トヨタ ランドクルーザー▲モデルライフが極めて長いこと、そして比較することができないほどタフであることが、ランクル中古車人気の理由だ

ランドクルーザーは今いくらで買える?歴代モデルもチェック!

押しも押されもせぬ国産SUVの旗艦といえば、トヨタのランドクルーザーだ。

2021年に満を持して発売された最新型の300は予約の時点で応募が殺到し、受注開始からほどなくして受け付けをストップ。現在もその状況が続いている。

新車だけでなく、中古車においても他に比肩するSUVがないほどの人気。現行型である300はもちろん、歴代のランクルシリーズどれもが驚異的な人気車種となっている。

生産終了から10年、20年経っているモデルでも当時の新車価格とほとんど変わらない、あるいは新車価格よりも高い値段で流通している事実は驚くべきことだ。

ランクルは古くなっても価値が落ちず、希少性が高まるほどに価値が上がっていく……という証拠に違いない。

この記事では、改めて歴代モデルの概要を振り返り、それぞれのモデルについて現在の中古車状況をチェックする。
 

 

ランドクルーザー300の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー300 DATA
生産期間:2021年8月~
中古車流通量:50台
中古車価格帯:1300万~1950万円
全長:4950-4985mm × 全幅:1980-1990mm × 全高:1925mm

“ランドクルーザー300” ▲押し出し感の強いマスクが300の特徴。バンパーはフロントグリルとほぼ面一だ。こちらはダカールラリーの参戦で鍛え、創り上げられた新グレード「GR SPORT」

■ランドクルーザー300の特徴
先代のランクル200登場から実に14年の時を経て、ついにフルモデルチェンジ。一昨年デビューしたばかりの現行型が300だ。

従来型からボディサイズの大型化は最小限に抑えられた。といっても全幅1990mmという値は現行の国産乗用車で最大サイズ。全体的に200よりもエッジを利かせた直線基調のフォルムとなり、フロントマスクの存在感が増している。
 

“ランドクルーザー300” ▲華美な装飾を抑えつつも、上質な仕立てとなった300のインテリア

未来感を感じさせる造形となった300だが、伝統のラダーフレーム構造とエンジン縦置きの駆動系レイアウト、100以降のステーションワゴン系ランクルで踏襲されてきた前ダブルウィッシュボーン式独立懸架、後リジッド式というサスペンション形式などは堅持された。ラグジュアリーSUVにはなってもホームグラウンドはオフロードにある……というランクルの矜持に違いない。

パワートレインは新たに、3.5L V6ガソリンと3.3L V6ディーゼル、ともにツインターボ仕様のエンジンを搭載。国内仕様におけるディーゼルは100以来の復活となった。
 

“ランドクルーザー” ▲高級SUVになっても、ランクルの本懐はオフロードにあり

■ランドクルーザー300の中古車相場
デリバリーが開始されたものの、中古車市場に流通している台数はまだごく少数。そのほとんどが走行距離1万km未満の物件であり、中には走行距離500km未満の新車に近いコンディションのものも存在する。

新車価格は510万~800万円なのに対して、中古車平均価格はなんと1500万円近くまで高騰している。これは明らかに新型コロナの流行や半導体不足の影響で納期が大幅に遅れている影響だ。

トヨタ自動車は300デビュー直後となる2022年1月の段階で、納期が4年(!)近くなる可能性があることを公表。2022年7月には受注停止され、その状況が現在も続いている。

中古車では最安値の物件でも1300万円前後。どうしても今すぐ手に入れたい、という方なら、その価値はあるかもしれないが……。
 

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ランドクルーザー200の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー200 DATA
生産期間:2007年9月~2021年8月
中古車流通量:220台
中古車価格帯:240万~1100万円
全長:4950mm × 全幅:1970-1980mm × 全高:1890-1925mm

“ランドクルーザー200” ▲ロングセラーモデルとなった200。写真はフロントマスクが変わった後期型

■ランドクルーザー200の特徴
全長5m、全幅2mに迫るサイズまで大型化されたランクル200。ボディ剛性などのシャシー性能も先代100に比べて革新的な変化を遂げた。

内装なども豪華になった一方で、総合的な作りに関してはオフロード志向が一層強まっている。サスペンションには前ダブルウィッシュボーン式コイル、後リジッド式コイルが新たに採用され、フロントサスのストロークを伸ばすとともに、上級グレードには足の動き方に応じてスタビライザーの効力を機械的に変化させるKDSSやクロールコントロールなど、悪路走破性を重視した装備が採用された。

