プジョー207▲ハッチバックの他、クーペカブリオレとステーションワゴンもラインナップがある207シリーズ

プジョー 207シリーズの中古車は今

日本でもヒットした206の後継モデルとして、2007年3月に登場したプジョー 207。

206はホンダ フィットなどと同じカテゴリーに分類されるモデルだったが、207はボディサイズが拡大され、3ナンバーになった。

デザインは当時のプジョーを象徴する切れ長のヘッドライトを採用。シャープなイメージが与えられた。

207には電動開閉ルーフを採用したクーペカブリオレの207CCと、ステーションワゴンの207SWという派生モデルもある。

生産終了から9年が経過していることもあり、ほとんどの中古車は総額100万円以下で購入可能。ハッチバックは総額50万円で手に入る物件の選択肢も豊富だ。

ここからは207シリーズの特徴や中古車相場について紹介する。
 

 

207(初代)の特徴と中古車相場

■207(初代) DATA
生産期間:2007年3月~2012年10月
中古車流通量:約80台
中古車価格帯:20万~90万円
 

プジョー207 ▲3ナンバーサイズで居住性の高い207

■207(初代)の特徴
207は、トヨタ ヴィッツ(ヤリス)やホンダ フィットと同じ欧州Bセグメントに分類されるコンパクトハッチバックだ。

ただ、全幅が1750mmあるため日本の基準では3ナンバーサイズになる。

前身モデルの206よりホイールベースが延長され、室内空間が広げられているのが特徴。特に後部座席のスペースが拡大され、快適性がアップしている。

プジョー207 ▲後席は大人2人が乗車してもストレスない広さを確保

外観は当時のプジョーのアイデンティティだった、切れ長のヘッドライトと大きく口を開いたようなエアインテークが特徴的だ。

エンジンは、PSAプジョー・シトロエンとBMWが共同開発した1.6Lガソリンエンジンを搭載している。

プジョー207 ▲外観同様にスタイリッシュにまとめられたインテリアデザイン

デビュー時のグレードは下記のとおりだ。

・「1.6」:5ドアのベースグレード。1.6L NA(自然吸気)エンジンと4速ATの組み合わせ
・「シエロ」:5ドア。1.6L NAエンジンと4速ATの組み合わせ
・「GT」:3ドアのスポーツグレード。1.6L ターボエンジンと5速MTの組み合わせ

プジョー207 ▲ターボエンジンにより走行性能が高められた「GT」

デビュー以降は、何度か改良や追加が行われている。主なものは下記のとおり。

【2007年6月 グレード追加】
・「GTi」を追加
「GTi」は207のトップグレードで、「GT」からさらにパワーアップして最高出力175ps(GTは150ps)に達した1.6Lターボエンジンを搭載。

大型リアスポイラー、フルバケットシートなどの専用装備が奢られている。

【2008年3月 グレード追加】
・ベースグレードの「1.6」にMT仕様を追加

【2008年8月 グレード追加】
・「スタイル」を追加
ベースグレードより価格が安いエントリーグレードの「スタイル」。搭載エンジンは1.4L NAで、トランスミッションは2ペダルの5速MTになる。

【2009年2月 グレード追加】
・「1.6」の4速ATを廃止
・「フェリーヌ」を追加
「フェリーヌ」は1.6L NAエンジン搭載車に17インチアロイホイール、GTiタイプ ステアリングホイール、アルミペダル、固定式ディレクショナル・ヘッドライトなどを採用したスポーティグレード。

【2009年10月 マイナーチェンジ】
・内外装のデザイン変更
・リモコンキーでのドア施錠時に窓ガラスを自動的に閉じるオートクローズを装備
・「フェリーヌ」、「GT」、「GTi」を廃止

【2010年6月 グレード追加】
・「GT」が復活
マイナーチェンジを受けた「GT」はトランスミッションが6速MTになった。

プジョー207 ▲175psを発揮する、スポーツグレードの「GTi」。中古車市場では台数の少ない“レア車”

■207(初代)の中古車相場
流通している中古車のうち、最も流通量が多いのは1.6L NAモデル(「1.6」、「フェリーヌ」、「シエロ」など)で半数以上を占める。

1.4Lエンジン搭載の「スタイル」、1.6Lターボ搭載の「GT」、「GTi」は10台程度と選択肢は少ない。

そのため、NAモデルを狙うなら選択肢を確保できる1.6Lが現実的だ。

1.6L NAエンジン搭載車の価格帯は総額35万~60万円。流通している中古車は走行距離が5万km前後でマイナーチェンジ後の後期型が多い。

「GT」の価格帯は総額40万~90万円。50万円以下の最安値帯は5速MTの前期型で距離も7万kmを超えるものが中心だ。総額70万円前後で6速MT搭載の後期型も見つかるようになる。

前期型にのみ設定された「GTi」の価格帯は総額60万~90万円。タイミングが合えば走行距離5万km以下の物件も見つかるだろう。

中古車を探す際は、走行距離が少ないものでも電気系の状態はしっかり確認しておきたい。特にエアコン関係は部品代が高いだけでなく、整備のしにくさから工賃も高くなってしまうので要チェック。

