ジムニー▲雪道などの悪路で頼もしい走破性能を発揮してくれる4WD(四輪駆動)車。最近はエコカーでも4WD採用車が増えてきた

本格四駆からスポーツカーまで採用が広がった4WD(四輪駆動)を徹底解説!

かつてはジープなどの軍用車、あるいは商用車に限られていたが、今ではスポーツカーからミニバンまで様々な車種に設定されている4WD(四輪駆動)。システムもハイブリッド車独自の4WD(四輪駆動)が登場するなど、多様になってきた。

この記事では4WD(四輪駆動)とは何か、2WDとの違いやメリット・デメリットについて解説しつつ、カテゴリー別にオススメの車種を紹介していこう。
 

 

4WDとは? 2WDとの違いは?

4WDとは「Four Wheel Drive」、つまり四輪駆動の略だ。車のカテゴリーではなく、本来は駆動方式を表す名称である。

厳密に言えば六輪車などでいずれか四輪が駆動するものも4WDだが、一般的な自動車は前後左右に一輪ずつの計四輪なので、すべての車輪が駆動力を伝える……と考えて良いだろう。自動車メーカーによって呼称は異なり、スバルなどはすべての車輪が駆動することをあえて強調し、「AWD(All Wheel Drive)」と呼んでいる。
 

XV ▲AWDモデルのスバル XV(初代)

もう一方の2WDは、「Two Wheel Drive」の略で二輪駆動のこと。前輪のみが駆動するFFも、後輪のみが駆動するFR、MR、RRもすべて2WDだ。

駆動系レイアウトが複雑になる4WDをあえて採用するのは多くの場合、悪路走破性を確保することが目的だ。軍用車、オフロード車では多くのモデルが4WDを採用している。

一方、日産 GT-Rのようにスポーツカーでも4WDを採用している車種がある。これはあり余るパワーを四輪に分散させ、しっかり路面に伝えること、あるいはコーナリング時の姿勢を安定させることを目的としている。
 

GT-R ▲走行性能に特化したモデルの日産 GT-R(初代)
 

4WDの種類

ひとくちに4WDと言っても、その方式は様々。以下に代表的なものを紹介しよう。

■パートタイム式
昔からある4WD方式で、前後輪のいずれかを常時駆動とし、もう一方への駆動力伝達をドライバーが任意で切り替えられるようにしたもの。

前輪と後輪がプロペラシャフトという棒でつながっているのが特徴で、悪路走破性を高めるためには有利。ただし、機構的に前後輪間で生じる回転差を吸収できないため、オンロードでは2WD走行が前提となる。
 

 パートタイム式 ▲4WDに切り替えるためのレバーもしくはスイッチがあるのが、パートタイム式の特徴だ

■フルタイム式
前後に駆動力を等しく分けるセンターデフという機構をもち、四輪が常に駆動する方式。

パートタイム式と同じくプロペラシャフトを備えるが、センターデフが回転差を吸収してくれるためにオンロードでも4WDで走行できる。センターデフのロック機構、前輪もしくは後輪への駆動力をカットする機構を備えたタイプもある。

■トルクスプリット式(オンデマンド式)
前後輪のいずれかを常時駆動とし、もう一方への駆動力伝達、駆動力配分を自動で行うタイプ。

車輪のスリップに応じて機械的に作動するものをパッシブ型あるいはスタンバイ型、電子制御で駆動力配分するものをアクティブ型と呼ぶ。プロペラシャフトを備える点はパートタイム式、フルタイム式と同様だ。
 

トルクスプリット式 ▲こちらはスバルのシンメトリカルAWD。センターデフはなく、トランスミッション直後にトルク配分機構をもつ

■その他の4WD方式
トヨタ「E-Four」や日産「e・4WD」のように、前輪駆動を前提としながら、後輪を専用のモーターで駆動するタイプもある。

これはハイブリッド車、EV車だけに存在する4WD方式だ。プロペラシャフトが必要ないため、キャビンスペースを広く確保できるのが特徴。
 

 ハイブリッド ▲ハイブリッド車の4WDでは、後輪をモーターで駆動する方式が多い
 

4WD車のメリット&デメリット

■4WD車のメリット
4WDの長所は駆動力を四輪に分散できるため、摩擦抵抗が低い路面でも安定して駆動力をかけられること。悪路走行において、このメリットは絶大だ。オフロードでの走破性が高まるのはもちろん、雨天時や積雪路で直進安定性を高める効果もある。