AHC(アクティブハイトコントロール)、AVS(アダプティブバリアブルサスペンション)など先進機能、電動ムーンルーフなどの装備が設定されたのは、2009年4月に「ZX」グレードが追加されてからのことだ。このマイナーチェンジにおいては、V8ガソリンエンジンも従来の2UZ-FE型から1UR-FE型へと変更され、動力性能および燃費性能が大幅に高められた。

なお、ランクル200の国内仕様は全車ガソリン車であり、ディーゼルエンジンは最後まで搭載されなかった。
 

“ランドクルーザー200” ▲ボディが大型化したことで居住性も格段に高まった

モデルライフを通じて何度もマイナーチェンジが行われたが、特に注目すべきはフロントグリルやヘッドライト、ボンネット、リアコンビランプまで車両前後セクション全体のデザインが大きく変更された2015年8月だろう。このマイナーチェンジでは先進安全機能である「Toyota Safety Sense P」もトヨタ車で初めて全車に採用された。ここを境に、前期型、後期型と大きく分けることができる。

“ランドクルーザー200” ▲こちらは前期型のデザイン。後期型に比べるとシンプルな造形だ

■ランドクルーザー200の中古車相場
約14年間という長いモデルライフを誇ったランクル200だけに、中古車市場には年式も走行距離も様々な物件が流通している。中古車平均価格は530万円前後とやはり高めだが、一昨年まで現行モデルだったことを考えると当然と言ってだろう。

中古車相場は2015年8月のマイナーチェンジ前後で大きく変わる。前期型は総額240万~560万円といった価格帯なのに対して、後期型は総額540万~1100万円(!)となっている。

後期型で走行距離の少ない物件の価格が高騰している背景には、後継モデルであるランクル300の納期が大幅に遅れている影響があるだろう。

安全性やデザイン性重視で選ぶなら後期型が有利だが、走行性能重視であれば2009年4月のマイナーチェンジ以降モデルであれば、ひとまず大きな不満は出ないように思う。中古車市場における前期型と後期型の比率はおよそ半々というところだ。
 

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ランドクルーザー100の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー100 DATA
生産期間:1998年1月~2007年6月
中古車流通量:220台
中古車価格帯:120万~580万円
全長:4890mm × 全幅:1940mm × 全高:1890mm

“ランドクルーザー100” ▲ランクルらしい悪路走破性能を確保しながら、乗用車に近い運転感覚を実現した100の功績は大きかった

■ランドクルーザー100の特徴
ランクルの革命児とも言える存在の100。伝統的に前後リジッド式だったサスペンションはランクルの歴史で初めて前ダブルウィッシュボーン式トーションバースプリング・後リジッド式コイルとなった。

V8ガソリンエンジンを搭載したのも、ランクルでは初めてのこと。路面状況に合わせてダンパーの減衰力を瞬時に調整し、あたかも宙を浮いているような乗り心地とするスカイフックTEMS、油圧で車高を変化させるAHCなどの電子デバイスもランクル100には積極的に採用されている。
 

“ランドクルーザー100” ▲高級セダンのような雰囲気をもつ100のインテリア。

ワゴン仕様には4.7L V8ガソリンエンジンを、バン仕様には4.2L直6ディーゼルターボエンジンを搭載。デビュー当初は4速ATの他に5速MTも用意されていた。

2002年8月に大きなマイナーチェンジがあり、ATを5速化するとともにMTを廃止、インパネのデザインが全面変更されている。

2005年4月にもマイナーチェンジがあり、ヘッドランプやフロントグリル、リアコンビランプのデザインが大幅に変更され、洗練された外観となった。デビューから2002年7月までを前期型、2002年8月から2005年3月までを中期型、2005年4月から生産終了までを後期型と呼ぶことが多い。
 

“ランドクルーザー100” ▲しなやかなストロークをもつリアサスの動きは、さすがランクルというところ

■ランドクルーザー100の中古車相場
ランクル100の中古車平均価格は280万円前後。だが、走行距離を問わなければ総額100万円台前半から流通しているとあって、ランクルの中古車としてはかなり狙いやすい部類に入るだろう。

総額100万円台の物件では走行距離10万kmオーバーとなるのが一般的だが、ランクルの中古車において走行距離はあまり問題にならない。それまで適切なメンテナンスが施されてきた物件なら、たとえ20万km走っていても十分、実用に供する。

