日産 アリア新車値上げの裏で、中古車価格は1年で70万円以上ダウン! 今オススメの買い方・選び方は?
2024/05/18
▲エンジンルームの冷却が不要になったことで、グリル部はパネルが覆う。そこには日本の伝統的な組子パターンが立体的に表現されたアリア B6の新車価格120万円アップの裏で、中古車価格は大きくダウン
コロナ禍の2021年6月に、日産の電気自動車(BEV)第2弾として限定モデルから予約注文が始まったアリア。翌2022年5月からようやくエントリーグレードのB6(2WD)の販売も開始されたというのに、世界的な半導体不足などが理由で、2022年7月末から全グレードが受注中止に追い込まれてしまった。
それから約1年9ヵ月。半導体不足等が解消し、2024年4月からついに全グレードの販売が再開! したのだが、よく見るとエントリーグレードのB6(2WD)の車両本体価格が539万円(販売開始時の2022年5月)から659万円(全グレード販売再開時の2024年4月)と、実に120万円もアップしている。
一部の輸入車同様、販売を停止していた間に原材料費や運送費が高騰したのが主な理由だろう。
そうであれば仕方ないと諦めて、待ちに待った新車を購入するのも当然アリだが、実は中古車を見ると平均価格が大きく下落しており狙いやすくなっているのだ。

初めてアリアの中古車が流通した2023年1月の平均価格は663.9万円だったが、2023年4月には637.5万円にまで落ちてきた。 その後順調に下落し、2023年秋には一時上昇したこともあったが、引き続き下落に転じ、2024年4月時点では過去最安となる563.5万円まで落ちている。
つまり、1年前と比べても74万円も下がったことになる。
一方で、中古車流通量は時間とともに増えていき、なかなか100台を上回らなかった月間延べ掲載台数が直近4月には一気に144台にまで増えた。

また、受注停止中にあったプレミアム感や品不足感は雲散霧消したことも相まって、現実的な中古車価格になったということだろう。
さらに、詳細は下記で述べるが、国や自治体の補助金制度を使える新車価格を下回る中古車もたくさんある。
というわけで、1年で74万円も値落ちし、流通量も着実に増えた日産 アリアの中古車。その魅力を、まずはモデル概要から確認していこう。
▼検索条件
日産 アリア(初代・現行型)×全国新時代を予感させる内外装デザインや最先端機能を備えるSUV型BEV
▲キーをもって近くと、前後のライトと日産のエンブレムが光ってドライバーを出迎えてくれる
▲全長4595mm×全幅1850mm×全高1655mmというボディサイズは、同社のエクストレイルより少し短くて背が低い程度で、だいたい同じリーフに次ぐ、日産第2の電気自動車(BEV)として2020年7月に発表されたアリア。しかし、コロナ禍真っ只中のため、半導体不足などを理由に初の予約開始は2021年6月の特別仕様車までずれ込んだ。
同社のBEVとしては初のSUVタイプで、ガソリンエンジン車など内燃機関車と比べてデザイン上の制約が少ないこともあり、新しさや力強さのあるデザインが採用された。
インテリアも新しい時代の到来を予感させるもので、車の電源を入れるとダッシュボードにアイコンが浮かび上がる仕組みが採用された。その中から必要なアイコンをタッチすればよいのだが、その際に物理的なスイッチを押したかのような感覚が指先に伝わるようになっている。
▲12.3インチの大型ディスプレイが2枚並ぶ。部品点数が少なくてすむBEVのメリットを生かし、室内はかなり広々としている
▲センターコンソールは、ドライバーのシートポジションに合わせて電動で前後に動かすことができる
▲車の電源を入れると、木目調のダッシュボード下部にエアコンを操作するスイッチが浮かび上がる
▲5名乗車時で9.5インチのゴルフバッグが3セット積める。バンパー下で足を振るとバックドアが開閉する機能は全車に標準装備されている搭載されるバッテリーは66kWh(B6系)と91kWh(B9系)という2つのサイズが用意された。どちらにも2WD(前輪駆動)と4WDが設定され、2WDは1つのモーターが前輪を駆動させ、4WDは前後それぞれに搭載されたモーターが前輪と後輪を動かす。
また4WDは、GT-Rをはじめ同社が長年培ってきた四輪制御技術をベースとした「e-4ORCE」が搭載される。これは前後のモーターをそれぞれ制御することで、時に速く走ったり、悪路で車両姿勢をコントロールする技術だ。
最大航続可能距離は、66kWh(B6系)の2WDが450km、91kWh(B9系)の2WDが610km。また、66kWh(B6系)の4WDが430km、91kWh(B9系)の4WDが580kmと、ロングドライブも十分にこなせる航続距離となっている(数値は2021年6月時点)。
もちろん、一定条件下でハンズオフでの走行も可能な同社の先進運転支援機能「プロパイロット2.0」も用意されている。
さらに、先進的なデザインにふさわしい機能も充実。例えば、自宅で朝食を取りながらスマートフォンで愛車のバッテリー残量などを確認し、行き先のルートを設定して愛車に送信しておけば、乗り込んでからのカーナビの設定は不要だ。
その他にも、音声認識機能も備えられ、「ハローニッサン」と話しかけてから会話形式で空調やカーナビなどを操作できる。また、アマゾンのアレクサ経由で音楽の操作や電話も可能だし、車のソフトウエアの自動アップデート機能も日産として初めて採用された。