スポーツカーにおいてはコーナリングなどで車輪のスリップを防ぎ、車両姿勢を安定させるのが主な目的。最近ではSUVでも4WDの効果をオフロードに限定せず、オンロードでも生かすタイプが増えてきた。
 

フォレスター ▲積雪時の安心感は抜群に高い。写真はスバル フォレスター(5代目)

■4WD車のデメリット
プロペラシャフトやセンターデフなど4WD独自の機構が必要なため、キャビンスペースを圧迫したり、重量が重くなったり、摩擦抵抗による駆動ロスが発生したりするのがデメリット。

燃費性能が重視される現代において、重量増や駆動ロスは懸念点だろう。専用のメカニズムが必要になる分、当然コストも高くなる。
 

 

2WDではなく4WD車がオススメなのはどんな人?

林道や砂浜など悪路を走る機会が多い人は、4WD車がオススメ。特に専用コースでオフロード走行を積極的に楽しみたい人は、悪路走破性の高いパートタイム式4WD(またはセンターでフロック機構、副変速機を備えたフルタイム式)一択だ。

また、豪雪地帯に住んでいる人も、4WDを選んでおけば安心だろう。

ただし、「万一の積雪に備えておきたい」程度なら、トラクションコントロール機能の付いた2WD車でも十分。特に最近の電子制御は優秀で、ちょっとした積雪程度なら難なく走れる場合が多い。もちろんスタッドレスタイヤやチェーン装着が前提となるが、その点では4WD車も変わらない。

 

タイプ別! 4WD車オススメ15選

4WDについてまとめたところで、次はオススメの4WD車を紹介していこう!

軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、SUVの順に解説していく。
 

 

【4WD 軽自動車①】スズキ ジムニー(JB64型)

新車時価格:145.8万~190.3万円
中古車価格帯:140万~400万円

ジムニー ▲泥濘地や岩場など極悪路での走行を目的とした本格四駆であるジムニー

ジムニーは軽自動車のみならず、あらゆる自動車の中でも特に優れたオフロード性能を備えたモデルだ。

駆動方式は伝統的なパートタイム式、4WDへの切り替えも古典的なレバー式で、確実な操作性を実現している。オフロード走行専用のローギア(副変速機)を備えている点も、歴代モデルと変わっていない。

現行型となる3代目では新たに、ブレーキの自動制御によるトラクションコントロール、下り坂での速度を制御するヒルディセントコントロールといったハイテク機構もふんだんに採り入れられた。路面追従性の高い前後リジッド式コイルのサスペンション、頑丈なラダーフレーム構造と組み合わされたことで、悪路走破性能はさらに高い次元へとレベルアップしている。

 ジムニー ▲現行型でインテリアのデザインは飛躍的に洗練された

3代目デビューから早くも5年近くたち、中古車市場での流通量も1460台前後にまで増えてきた。最もボリュームが多いのは2022年式、次いで2023年式と、新車に近いコンディションの物件も豊富に揃っている。

中古車平均価格は222万円前後と新車時の価格を超えているが、デビュー直後の年式なら走行距離3万km程度で総額160万円台前半の物件を見つけることも可能。全流通量の4分の1以上が5速MT車というのも、ジムニーらしいところだろう。

▼検索条件

スズキ ジムニー(JB64型)
 

【4WD 軽自動車②】スズキ ハスラー(2代目)

新車時価格:128万~183.4万円
中古車価格帯:90万~280万円
 

ハスラー ▲初代からのキープコンセプトでデザインされた2代目だが、フォルムはより四角くなっている

レトロテイストなルックスのSUV、という新機軸で大人気となったハスラー。デザインコンシャスな車に見えるが、2代目ではアプローチアングルを拡大するなど、オフロード性能も忘れられていない。

4WDシステムはどちらかというと簡易な方式となる、ビスカスカップリングを使ったパッシブ・トルクスプリット式を採用。前輪が空転すると、カップリング内の油圧が高まって後輪へと駆動力が伝達されるシンプルな方式だ。