2002年8月以降、自動車Nox・PM法の規制地域内ではディーゼル車が登録できなくなってしまった影響で、現在の中古車市場においてもガソリン車の比率が約7割と高い。

個人的にはATが5速化され、走りが格段に洗練された中期型以降のモデルがオススメだ。中期型~後期型の中古車価格帯は総額140万~580万円となっている。
 

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ランドクルーザー80の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー80 DATA
生産期間:1989年10月~1997年12月
中古車流通量:260台
中古車価格帯:190万~530万円
全長:5533mm × 全幅:1830-1930mm × 全高:1860mm
 

“ランドクルーザー80” ▲中古車市場では今なお高い人気を誇る80

■ランドクルーザー80の特徴
ランクル80が誕生した1980年代後半といえば、バブル景気の真っ只中。55/56から始まったステーションワゴン系ランクルのラグジュアリー度は、80で一足飛びにレベルアップした。

上級グレードでは質感の良いエクセーヌ表皮のシートが標準となり、インパネなどはフル樹脂化。オプションでは本革シートなどの豪華装備も用意された。もちろんオンロードにおける快適性も飛躍的に高まったが、ランクル本来の悪路走破性能も全くおろそかにされていない。

前後コイル・リジッド式サスペンションによるしなやかな足の動き、センターデフロック付きフルタイム4WDのマルチな走りは先代のオフロード性能を大きく凌ぐものだった。巨体を揺らしながらモーグル地形などを悠々と進む姿はまさに“陸の巡洋艦(=ランドクルーザー)”と呼ぶにふさわしいものだったと言えるだろう。
 

“ランドクルーザー80” ▲重要なスイッチがピアノ鍵盤のように配置された前期型のインパネ

ランクル80は搭載エンジンや外観&内装デザイン、サスペンション設定の違いなどにより、デビューから1992年7月までの前期型、1992年8月から1994年12月までの中期型、1995年1月から生産終了までの後期型に分けることができる。

ガソリンエンジンは1992年8月に、ディーゼルエンジンは1995年1月に大きく改良されており、マイナーチェンジを挟んでの性能差が大きいので中古車購入の際には注意されたい。

1995年1月のマイナーチェンジではフロントグリルなど外観が大きくチェンジ。後期型はインテリアのデザインもシンプルですっきりしたものとなっている。
 

“ランドクルーザー80” ▲80ではセンターデフを有するフルタイム4WDの駆動系を採用。センターデフロック機構が設けられている

■ランドクルーザー80の中古車相場
生産終了から四半世紀近く経った現在も、中古車市場では常時250台以上が流通しており、そこそこ選べる状況にはある。ただ、他のランクルと同じく価格帯は高めだ。

新車当時はディーゼル車の方が圧倒的人気だったが、現在の中古車市場ではガソリン車の方がやや多く、全体の6割強。これは自動車Nox・PM法の規制地域内でディーゼル車を登録することができないことが理由だろう。

現在の中古車市場に流通しているランクル80で“完全ノーマル”という物件は極端に少なく、サスペンションやバンパー、マフラーなど改造されている物件がほとんどだ。数ある選択肢の中から、自分の好みに合う仕様を見つけるのも面白い。

前期より中期、中期より後期の方がエンジン性能などは向上しているが、ランクル80の場合、年式が新しく、走行距離が少ないほど安価とは限らない。どれだけ良好なコンディションを保っているか、レストアや改造にどれだけコストをかけたかが価格に反映されていると考えて良いだろう。
 

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ランドクルーザー60の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー60 DATA
生産期間:1980年8月~1989年12月
中古車流通量:80台
中古車価格帯:180万~550万円
全長:4750-4995mm × 全幅:1800-1880mm × 全高:1805-1945mm

“ランドクルーザー60” ▲角張ったフォルム、オーバーハングの長いリアなどが、どことなくアメリカンな雰囲気を漂わせる

■ランドクルーザー60の特徴
55/56のスリムなスタイルから一転、後の80に通じるワイドなフォルムとされた60。主に北米市場のニーズが意識され、居住空間と荷室空間の拡大を狙った結果だ。シャシーは伝統的なラダーフレーム&前後リーフ・リジッドのサスペンションだったが、乗り味はおうようとしていた。
 

“ランドクルーザー60” ▲ハイルーフ・上下開きリアゲート仕様は優れた積載能力と使いやすい荷室をもつモデルだった

4ドアロングのみだったが、標準ルーフ仕様の他にハイルーフ仕様も用意された。デビュー当初、バックドアは観音開き仕様のみだったが、後に上下開き仕様を追加。さらに、内装から鉄板むき出しの箇所をほとんどなくし、シートをファブリック表皮とした上級グレードまで設定された。

