ワゴンR ▲なるべく安く手に入れたいけど、利便性もあった方がうれしい! そんな願いをかなえてくれる軽自動車3モデルをご紹介します(写真はスズキ ワゴンR)

日々のアシになる軽自動車、なるべく安く手に入れたい!

物価高が止まらない……。スーパーに行けば、卵も牛乳もパンもジワジワ高くて、レジで提示された金額を見て「ん? こんなに買ったっけ!?」という日々を過ごしている人も少なくないのではないでしょうか。

そんな毎日の中で、車にそこまでお金をかけていられません。とはいえ、車必須の地域に住む人々にとって、車は大切な日々の必需品。「なるべくお金をかけずに、毎日のアシを手に入れたい」。そんな声もあることでしょう。

それを象徴しているのが、カーセンサーが毎年実施し、その年に最も注目された中古車を発表する「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。

なんと平均価格が30万円を切るスズキ ワゴンR(3代目)が総合1位を獲得したのです。
 

ワゴンR▲こちらが、2025年に最も注目された中古車、スズキ ワゴンR(3代目)
 

激戦区の軽自動車の世界で、しかもこんな低価格帯のモデルが大賞を取るなんて、実はちょっと珍しい。つまり今、中古市場では、「安くて使い勝手の良い実用軽」がひそかに盛り上がっているということなのです。もちろん安全装備は最新の車に比べれば控えめですが、それでも日常のアシとしては十分!

維持費も安く、燃費も良く、気ままに乗れる。そんな背景を踏まえると、「車って別に最新じゃなくてもいいよね?」と思う人もいらっしゃるかも。

今回は、選出された「スズキ ワゴンR(3代目)」のようにコミコミ(支払い総額)30万円以下で手に入れられる中古車を3車種ご紹介します!
 

 

コミコミ30万円で買える軽①|スズキ ワゴンR(3代目)

ワゴンR▲クールなカスタム系(写真)、爽やかな標準モデルとデザインも好みで選べる

まずは、2025年に最も注目されたこちらをご紹介。ワゴンRは、軽自動車ブームの中心を作り上げた国民的ハイトワゴン。ご紹介する3代目は、2003~2008年まで生産されたモデルです。

背の高いボディに広い室内、軽快な走り、維持費の安さという3拍子が揃い、その利便性に一部では「とりあえずワゴンR買っとけば間違いないじゃん」と言われるほどの人気ぶり。
 

ワゴンR▲ワゴンRの運転席回りはこんな感じです

カーセンサーnetでは支払総額30万円以下の車両が約220台以上と、全体の半数以上を占めています。圧倒的な流通量で「選べる中古車が多い」という安心感はダントツです。

しかも流通の中心は、2005年にマイナーチェンジした後期型。前期と後期でフロントグリル部分やリアランプなど、変更点はありましたが見た目はほぼ同じ。内装は、インパネなどスタイリッシュに仕上げています。

総額30万円以内にも関わらず、走行距離5万~9万km台の良質車が多いのが魅力的。とことん安さを重視したい方も、ベースモデルなどに搭載されているNAエンジンは丈夫なので、街乗り主体なら必要十分でしょう。

グレードはベースの「FA」、その上の「FX」、上級の「FT」、カスタムモデルとして「RR」や「RR-DI」を揃えています。上級とスポーツモデルにはターボが搭載されています。
 

ワゴンR▲こちらはカスタムモデルの「RR-DI」

そして、スタイリング重視の人にぜひ伝えたいのが「スティングレー」というグレード。

2007年に登場した「カスタム」というグレードです。フェンダー部分を再設計しているのが、カスタムモデル「RR」との違いとなっています。縦長ライトにクリアテールのクール系デザインが目を引きます。

通常のワゴンRが“実用派”なら、スティングレーは“都会派”といったところでしょうか。コミコミ30万円でも、台数は少ないながら十分選択肢に入れることができます。
 

ワゴンR▲こちらはスティングレー

3代目ワゴンRは全体的に丈夫で、致命的な弱点は少ないモデル。ただし、2003~2004年の前期型はATの変速ショックが大きめの個体があり、試乗して確認したいポイント。後期型は改良が入って燃費が良くなったものの、ヘッドライトの曇りや黄ばみが出やすい傾向があります。