ただし、電子制御で悪路走破性能を補っているのが特徴。雪道やアイスバーンでタイヤの空転を抑えるスノーモード、ブレーキを使ったグリップコントロールなどのハイテク機構が数多く採用されている。積雪路、砂浜など日常で出くわすオフロードなら十分すぎる実力だ。
 

ハスラー ▲インテリアは同じ意匠の枠を横に3つ並べたユニークなデザイン

登場から3年半たった今、ハスラーの中古車市場流通量は約1800台。そのうち、4WDの比率は2割弱と意外に少ないが、比較的新しい物件が充実している。その多くがハイブリッド車だ。

例えば、走行距離わずか10数km、2019年式のエントリーグレード「ハイブリッド G」が総額120万円台で狙える。新車価格よりも30万円以上安い価格であり、オトクであるのは間違いない。
 

▼検索条件

スズキ ハスラー(2代目) × 4WD

▼検索条件

スズキ ハスラー(2代目)
 

【4WD 軽自動車③】ダイハツ ハイゼットカーゴ(3代目)

新車時価格:104.5万~160.6万円
中古車価格帯:90万~240万円
 

ハイゼット ▲3代目はより直線的なデザインとなり、荷役性もアップした

ハイゼット・シリーズは代々、軽商用車の代表格となっている車だ。バンとトラックがあり、前者は「ハイゼットカーゴ」という名称で販売されている。

3代目では従来のATに代わって、新たにCVTが採用されたことで話題を呼んだ。FFの軽乗用車やコンパクトカーではメジャーなCVTだが、貨物の積載を前提とする商用車、しかもFRでの採用はクラス初だった。CVT採用と併せて4WDシステムも一新。従来のパートタイム式(MT車は現在も採用)からアクティブ・トルクスプリット式へと変更されている。

これはドライバーが任意で2WDと4WD、4WDオートの走行モードを切り替えられる、本格的なタイプ。4WDオートは路面状況に合わせて後輪への駆動力配分を適切に制御する、軽商用車では珍しい装備だ。トラックには悪路走破性を格段に高めるリアデフロック、副変速機(MT車のみ)も設定されている。
 

ハイゼット(現行型) ▲フロントタイヤを前に寄せることで、キャビンスペースを拡大した

3代目は2021年12月にデビューしたばかりのモデルで、中古車平均価格は120万円弱。4WD車は170台ほどが中古車市場に流通している。

価格の一例を挙げると、「デラックス」という中間グレードの4WDで走行距離1万km未満、2022年式の物件で総額約110万円。新車時の価格は136.4万円なので25万円以上安く買えることになる。タフな作りで長く乗れることを考えるとリーズナブルだろう。
 

▼検索条件

ダイハツ ハイゼットカーゴ(3代目) × 4WD

▼検索条件

ダイハツ ハイゼットカーゴ(3代目)
 

【4WD コンパクトカー①】トヨタ プリウス(5代目)

新車時価格:275万~460万円
中古車価格帯:320万~510万円
 

プリウス ▲従来型よりも全高が50mm近く低くなり、スポーツカーのようなフォルムとなった5代目プリウス

ハイブリッドを世に広めた立役者であるプリウス。初代から3代目まではFFのみの設定だったが、4代目からは4WD車が追加された。

プリウスに採用される4WDシステム「E-Four」は前輪をエンジンとフロントモーターで、後輪を専用モーターで駆動するもの。プロペラシャフトが存在しないため車室内にトンネルが張り出すことなく、後席中央の足元空間を圧迫しない作りとなっている。

リアの駆動力は路面状況に応じて自動的に制御。ハイブリッドのメリットを巧みに生かした4WDシステムであり、今ではプリウス以外に多くのトヨタ車で採用されている。
 

プリウス ▲従来型よりも落ち着いたデザインとなり、高級感も演出されたインテリア。

2022年12月にフルモデルチェンジしたばかりで、中古車市場での流通量はまだ少ない。

価格の一例を挙げると、登録済未使用車の「1.8X E-Four」で総額約370万円。新車時価格を超える価格帯となっているのは、新型コロナウイルスや半導体不足の影響で新車の出荷が遅れている影響があるだろう。
 

▼検索条件

トヨタ プリウス(5代目) × 4WD

▼検索条件

トヨタ プリウス(5代目)
 

