Aクラスセダン ▲3代目ミニの派生モデルである「2代目ミニ クラブマン」の新車時価格はおおむね500万円級でしたが、その中古車は今、総額100万円前後またはそれ以下の価格でも狙える状況になっています。

新車で買うとなると総額500万円は下らない車だったが

ハッチバックと呼ぶには微妙に大きい&長い感じで、ステーションワゴンと呼ぶには微妙に小ぶり。ミニの派生モデルである「ミニ クラブマン」は、そのように“微妙”である点が絶妙というか、得もいわれぬ個性を感じさせるステキな1台です。

で、2015年から2024年まで販売された2代目ミニ クラブマンは、新車で買うとなるとおおむね500万円は下らないニュアンスの車だったのですが、その中古車は今、総額100万円以下から狙える状況になっているとのこと。

それってちょっと気になるかも! ということで、2代目ミニ クラブマンのモデル概要をあらためて振り返るとともに、その狙い方を検討してみることにしましょう。
 

Aクラスセダン▲このおしゃれなたたずまいを100万円前後の予算で入手できるのはうれしい限りですが、とはいえ安価な中古車の品質は実際どうなんでしょうか?

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ミニ ミニクラブマン(2代目)
 

モデル概要:程よいサイズ感の小粋なシューティングブレーク

ミニ クラブマンはシューティングブレーク(狩猟用のワゴン=やや小ぶりなステーションワゴン)と呼ばれるタイプに属する1台で、2代目ミニをベースに作られたその初代モデルは2007年に発売されました。

そして今回注目する2代目ミニ クラブマンが登場したのは2015年11月。3代目(先代)のミニをベースとする2代目クラブマンは、かなりコンパクトだった初代よりもボディを大型化。とはいえ「ミニ」ですので、そのサイズは全長4270mm×全幅1800mm×全高1470mmという程よいものであり、定番ハッチバックである「フォルクスワーゲン ゴルフ」とだいたい同じぐらいのサイズ感になります。
 

ミニクラブマン▲こちらが2代目ミニ クラブマン
ミニクラブマン▲ボディサイズは全長4270mm×全幅1800mm×全高1470mm。バックドアがいわゆる観音開きであるというのもおしゃれポイント
ミニクラブマン▲大きな円形のセンターディスプレイが印象的な運転席まわり。細かい部分の造形がいちいちおしゃれなのも、この車の特徴だ
ミニクラブマン▲5名乗車時の荷室容量は360Lだが、シートを倒すことで最大1250Lまで拡大可能
 

ちなみに、初代クラブマンの後席ドアは右側に1枚だけが変則的に設けられていたのですが、2代目では、左右に1枚ずつの後部ドアが付く一般的なスタイルに変更されました。

パワーユニットはガソリンターボとディーゼルターボの2種類に大別され、それぞれのグレードが当初搭載したエンジンとトランスミッションは下記のとおりです。

●ワン|最高出力102psの1.5L直3ガソリンターボ・6速AT
●クーパー|同136psの1.5L直3ガソリンターボ・6速AT
●クーパーS/クーパーS オール4|同192psの2L直4ガソリンターボ・8速AT
●クーパーD|同150psの2L直4ディーゼルターボ・8速AT
●クーパーSD|同190psの2L直4ディーゼルターボ・8速AT
●ジョン・クーパー・ワークス|同231psの2L直4ガソリンターボ・8速AT

2019年10月にはマイナーチェンジを行い、いわゆる後期型へと進化。このマイナーチェンジではエクステリアデザインを若干変更するとともに、運転支援システムとエンジンを刷新。そして「ワン」「クーパー」「クーパーS」のトランスミッションは、それまでの6速または8速ATから7速DCT(ツインクラッチ式のAT)に変更されました。
 

ミニクラブマン▲ミニのデザインアイコンである「丸目」がより強調されるデザインになった2019年10月以降の後期型
 

そしてまずまず好評なまま販売が続いた後期型クラブマンでしたが、「ハッチバックと呼ぶには大きいが、ワゴンやSUVと呼ぶには小さい」という絶妙なサイズ感が「中途半端である」と市場に判断されたのか、2024年5月には、一部で惜しまれながら販売終了となった――というのが、2代目ミニ クラブマンの大まかなモデル概要です。
 

中古車状況:平均価格は順調に下がり続け、直近の1年で60万円以上ダウン

2代目ミニクラブマンの中古車は順調なペースでダウンし続けており、2024年11月は約293万円だった平均支払総額は、2025年10月には約232万円に。この1年間で60万円ほどのダウンを記録したことになります。

ミニクラブマンの中古車平均総額



そして直近の平均支払総額は前述のとおり約232万円ではあるのですが、カーセンサーnetの掲載物件を実際に見てみると、総額100万円以下のプライスで販売されている物件の数もけっこう多いことに気づきます。

それゆえ「これはちょっと気になるかも!」と思うわけですが、とはいえ元々は500万円級だった輸入車が100万円級にダウンした中古車とは、買っても大丈夫なモノなのでしょうか?

