レンジローバースポーツ ▲英国の最高級SUV「ランドローバー レンジローバー」に憧れてしまいますが、5代目は中古車でも2000万円近く……。しかし、「レンジローバースポーツ」の先代モデルであれば、総額500万円台でイケる! 実際のところをチェックしてみることにしましょう!

レンジローバーは正直ちょっと無理。でも「スポーツ」なら……?

過去においては「砂漠のロールスロイス」と評されたこともあったレンジローバー。それは掛け値なしに「世界トップクラスのプレミアムSUV」であり、特に2021年11月に登場した5代目は、まるで魔法のじゅうたんに乗っているかのような乗り心地にも、そして英国貴族の邸宅のようなインテリアに対しても、うっとりしすぎて思わず気絶してしまいそうになります。

しかしレンジローバーはあまりにも素晴らしいプレミアムSUVだけあって、お値段の方も超絶です。新車を買うとなると支払総額は2000万円を軽く超えますし、中古車も、5代目の平均価格は約1825万円です。

ならば、レンジローバーとよく似た形の「レンジローバースポーツ」であれば現実的な予算で買えるのかといえば……こちらも3代目の中古車平均価格は、約1265万円。正直、なかなか厳しい水準です。

しかし「2代目(先代)レンジローバースポーツでも良し!」と考えるのであれば、その中古車平均価格は約580万円と、一気に現実的になってきます。

もちろんそれとて決して安価ではないのですが、ある程度は現実的な予算感で検討できる2代目レンジローバースポーツとは、どんな車なのでしょうか? そして「憧れのレンジローバー」とは何が違うのでしょうか?

その上手な狙い方を含め、検討してみることにしましょう。
 

レンジローバースポーツ▲2代目レンジローバースポーツ(写真上)とは、そもそもどんなSUVなのか?

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)
 

モデル概要:少しコンパクトでスポーティなプレミアムSUV

ランドローバー レンジローバースポーツは、そもそもは「超プレミアムSUVであるレンジローバーにハイパワーエンジンやスポーティな足回りを与えた“スポーツツアラーSUV”」として2005年に誕生しました。

スポーツ志向であるため、フォルムはレンジローバーよりもやや低く構えたニュアンスとなり、全長や全幅も、レンジローバーよりはやや小さめです(もちろん「小さめ」といっても、他の一般的なSUVと比べれば十分に大ぶりなのですが)。

そして今回注目する2代目レンジローバースポーツは、2013年から2022年まで販売された「先代」にあたる世代です。
 

レンジローバースポーツ▲こちらが2代目ランドローバー レンジローバースポーツ。写真は初期年式
レンジローバースポーツ▲レンジローバーと比べればコンパクトとはいえ、そのサイズは全長4855mm×全幅1985mm×全高1800mmという堂々たるもの

ボディサイズは同時期のレンジローバーより少しコンパクトで少し背が低い、全長4855mm×全幅1985mm×全高1800mm。初代のベースは、実はレンジローバーではなく「ディスカバリー」というSUVだったのですが、2代目レンジローバースポーツは正真正銘、同世代のレンジローバーをベースとしています。

当初搭載されたパワーユニットは最高出力340psの3L V6スーパーチャージドと、同510psをマークする5L V8スーパーチャージドの2種類。トランスミッションはいずれも8速ATです。その後はディーゼルターボの3L V6を追加したり、プラグインハイブリッドを設定したり、あるいは3L V6スーパーチャージドを廃止してマイルドハイブリッド機構付きの3L直6ターボに変更するなど、2代目レンジローバースポーツのパワーユニットは世代やグレードによって様々です。
 

レンジローバースポーツ▲同世代のレンジローバーとおおむね同様の世界観となる2代目レンジローバースポーツの運転席まわり
レンジローバースポーツ▲レンジローバーと比べると天井方向の余裕はやや劣るものの、キャビン全体としては十分に広大で、シートの作りも最高級レベルといえる
 

