N-BOX▲価格が高いイメージがあるスライドドア付きの軽。だけど実は、“コミコミ50万円”で買える車種があるんです!(写真はホンダ N-BOX)

車は安ければ安い方がうれしい! そんな人にオススメなのは……

毎年カーセンサーが実施している、その年で最も注目された中古車を決める「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。そこで今年の1位に輝いたのが、なんと中古車平均価格30万円を切る3代目のスズキ ワゴンRなんです!
 

 
N-BOX▲こちらが2025年に1位を獲得した3代目のスズキ ワゴンR。ちなみにこちらはのドアはスライドではなく、ヒンジのタイプ

「車はアシ。できればお金はかけたくない!」

そんなリアルな声がランキングに表れたということでしょう。新車価格200万円を超える軽自動車も珍しくない近年ですが、手が届きやすい価格はやっぱり軽自動車の魅力ですよね。

とはいえ、「さすがにスライドドア付きとなると50万円では無理でしょう?」と思ってはいませんか?

いえいえ、コミコミ(支払い総額)50万円で手に入るスライドドア付きの軽自動車だってちゃんと見つかるんです。

もちろん、安かろう悪かろうなんて願い下げ。ここでは選び方のポイントも合わせて、コミコミ50万円で手に入るスライドドア付き軽自動車をご紹介します。
 

N-BOX▲子育てにも、介護にも、どんな用途にも便利なスライドドア付きの軽。この機能が欲しいけど、その分値段も高いのでは?と思いがち……(写真はパレット)

▼検索条件

総額50万円以下×軽自動車×スライドドア
 

選択肢①| ホンダ N-BOX(初代)
軽の圧倒的な王者も初代なら50万円で手に入る!

N-BOX▲軽としてのあらゆる常識を覆した圧倒的な軽の王者!

まずご紹介するのは、2011年12月に登場するやいなや、軽自動車販売台数1位となり、その後も軽自動車の絶対王者として君臨してきたN-BOX。そんな大人気モデルでも、初代なら支払総額50万円以下に収まってきています。

ホンダ初のスーパーハイトワゴンとして登場した初代N-BOXは、ミニバン的な広さと使い勝手がセールスポイント。加えて、座席の跳ねあげや収納が可能な後席「ウルトラシート」を備え、ベビーカーをたたまずに載せたり、27インチ自転車を積んだりすることも可能です。
 

N-BOX▲こちらは後席のシートを跳ね上げた様子

ノーマルの標準車に加え、3眼ヘッドランプやメッキグリルでスポーティな「N-BOXカスタム」も用意されています。
 

N-BOX▲こちらがカスタムモデル

標準車、カスタムともに上級グレードの「G・Lパッケージ」「GターボLパッケージ」は助手席側電動スライドドアが、「SSパッケージ」には両側電動スライドドアが備わります。

支払総額50万円以下の流通量は約2000台と豊富。流通のうち、300台弱は何かと便利な両側電動スライドドアを搭載した「SSパッケージ」。走行距離は10万~5万km程度の物件がほとんどです。多すぎる走行距離は気になるところですが、日常的に近所のスーパーと自宅の往復などであれば、おおよそ10万km以下の物件を狙えば問題ないかと思います。

他には、車の骨格にあたるフレーム部分の交換や補修をした「修復歴あり」の物件にも要注意。購入の際には注意が必要です。どんな箇所をどのように修復しているのか、お店の人に聞いてみるのが良いでしょう。

とはいえこれらはあくまでも目安。可能であれば実車を目視でチェックし、しっかりと確認することをオススメします。
 

▼検索条件

ホンダ N-BOX(初代)×総額50万円以下
 

選択肢②| スズキ パレット(初代)
初めて両側電動スライドドアを搭載した軽ワゴン

パレット▲パレットはスペーシアの前進モデルとなる

次にご紹介したいのが、初代スズキ パレット。実は、背の高い軽乗用車クラスでは初となる後席両側スライドドアを採用したのは、このパレットなのです。

デビューした2008年当時はスーパーハイトワゴンというジャンルも確立していなかった頃。その背の高さと室内空間の広さ、そして両側電動スライドドア採用という充実装備に「軽とは思えない!」と話題になりました。

2013年にはスペーシアと名前を変えて登場。現行型スペーシアは3代目なので、いわば先々代スペーシアがこのパレットということになります。

床を低く設計することで、乗り降りも楽々。また、ダイブダウンできる後席をフロアに収めれば、ほぼフラットで奥行きのある空間荷室が生まれ、一般的な26~27インチの自転車を積むこともできます。
 