1980年8月~1987年7月の丸型2灯ヘッドライトを前期型、1987年8月~1989年12月の角型4灯ヘッドライトを後期型と呼ぶのが一般的だ。
 

“ランドクルーザー60” ▲こちらは丸目2灯の前期型。いかつい後期型とは対称的なイメージだ

■ランドクルーザー60の中古車相場
一時期は中古車市場であまり人気のなかった60だが、最近では古き良きアメリカンSUVのような風貌が見直され、美しくレストアされた物件を多く見かけるようになった。中古車市場に流通している台数は約80台と、少なめではあるが選ぶ余地はある……というところだ。

総額100万円台の比較的リーズナブルな物件もあるが、そのほとんどは走行距離30万kmオーバー。20万km台前半までの物件を探すと、おのずと総額300万円台となる。もちろん60も他ランクルの例に漏れず耐久性に優れており、適切にメンテナンスされていれば走行距離が多めの物件でも問題はない。

なお、60の場合は後の80や100と違い、ガソリンだからワゴン(乗用車)登録、ディーゼルだからバン(貨物車)登録とは限らない。新車時はほとんどがバンで、ワゴン登録仕様はモデル最終期の1988年8月以降に生産された「VX」グレードのガソリン車のみだった。
 

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ランドクルーザー55/56の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー55/56 DATA
生産期間:1967年~1980年
中古車流通量:-
中古車価格帯:-
全長:4675mm × 全幅:1735mm × 全高:1865mm

“ランドクルーザー55/56” ▲ベースとなった40とは異なり、55/56はなめらかで連続的なボディ外板にデザインされた

■ランドクルーザー55/56の特徴
ランクル55/56と聞いて、ぱっと姿が思い浮かぶ人はかなりのクルマ通と言えるだろう。ランクル55/56は40系ステーションワゴンであるFJ45Vの後継車として開発されたモデルだ。

40系と共有する設計も多かったが、北米市場のニーズをくんで外観、内装はそれまでの作業車然とした風貌から大きく飛躍し、レジャーユースを意識したものとなった。

エンジンには名機として名高いF型ガソリンエンジン(後に2F型へと変更)を搭載。「アイドリング時、ヘッドカバー上に10円玉が立つ」という伝説が生まれるほど、低振動で滑らか、かつ低速で粘り強いエンジンだった。
 

“ランドクルーザー55/56” ▲55/56ではレジャー用のステーションワゴンとして荷役性が重視された

北米では“ムース(ヘラジカの意)”というニックネームで愛された55/56だったが、40系のような経済性に優れたディーゼルエンジンがなかったこと、1ナンバー登録のロングボディしかなかったこと(40系には4ナンバー登録モデルがあった)から、日本国内での人気はあまり振るわなかった。
 

“ランドクルーザー55/56” ▲シートはビニール張りだったが、クッションの厚さは40の時代と段違い

■ランドクルーザー55/56の中古車相場
現行モデルだった当時も、日本国内では官公庁による利用がメインだった。そのため、現存する55/56、まして走行可能な車両を見つけることは相当に困難だ。

カーセンサー掲載台数も1台あるかないか、という状況。その希少性から価格も高騰している。丁寧にレストアされた車両であれば、中古車価格500万円以上になることもごく普通だ。
 

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ランドクルーザー70の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー70 DATA
生産期間:1984年11月~2015年6月
中古車流通量:300台
中古車価格帯:190万~700万円
全長:3975-5270mm × 全幅:1690-1790mm × 全高:1895-1950mm

“ランドクルーザー70” ▲海外では今なお現行モデルとして販売されている70。写真は2007年MC以降のもの

■ランドクルーザー70の特徴
ヘビーデューティ系ランクルの代表格といえば、このナナマル。40系の後継機として1984年に登場、海外では今なお販売されているウルトラロングセラーだ。

ラダーフレーム&リジッド式サスペションによる強固なシャシー、ショート、ミドル、セミロング、ロング(海外&消防車専用)など多彩なボディバリエーションをもつことがランクル70の特色。歴代ランクルの中でも悪路走破性能についてはトップクラスと言える。
 

“ランドクルーザー70” ▲70のインテリアは実にシンプル。ワークホースとしての機能性を重視した結果だ

もともとは前後リーフスプリングだったが、1999年のMCでフロントサスのみコイルスプリングに変更。操縦安定性、乗り心地が改善された。国内モデルに搭載されたエンジンは後述する期間限定車を除いて全車ディーゼルだ。