また、軽量ボディゆえに足回りのブッシュが劣化してコトコト音が出ることもあるそう。さらに、この世代はエアコンのコンプレッサーのへたりが中古では比較的多いため、風量の強弱や冷え具合は必ずチェックしておきたいですね。全体として、整備履歴がしっかりしていれば長く使える良質なモデルだといえます。

軽快な走り、広い室内、安い維持費、そして圧倒的な流通量。初めての中古軽で、足グルマがほしい、壊れにくい実用車がいいな、そんな人にとって、3代目ワゴンRはドンピシャなモデルと言えるでしょう。
 

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スズキ ワゴンR(3代目)×総額30万円以下

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スズキ ワゴンR(3代目)
 

コミコミ30万円で買える軽②|ダイハツ ムーヴ(3代目)

ムーヴ▲こちらはベースモデル。ボディカラーにはパステルカラーのバリエーションも

次にご紹介するのは、ワゴンRと長年のライバルとして常に競いあってきた、ダイハツ ムーヴ。2002~2006年に発売されていた3代目も同様で、ワゴンRと並んで軽ワゴン界の二大巨頭と言っても過言ではありません。

背が高いパッケージや室内の広さはワゴンRとほぼ同等で「どちらを選んでも間違いない」といわれた実用性に優れたモデルです。

カーセンサーでは支払総額30万円以下の車両が約80台。ワゴンRよりは少ないですが、その分、掘り出し物率が高い印象です。

ムーヴには、見た目にも大きな違いがあり、ベースモデルは明るく親しみやすい雰囲気があるデザインだったり、カスタムは、横長丸目4灯ヘッドライトで精悍なフロントマスクだったりと今見てもカッコよく、若いユーザーから根強い人気があります。
 

ムーヴ▲こちらはカスタム。ベースモデルとは異なる顔つきが特徴的だ

走りの質感は柔らかめで走りやすい印象。日常での扱いやすさは高評価です。後席の足元も広く、実用性は申し分ありません。
 

ムーヴ▲ムーヴの室内はこのような感じ。シンプルなインテリアと、大人でも足を伸ばせる広さがありがたい(写真はカスタム)
ムーヴ▲運転席回りはこのような感じ。複雑な操作類は必要なく、シンプルな印象
ムーヴ▲助手席のシート下には収納スペースが。お出かけのために履き替え用の靴を忍ばせておく……なんてこともできそうです

最大の特徴は、エンジンが実用性重視の3気筒NA、坂道にも強く、パンチのあるターボ、カスタムの上位グレードには直4ターボと、軽自動車といえど充実しており、3種類あることでしょう。同じムーヴでも性格は大きく異なるため、街乗り中心なのか、高速道路の走行が多めか、荷物を積むのかなど、自分の用途に合わせて選べるのが魅力的です。

VVT(可変バルブ)が付く2004年以降の後期型は、力強く、故障も少なめ。NAモデルは、坂道などで非力に感じる場面があり、ご自身の生活用途に合うか確認した方が良さそうです。ターボ車は走りが魅力ですが、熱の影響がタービン寿命に影響するのはあるあるなので、試乗で加速の滑らかさからターボの具合をチェックしておくと良いでしょう。

足回りは少々劣化しやすく、長年使い込まれた個体ではフワフワ感が出るケースも。また、パワーウインドウのスイッチ不調が、年式問わず起きやすいので、購入時には動作確認を行っておきましょう。

メンテナンス次第で、まだまだ現役の実用軽。価格・性能・デザインのバランスが良く、ワゴンRよりちょっと個性が欲しい、走りにもこだわりたい! という人にオススメです。
 

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ダイハツ ムーヴ(3代目)×総額30万円以下

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ダイハツ ムーヴ(3代目)
 

コミコミ30万円で買える軽③|三菱 eKワゴン(2代目)

eKワゴン▲スライドドアは助手席側だけだが、コミコミ30万円で手に入るのはうれしい!

