車を買って、行きたかった場所へ出かけよう。友達や家族、恋人と楽しい思い出をつくろう
でもその時の大切な“旅の供”はどう選べばいい?
カタログやスペック、人気度からは見えてこない本当の“旅の供”の実力を
本誌の“超愛読者”2人が“新車時の半額”をキーワードに、教えます
本誌編集アドバイザー
西川 淳
自動車評論家としてもまたプライベートでもロングドライブは当たり前
様々な種類の車で東京から実家のある奈良や
最近は遊びを兼ねて京都へもよく出かけている
本誌関東版編集長
馬弓良輔
20代には愛車2CVで日本列島縦断も経験済み
30代の頃はスノボで年間150日は出かけていたそう
そんなロングドライブ好きで元「じゃらん」編集部員が“旅の供”の選び方を伝授
THE OPEN FOR TRAVEL

オープンカーは旬か逆に枯れきるか
馬弓(以下M) さっき「ミニバンのオープン」って話があったけど、まさにオープンカーって旅に似合うんじゃないかと思うんですよ。
西川(以下N) 旅先で絵になるし、だから旅に出かけたくなるもんな。
M 風の匂いとか、鳥の声とかとにかく刺激が多いから移動した充実感がある。そういう「道中を楽しむ」観点で、いいなと。
N オープンカーでも4シーターだろうね。疲れにくい点でいえば。旧型のCLKカブリオレがいいんじゃない? ちゃんとしたグランドツーリングカーだよ。メルセデスらしさもあるし。
M 国産で、フェアレディZのロードスターはどうです?
N 長距離? 悪くはないけど…。
M 実はこれもほぼ新車の半額になってきたんですよ。
N ほんと?だったらいいな…いや、アリだよ。国産のオープンで一番長距離がいいと思う。エンジンに力があるから低速できっちりトルクがあって、ラク。やっぱり長距離を運転するなら排気量は大きいほうがいいよ。
M あと現行型ですからね。カッコイイと思うし。コストパフォーマンス的にいい。
N しばらくモデルチェンジしそうにないしね。
M オープンカーは旬な感じが大切だと思うんですよ。あるいは逆にもう思いっきり枯れるか。
N 枯れ具合からすれば、一つ前のSLとかもいいと思うよ。それもできれば変な色のやつ。黒とか白に乗るから貧乏くさく見えるんであって。変な青とか緑とかだと新車から乗っている感じがするじゃん?
M 年間2000㎞くらいしか走っていないものなら最高。
N そうそう。できればナンバーもそのまま継続できるといい。

「あえて疲れる」という旅の楽しみ方もある
M メルセデスでも旧型SLKや、BMWのZ3といった2シーター系はダメですか?
N 小さい車は、実は感じにくいいろんな振動とかが体に蓄積されるからさ、車から降りた瞬間にドッとくるんだよ。
M 今まで「疲れない」という視点で考えてきたけど、例えば「楽しい疲れ」ってあるじゃないですか? そう考えると…。
N だったら同じ2シーターオープンでも旧型のロードスターがいいんじゃない? 初代のロードスターもいいけど、さすがに長距離はしんどいし。そうなると運転の楽しさ、値段…そういうバランスが一番いい。
M 日本は曲がっている道が多いですからね。コイツのMTで走れば痛快ですから。
N 面白いから時間が早く過ぎるというか。「あえて疲れる」という感じだね。BMWの車ってまさにそれ。エネルギーを使い切る系。だから行く先は温泉地がいいと思うな。着いたら温泉に浸かって寝るだけ。次の日の朝からまた走って楽しむという感じの旅なら旧型ロードスターはアリだと思う。

MERCEDES-BENZ CLK
メルセデス・ベンツ CLKカブリオレ(1999~2003)
ヘッドランプ形状が旧型Eクラスを思わせるが、ベースは旧々型Cクラス。2ドアクーペ旧型CLKのカブリオレ版がこれだ。「メルセデスは路面に吸いつくように滑らかに走るので楽に構えていても真っすぐ走れる。それは旧々型Cクラスでも変わらない。むしろ古いぶん、よりメルセデスっぽいかも(西川)」
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NISSAN FAIRLADY Z
日産 フェアレディZロードスター(2003~)
フェアレディZのオープンモデルだが、専用デザインとなる開発当初から企画されていため、ロードスター専用の部品を与えられたりするなど、クーペと変わらない運動性能を発揮する。「現行モデルで、これだけカッコよくて200万円切るんだったらおいしい(馬弓)」。「これならATで乗ってもいいね(西川)」
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THE BEST CAR FOR TRAVEL

