▲トヨタ セルシオ(最終型)。パワフルで静か、かつ路面の凹凸を感じさせない走りはトヨタが考える高級感の塊です ▲トヨタ セルシオ(最終型)。パワフルで静か、かつ路面の凹凸を感じさせない走りはトヨタが考える高級感の塊です

最終型セルシオを狙うなら総額100万円以下がオススメ

つい先日、最終型トヨタ セルシオ(A仕様、前期型)の個人タクシーに乗る機会がありました。今乗っても十分すぎるほどトルクフルで、外界と隔離されたような静けさが室内に漂っていました。乗り心地も新しい普通の法人タクシー車両より感覚的に18倍くらい(筆者比で)良かったです。そこで今回、取り上げてみるのがセルシオの中古車です。

最終型セルシオは2000年にデビューし、2006年まで生産されました。最も古いもので15年落ち、最も新しいものでも9年落ちです。2003年にマイナーチェンジされ、フロントマスクがちょっと変わっています。ATは5速だったものが6速化された他、ショックアブソーバーが見直され、装備内容も変更されています。

2015年7月20日現在、カーセンサーに掲載されている最終型セルシオの平均車両価格は68万円で、この3ヵ月であまり変わっていません。物件を眺めてみると、安いものは総額30万円台から狙え、高いものは総額200万円台後半になっています。安いものは多走行だったり、修復歴があったり、ユーザーが敬遠しがちな要素があるものです。逆に走行距離が少なかったり、人気のグレードや仕様だと100万円以上もザラにあります。

「安くなったなぁ」と感じるかもしれませんが、価格的にはライバルであった欧州の大型高級セダンとほぼ同じです。いや、モノによってはセルシオの方が高いくらいです。新車時価格は断然、輸入車勢の方が高かったのに、です。裏を返せば、セルシオの根強い人気が感じられます。

ただ、個人的には100万円以上支払うなら欧州勢に目が行ってしまうので、セルシオは100万円以内で狙いたいところ。また、200万円台で販売されているセルシオについては中古車としての“条件”の良さは認めつつも、レクサス LSが購入範疇に入ってくることが気になります。いやぁ、同じ予算で新車よりも選択肢が広がる中古車選びは、このようにユーザーを惑わせてくれることがたまりません(笑)。

▲古くなったとはいえ高級セダンとしての威風堂々とした雰囲気は健在。セダンとしての実用性もピカイチです ▲古くなったとはいえ高級セダンとしての威風堂々とした雰囲気は健在。セダンとしての実用性もピカイチです
▲本革シートの方が圧倒的に人気が高いですが、布シートも高級車用とあって決して安っぽくありません! ▲本革シートの方が圧倒的に人気が高いですが、布シートも高級車用とあって決して安っぽくありません!

古くても安くても、走りのスムーズさは現役の高級車並み

さて、最終型セルシオは大まかに言ってA仕様、B仕様、C仕様(エアサス搭載)というグレードがラインナップされ、「Fパッケージインテリアセレクション」という高級仕様、「eRバージョン」というスポーツ仕様がありました。とはいえ、パワートレインはいずれも同じです。

新車時にオプションだった「マークレビンソン」のオーディオが付いている物件に遭遇すればラッキーですが、装備内容や人気仕様、ボディカラーにこだわると中古車相場を上回る物件を狙うことになります。なにせ中古車価格は「需要と供給」が支配していますから。

筆者なら、あまり細かいことは気にせず、毎日の“ゲタ”としてセルシオを使いたいです。よって、前期型、後期型へのこだわりもありません。むしろコストパフォーマンスの観点から積極的に前期型で程度が良く、安いものを狙います。セルシオは基本的に耐久性の高い車ですから極度に不安がる必要はないと思います。それでも心配な方は、カーセンサーアフター保証など長期保証が付けられる物件を狙うのが良いでしょう。

ちなみに、筆者が乗ったセルシオの個人タクシーは走行距離が50万kmを超えていました。エンジンもトランスミッションもオーバーホールはしていなかったそうです。

図太いトルクでスムーズに加速していく様は現役の高級車とそん色ありませんし、つくづくトヨタの気合いと気概を感じさせられる車です。中古車選びの際は、走行距離よりの多い少ないより、整備記録簿の記載や内装のコンディションなどで程度の良し悪しを判断してみてください。

text/古賀貴司(自動車王国)