最後にご紹介するのは、三菱が実用性を徹底的に追求した軽ハイトワゴンであるeKワゴン。

こちらの2代目は2006~2013年に発売されました。何といっても最大のトピックは、軽自動車で初めて電動スライドドアを採用したという点!
 

eKワゴン▲横から見ると、このような感じです!

そんなeKワゴンですが、カーセンサーを見ると、現在、支払総額30万円以下の車両が約200台も出回っていて、そのうち、片側電動スライドドア(助手席側)装備車は、約40台と貴重な存在です。買い物帰りなど、ワンタッチで開閉できる快適さを重視するならコレでしょう。

グレードは、ベースの「M」、4AT仕様の「MX」、上級にあたる「G」があり、スライドドアかどうかは、グレード名の後に「S」が付いているかで判断できます。MグレードのAT仕様は3速のみとなります。

エンジンは丈夫なので、街中のストップアンドゴーを繰り返す用途に向いています。背が高すぎないため横風に強く、運転が苦手な人でも扱いやすいのもポイントでしょう。

デザインは、丸みがあって親しみやすく、実用重視だけどかわいい軽がいい! という方にピッタリ。荷室は、高さこそワゴンRやムーヴほどではありませんが、使い勝手は十分。
 

eKワゴン▲運転席回りの内装はこんな感じ!(写真は「G」グレードのもの)
ekワゴン▲例えばベビーカーを積載しても、すっぽり収まるスペースがあるんです!
ekワゴン▲スライドドアも大活躍すること間違いなしです

安全性や基本性能は安定しているので大きな弱点は少ないですが、年式によって注意点はあります。2006~2008年の前期型は、エンジンマウントの劣化が出やすく、アイドリング時の振動が大きい個体があるそう。

電動スライドドア搭載車は、便利な反面、モーターやローラーの寿命で動きが重くなる場合があるため開閉チェックは必ず確認してほしいポイントです。可動量は、現在のものに比べて大きく開かないので、実際に乗り降りして試してみることをオススメします。

後期型は、改良によって静粛性が向上しましたが、ヘッドライトのクリア層が弱めで黄ばみやすくなっています。ATの変速ショックはもともと少ない方ですが、ATフルードなどのメンテナンスが必要な時期にきている年式なので、整備記録などのチェックを行ってみると安心ですね。
 

ekワゴン▲後期型はフロントグリルがメッキになっています

三菱らしい4WD車が30万円台でも選択できるのが、この車種の特徴でもあります。スライドドアが欲しい、買い物や送り迎えで使う、運転が苦手でも扱いやすい軽がいいなど、コミコミ30万円で買える中では最も生活に寄り添う1台だといえるでしょう。

中古軽は人気が上がりすぎて価格も上昇傾向にあり、30万円以内で買える良質車は確実に減りつつありますが、だからこそ、安くてちゃんと使える軽を手に入れるチャンスでもあると思っています。

王道の安心感をもたらす「ワゴンR」、選べるキャラと広さを提供する「ムーヴ」、軽初の電動スライドドアや安定の4WD搭載の技術満載「eKワゴン」。それぞれに魅力があり、どれを選んでも日常の相棒として頼もしい! 少しでも購入コストを抑えたい。生活に寄り添う軽が欲しい。そんな人に、今回ご紹介した3台は自信を持ってオススメできます。
 

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三菱 eKワゴン(2代目)×総額30万円以下

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三菱 eKワゴン(2代目)
文/瀬イオナ 写真/スズキ、ダイハツ、三菱
※記事内の情報は2025年12月24日時点のものです。
瀬イオナ

自動車ジャーナリスト

瀬イオナ

車メディアの雑誌編集部員を経て、2024年にフリーランスとして独立。「走って書ける」自動車ジャーナリストを目指して修行しながら、若手ジャーナリストとして活動している。車業界に入ったきっかけは、某動画で中谷明彦師匠を見つけたこと。現在に至るまで「ドライビング」はもちろん「ジャーナリスト」の心得など業界におけるすべてを教わりながら日々鍛錬中である。趣味はドライブ、レーシングカート、サウナ、スキー。