Gクラス ▲2代目Gクラスの平均総額がこの1年で80万円ほどダウンしている模様。ということで、2代目Gクラスの最新中古車事情を集中研究してみましょう!

「憧れのGクラス」もいよいよ現実的な価格になってきた?

数多くの著名人もおしゃれに乗りこなしているメルセデス・ベンツ Gクラス。「ゲレンデヴァーゲン」または「ゲレンデ」と呼ばれることも多いそれは、星の数ほど存在している輸入SUVの中でもトップレベルの「憧れの存在」であるといえるでしょう。

そんなメルセデス・ベンツ Gクラスの2代目(※カーセンサーnetのデータベースでは初代扱い)にあたるW463型の中古車平均総額が、この1年間で約80万円もダウンしている模様!

この機会にW463型Gクラスのモデル概要をあらためて振り返るとともに、長いモデルライフの中で多種多様に生産されたモデルの中から「どれ」を狙うべきなのか、検討してみることにしましょう。
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・W463型)
 

モデル概要:軍用車を源流とする硬派でプレミアムなオフローダー

メルセデス・ベンツ Gクラスは、もともとはNATO(北大西洋条約機構)の軍用車として企画されていた車両を、民生車両として開発したオフローダー。初代GクラスであるW460型は、1970年にドイツで発売されました。ちなみに、各国の軍隊に制式採用された軍用車バージョンの型式名はW461です。

そして1990年、乗用モデルとして2代目(※カーセンサーnetのデータベース上は初代扱い)となるW463型が登場しました。発売当時の車名はGクラスではなく、ドイツ語でオフローダーを意味する「ゲレンデヴァーゲン」。今でもGクラスのことをゲレンデヴァーゲンまたはゲレンデと呼ぶ人が多いのは、この頃の車名の名残りです。
 

Gクラス▲こちらが2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラス。写真は2012年8月以降の世代
Gクラス▲ロングボディ版のボディサイズは全長4530mm×全幅1860mm×全高1950mm。全高はさておき、全長と全幅は決して大きすぎるサイズ感ではない
Gクラス▲2013年モデルのインテリア。初期世代の内装はきわめて無骨なイメージだったが、マイナーチェンジを重ねるたびに現代的かつゴージャス寄りなインテリアへと変化していった

1994年以降は「Gクラス」という車名になった2代目(W463型)モデルは、四駆機構を初代のパートタイム式からフルタイム4WDに変更。当初のパワーユニットは3L直6のみでしたが、1993年のマイナーチェンジで排気量を3.2Lに拡大。

そして1998年のマイナーチェンジで3.2LエンジンをV6方式に変更するとともに、5L V8の「G500ロング」などを追加。このあたりから、W463型Gクラスの人気は不動のものとなっていきました。

2001年にもマイナーチェンジが行われ、運転席まわりのデザインが、それまでの古典的でシブいものから現代的なものに。同時にトランスミッションも、伝統的な機械式4速ATから電子制御式5速ATに変更されています。

そして2006年11月には外装デザインの一部が変更され、翌2007年7月には内装デザインも変更。6.5インチのマルチファンクションコントローラーが採用されるに至りました。

続いて、2009年3月にV8エンジンの排気量を5Lから5.5Lへ拡大したのち、2012年8月にはまたまたマイナーチェンジを実施。内装デザインがさらに現代的なものへと変更され、エクステリアにはLEDデイライトを追加。また、アダプティブクルーズコントロールの「ディストロニック・プラス」を搭載するとともに、トランスミッションが当時最新鋭の7速AT「7G-TRONIC PLUS」に刷新されたことも、このマイナーチェンジの特徴です。
 

Gクラス▲2012年8月のマイナーチェンジで採用されたLEDデイライト
Gクラス▲この世代の運転席まわりはこのような雰囲気。トランスミッションは7速ATに進化した
 

2013年9月には、W463型Gクラスの人気をさらに決定づけることになるディーゼルターボモデル「G350 ブルーテック」が追加され、同モデルは2015年12月の一部改良時に「G350d」へと改名(※同時にエンジンの改良も実施)。そしてこのときの一部改良では、5L V8だったG550のエンジンが4L V8ツインターボにダウンサイズされています。

さらに2016年11月には、Apple CarPlayやGoogle AndroidAutoにも対応する 8インチディスプレイを採用するなどの一部改良を行い、魅力的な特別仕様車を次々とリリースしながら、3代目が登場する2018年初夏まで、大好評のまま販売が継続された――というのが、2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラスの約18年間にわたるモデルライフの大まかな概要です。
 

 

中古車状況:流通量豊富で、直近の平均総額は約730万円

2023年から2024年にかけてはしばらくの間「800万円台」にて停滞していた2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラスの中古車平均総額でしたが、2025年に入ると若干の下落トレンドに。

