新しい車選びの基準は「シェアされやすさ」!? BMW 3シリーズ、ポルシェ カイエン、トヨタ ノアが人気の理由とは
2018/08/21
自家用車は95%の時間を駐車場で過ごしている。この無駄を解消したい!
モノやサービスを共有する『シェアリングエコノミー』という概念。具体的なサービスでは、民泊の『Airbnb(エアビーアンドビー)』や配車サービスの『Uber(ウーバー)』などが有名だ。
シェアリングエコノミーのサービスは多岐にわたり、そのなかには、自分の車をシェアするサービスも存在する。いわゆる、個人間のカーシェアリングだ。
自家用車の稼働率は3~5%程度とされている。逆に言えば、車を買ってから売るまでの時間の約95%は駐車場に止まっているということ。使わないときにシェアすることで、維持費の足しにすることができるというわけだ。
とはいえ、まだまだ一般的とはいえない個人間カーシェアリング。活用を始めているのは、都市部に住んでいる節約志向のアーリーアダプター層(革新的な商品や新サービスなどを早い段階で試す層)が多い。
彼らは、実際に維持費の足しにするほど、収入を得ることができるのだろうか。個人間カーシェアリング大手『Anyca(エニカ)』の馬場光さんによると、「実際に車をシェアしたオーナーは、平均して月に2万5000円程度(年間30万円程度)の収入を得ています」と語る。
車の維持費は、車種や保険代、駐車場代などによって大きく異なるが、都内では年間50万円が目安といわれている。Anycaをうまく活用して、平均以上の収入があれば、確かに維持費を賄えると言ってもオーバーな話ではないだろう。
ただし、維持費を超えて大きく儲けることは難しいようだ。Anycaをはじめとした個人間カーシェアリングは、車の有償貸渡業ではなく、共同で使用する契約。Anycaでも、利用者が事業として成立するほど過度に稼げないように、シェアする際の金額と年間の総収入には上限が設けられている。
ちなみに、シェアする際の金額は、車の購入金額、購入時走行距離、年間維持費から算出され、走行距離が10万kmを超える車は登録できないという。
中古車が個人間カーシェアリングに向いている理由
とはいえ、維持費の一部でも賄えるのは大きなメリットだ。馬場さんによると、「個人間のカーシェアリングが盛んなアメリカでは、シェアすることを前提に、“シェアされやすさ”を車選びの基準にする利用者も増えています」とのこと。
車選びには、自分の生活にあった使い方できるボディタイプや憧れの車種、ボディカラー、維持費、リセールバリューなど様々な考え方がある。日本でもシェアリングエコノミーが普及すれば、新しい選び方として「シェアされやすい」という項目が追加されるかもしれない。
しかし、どうせ利用するなら新しい車の方が良さそう……。中古車は不利なのではないだろうか。
その疑問に馬場さんは、「中古車は個人間カーシェアリングに向いていると思います」と答えてくれた。
「走行距離が少なく年式も新しい新車は、利用する方も気を使ってしまいます。ボロボロの車は論外ですが、ある程度、使用感がある車の方が気軽にシェアのお願いができるようです」と馬場さん。「意外かもしれませんが、シェアされる車の条件では、年式や走行距離はあまり重視されていません」と続けた。
自分で所有できない憧れの高級車に人気が集まる
ただし、車種によって人気の差はあるという。Anycaでは700車種・6000台以上の登録車があり、東京23区の2017年度人気シェアランキングを以下のとおり公表している。
1位:BMW 3シリーズ
2位:ポルシェ カイエン
3位:BMW Z4
4位:トヨタ アルファード
5位:メルセデス・ベンツ Eクラス
6位:トヨタ プリウス
7位:日産 エルグランド
8位:MINI MINI
9位:BMW 1シリーズ
10位:トヨタ ノア
馬場さんによると「人気車種の理由を詳細に分析したわけではないのですが、自分では所有できない高級車で、年式が古くてもデザインなどが大きく変更されていない車は人気が集まりやすいと感じます」とのこと。
「それ以外にも、オープンカーやスポーツカー、クラシックカーなど、自分で購入したら使い勝手が悪いけれど、たまにドライブを楽しみたいという趣味性が高い車も人気です」と馬場さん。
オープンカーなら『マツダ ロードスター』や『フォード マスタング』、スポーツカーなら『日産 GT-R』、クラシックカーなら『シトロエン DS』なども登録されている。他にも、超高級車なら、『テスラ モデルS』や『ポルシェ 911』『BMW i8』などもあるという。
どうやら、「憧れの輸入車で、あまりデザインが変更されていない車」や「趣味性が高い車」がシェアされやすいようだ。
維持費を効率的に賄いたいならミニバンがオススメ
実は、カーシェアの人気ランキング以外に、東京23区の2017年度、カーシェアによる維持費軽減ランキングも公表している。そのランキングを見ると……
1位:トヨタ ノア
2位:トヨタ アルファード
3位:レクサス RX
4位:日産 エルグランド
5位:ホンダ ステップワゴン
「ミニバンはレジャー利用で、2泊・3泊など長期で利用する人が多く、その結果、シェアの金額が高くなっています」と馬場さん。普段はコンパクトカーに乗っているけれど、家族全員など大人数でレジャーに出かけるといったときに利用されることが多いという。逆に、車好きのミニバンユーザーがスポーツカーを利用するという例も多いそうだ。
お金だけじゃない。車好き同士のつながりも個人間カーシェアの魅力
しかし、同じ車種でも個体によってシェアされる人気が異なるはず。シェアされるため、個人でできることも聞いてみた。
「ひとつは、受け渡しをする場所です。自宅近くの駅や公園に限定するのではなく、○○までは行けます、とした方がシェアされやすい。あとは、オーナーの人となりがわかるように顔写真を載せたり、どういった車なのか、どうしてシェアをしているのかなどをコメント欄に詳しく書いたりすると、利用する方も安心です」(馬場さん)
なかには、何度もシェアするうちに仲良くなり、プライベートでの付き合いが始まることもあるという。「車好き同士なので、話が盛りあがるようです」と馬場さん。実は、馬場さん自身もAnycaを利用するオーナーだったのだが、車を手放すときは、何度も利用してくれた人に個人間売買を行ったという。
馬場さんは「維持費の足しにするのもいいですが、車を通じた人と人とのつながりも、個人間カーシェアリングの魅力です」と語る。
Anycaをはじめとした個人間カーシェアリングは、1人1台が必須の地方都市よりも、公共交通機関が発達した都市部で需要がある。
もし、都市部に住んでいて、車が欲しいけど維持費がもったいなくて購入に二の足を踏んでいるという人がいたら、シェアされやすい車を参考して購入車種を決めれば、車所有のハードルが少し下がるかもしれない。
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