱点だった高速域での燃費も改善されているといいます。

さらに一見普通の7シリーズがありますが、ボディにかかれているのは「Hydrogen7」の文字。実はこれ、世界初となる「量産型水素駆動ラグジュアリーセダン」なのです。

現在のガソリンスタンドのように水素スタンドができれば、ずーっと水素だけで走れます。搭載されているのはガソリンでも走ることができるバイ・フューエル仕様のV12気筒。水素で駆動するV型12気筒という大きなエンジン、というところが同社らしくていいですよね。

「駆けぬける歓び」を損なわずに、いかに次世代パワーユニットへ移行するのか。でもこの2台を見る限り、それはわけもなく達成できそうです。

■VW:既存の技術でも十分に低燃費を図れるそ

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9月のフランクフルトで登場した「up!」の東京モーターショー版は4ドアの「space up!」。なんだかんだ言っても、物理的に小さいほうが燃費がいいのは当たり前だ!というわけでボディは4mを切るサイズ。にも関わらず大人4人が余裕で座れるのは、往年のビートルのようにエンジンをボディの後ろに配置したから。ビートルも、そのおかげで広かったし、かつ当時としては燃費は抜群でしたっけ。初心に帰ったVWです。

また最近の同社のイチオシ「TSI」エンジンも展示。従来は「スピード出すぞ!加速力増やすぞ!」として使われていたターボやスーパーチャージャーという技術を、なんと「燃費をよくするぞ!」に使った、まさにコロンブスの卵的発想の技術です。
新しい技術ではなくても、今の技術で一工夫すれば十分環境に優しい車が作れる、というお手本を2つ示してくれています。

■ポルシェ:速くなければハイブリッドはいらない!?

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時流には逆らえないとばかりに、ポルシェにもハイブリッド…と思いきや、そこはやはり自ら「プレミアムなスポーツカーメーカー」を自負するポルシェでした。

東京モーターショーにカイエンのハイブリッドを持ち込んだわけですが、実はこれ、トヨタ・プリウスとは大違い。
プリウスなどのハイブリッドは、停止・発進の回数が多い市街地での燃費を改善するのですが、ポルシェの考えたハイブリッドは「高速域での燃費をも改善する」といういもの。なんとモーターだけで120km/hで巡航でき、ラゲージルームも小さくしなくていいし、4WDシステムもそのままにしておける…ようです。

すでに3.6Lエンジンと組み合わせたこのシステムのカイエンで走行実験を終え、100km走るのに9.8Lのガソリン(つまり約10km/L)という数値を出したのだとか。市場導入までに約11km/Lを目指しているそうです。

ハイブリッドによって加速性能が一段と向上することになりますが、それは「ポルシェのフィロソフィーに適合しています」とまで言い切ります。
そんなポルシェのパラレルフルハイブリッド、もう2010年にはカイエン、続いて(噂されていた)4シーターのグランツーリスモ、パナメーラにも搭載すると、正式にアナウンスされています。

■アウディ:速くて低燃費で実用的なハイブリッドを

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ワールドプレミアとして発表されたメトロプロジェクトクワトロ。同社のA3よりも小さい、乗員4名ながら全長4mを切るそのボディに、ハイブリッドシステムが組み込まれています。まずエンジンはターボチャージャー付き1.4L TFSI。これに電動モーターが組み合わさり、0~100km/hを7.8秒、最高速度201km/hで走る性能とともに、約20.4km/Lという低燃費を実現するといいます。

エンジンで動くときは前輪が、電気モーターの時は後輪が、そして両方が働くときは4WDとなる変則的な“クワトロ”モデル。さらにリチウムイオン電池は一般家庭の電源コンセントからの充電も可能です。また電気モーターだけで最大100kmまで走行できるといいます。

BMWやポルシェ同様、ただの環境対策モデルではなく、走ることへの追求も忘れていないのがアウディらしいですね。

<カーセンサーnet編集部デスク・ぴえいる>