パレット▲自転車も入る、この背の高さが魅力のひとつだ

シックな標準車に加え、2009年にはシャープな顔立ちのパレットSWも追加されました。
 

パレット▲こちらがパレットSW

なお、電動スライドドアが搭載されるグレードは以下のとおりです。購入の際はこちらと合わせて、実車確認をすることをオススメします。

■両側電動スライドドア:T、TS、SW TS、リミテッドII、SWリミテッドII

■助手席側電動スライドドア:X、XS、SW XS、リミテッド、SWリミテッド、XSアイドリングストップ

支払総額50万円以下の流通量は約1000台。流通している中古車の中で、両側電動スライドドアが搭載されているのは約250台。全体に占める割合は多くありませんが、中には走行距離が3万km程度の物件も見つかるなど、掘り出しもの感はありそうです。

発売から10年以上が経過していることもあり、走行距離が短い物件だとしても実車のチェックはやっておきたいところ。日常的に使用するからこそ、スライドドアの動作確認などはなるべく目視で確認しておきましょう。

日産からリリースされた兄弟車の初代ルークスも支払総額50万円以下で約600台流通しているので、合わせてチェックしてみてください。
 

▼検索条件

スズキ パレット(初代)×総額50万円以下

▼検索条件

日産 ルークス(初代)×総額50万円以下
 

選択肢③|ダイハツ タント(2代目)
ミラクルオープンドアが魅力のブーム立役者

タント▲おとぼけフェイスのようなふわっとした雰囲気のデザインのこちらは標準モデル

初代パレットに先んじて、広さと使いやすさを追求した軽スーパーハイトワゴンの先駆者として登場したタント。

初代の後席ドアは一般的なヒンジ式でしたが、2007年12月にデビューした2代目で助手席スライドドアが採用されました。

助手席の後ろに柱がない「ミラクルオープンドア」という画期的なアイデアが投入されたのもこの2代目から。
 

タント▲ミラクルオープンドア

スライドドアと助手席ドアを開けると1480mmの大開口部が出現するので、子供をチャイルドシートに座らせるときや荷物を持って乗り込むのがとっても楽。日ごろから荷物が多い方やアウトドアギアを積みこみたい方などにもオススメです。

ただし、スライドドアは助手席側だけで、運転席側の後部ドアはヒンジタイプになっている点は要注意です。
 

タント▲こちらは標準のタントの室内。助手席を倒せばちょっとしたテーブルが出現する

優しい表情の標準車に加え、4灯式ヘッドランプやエアロパーツでキリッとクールなタントカスタムもあり、こちらにはパワフルなターボエンジン車も設定されています。
 

タント▲こちらはタント カスタム
スペーシア▲こちらはカスタムの内装。シートのカラーは異なるが、広さは同じ

電動スライドドアが搭載されるグレードは以下のとおりです(すべて助手席側)。

Xリミテッド、Xリミテッドスペシャル、ワンダフルセレクション、G(2010年9月~)

カスタムXリミテッド、カスタムRS、カスタムVセレクションターボ、カスタムX(2010年9月~)


支払総額50万円以下の中古車流通量は約2000台。カスタムとベースモデルはほぼ同等くらいの割合ですが、ベースモデルの方が少し選択肢が多いようです。電動スライドドアが搭載されている物件の選択も同等くらいで可能なため、デザインの好みで決めるもよし、ターボの有無で決めるもよし、ご自身のライフスタイルに合わせて探してみてください。
 

▼検索条件

ダイハツ タント(2代目)×総額50万円以下
 

購入前には実車を確認するのがオススメ!

ご紹介した3モデルいずれもデビューから10年以上たつことから走行距離が10万km界隈の個体も多いですが、走行距離そのものよりも、整備記録があるか、オイルメンテナンスがされているかを確認することをオススメします。

せっかく安く購入できても後からたくさんお金がかかっては元も子もないので、バッテリーやタイヤの状態、エアコンの効き具合、それに魅力のスライドドアがきちんと動作することも確認してくださいね。

販売店に「例えばこれから〇年くらい乗るなら、いつ頃どんな部品の交換が必要になって、いくらくらいかかりそうですか?」と聞いてみるのも手。納得のうえで生活のお供となる頼れる1台を迎えてください。
 

文/竹井あきら 写真/ダイハツ、スズキ、ホンダ、
※記事内の情報は2025年12月12日時点のものです。
竹井あきら

ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。