直近の11月の平均総額は732.9万円となっています。

Gクラス▲2024年12月から2025年11月までの平均総額推移
 

そして中古車の延べ掲載台数は、常におおむね400台前後で安定して推移している状態。そういった状況下で平均総額が下がってきた要因は、3代目Gクラスの中古車流通が本格化し、人気の中心がそちらへシフトしてきたことであると考えられます。とはいえ2代目(W463型)もいまだ大人気のモデルではあるため、そのダウン幅は80万円程度に収まっている――というのが現況でしょう。

以上を踏まえたうえで次章以降、2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラスの「オススメの狙い方」を考えてみます。
 

 

中古車のオススメ①:価格重視で選ぶなら総額500万円台までの整備履歴が良好な物件

現在、2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラスの中古車は「総額310万~2600万円」という、きわめて幅広い価格レンジで販売されています。

その中から価格重視で、つまり、なるべく安く狙いたいと考えるのであれば「総額500万円台」までの物件が、さしあたってターゲットとなるでしょう。
 

Gクラス▲写真は総額500万円台で狙える場合が多い2007年モデル

総額310万~599万円までの価格帯で狙うことができる2代目Gクラスの内容は、まさに千差万別です。最初期年式に近い3L直6エンジン搭載グレードもあれば、モデル末期に近い2017年式の3Lディーゼルターボ車があったりもします。また走行距離も千差万別で、せいぜい4万kmぐらいしか走っていない個体が総額500万円台だったりするのと同時に、走行15万kmを超えているような物件も500万円台だったりもします。

つまり「グレード」や「年式」「走行距離」を物差しにすることはできないということです。また実際に販売されている車両のコンディションも、例えば同じ総額500万円台の物件であったとしても、「悪くない!」と言えるものから「微妙……?」と言えるものまで、かなりまちまちであるのが実情です。
 

Gクラス▲例えば同じ2007年式であっても、まだまだ普通に元気な個体もあれば、そうでもない個体もある

そういった状況下で「悪くないGクラス」を見つけ出すためには、下記の2点を重視しながら物件選びを進めることが重要になるでしょう。

走行距離の多寡はあまり気にしない
走行15万kmよりは10万kmの物件、走行8万kmよりは4万km台の物件を選びたくなるのが人情かもしれません。しかし、2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラスは基本的に屈強で頑丈な車であるため、適切な整備と部品交換さえ行っていれば、走行10万kmを超えた程度ではびくともしません。

しかし逆に、適切な整備と部品交換を怠ってきた個体は、例えば走行8万km台ぐらいであったとしても、各部に重篤な何かが発生していることもありえます。もちろんこれとて、部品交換を行えばあっさり直ってしまう可能性もあるのですが、Gクラスの部品類はかなり高額です。悪くなってしまった箇所の部品を徹底的に交換するとなると、シャレにならないお金がかかったりもします。

そのため、お手頃予算で2代目(W463型)Gクラスを入手したい場合は走行距離計の数字ではなく、後述する「メンテナンスと部品交換の履歴」にこそ注目することが重要です。
 

Gクラス▲Gクラスの場合、大切なのは距離計の数字ではなく「どのように扱われ、どんな整備を受けてきたか」だ

正規ディーラーないしGクラス専門店での車検整備履歴を確認する
消耗部品や、弱点とされている部分の部品などが、車検整備の際に適切に交換されてきた物件であればいいのですが、そうでない場合は十中八九、それを中古車として購入したあなたが今後、あなたのお金で部品交換を行うはめになります。そして前述したとおりGクラス用の部品はたいていの場合、高額です。

そういった事態を避けるためには、「これまでしっかり整備され続けてきた個体」を買うしかありません。そしてそのためには、「正規ディーラーまたはGクラス専門店で車検整備を受け続けてきた個体を選ぶ」というのが、相対的には最も確実です。

車検というのは極端な話、「公道をいちおう安全に走れる状態である」ということを証明するものでしかありません。そのため、世の中には「ユーザー車検をとりあえず通しただけ」みたいな車両もたくさんあります。一般的な高年式実用車であればそれでもいいのでしょうが、クラシカルな作りの趣味車である2代目(W463型)Gクラスでそれを繰り返していると、最終的にはかなりヤバい1台が出来上がることになります。

しかし、正規ディーラーや有名専門店であれば車検整備を請け負った際、自社の看板を守る意味でも、必要と判断した整備は必ず行うものです。もちろん正規ディーラーや専門店であっても、小さなネジまで含めると3万点はあるとされているすべての部品を交換するわけではないため(もしもそんなことをしたら、中古車の売価は数千万円になるでしょう)、購入後に何らかの不具合(消耗部品の劣化)が発生する可能性はあります。

それでも、整備履歴があやふやな2代目Gクラスを買うよりは何倍も、故障発生のリスクを抑えることができるはずなのです。
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・W463型) × 総額600万円未満
 

中古車のオススメ②:2012年8月以降の高年式車を狙うなら、予算別に3つの方向性を検討

LEDデイライトとディストロニック・プラス、そして7速ATの7G-TRONIC PLUSが採用された2012年8月以降の世代を便宜上「高年式なGクラス」としますが、2012年といえばもはや13年前のことであるため、この世代に当てはまる物件のグレードやコンディションも様々です。