また、1.6Lエンジンはタイミングチェーンだが、1.4Lエンジンはタイミングベルトになる。10年または走行距離が5万kmを超えたものは交換を考えたい。
 

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プジョー 207(初代) × 全国
 

207CC(初代)の特徴と中古車相場

■207CC(初代) DATA
生産期間:2007年6月~2012年10月
中古車流通量:約30台
中古車価格帯:50万~120万円
 

プジョー207 ▲クーペカブリオレの207CC。ルーフの開閉は電動式で、約25秒で開閉する

■207CC(初代)の特徴
207シリーズに設定された4人乗りのクーペカブリオレが207CCだ。

ハッチバックの207同様に、207CCも前身モデルの206CCよりボディサイズを拡大された。

全高はハッチバックより75mm低い1395mmに設定。フロントガラスは大きく寝かされ、空力や衝突安全性が高められている。

プジョー207 ▲電動式のハードトップ。購入時の動作確認は必須で行いたい

搭載エンジンはハッチバック同様にBMWと共同開発した1.6L。

グレードは1.6L NA(自然吸気)エンジンと4速ATを組み合わせたベースグレードの「1.6」、「レザー」、「プレミアム」、そして1.6Lターボエンジンと5速MTを組み合わせた「GT」の4種類だ。

2010年2月にはマイナーチェンジを実施。内外装のデザインが変更された。併せてグレードが、1.6L NAエンジンを搭載する「プレミアム」と「グリフ」の2種類に整理されている。
 

プジョー207 ▲人気の革シートは中古車流通量全体の3分の1ほど

■207CC(初代)の中古車相場
207CCの中古車で最も流通量が多いのはレザーシートを搭載する前期型の「プレミアム」。価格帯は総額70万~100万円になる。流通台数は約10台で、多くがマイナーチェンジ後の後期型だ。

走行距離は5万kmを少し超えるものが中心となっている。

スポーツグレードの「GT」は流通台数が5台程度と少ない。価格帯は総額80万~140万円になる。

車両本体価格100万円以下の中古車は走行距離が10万km前後。100万円を超えるものは走行距離が3万km前後のものが多くなっている。

ハッチバック同様、購入時は電気系の状態を要チェック。また、電動ルーフもトラブルが発生すると修理代が高額になる部分なので、何度か開閉してスムーズに動くか、異音がしないかなどを確認しよう。
 

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207SW(初代)の特徴と中古車相場

■207SW(初代) DATA
生産期間:2008年4月~2012年10月
中古車流通量:約20台
中古車価格帯:20万~50万円
 

プジョー207 ▲全長を延長して荷室スペースを拡大し、ステーションワゴンに

■207SW(初代)の特徴
207のステーションワゴンモデルとして、2008年にデビューした207SW。

ボディサイズは、ハッチバックの207より全長が120mm長い4150mm。全幅はハッチバックと同じ1750mmで、全高はハッチバックより40mm高くなっている。

プジョー207 ▲ステーションワゴンながら全長は4150mmと、ハッチバック型のカローラスポーツ(現行型)より200mmほど短く取り回しがいい

当然ボディサイズの拡大は室内空間に充てられていて、中でもラゲージと後席が広くなっているのが特徴だ。

後部座席は設置位置をハッチバックより15mm後ろに下げて20mm高くされている。これにより、足元が広くなっただけでなく、座ったときの見晴らしも良くなっている。

プジョー207 ▲ゆとりある後席

ルーフ部には大型のガラスルーフが採用され、開放感が高められた。

リアゲートはガラス部のみ開閉できるガラスハッチを採用。これは、狭い場所で荷物の出し入れをしたいときや、荷崩れを防ぎたいときに便利な機能。

プジョー207 ▲室内を広く見せるガラスルーフ
プジョー207 ▲アウトドアなど荷物を多く載せる場合に便利なガラスハッチ

搭載エンジンはハッチバックと同じ1.6L直列4気筒で、NA(自然吸気)と4速ATを組み合わせたベースグレードの「1.6」と、レザーシートを採用した「1.6レザーシート」。

そして、ターボエンジンと5速MTを組み合わせた「GTi」が用意された。

プジョー207 ▲207SWにもラインナップされたスポーツグレードの「GTi」

207SWの改良、追加グレードの変遷は以下のとおり。

【2010年1月 マイナーチェンジ】
・内外装のデザイン変更
・リモコンキーでのドア施錠時に窓ガラスを自動的に閉じるオートクローズを装備
・「GTi」を廃止。「プレミアム」のみの設定に

【2011年7月 グレード追加】
・1.6Lエンジンを搭載したエントリーグレード、「スタイル」を設定
 

■207SW(初代)の中古車相場
現在、流通している中古車は20台ほどと少ない。そのほとんどが1.6L NAエンジンと4速ATを組み合わせたグレードになる。

ターボ+5速MTの「GTi」は発見するのが困難なレアモデル。こちらに狙いを絞るなら、こまめな物件チェックをオススメしたい。

NAモデルで流通量が多いのは、後期型で設定された「プレミアム」だ。アクティブに使われる傾向のあるステーションワゴンだが、走行距離がかさんだ物件は少なめ。

多くが5万~7万kmで、5万kmより少ないものも見つけやすい。

中古車購入時は、ハッチバック同様に電装系部品の状態をしっかり確認したい。
 

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※記事内の情報は2021年10月5日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/プジョー

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL