車いすの人を車いすごと乗せる場合、ある程度大きなミニバンは室内が広いし、リアの開口部も大きいので便利です。一方で5ナンバークラスなら取り回しもしやすいというメリットもあります。その中から今回は、ファミリーカーとしても人気の高いトヨタ ノア/ヴォクシーの車いす仕様車をご紹介します。

ベースのノア/ヴォクシー(2007年6月~)は、広々とした室内をもつ人気のミニバンです。使用しないときは、簡単に3列目シートを収納できるようになっており便利です。外観のイメージは違いますが、ノアとヴォクシーは基本同じ車です。

そのノア/ヴォクシーに車いすごと乗員を乗せられるようにしたのが車いす仕様車。車いすを2列目の助手席後ろ側に固定するモデル(タイプⅠ)と、3列目に固定するモデル(タイプⅡ)の2種類があります。いずれも車いすの昇降時に車の後部が自動で下がって、スロープの角度を緩やかにしてくれる車高降下機能付きです。

2列目に車いすを乗せるタイプⅠは車いすの隣りに1名が座れるシートが用意されています。一方、3列目に車いすを乗せるタイプⅡは、2列目は3名が座れるベンチシートになります。このためタイプⅠの乗車定員は車いすの人を乗せると最大7名で、乗せない場合は最大6名となります。タイプⅡは車いすの人を乗せると最大6名、乗せない場合は最大8名となります。

タイプⅠは車いすの人が2列目に位置し、その周りを他の人々が囲む格好になるので、車いすの人を含めてよく出かけるならこちらがオススメです。タイプⅡは、最大8名乗ることができるので、車いすの人を乗せる頻度が低く、普段は普通のミニバンとして使いたいという人によいのではないでしょうか。

なおタイプⅠには3列目シートの位置にも車いすを乗せられるように(車いす2名+3名)したモデルが、またタイプⅡには3列目シートを取り払った(車いす1名+5名)モデルもあります。

原稿執筆時点でカーセンサーnetを見ると、タイプⅠが17台、タイプⅡが10台見つかりました。走行距離2万km前後で約200万円から見つけることができます。ただし人気車ゆえ、走行距離10万km超でも車両本体価格が120万円以上します。普通のノア/ヴォクシーの相場と比べて高いのですが、室内が広いノア/ヴォクシーで車いすの人を含め家族みんなで出かけられるのはやはり魅力です。

もし車いすごと乗せる必要がない場合は、助手席またはサイドリフトアップシート車という手もあります。こちらのほうが相場的には安いので、合わせて検討されてみてはいかがでしょう。

乗車定員/最大7名(タイプⅠ/車いす+6名)、最大8名(タイプⅡ)
スロープ角度/9度
スロープ長/1430m(タイプⅠ)、1630mm(タイプⅡ)
スロープ幅/740mm
開口部高/1395mm

Text/籠島康弘

写真はタイプⅠの車いすを2脚載せられる仕様。スロープの乗降には電動ウインチが使用でき、介助をサポートしてくれる

写真はタイプⅠの車いすを2脚載せられる仕様。スロープの乗降には電動ウインチが使用でき、介助をサポートしてくれる

エンジンは2LでミッションはCVT。タイプⅠ、Ⅱともに4WD車もある。助手席側は電動スライドドアが標準装備

エンジンは2LでミッションはCVT。タイプⅠ、Ⅱともに4WD車もある。助手席側は電動スライドドアが標準装備