【4WD コンパクトカー②】ホンダ フィット(4代目)

新車時価格:155.8万~286.7万円
中古車価格帯:110万~300万円
 

フィット ▲コンパクトカーとしての心地よさを追求して開発された4代目フィット

2020年に登場した4代目フィットは、「e:HEV」というホンダ独自のハイブリッドを主軸とするグレード構成となっている。「e:HEV」は通常時はモーターのみで走行し、高速道路などではガソリンエンジンが動力をアシストするハイブリッド。ひとつのユニット内に駆動用と発電用、ふたつのモーターを内蔵しているのが同システムの特徴だ。

現在、コンパクト・ハイブリッド車の4WDシステムはトヨタ「E-Four」のように後輪を専用モーターで駆動する方式が主流となっているが、フィットはプロペラシャフトのある、トルクスプリット式4WDを採用している。原理としてはビスカスカップリングを用いたシンプルなものだが、前輪駆動力をモーターで緻密に制御することにより、後輪への駆動力配分をコントロールすることに成功した。

この方式をあえて採用したのは、駆動力において有利なこと、ガソリン車とハイブリッド車どちらにも4WDを設定できることが理由。結果、雪国などでも安心して使えるシステムとなったのはうれしいところだ。
 

フィット ▲シンプルな造形で視認性の高いインパネ。フラットなメーターフードが個性的だ

中古車市場での4WD車比率は1割程度。だが、フィット全体の流通量が約2100台と豊富なので、選択肢は十分にある。

走行距離5万km程度のガソリン・4WD車なら総額130万円前後から狙える状況だ。ハイブリッド車では走行距離2万kmで総額約170万円からとなり、新車時価格より50万円ほど安い値段で買える。
 

▼検索条件

ホンダ フィット(4代目) × 4WD

▼検索条件

ホンダ フィット(4代目)
 

【4WD コンパクトカー③】日産 ノート(3代目)

新車時価格:203万~298.7万円
中古車価格帯:110万~300万円
 

ノート ▲「e-POWER」は100%電気モーター駆動となるハイブリッド。4WDシステムもその良さを生かしたものだ

ノートといえば、イーパワー! 3代目となる現行型ではガソリン車の設定がなくなり、全車「e-POWER」となった。

「e-POWER」は駆動力をモーターのみで担い、ガソリンエンジンを発電専用とするハイブリッドだ。ワンペダルで加減速をコントロールできるイージーさ、従来型よりも大幅にパワー&トルクを向上させた力強さが魅力となっている。

そんなノートの4WDシステムは後輪を専用モーターで駆動するもの。前後輪ともモーター駆動なので加速時も静か、プロペラシャフトがないため室内は広々、かつ燃費性能も23.8km/L(WLTCモード・「1.2X FOUR」)と良好な、優れたシステムだ。
 

 ノート() ▲大型ディスプレイの採用などでインテリアのデザインも未来的

デビューから約2年半たった現在の中古車市場流通台数は約760台で、そのうち4WD車は約70台となっている。

価格帯は走行距離約4万kmの物件で総額185万円前後から。新車時価格よりも60万円近く安くなっており、最新のハイブリッド車、しかも4WDがこの価格で買えるなら、お買い得と言える。
 

▼検索条件

日産 ノート(3代目) × 4WD

▼検索条件

日産 ノート(3代目) × 全国
 

【4WD コンパクトカー④】マツダ MAZDA2(初代)

新車時価格:145.9万~277.8万円
中古車価格帯:110万~250万円
 

 MAZDA2(現行型) ▲デミオからMAZDA2という車名に変更。装備内容も見直された

2014年に登場した4代目デミオは、2019年のマイナーチェンジで車名が「MAZDA2」という車名に変わっている。この変更でレーダークルーズコントロールが全車速対応となるなど改良されているが、基本的な設計はデミオ時代と同じだ。

国産コンパクトカーでは極めて珍しいことに、ガソリン車に加えてディーゼル車が用意されている。ハイブリッド車はなく、エンジン車のみの設定だ。

その4WDシステムは「i-ACTIV AWD」と呼ばれるアクティブ・トルクスプリット式。ステアリング操作に応じて後輪へのトルクを変化させることで、コーナリング時の曲がりやすさ、4WDならではの安定性を両立している。燃費性能についても同グレードの2WD車に対して1割程度の悪化にとどめているのは立派だ。
 