そのあたりを中心に次章以降、2代目ミニ クラブマンのオススメな狙い方を考えてみることにしましょう。

中古車のオススメ①:価格重視で選ぶなら総額130万円~を目安とする各グレードの前期型

「なるべく安価に2代目ミニ クラブマンを入手したい!」と考える場合はアラウンド100万円、つまり総額90万~110万円付近の物件に注目することになるかと思います。

そして結論としては、アラウンド100万円でミニ クラブマンを狙ってみるのも悪くはないのですが、少し難しい部分もあるため、できれば「総額130万円以上」をひとつの目安にしたほうがいいと考えられます。

ミニクラブマン▲総額100万円前後でもイケるが、できれば「総額130万円~」を目安とした方が無難かも

2025年12月上旬現在、総額90万~110万円で狙える2代目ミニ クラブマンの数約30台。そのほとんどが初期年式にあたる2016年式または2017年式で、検討可能なグレードは「クーパー」と「クーパーS」「クーパーD」「クーパーSD」という具合に幅広いのですが、走行距離は――もちろん一概にはいえないのですが、9万km以上などの物件が目立つという状況です。

で、こういった条件となる2代目ミニ クラブマンのコンディションはまさに玉石混交です。

しっかりと整備および必要な消耗部品交換を行なってきた個体であれば特に問題はないのですが、「新車時からロクに点検も部品交換も行なってきませんでした」的な個体だと、部品代だけで20万円ぐらいする燃料ポンプが寿命を迎えていたり、サーモスタットなどの冷却系部品もそろそろ寿命だったり、ドライブシャフトブーツという部品がちぎれてしまっている可能性も考えられます。

つまり「中古車を購入した後に修理代がかかってしまうかも」ということです。

ミニクラブマン▲定期的な点検と消耗部品の交換を受けてきた個体であれば特に問題はないのだが……

そういった物件をつかまないためには、内外装に手荒く扱われた痕跡がないことを確認すると同時に、整備記録簿によって「2年に一度、正規ディーラーでしっかり点検と整備(部品交換)を受けてきた」ということを確認する必要があります。

もしもそのような物件を見つけることができたなら、アラウンド100万円の物件であっても特に大きな問題もなく、快調に維持していける可能性は高いでしょう。

しかし、そういった「内外装がキレイで、なおかつ整備履歴もバッチリな個体」が見つからなかった場合は、想定予算を「総額130万円以上」に上げてみることをオススメします。これもまた一概にはいえないのですが総額130万円以上のゾーンであれば、前述した条件に合致する物件は見つかりやすくなるはずです。

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ミニ ミニクラブマン(2代目)×130万円以下

中古車のオススメ②:ディーゼル狙いなら2020年式以降のクーパーDまたはクーパーSD

2代目ミニ クラブマンには2種類のディーゼルターボエンジンがラインナップされています。そしてディーゼルターボエンジンは「ガソリンターボ以上に力強く、経済的でもある」という意味で、なかなか魅力的な選択肢です。

ミニクラブマン▲低回転域から力強いため運転がラクに感じられ、なおかつ燃料費が相対的に安く済むのがディーゼルターボエンジンの魅力

そんなディーゼルターボエンジンを搭載している2代目ミニ クラブマンの数は全流通量の約45%で、価格は総額130万~450万円といったところ。

400万円超級の高値物件はさておき、総額130万円ぐらいの物件なら狙いやすいかも――と思うわけですが、安価な前期型ディーゼルターボ車に対しては、実は若干慎重になる必要もあります。

2代目ミニ クラブマンは2019年10月にエンジンを変更するマイナーチェンジを受けており、それ以前の世代のディーゼルターボエンジンは、「EGRバルブ」という排気ガスの再循環装置に問題を抱えていました。これの耐久性が不十分であったためにエンジンがギクシャクしてしまったり、水漏れを起こしてしまった個体もあったのです。