年式による違い:最新の世代はさすがの充実装備を誇る

2018年4月にはマイナーチェンジを実施していわゆる後期型となり、3代目が登場した2022年5月まで、2代目レンジローバースポーツは進化を重ねながら製造販売が続けられました。

3代目はボディサイズが2代目よりもいくぶん大きくなり、EV(電気自動車)にも対応する新しいプラットフォームを採用。そしてツルんとした感じの今どきなエクステリアデザインとなり、触感機能付きのタッチスクリーンをインテリアに配置。さらには最新の統合型四駆機構である「iAWD」を採用するなど、さすがに最新世代ならではの充実ぶりを誇ります。

とはいえ、2代目レンジローバースポーツの後期型と比較するのであれば――もちろん3代目の方が総合的に優れているのは当たり前のことですが、「そこまで劇的な違いはない」というのが筆者の印象です。
 

レンジローバースポーツ▲こちらが3代目レンジローバースポーツ。まぁ当たり前にこちらの方が現代的なニュアンスのエクステリアデザインではあるが
 

選択肢①:平均価格(約580万円)付近で後期型ディーゼルターボを狙う

前述したとおり、2代目レンジローバースポーツの直近の中古車平均価格は約580万円。その付近で、つまり総額550万~600万円ぐらいの予算感で検討するならば、2018年4月以降発売の後期型のHSE(ディーゼル)またはHSE ダイナミック(ディーゼル)を狙うことが可能になります。
 

レンジローバースポーツ▲写真はHSE ダイナミック(ディーゼル)の2018年モデル

HSE(ディーゼル)というのは最高出力258ps/最大トルク600N・mの3L V6ディーゼルターボエンジンを搭載する中間グレードで、HSE ダイナミック(ディーゼル)は、同じディーゼルターボエンジンを搭載する充実装備の上級グレード。とはいえ、HSE ダイナミック(ディーゼル)に追加される装備は「スポーティなムードを強めるもの」が中心であるため、プレミアムSUVとしての装備類はHSE (ディーゼル)であっても何ら不足はありません。

そして両グレードの3L V6ディーゼルターボエンジンはあくまでも力強く、あくまでも静かなのですが、高回転域まで回せばスポーティでもあり、それでいて燃費もまずまず良好(JC08モードで12.6km/L)という素晴らしいパワーユニットです。標準状態でほぼ全部盛りとなるラグジュアリーな装備類と併せて、プレミアムSUVを欲している人であれば必ずや満足できるはず。
 

レンジローバースポーツ▲カラーは仕様やオプションなどによって異なるが、後期型HSE(ディーゼル)またはHSE ダイナミック(ディーゼル)のインテリアはこのようなニュアンス。装備レベルと上質感は十分以上だ

総額550万~600万円付近の予算感だと走行4万~6万km台ぐらいの物件が中心にはなりますが、正規ディーラーなどできちんとした車検整備を受けてきた個体であれば、そのぐらいの走行距離はどうということもありません。

「総額500万円台後半の予算で購入できるSUV」としては、2代目レンジローバースポーツ後期型のHSE(ディーゼル)およびHSE ダイナミック(ディーゼル)は最高レベルに近い満足をユーザーに与えてくれることでしょう。
 

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)×2018年4月以降×HSE(ディーゼル)×HSE ダイナミック(ディーゼル)×総額600万円以下
 

選択肢②:予算ちょい足しの「総額600万円台」で低走行物件または上級グレードを狙う

平均価格付近の物件でも、基本的には何ら問題ないどころか「素晴らしい選択肢」と言えるのですが、予算をちょい足しして総額600万~700万円付近で検討するならば、よりいっそう魅力的な選択を行うことも可能になります。

まず前述した後期型HSE(ディーゼル)またはHSE ダイナミック(ディーゼル)を狙うとしたら、平均価格付近では走行4万~6万km台ぐらいの物件が中心になるのですが、予算をちょい足しすると、走行2万~3万km台の物件が狙えるケースが増えてきます。もちろん中古車の走行距離は「短ければそれでOK」というものでもないのですが、やはりインテリアの状態などは、低走行物件の方が良好である場合は多いでしょう。
 