 MAZDA2() ▲国産コンパクト車では珍しく、MT車も設定されている

中古車市場に流通しているMAZDA2は約630台。4WD車の比率は約12%と、コンパクトカーの中では多めとなっている。

価格は走行距離3万km未満のガソリン車で総額140万円~、ディーゼル車で総額150万円~が目安。デミオ時代の方が流通台数は多く、価格帯も安いのでそちらを狙うのも手だろう。
 

▼検索条件

マツダ MAZDA2(初代) & デミオ(4代目) × 4WD

▼検索条件

マツダ MAZDA2(初代) & デミオ(4代目)
 

【4WD ミニバン①】トヨタ ハイエースバン(5代目)

新車時価格:170.6万~529.5万円
中古車価格帯:70万~1040万円
 

ハイエース ▲商用車として不動の人気を誇るハイエース。バンにのみディーゼルエンジンが設定される

働く車でありながら、最近ではプライベートユースでも人気のあるハイエース。積載を前提としたタフな作りとなっているだけに、4WDシステムも本格的だ。

前席下にエンジンを搭載し、そこからセンターデフを介して前後に駆動力を配分するフルタイム式が採用されている。さらに、センターデフには車輪のスリップを防ぐためのビスカスカップリングも内蔵。ランドクルーザーなどと同様のシステムなのである。

「オフロード走行やラリー走行が目的ではなく、一般道での走行安定性に寄与するもの」と説明されており、雨天時やコーナリングでの安定感が2WD車よりも増すのは間違いない。
 

 ハイエース(現行型) ▲インパネシフト、ステッキ式パーキングブレーキの採用で前席足元の空間も広々

中古車市場に流通している物件のうち、約3割が4WD車。4WD車の比率が高いのは、2WD車に対する新車価格アップが10万円以内に抑えられているためだろう。流通量も4WD車だけで1100台以上とかなり豊富。

価格は総額70万円台からあるが、走行距離5万km未満の物件では総額240万円台からのスタートとなる。長く乗れる作り、本格的な4WD性能を考えると決して高くはないだろう。
 

▼検索条件

トヨタ ハイエースバン(5代目) × 4WD

▼検索条件

トヨタ ハイエースバン(5代目)
 

【4WD ミニバン②】日産 キャラバン(5代目)

新車時価格:241.2万~493.8万円
中古車価格帯:200万~560万円
 

日産 キャラバン(5代目) ▲車名変更されるとともに先進安全性能も向上した

ハイエースと真っ向勝負するライバルといえばキャラバンだ。

5代目となる現行型は「NV350 キャラバン」の名前で2012年にデビューしたが、2021年のマイナーチェンジでガソリン車の車名が「キャラバン」に回帰。2022年にはディーゼル車もエンジンを換装するとともに、先代と同じ車名に戻された。

競合のハイエースがフルタイム式4WDを採用しているのに対して、キャラバンは古式ゆかしいパートタイム式4WDを採用。しかし、これが深雪路や泥濘地で実に頼もしい。

フルタイム式4WDにはオンロードを4WDのまま走れるというメリットがあるものの、悪路でスタックしやすく、燃費も悪くなるデメリットがある。その点、パートタイム式4WDは悪路に強く、燃費も2WD車とほとんど変わらない。オンロードでは2WDで走ることになるが、2WD→4WDの切り替えは電磁スイッチで行えるため楽チンだ。
 

日産 キャラバン(5代目) ▲4WD車には雪道で走りやすくなるスノーモードも備わる

車名が「キャラバン」となった2021年10月以降の現行型だけで、中古車市場には約150台が流通。ガソリン車の登場が早かったため、中古車市場での比率もガソリン車6割、ディーゼル車4割となっている。

価格は2021年式・走行距離3.4万kmのガソリン車「2.0 DX ロングボディ」で総額200万円弱から。新車価格より40万円以上も安い。ディーゼル車についてはまだほとんどの物件が走行距離1万km未満であるため、総額280万円前後からのスタートとなっている。
 

