グローバリゼーションと無縁の世界で
独自の進化を遂げている

日本固有の自動車セグメント、軽自動車はやっぱり面白いです。限られた規格のなかで、時代背景や自動車メーカーの取り組みによってバリエーション豊かな個性派が揃っているものです。唯一、軽自動車の弱点を挙げるなら、中古車相場の高値安定ぶりかもしれません。値落ち率も加味しながら、開発時のこわだりを存分に感じられるユニークなものをピックアップしてみました。気になる車は中古車カタログや物件をチェックしてみてください。


第5位はZ(絶版)。前後重量バランスの最適化を追求し、エンジンを床下にミッドシップしていました。これだけでも結構な開発、生産コストになっているはずです。結果は軽自動車らしからぬ(?)スポーティさを醸し出すダイレクトなハンドリングに仕上がっています。4WDを採用していましたし、フルフラットになる室内と併せてSUVとしての機能性がしっかりと与えられた意欲作だったんです。デビューから13年と時間がたっていますが、色あせず斬新です。


第4位はダイハツタント(旧型)。軽自動車の規格を目いっぱい使い、広々とした室内を実現させています。天井高と広い視界が、物理的広さのみならず、感覚的広さも与えています。旧型なのに、新車時価格の半分ほどしか値下がりしていないのは軽自動車ゆえの特徴かもしれません。現行モデルは広さに加え左側Aピラーをなくし、スライドドアを採用することで利便性を向上させています。でもあとはキープコンセプトなので、幾分割安の旧型がオススメ。 


第3位はR1(現行)。2+2のシティコミューターは、ベースとなっているR2よりもホイールベースが短いんです。その分走りはキビキビした印象が強く、軽自動車とてあなどれません。低重心化へのこだわりも感じられる走りっぷりで、本当に街中では"これで十分"と言わしめるだけの実力の持ち主に仕上がっています。R1は2ドアだからか、現行モデルにもかかわらず、新車時の半分ほどで狙えます。個人的にはスーパーチャージャーモデルを狙いたいです。


第2位はツイン(絶版)。3年弱で販売を中止してしまったのは、不人気だったからでしょうか? 法律で定められた衝突安全性を確保しつつも、全長2.7mと機動的かつ愛くるしいマイクロカーぶりを発揮していました。ハイブリッドモデルがラインナップされたことが、とても衝撃的でした。軽自動車のエンジンに電気モーターを組み合わせる合理性があるのか否かの考察は、ここではあえて割愛します。軽自動車をもっと小さくしたツインは、今見ても感心させられます。


第1位はアイ(現行)。最近はアイがベースの電気自動車に注目が集まりがちですが、アイだって凄いんです。2550mmと軽自動車の割にはロングホイールベースで、高速安定性をしっかり確保。エンジンはミッドシップしていますから、ステアリングレスポンスの良さがキビキビ感を演出。個人的には大きなフロントウインドウと、独特な1本ワイパーも気に入っています。大人4名と大型スーツケースを載せて走りましたけど、良い意味でフツーに快適でした。

Report / 古賀 貴司