「2012年8月以降の世代をなるべく安価に入手したい」と考えるのであれば、総額450万~599万円までのゾーンで「G350 ブルーテック ロング」を狙ってみるのが順当でしょう。
 

Gクラス▲こちらが2013年9月に登場したG350 ブルーテック ロング
 

こちらのグレードは、2代目後期型Gクラスの一番人気であった3Lディーゼルターボ搭載グレードが「G350d」に改名される前、2013年9月から2015年12月まで販売されたグレード。外装デザインとエンジンの出力などはG350dと少々異なりますが、劇的に異なるわけではないため、特には気にならないはず。

とはいえ後期型Gクラスとしては安価な部類に入りますし、もはや10年落ち以上の中古車ですので、前章の場合と同様に「正規ディーラーないしGクラス専門店での車検整備履歴」を確認したうえで購入するべきでしょう。

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・W463型) × 2012年8月~2018年5月生産モデル × G350 ブルーテック ロング

もう少し上の予算、具体的には総額630万~750万円ほどを投入できるのであれば、2代目後期型Gクラスの中でも一、二を争う人気グレード「G350d ロング」が検討可能になります。

このチョイスであれば、物件選びにはさほど神経質にならずともOKなはずですが、それでも「正規ディーラーないしGクラス専門店での車検整備履歴」は確認したいところです。
 

Gクラス▲G350 dは2015年12月の一部改良時に発表され、2016年1月に発売された(※写真は2015年12月に改良を受けたG550ロング)

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・W463型) × 2012年8月~2018年5月生産モデル × G350d ロング

さらに上の予算帯である総額800万~1000万円ほどを用意できるのであれば、最終世代である2016年11月以降のG350d ロングの中でも比較的低走行な物件が狙えます。

また、人気の限定車である「G350d デジーノ マヌファクトゥーア エディション」や「G350d ヘリテージ エディション」などを見つけることも可能になります。
 

Gクラス▲こちらは2018年4月に発売されたG350d ヘリテージ エディション。写真のボディカラーは「プロフェッショナルブルー」
 
Gクラス▲G350dは2015年12月の一部改良時に発表され、2016年1月に発売された(※写真は2015年12月に改良を受けたG550ロング)
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・W463型) × 2012年8月~2018年5月生産モデル × G350d デジーノ マヌファクトゥーア エディション × G350d ヘリテージ エディション
 

中古車のオススメ③:個性的なGクラスが欲しいならショートボディの「G320」で!

2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラスの中古車を購入するのであれば、基本的にはG350d ロングやG550 ロングなど「大人気の定番ロングボディ」に狙いをつけるのが、様々な意味で順当ではあります。

しかし、そういったチョイスに対して「あまりにも順当すぎてつまらん! もっとこう個性的で、希少価値も感じられるツウな選択はないのか!」とおっしゃる方もいるかもしれません。気持ちは、よくわかります。

ならばロングボディではなくショートボディの2代目(W463型)メルセデス・ベンツ Gクラスはどうでしょうか?
 

Gクラス▲3ドアのショートボディとなるG320。ボディサイズは全長4040mm×全幅1800mm×全高1965mm
 

ある時期から2代目(W463型)Gクラスは「ロングボディ専用車」みたいなノリになってしまいましたが、もともとは3ドアのショートボディ版も普通に販売していました。で、そのショートボディのGクラスというのがなかなかゴキゲンで、「Gクラスとしての重厚感やステイタス性を感じさせつつ、同時に軽快感とポップ感、あるいは若々しさのようなものも感じさせる」という、けっこう希有な輸入SUVなのです。

さすがに最初期の「300GE」は今やほぼ流通していませんが、3.2Lエンジンを搭載する1995年1月以降の「G320」であれば現在、11台ほどが流通しています。

G320のパワーユニットは、1997年9月までは最高出力210psの3.2L直6で、1997年10月には同215psの3.2L V6に変更されました。これらの3.2Lエンジンはいずれも、ロングボディのW463に搭載するとやや非力に感じてしまうのですが、比較的コンパクトなショートボディに対しては十分以上。慣性モーメントが小さい3ドアボディを、若々しく活発に走らせることができるのです。
 

Gクラス▲ロングボディのW463とはずいぶん印象が異なる「元気で軽快な感じの走り」を堪能できる
 

そんな(Gクラスにしては異例なまでに)若々しくてカワイイG320の中古車価格は、おおむね下記のとおり。ひと味違うW463型メルセデス・ベンツ Gクラスをお探しの方は、ぜひご注目ください。

●G320(3.2L直6世代):総額680万~1200万円
●G320(3.2L V6世代):総額800万~1300万円
 

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・W463型) × G320

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メルセデス・ベンツ Gクラス(2代目・W463型)
文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ
※記事内の情報は2025年12月18日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。