▼検索条件

日産 キャラバン(5代目) & NV350 キャラバン(初代) × 4WD

▼検索条件

日産 キャラバン(5代目) & NV350 キャラバン(初代)
 

【4WD ミニバン③】日産 エルグランド(3代目)

新車時価格:307.7万~837.9万円
中古車価格帯:40万~530万円
 

エルグランド(現行型) ▲低く構えたフォルムはデビューから13年たった今も新鮮

前回のモデルチェンジから早くも13年近く経過している3代目エルグランドだが、中古車としては脂がのっている時期だ。駆動方式は従来のFRレイアウトからFFレイアウトへと変更。3.5L V6と2.5L直4という2種類のガソリンエンジンが用意されている。

4WDはどちらのエンジンにも用意。日産ファンにはお馴染みの「オールモード4×4」だ。これは前輪駆動をベースとし、必要に応じて後輪に適切な駆動力を配分するもの。リアデフ前にカップリングユニットを配置する構成は新型セレナなどと同様だが、電子制御することで緻密な駆動力配分を実現している。

スイッチ操作により、任意に2WD、4WDオート、4WDロックを選ぶことも可能。日産のフラッグシップ・ミニバンにふさわしいシステムと言える。燃費性能も2WD車とごくわずかにしか変わらない。
 

エルグランド(現行型) ▲こちらはオーテック仕様の豪華な内装。乗員を包み込むようなデザインが印象的だ

新車販売台数は少々寂しくなってきたエルグランドだが、中古車市場には1200台以上もの物件が流通。ボリュームゾーンは2014~2018年式だ。

デビュー直後の年式で2.5Lガソリン4WD車なら、走行距離2万km程度の物件でも総額170万円台から狙える。なお、フロントグリルなどのデザインが大きく変わった2020年10月以降の物件はごくわずかだ。
 

▼検索条件

日産 エルグランド(3代目) × 4WD

▼検索条件

日産 エルグランド(3代目)
 

【4WD ミニバン④】トヨタ ノア(4代目)

新車時価格:267万~389万円
中古車価格帯:260万~590万円
 

ノア ▲兄弟車のヴォクシーに対して、ノアは万人受けするデザインが特徴

4代目ノアには、2種類の異なる4WDシステムが採用されている。

ガソリン車に搭載されるのは、前輪駆動をベースとして後輪への駆動力を電子制御で配分するもの。VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)やトラクションコントロールと組み合わせることで緻密な姿勢制御を実現している。

ハイブリッド車に搭載されるのは、前輪をエンジン+モーターで、後輪を専用モーターで駆動する「E-Four」だ。プリウスなどと同様のもので、重量増を2WD車+40~50kgに抑えている。なお、「E-Four」が用意されるのは7人乗り仕様のみで、8人乗り仕様には設定されない。
 

 ノア() ▲ノアは5ナンバーサイズで、運転しやすいのが長所

2021年12月にデビューしたばかりの4代目だが、中古車市場には早くも300台以上が流通。ガソリン車が中心で、ハイブリッド車は全体の2割程度となっている。

4WD車の中古車価格はガソリン車の登録済未使用車で約310万円からのスタート。ハイブリッド車の「E-Four」は同じく登録済未使用車で約480万円となっている。
 

▼検索条件

トヨタ ノア(4代目) × 4WD

▼検索条件

トヨタ ノア(4代目)
 

【4WD SUV①】日産 エクストレイル(4代目)

新車時価格:319.9万~533万円
中古車価格帯:380万~550万円
 

エクストレイル ▲三菱 アウトランダーなどと共通のプラットフォームとなったが、パワーユニットは日産独自のものだ

4代目エクストレイルは、全車が「e-POWER」というハイブリッド車になった。日産の屋台骨を支えるSUVとしてはかなり思い切った決断だ。

インテリアの仕立ては道具感をセールスポイントにしていた従来モデルを大きく上回るほど豪華になり、「プロパイロット」などの先進装備も積極的に採用された。

4代目ではFFモデルに加え、「e-4ORCE」という新たな4WDシステムが搭載されたのもトピック。これは前輪、後輪をそれぞれ専用のモーターで駆動し、モーター出力と四輪ブレーキ制御を統合することで、車両姿勢やトラクションを最適にコントロールするものだ。オンロードはもちろん、オフロードでも頼もしい走破性能を発揮してくれるシステムとなっている。
 