日本での販売は2004年にいったん終了したが、海外モデルでは2007年にフロントセクション全体の構造とデザインを変更。ヘッドライトが丸型から異型へと変わる。国内販売終了から約10年、2014年8月~2015年6月の期間限定でMC後のガソリンエンジン搭載モデルが日本でも発売された。
 

“ランドクルーザー70” ▲デビュー当時の70はいかにも無骨で、作業車然とした雰囲気だった

■ランドクルーザー70の中古車相場
国内で一般販売されていた期間だけでも20年にわたるため、中古車市場でも多様なバリエーションのランクル70を見ることができる。流通台数も300台以上と、ランクルの中では比較的多め。

価格帯も幅広いが、デビュー直後の年式で走行距離20万km近い物件でも300万円以上のプライスタグが付いていることは決して珍しくない。それだけ人気があり、かつ年式、走行距離が進んでいてもメンテナンスさえされていれば、まだまだ現役で乗れるということだ。

2014年に復活した期間限定車だけでも、60台以上が中古車市場で流通。そちらの価格帯は370万~590万円となっている。

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ランドクルーザー40の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー40 DATA
生産期間:1960年8月~1984年10月
中古車流通量:約10台
中古車価格帯:260万~480万円
全長:3840-4630mm × 全幅:1665-1720mm × 全高:1770-1950mm

“ランドクルーザー40” ▲帽子を被せたような可愛らしい風貌の40。ハードトップ仕様のルーフはFRP製だった

■ランドクルーザー40の特徴
ランドクルーザーの原点であるトヨタ ジープBJ/FJ型の誕生から9年。20系を挟んで1960年に登場したモデルがランドクルーザー40、通称ヨンマルだ。

四半世紀にわたって生産され、日本国内で、世界で「ランドクルーザー」の名を広めた立役者となった。外観は寄り目丸型のヘッドライト、ボンネットから独立したフロントフェンダー、角張ったボディ形状が特徴。

デビュー当初はガソリンエンジンのみだったが、1973年にランクル初のディーゼルエンジンを追加、1974年にはB型ディーゼルが投入され、悪路走行に適した大トルクと経済性から国内外で大ヒットした。ランクルといえばディーゼルというイメージを定着させたのが、このモデルだ。
 

“ランドクルーザー40” ▲こちらは後期モデルのゼブラ型ファブリックシート。四駆でもインテリアの質感が意識されるようになった時代だ

1979年には従来オーバル形状だったフロントグリル兼ヘッドライトベゼルを角形状へと変更。ディーゼルエンジンも2B型へ、その3年後には3B型へと進化を遂げた。

1984年の生産終了から40年近く経った今もなお、レストアなどを施して乗り続ける根強いファンが存在する。
 

“ランドクルーザー40” ▲40の構造は抜群に頑丈であり、世界中で大ヒット。業務用車両として今なお現役で活躍している地域もある

■ランドクルーザー40の中古車相場
24年間にわたって生産されたヨンマル。現在も流通量こそ少ないが中古車市場で取り引きされている。その多くは1980年代に製造された角形グリルの後期モデル、ディーゼルエンジン搭載車だ。

その希少性からいずれの物件も中古車価格200万円を超えている。丁寧にレストアされた車両、より希少性の高い逆輸入モデルなどの場合は400万円以上となることも珍しくない。

タフな構造ではあるが、年式が古いだけに錆の発生や部品の劣化は避けられない。購入後のメンテナンスにおいても専門的な知識が求められることから、ランクル専門店での購入を強くオススメする。
 

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ランドクルーザープラドの特徴と中古車相場

■ランドクルーザープラド DATA
生産期間:1990年4月~
中古車流通量:約2360台
中古車価格帯:80万~820万円
全長:3975-4825mm × 全幅:1665-1885mm × 全高:1885-2110mm

“ランドクルーザープラド” ▲ライト版ランクルとしてスタートしたが、独自の進化を遂げたプラド。写真は現行型4代目・後期型

■ランドクルーザープラドの特徴
プラドはもともとランクル70のステーションワゴン&ライトデューティ版という扱いだった。そのルーツは1984年に発売された「ランドクルーザーワゴン」である。

プラドという車名が初めて与えられたのは1990年4月のこと。角型ヘッドライトとなってフロントまわりのイメージは「ランドクルーザーワゴン」から随分変わったが、無骨なキャビン形状などは70のそれを踏襲したままだった。

