普段から車いすを利用する家族のために、車いすごと乗れる車が必要だけど、そのためだけの車を買うのはためらうという人は多いと思います。そこで今回は、日常の買い物や子どもの送り迎えから、車いすの人の送迎などに幅広く使えるコンパクトカー、日産キューブのチェアキャブをご紹介します。

ベースのキューブ(2008年11月~)は四角いデザインが人気のコンパクトカー。広々とした室内と、居心地の良さに配慮された様々な工夫やデザインが特徴です。このキューブに、車いすごと乗れる装備を施したのがキューブチェアキャブです。2列目シートの形状によって、ベンチシートタイプとサイドシートタイプの2種類があり、それぞれで車いすの乗せ方が少し異なります。

2列目シートがベンチシートになっているベンチシートタイプは、車いすを乗せる際に2列目シートを前方に折り畳みます。そこにできたスペースに車いすごと乗せるので、車いすを利用する人のほかに前席に2名乗車できます。

一方のサイドシートタイプは、2列目シートがセパレートになっていて、車いすを乗せる際には運転席後ろ側のシートだけ折り畳みます。そのため車いすを利用する人の他に3名まで乗車することができます。車いすに乗る人の横にもシートがあり、横に座って見守ることができるメリットがあります。どちらのタイプも車いすを乗せない場合は2列目シートが普通に使えます(乗車定員は5名)。

ベンチシートタイプは、車いすを乗せる機会は比較的少なくて、たいていは普通のコンパクトカーとして使うという人に向いているでしょう。一方のサイドシートタイプはドライバーの他に介助者がいて、車いすを利用する人がよく乗るというケースに向いています。どちらも乗降時には電動アシストがあり、専用リモコンで乗降のスピードも操作できます。

原稿執筆時点でカーセンサーnetを見ると、ベンチシートタイプが2台、サイドシートタイプが2台見つかりました。車両本体価格は約115万円~200万円で、走行距離は1000km未満~2万km未満。普通のキューブよりは少々高めですが、普段は買い物や子どもの送り迎えに使えるコンパクトカータイプの福祉車両が欲しい人は、ぜひ検討されてみてはいかがでしょう。

乗車定員/5名
スロープ耐荷重/200kg
スロープ角度/11度
スロープ幅/660mm
スロープ車外飛び出し量/1470mm

Text/籠島康弘

写真はベンチシートタイプ。2列目シートが160mmスライドするほかリクライニングも可能。車いすはリアシートを畳んで乗せる

写真はベンチシートタイプ。2列目シートが160mmスライドするほか、リクライニングも可能。車いすはリアシートを畳んで乗せる

サイドシートタイプの車いす乗車イメージ。介助する人が横に座って、車いすを利用する人を見守ることができる

サイドシートタイプの車いす乗車イメージ。介助する人が横に座って、車いすを利用する人を見守ることができる