エクストレイル ▲インテリアでは、SUVらしさよりも高級感が強調された

デビューから1年弱たったが、新車の出荷が遅れている状況のため、中古車市場にはまだ限られた台数しか流通していない。しかし、流通している物件のほとんどが4WDだ。

価格帯は登録済未使用車の「1.5 X e-4ORCE」で総額380万円~のスタートとなっている。この価格なら諸経費分が安くなる計算だ。
 

▼検索条件

日産 エクストレイル(4代目) × 4WD

▼検索条件

日産 エクストレイル(4代目)
 

【4WD SUV②】スバル フォレスター(5代目)

新車時価格:267万~389万円
中古車価格帯:260万~590万円
 

フォレスター(現行型) ▲クロスオーバーSUVのハシリとして市場をけん引してきたのがフォレスターだ

4WDといえば、このメーカーを外すわけにはいかない。乗用車の4WDを世界で初めて量産化したスバルだ。スバル・ラインナップの中でも、悪路走破性に重き置いたモデルがフォレスター、現行型は5代目となる。

パワーユニットは当初、2.5L水平対向ガソリンエンジンと、2.0L水平対向ガソリンエンジンにアシスト用モーターをプラスした「e-BOXER」の2種類だったが、2020年10月に新開発の1.8L水平対向直噴ガソリンターボエンジンを追加、同時に2.5Lエンジンは廃止となった。

4WDは「シンメトリカルAWD」と呼ばれるスバル独自のシステムが全車に搭載される。エンジンも含めた駆動系全体が左右対称に近いレイアウトとなっているのが特徴で、後輪への駆動を電子制御カップリングで行うアクティブ・トルクスプリット式だ。

このシステムをベースに、走行モードを切り替えることで四輪それぞれの駆動力やブレーキを適切にコントロールし、悪路から脱出などをサポートしてくれる「X-MODE」が加わる。数ある国産クロスオーバーSUVの中でも、悪路走破性はかなりレベルが高いと言えよう。
 

フォレスター(現行型) ▲インテリアのデザインはSUVらしい楽しさを感じるもの

中古車市場での流通量は約590台とやや少ない印象だが、全車4WDである点はアドバンテージだ。

人気グレードである「エックスブレイク」・2020年式・走行距離5万km未満の物件でも総額200万円以下から狙えるのはうれしい。
 

▼検索条件

スバル フォレスター(5代目)
 

【4WD SUV③】トヨタ RAV4(4代目)

新車時価格:260.8万~563.3万円
中古車価格帯:210万~610万円
 

トヨタ RAV4(4代目) ▲ややワイドな車幅となる「アドベンチャー」はオフロード性能を高める装備が特徴だ

先代は日本導入が見送られたRAV4だったが、2019年にブランニューモデルとなって復活。これまでのイメージを覆すラギッドな雰囲気で、新車も中古車も大人気となっている。

RAV4にはパワートレインおよびグレードによって異なる3種類の4WDシステムが用意された。ガソリン車の「G」「X」グレードにはアクティブ・トルクスプリット式4WD「ダイナミックトルクコントロール4WD」を採用。同じガソリン車でも「アドベンチャー」「G Zパッケージ」には「ダイナミックトルクベクタリングAWD」が搭載される。

そして、ハイブリッド車の4WDシステムはお馴染みの「E-Four」だ。

中でも注目したいのはクラス初採用となった「ダイナミックトルクベクタリングAWD」。前輪駆動を基本としながら必要に応じて後輪にも駆動力を配分する……という点では「ダイナミックトルクコントロール4WD」同様だが、後輪左右のトルク配分を自動的に行うのが特徴となっている。前後、後輪左右の駆動力配分を制御することで、走破性に優れ、かつコーナーで曲がりやすいシステムを実現した。
 

トヨタ RAV4(4代目) ▲4WD車は路面状況によって駆動配分やブレーキを制御する「マルチテレインセレクト」を装備

中古車市場には約2170台の4代目RAV4が流通。パワーユニットでは2Lガソリン車の割合が多く、全体の約7割。その7割近くが「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載する上級グレードとなっている。