当時大人気だったパジェロ打倒を目指し、フロントサスを独立懸架化するなど大胆に変化したのが1996年5月に登場した2代目。3ドアショートと5ドアロングが用意され、インテリアも乗用車然としたものになった。ハイラックスサーフとプラットフォームを共有することでコストを抑えながら、ランクルらしいタフさと悪路走破性を実現したモデルだ。
 

“ランドクルーザープラド” ▲初代のデザインは70のボンネットを広げ、ヘッドライトを角型にしただけのような無骨なものだった

続く3代目は大ヒットした2代目のコンセプトを受け継ぎつつ、ボディ剛性などのシャシー性能を大幅に強化。当時、本家ランクルにも採用されていなかったアクティブTRCをいち早く採用するなど、先進的なメカニズムも積極的に採り入れられた。

2009年9月に発売された現行型は4代目に当たる。デビュー当初は3代目のイメージを踏襲したマスクだったが、2013年9月のMCでフロントグリルを大型化。さらに、2017年9月のMCではボンネットやヘッドライトなどフロントセクション全体のデザインが変わり、一気あか抜けた印象となった。

4代目は今年でデビュー14年となるが、全く色あせて見えないのはさすがランクルというところだ。
 

“ランドクルーザープラド” ▲硬派本格四駆からSUVへと一足飛びに変化した2代目。その背景にパジェロのヒットがあったことは確かだ

■ランドクルーザープラドの中古車相場
中古車市場で最も多くの台数が流通しているプラドは、現行型である4代目。初代~3代目までのモデルライフが6~7年だったのに対して、4代目は14年もの間、現行であり続けているのだから当然ではある。

4代目は2017年9月のMCを境に価格帯が大きく変わる。MC前のモデルが総額200万~590万円なのに対して、MC後のモデルは総額370万~820万円となっている。

それにしても古いモデルほど安いとは限らないのがランクル中古車のすごいところ。現行型はさておき、最も価格が高騰しているのは初代であり、総額500万円近い物件も存在する。角型2灯のヘッドライト、スクエアなボディ形状など、現代のSUVにはないクラシカルな見た目がウケているようだ。

逆にリーズナブルなのは3代目。年式、走行距離によっては総額100万円台から狙える物件も多数ある。メカニズムの熟成度やランクルならではのタフな設計を考えると、オトク感が高い。
 

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ランドクルーザーシグナスの特徴と中古車相場

■ランドクルーザーシグナス DATA
生産期間:1998年12月~2007年6月
中古車流通量:約30台
中古車価格帯:140万~350万円
全長:4890mm × 全幅:1940mm × 全高:1890mm

“ランドクルーザーシグナス” ▲いわゆるバッジモデルではあるが、高級感や静粛性は100を大きく上回っていた

■ランドクルーザーシグナスの特徴
シグナスはランクル100と基本設計を同じくしながら、より高級志向で作られたプレミアムSUVの始祖だ。北米ではレクサス「LX」として販売されていたが、当時の日本ではまだレクサスブランドが立ち上がっていなかったため、ランクルの1モデルとして発売された経緯がある。
 

“ランドクルーザーシグナス” ▲インパネまわりのデザインなど、細かな部分にも100との違いがある

ヘッドライトは専用デザインの4灯となり、アルミホイールもクロームメッキ、内装は100ではオプション設定にもない本木目&本革シートとなるなどの違いがあった。

基本設計こそ100と同じだが、バンパー内に補強用メンバーが入っているなど、北米市場の安全基準に合わせた改良も施されていた。また、ドアなどにも遮音材が追加されるなど、レクサス水準の高級感、静粛性、安全性となっているのが特徴だ。
 

“ランドクルーザーシグナス” ▲ラグジュアリー性が重視されたシグナスだったが、悪路走破性についても100と同等だ

■ランドクルーザーシグナスの中古車相場
現在、中古車市場で流通しているシグナスは30台前後と、ランクル100に比べてかなり少ない。新車当時でもそれほど多く見かけたモデルではなかった。

ただし、中古車相場については比較的リーズナブル。新車価格は100の最上級グレードより70万円以上高かったシグナスだが、中古車市場では価格が落ち着き、中古車平均価格で100よりも20万円ほど安い260万円前後となっている。

100の中古車を狙っている人は、同じ性能で高級装備がふんだんに付いているシグナスに狙いをシフトするのもアリだろう。

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※記事内の情報は2023年1月12日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ、尾形和美
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。