レンジローバースポーツ▲平均価格にちょい足しで検索すると、比較的低走行な後期型ディーゼルターボが見つかりやすくなる

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)×2018年4月以降×HSE(ディーゼル)×HSE ダイナミック(ディーゼル)×総額700万円以下

そして同じくディーゼルターボ車を選ぶ場合に、この予算帯であれば2020年9月以降の「HSE 300PS(ディーゼル)」または「HSE ダイナミック 300PS(ディーゼル)」が選択できるケースも出てくるはずです。

2代目レンジローバースポーツのディーゼルターボは2020年9月、それまでの3L V6(258ps)から3L直6のマイルドハイブリッド機構付き(300ps)に刷新されました。それ以前の3L V6ディーゼルターボに不足があるわけではないのですが、より新しい世代のパワーユニットを堪能できるという意味で、予算をちょい足ししてみる価値はあるでしょう。
 

レンジローバースポーツ▲パワーユニットが刷新された2020年モデル

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)×2020年9月以降×HSE(ディーゼル)×HSE ダイナミック(ディーゼル)×総額700万円以下

また、総額600万~700万円付近の価格帯ではプラグインハイブリッド車や、最上級グレードに相当する「オートバイオグラフィ」、あるいは特別なグレードである「SVR」を見つけることも可能になります。

2018年6月に追加されたプラグインハイブリッドは、最高出力300psの2L直4ターボエンジンに同116psの駆動用モーターを組み合わせたシステムで、最大51kmの距離をEVモードで走ることが可能。

そして「オートバイオグラフィ」は360度パーキングエイドや通気性の高いパーフォレイテッドレザーシート、MERIDIANデジタルサラウンドサウンドシステム等々が標準装備となる超豪華グレードで、「SVR」は、ジャガー・ランドローバー内の特別車両企画製作部門が設計・開発したハイパフォーマンスモデル。エンジンは最高出力550ps(※途中から575ps)のスーパーチャージャー付きの5L V8で、内外装も特別仕立てです。
 

レンジローバースポーツ▲ランドローバーのスペシャルビークルオペレーションズ(SVO)が設計・開発した「SVR」
レンジローバースポーツ▲SVRはインテリアも専用仕立て。レザー素材が用いられた専用スポーツシートには16wayの電動調整機構が備わる
 

選択肢③:予算には糸目をつけず(でもレンジローバーよりはお安く)“高いやつ”を狙う

個人的には、総額600万~700万円付近で検討できるオートバイオグラフィやSVRでも十分以上な気がいたします。しかしその価格帯で選べるそれらは前期型であったり、あるいは若干ですが走行距離が延び気味だったりするという点が、よりいっそうのリッチ感や上質感的なモノを求めたい人からすると、やや物足りないのかもしれません。

もしもそうであるとしたら、総額700万~900万円ぐらいの予算感で2代目レンジローバースポーツを検討してみることをオススメいたします。この価格帯であれば、前述してきた最上級グレード「バイオグラフィ」や、特別なモデルである「SVR」、あるいは高バランスな1台といえる「HSE ダイナミック 300PS(ディーゼル)」などの走行数千kmから2万km台までの物件を、見つけることが可能になります。
 

レンジローバースポーツ▲写真は2022年1月に発売された日本独自の特別仕様車「SVRジャパンSVエディション」

それらがきわめて満足度の高い選択肢であることは言うまでもありませんが、それでも、3代目レンジローバースポーツや5代目レンジローバーを狙うよりははるかに安価な予算で済んでしまうというのが、この選択肢のポイントです。

最高に近いモノをコスパ良く入手したいと考える方は、ぜひこのあたりの価格帯の2代目レンジローバースポーツにご注目ください。
 

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)×PHEV ×総額700万円以下

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)×SVR ×総額700万円以下

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)×総額900万円以下

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ランドローバー レンジローバースポーツ(2代目)
文/伊達軍曹 写真/ジャガー・ランドローバー
※記事内の情報は2025年12月9日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2005年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。