価格の一例を挙げると、2019年式・走行距離7万kmの「2.0 X 4WD」で総額248.7万円。「2.0 G Z パッケージ 4WD」でも、2019年式・走行距離3.7万kmで総額264.9万円(新車価格より約75万円安)というお買い得な物件が見つかる。
 

▼検索条件

トヨタ RAV4(4代目) × 4WD

▼検索条件

トヨタ RAV4(4代目)
 

【4WD SUV④】トヨタ ランドクルーザー300(初代)

新車時価格:510万~800万円
中古車価格帯:1080万~1730万円
 

ランドクルーザー300(現行型) ▲世界を代表する高級SUVでありながら、類い希な悪路走破性も併せもつ

2021年8月、14年振りに待望のフルモデルチェンジを果たしたトヨタSUVの旗艦、ランドクルーザー。ボディはさらに大きくなり全長は5mに、全幅は2mに迫るサイズとなった。デザインや装備内容については歴代モデル以上に洗練されたが、悪路走破性能についても決しておろそかにされていないのがランクルらしいところだ。

パワーユニットは3.5L V6ツインターボガソリンと3.3L V6ツインターボディーゼルの2種類。4WDシステムはトルセンLSDを採用したフルタイム式となる。

従来モデル同様、十分に変速比の低いローギアやセンターデフロック機構を備えるのはもちろん、最上級グレードとなる「GRスポーツ」にはフロント&リアの機械式デフロックも装備(他グレードではリアデフロックのみメーカーオプション)。豪華であるだけでなく、悪路走破性についてもSUV界トップレベルだ。
 

 ランドクルーザー300(現行型) ▲インテリアは一見すると、世界のへき地で使われる本格四駆のそれには見えない

新車は発表前の段階から予約注文が相次ぎ、1年以上の納車待ちが発生。今も受注を停止した状態が続いている(2023年5月19日現在の公式サイトの情報による)。しかし発売から2年近く経過し、ようやく中古車市場にも少ない台数ながら出回り始めた。

価格帯は総額1080万円~と新車価格を200万円以上上回るものとなっているが、ランクル300を欲しいと思っている人にとって、すぐに手に入るメリットは決して小さくないだろう。
 

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザー300(初代)
 

【Q&A】4WDについてのよくある疑問

Q.4WD車にも、チェーンは必要?
A.4WDであっても万能というわけではない。特に滑りやすい雪道、氷結路ではたとえ前進することができたとしても制動力やコーナリング性能においては2WD車とほぼ同じ。過信は禁物で、必要に応じてスタッドレスタイヤやチェーンの装着が必要だ。

ちなみに、大雪で「チェーン規制」が発令された場合、4WD車でもチェーンを装着していなければ当該区間を走行できない(スタッドレスタイヤ装着でも不可)。

なお4WD車の場合、チェーンは四輪すべてに取り付けるのが理想。1組(二輪分)しかない場合に前後どちら側のタイヤに装着するかは、駆動方式によって異なる。FFをベースとした4WDシステム(エンジンが横向きに搭載されている車種が多い)の場合は前二輪、FRをベースとした4WDシステム(エンジンが縦向きに搭載されている車種が多い)の場合は後二輪だ。

Q.4WD車の燃費は悪い? 2WD車とどれくらい違う?
A.駆動方式によって大きく異なるが、例えばフルタイム式4WDを採用するハイエースバン「2.8 DX ロング ディーゼルターボ(6人乗り)」で比較した場合下記のような差になる。

・2WD車の燃費(WLTCモード):12.4km/L
・4WD車の燃費(WLTCモード):11.6km/L

仮に年間1万km走行した場合、2WD車では約11万7000円の軽油代(145円/Lで計算)がかかるのに対して、4WD車では約12万5000円と8000円程度高くなる。この価格差で4WDの安心感、安全が得られるのなら、納得できるのではないだろうか?

ちなみに、フルタイム式4WDシステムは燃費面で不利な構造であり、パートタイム式、トルクスプリット式の方が有利。車種によっては2WD車とほとんど変わらない燃費の4WD車もある。
 

※記事内の情報は2023年8月4日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/尾形和美、篠原晃一、阿部昌也、スズキ、トヨタ、日産、ダイハツ、ホンダ、マツダ、スバル、Adobe Stock
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。

この記事を読んでいる人にオススメの動画