2023年3月にこれのリコールが届け出られ、当該の部品は対策品に無償で交換されることになったため、現在ショップで販売されている前期型ディーゼル車のほとんどはリコール作業済みかと思います。

しかし「万一」ということもありますし、やはり2019年10月以降の後期型エンジンの方が何かと信頼性は高いため、できれば2019年10月以降の後期型≒2020年式以降を選ぶべきでしょう。そしてもしも前期型を選びたい場合には、エンジン関係のコンディションを十分確認したうえで購入することが重要になります。

ミニクラブマン▲できれば2019年10月以降の後期型(写真上)を選びたいところ

2020年式以降の各ディーゼルターボ車の中古車価格はおおむね下記のとおりです。

●クーパーD|総額150万~390万円(狙い目は240万円付近)
●クーパーSD|総額200万~380万円(狙い目は290万円付近)

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ミニ ミニクラブマン(2代目)×クーパーD系

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ミニ ミニクラブマン(2代目)×クーパーSD系

中古車のオススメ③:4WDの流通量は少なめだが、幅広い価格帯で検討は可能

2代目ミニ クラブマンの駆動方式はFF(前輪駆動)が基本ですが、2016年4月にはフルタイム4WDの「クーパーS オール4」というグレードも追加されました。パワフルな2L直4ターボエンジンを搭載するとともに、前後の駆動力配分が無段階に調整されるこのグレードは、ウインタースポーツやキャンプなどをたしなむ人にとっては最適なミニ クラブマンかもしれません。

ミニクラブマン▲2代目ミニ クラブマンの4WDグレードである「クーパーS オール4」

しかし残念ながらその流通量は少なめで、モデル全体としては600台近くが流通している2代目ミニ クラブマンですが、クーパーS オール4の流通量は約25台でしかありません。

とはいえ、総額140万~400万円付近のゾーンでいちおう流通していることは確かであるため、もちろん購入不可能なわけではありません。フルタイム4WDが必要な方は下記の価格情報を参考に、個別の物件をチェックしてみてください。

●前期型オール4|総額140万~270万円・約16台
●後期型オール4|総額240万~400万円・約9台

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ミニ ミニクラブマン(2代目)×オール4系

中古車のオススメ④:「ジョン・クーパー・ワークス」も前期型なら総額250万円前後

2代目ミニ クラブマンには「ジョン・クーパー・ワークス」というかなりスポーティなグレードもラインナップされており、こちらを狙ってみたいと考えている人も少なくないでしょう。その場合は前期型であれば総額250万円前後から、2019年10月以降の後期型は総額330万円前後からが予算感の目安になります。

ミニクラブマン▲ミニ クラブマンの最強スポーツグレードであるフルタイム4WDの「ジョン・クーパー・ワークス」。写真は2019年9月までの前期型

2017年1月に追加設定されたジョン・クーパー・ワークスは、最高出力231psの強力な2L直4ガソリンターボエンジンを搭載すると同時に、専用チューニングが施されたスポーツサスペンションや、コーナリング性能を向上させるEDLC(エレクトロニック・ディファレンシャル・ロック・コントロール)、ブレンボ製の4ピストンキャリパーなども採用。そして内外装も特別あつらえとなるスペシャルな1台です。

他のグレードと同様に2019年10月にはマイナーチェンジが実施され、2L直4ターボエンジンは強化クランクシャフトや専用ピストン、改良型ターボチャージャーを採用するなどして最高出力を306psまで増強。さらにエンジンの冷却性能やブレーキ性能も強化されており、また直径95mmのツインエグゾーストパイプも採用されたことで、排気音もより痛快なものとなっています。

ミニクラブマン▲各所がよりいっそう強化されて2019年10月に登場したジョン・クーパー・ワークスの後期型

そんな2代目ミニ クラブマン ジョン・クーパー・ワークスの直近の中古車価格はおおむね下記のとおり。比較的安価な物件も流通していますが、ジョン・クーパー・ワークスのようなスポーツグレードは足回りなどにかかる負荷も大きめであるため、価格の安さだけにとらわれるのではなく、あくまでもコンディションと整備履歴の良し悪しに注目しながら選ぶことが重要になります。

●前期型ジョン・クーパー・ワークス|総額140万~360万円・約17台
●後期型ジョン・クーパー・ワークス|総額280万~510万円・約20台

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ミニ ミニクラブマン(2代目)×ジョン・クーパー・ワークス

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ミニ ミニクラブマン(2代目)
文/伊達軍曹 写真/MINI
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2005年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。