▲車にまつわるあるあるって、どんな心理が働いているのか? 心理学者の晴香葉子先生に聞いていきます ▲車にまつわるあるあるって、どんな心理が働いているのか? 心理学者の晴香葉子先生に聞いていきます

現状維持や先延ばしの傾向があるのんびり屋さんは、優柔不断かも

カーセンサーnetや販売店で見つけた中古車。

条件はピッタリだけど、なぜか購入に踏み切れない……。
 

▲買おうか、もう少し探そうかと迷っているうちに売れてしまって、「やっぱり決めとけばよかったー」なんて後悔をした人も多いのではないでしょうか ▲買おうか、もう少し探そうかと迷っているうちに売れてしまって、「やっぱり決めとけばよかったー」なんて後悔をした人も多いのではないでしょうか

世間一般ではそれを、優柔不断と呼びます。

「チャンスの神様には前髪しかない」とはよくいわれること。

決断力をつけるためには、どうすれば良いのでしょうか。

まずは、優柔不断な人にありがちな行動者心理を、心理学者の晴香葉子さんに聞いてみました。

晴香先生:優柔不断とは、結局は自分の決定に自信がもてないということです。これは、後悔したくないといった気持ちなどから生まれます。性格的には、現状維持や先延ばしの傾向があって、のんびり屋さんが多いですね。

こういった人が中古車を買おうとしたときの最大のリスクは、余りものから買うことになってしまうという事態なのだとか。

晴香先生:決めあぐねている間に、車検など買い替えなくてはいけない期限が来てしまい、結局、追い詰められた状況で限られた選択肢から選んでしまうことがあります。そんな状態で買ってしまったら、本当にこんな買い方でよかったのか、と後悔することになりかねません。

また、優柔不断な人には、そもそも現状維持や先延ばし傾向があって、決断までに時間がかかり、ついのんびりしているうちに結局買えず……、なんてことも多いのだとか。

もちろん、メリットもあります。

それは、熟考をすることで、満足がいく1台を得られる可能性もあるということ。

晴香先生:優柔不断のメリットは、早急な決断による失敗をしないで済むこと。思い切った行動に出ないことで、安全に生き延びることができるという性質です。身に着いた性質には何らかのメリットがあるものですが、失敗が少なくて済む、というメリットがあります。

即断即決は車の買い替え回数が多いかも

一方、逆にズバッと物事を決められる即断即決の人は「自分の決定に自信がある人」だといいます。

晴香先生:決断力がある人は、他人の意見がさほど気にならず、気持ちの切り替えが早くて失敗を恐れない。性格的にはせっかちな人も多いですね。

「よし!これだ」と、機を逃さずに車を買うことができますが、即断即決で中古車を買おうとしたときの最大のリクスは「確認不足」だといいます。

晴香先生:即断即決の人は、自分の決定に自信があるし、そもそも決断することが好き。決めたいという気持ちが高まると、ネガティブな意見や情報をスルーしてしまうこともあります。せっかちで、つい細かなところをしっかりと調べたり確認したりしないで即決してしまうと、結果として、後からトラブルが見つかることも。しかし、決断力がある人は、気持ちの切り替えが早いので、もう別のことを考え始めたり、すぐに別の車を検討し始める人もいます。長い目で見ると、乗り替えが多くお金がかかることもあるでしょう。

そもそも、悩んで買った物よりも、一目惚れで買った物の方が、後々の満足度が高いともいわれています。

そういった意味で、即断即決の方が、後悔は少ないかもしれません。

期限を決めて、ルールに基づいて台数を絞り込めば、優柔不断を回避できる

晴香先生によると、「日本人には優柔不断なタイプの人も多い」とのこと。

晴香先生:特に中古車は買い物の中でも価格が高い部類に入ります。価格が高いということは、心理的には、当然それだけの見返りを求めるということ。それだけに、普段は即断即決の人でも、いつも以上に迷ったり、優柔不断のような状態になってしまう可能性は十分に考えられます。

一番良いのは、優柔不断で熟考しつつも、決めるときには決められる人。そんな人に、私はなりたい。ということで、晴香先生、教えてください。

晴香先生:まずは、期限を決めることです。極端ですが、先に売却日を決めるなど、絶対に回避できない締め切りがあれば、人はそこに向けてスケジュールを立てます。ただ、先ほど話したように、締め切りにとらわれて、欲しくない車を選んでしまっては本末転倒。そこで、最初に自分の条件にあう車を数台選んでおいて、その中で決めるようにします。心理学には、選択肢が多すぎると選べないといった『決定回避の法則』があります。車種とかボディカラーなどで検索すると、様々な中古車が出てきてなかなか選べないという人は、最初に自分でルールを決めて、絞り込んだ状態で選ぶといいでしょう。

ちなみに、優柔不断を自覚している筆者は、ファミレスでは注文が決まる前に、店員さんを呼ぶボタンを押してしまいます。

これって、「期限を決める」につながっていたのですね。優柔不断を自覚している皆さん、ぜひ、晴香先生のアドバイスを参考にしてみてください。
 

【プロフィール】晴香葉子:作家・心理学者。早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師。企業での就労経験を経て心理学の道へ。研究を続けながら、様々な角度から情報を提供。執筆、講演、テレビ、雑誌などメディアでの心理解説、監修実績などの活動を続けている。著書は、人生には、こうして奇跡が起きる(青春出版社)、2回目からは、スーツのボタンは外しなさい(潮出版社)、言葉って不思議だと思いませんか?(彩雲出版)など30冊以上 【プロフィール】晴香葉子:作家・心理学者。早稲田大学オープンカレッジ心理学講座講師。企業での就労経験を経て心理学の道へ。研究を続けながら、様々な角度から情報を提供。執筆、講演、テレビ、雑誌などメディアでの心理解説、監修実績などの活動を続けている。主な著書に、『人生には、こうして奇跡が起きる』(青春出版社)、『2回目からは、スーツのボタンは外しなさい』(潮出版社)、『言葉って不思議だと思いませんか?』(彩雲出版)など30冊以上
text/コージー林田
photo/photoAC