スカイラインは日本のベストGT
N カテゴリーを気にせずに言うと、やっぱり2.5L以上・6気筒以上のセダン&クーペって、基本的にはグランドツーリングの志向があるはず。なかでもスカイラインは日本車で一番のグランドツーリングカーだと思うよ。例えばボンネットの盛り上がり方が、走るときにちょうど車線に、無意識に合わせやすくなっていたりする。
M それはV35(旧型)?V36(現行型)?
N どっちも。実はオレの中ではラクさで言うとR33が意外といい。GTS25tタイプMとか。あとはY32やY33のセドリック/グロリアのグランツーリスモ。この辺のちょっと古い日産車って良かったよ。
M コンパクトカーは?
N 小さい車は基本なしだけど…アクセラはいいんじゃない? バリバリの走り系じゃなく普通のやつ。こうして考えると、スズキのスイフトもそうだけど、結局欧州なんだよね。国産車で明らかに向こうを見て作っていて、なるべく向こうと同じスペックで日本にもってきている車はいいよ。
M さっきのバカンスの話だったり、アウディのアウトバーンでの話につながりますよね。

一瞬のタメがある車が適してる
N パーソナルベストはやっぱりR34GT-RのMスペックだな。サスペンションとシートとハンドルの関係まで、グランドツーリングとしての乗り心地を考えて作られた車だからね。基本はGT-Rだから、旅先で楽しみたいときも性能は十分だし。Vスペックと違って、適度にためる余裕がある。それをオレは「バッターボックス理論」と言っているんだけど、一番前に立つより一番後ろに立ったほうが何をするにも対処する時間がある。プロドライバーなら瞬時に判断できるからそんなタメはいらないだろうけど、オレは車が動いてから考えるから。人によってはそれがクラウンなのかもしれないし。人それぞれタメの時間は違う。これって長距離ドライブも一緒で。
M ずぼらに行きたいですよね。
N BMWに比べてメルセデスがいいのも、そういう鷹揚さというか、それを懐の深さとよく言うんだけどね。その辺はフランス車もうまいよね。
M オレはやっぱりシトロエンのエグザンティアですね。あのハイドロの乗り心地はなかなかない。確かに現行のメルセデス・ベンツE350のエアサス仕様に乗った時は「シトロエンいらずだ」とすごく衝撃的な感動を受けたけど。でもその味を10分の1ぐらいで手に入れられるエグザンティアが、オレは好き。
N だからおいしいんじゃん。
M でもハイドロって、ディーラーの試乗程度だと良さが全然わからないんですよね。旅に出るとこれほどいいものはないのになぁ。
N 違うってことはわかるだろうけど、それは違和感だから。犬を買いに行ったのに「飼ったらかわいいですよ」って猫を勧められたようなもんで。にゃーって鳴かれてもねぇ。いや犬がいいんですけど、みたいな(笑)。

NISSAN SKYLINE GT-R
日産 スカイラインGT-RMスペック
「大人の感性を刺激する」というコンセプトのもと開発された。本文にあるように専用の足回りをもつほか、熟練職人が一脚ごとに手縫いを施した本革シートを装備するなど、他のGT-Rと一線を画す。「オレの場合、サーキットで走ってもVスペックよりタイムが速い。きっと一番“自分の持ち時間”に合ってるんだろうね(西川)
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CITROEN XANTIA
シトロエン エグザンティア
ベルトーネによる端麗なエクステリアデザインの下に潜むのは“魔法の絨毯”と評されることの多い伝統のハイドロ系足回り一度体験してしまうと、なかなかハイドロ地獄から抜けられない。もちろん馬弓も。「なんといっても長時間高速巡航してもラク。ゆったりとした上下が心地よく、道にうねっていてほしいくらい(馬弓)」
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まとめ/ぴえいる工場 Photo /芳賀元昌
※この記事は、カーセンサー関東版15号(2007年7月19日発売)の特集をWEB用に再構成したものです