このようにBEV時代の到来を告げるようなアリアは、先述のとおり、まずは全グレードに用意された特別仕様車から受注が開始され、後にカタログモデルのB6の2WDが続き、残りは2024年3月から販売された。その後の紆余曲折はすでに述べたとおりだ。
このような経緯を背景に、原稿執筆時点のカーセンサー掲載台数約130台のうち、8割以上が、B6(2WD)だ。残りの約2割は特別仕様車のB6リミテッドとB9 e-4ORCEリミテッドが占める。
平均価格は原稿執筆時点で約531万円で、価格帯は約440万~840万円と幅広い。また、デビューからまだ間もないということもあり平均走行距離は0.8万kmとかなり少なめだ。
では、今中古でアリアを狙うならどんなものがオススメなのか、2つのケースで考えてみよう。
【オススメ1】なるべく安く狙うなら、補助金を考慮しても新車価格よりも低い「B6」
▲B6とB9で装備面の違いはない。標準仕様のシート地はスエードと合皮のコンビとなるなるべく安くアリアを手に入れたいなら、エントリーグレードのB6(2WD)だ。上記で述べたように原稿執筆時点の掲載車の8割以上を占めていて、圧倒的に選びやすい。しかも、その中の8割以上が走行距離1万km未満という状況。
このように、まだまだ新車の香りが残っていそうな中古車がたくさんあるのだが、一方で新車なら補助金制度を使うとかなり割安で買えるので、そちらと比較してみないとお買い得感がわからない。
現在アリアの新車購入に対しては、国から85万円、東京都なら55万円(再エネ電力を導入する場合は70万円)を受け取れる。現在B6(2WD)の新車時車両本体価格は659万円だから、そこから85万円と55万円を差し引いた519万円以下の車両本体価格の中古車なら、新車価格よりも低い可能性が高い(諸費用により異なる場合もある)。
果たして519万円以下&走行距離1万km未満のB6(2WD)がどれくらいあるのかというと、原稿執筆時点で11台見つかった。また、ハンズオフ走行が可能なプロパイロット2.0をはじめとしたオプションを装備している場合、車両本体価格は上がるため、オプション価格を含めた価格であることを考慮すれば、補助金を引いた新車価格よりも低い中古車はもう少しありそうだ。
B6(2WD)は、プロパイロット2.0こそオプションだが、プロパイロット(ナビリンク機能付き)は純正ナビとともに標準装備だし、アマゾンのアレクサ機能やスマートフォン連動機能、前席電動シート、全席シートヒーター、ワイヤレス充電器等々、装備は充実している。
B6(2WD)のバッテリーは66kWhで、最大航続可能距離は450km。それが走行距離1万km未満でも、総額500万円から見つけることができ、走行距離5万km以下まで範囲を広げると総額420万円程度からヒットする。
▼検索条件
日産 アリア(初代)×B6×全国 ※価格昇順【オススメ2】航続距離の長いB9狙いなら、4WDの特別仕様車「B9 e-4ORCE リミテッド」
▲リミテッドは専用アルミホイールカバーが備わり、バーガンディー/ミッドナイトブラック(写真)やシェルブロンド/ミッドナイトブラックの限定2トーンボディカラーが用意された現状B9を狙うなら、4WDの特別仕様車であるB9 e-4ORCE リミテッド一択だ。何しろB9およびB9 e-4ORCEのカタログモデルの販売は、約2ヵ月前に始まったばかりのため、中古車市場に流通しているのは、2021年6月から予約受付がはじまった特別仕様車の「リミテッド」くらいしかないからだ。
リミテッドは、B6の2WDと4WD、B9の2WDと4WDそれぞれに設定された特別仕様車で、装備がマシマシになっているのが大きな特徴だ。
例えばベース車ではオプションの、ハンズオフ走行ができるプロパイロット2.0がある。また、愛車の出し入れを車外からキーの操作だけで行える「プロパイロットリモートパーキング」も備わる。これはアリアの登場前後にCMでも強調されていたので、見たことがある人もいるだろう。
他にも、アリア専用にセッティングされたBOSEプレミアムサウンドシステムやパノラミックルーフ、ナッパレザーシートなどが備えられている。
B9 e-4ORCE リミテッドの最大航続可能距離は580km。新車時の車両本体価格は790万200円だった。現在はリミテッドを新車で買うことはできないが、ベースであるB9 e-4ORCEの新車時車両本体価格は798万7100円。
それが原稿執筆時点で走行距離1万km未満が総額約710万円(車両本体価格は約690万円)から狙える。プロパイロット2.0やプロパイロットリモートパーキングが付いていない素のB9 e-4ORCEよりざっと100万円安く、オプション額を考えれば、補助金分(140万円)を差し引いてもお買い得だと言えそうだ。
▼検索条件
日産 アリア(初代・現行型)×B9 e-4ORCE リミテッド×全国▼検索条件
日産 アリア(初代・現行型)×全国
ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。
【関連リンク】
この記事で紹介している物件
日産
アリア B6 リミテッド サンルーフ 純正ナビ アラウンドビューモニター フルセグテレビ プロパイロット インテリジェントルームミラー 電動リアゲート パワーシート シートメモリー シートヒーター パーキングアシスト
本体価格354.7万円
支払総額363.8万円
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