日産 デイズルークス▲スライドドアが付いて車内も広々! 人気の「軽スーパーハイトワゴン」が、中古なら総額70万円でも十分手に入る

人気の軽スーパーハイトワゴンが予算70万円でも十分狙える!

普通車も含めた新車販売台数ランキングで、2023年に最も売れたのはホンダ N-BOX。他にも同車のような「背が高くて両側にスライドドアを備えた」軽自動車、つまり「軽スーパーハイトワゴン」が普通車を押しのけて上位にランクインした。

それだけ人気がある理由は、まず背が高いゆえに、軽自動車とは思えないほど車内が広々と感じられること。また、ミニバンなみに開口部が広いスライドドアは、幼い子供はもちろん大人でも乗り降りしやすく、ショッピングセンターの狭い駐車場でも隣の車にドアをぶつける心配がない。

そのうえ価格が普通車より比較的安くて、軽自動車ゆえ税金面でも有利で、比較的燃費も良いモデルが多く、維持費も抑えることができる。

だからこそ、軽スーパーハイトワゴンが人気なのだが、中古車なら予算70万円という比較的手頃な価格(ちなみに2024年10月の中古車平均価格は約219万円、出典:リクルート自動車総研)でも十分手に入れられる。

もちろん、この予算では現在新車で販売されている最新モデル(現行型)を手に入れるのは難しく、旧型以前の少し古いモデルが中心になるが、それでも先に述べたようなメリットは十分享受できるだろう。

この先長く乗り続けたいなら、もう少し予算を上げて現行型の中古車や、それこそ新車を検討することをオススメするが、例えば「保育園へ子供を送る必要がある数年間だけ」など、限られた期間であれば十分に検討する価値があるはずだ。

この記事では、予算70万円を有効的に使えるオススメ軽スーパーハイトワゴンを5モデル紹介しよう。
 

 

ホンダ N-BOX(初代)
“日本一売れる車”伝説はこの絶対的王者の誕生から始まった

中古車平均価格:67.4万円
総額70万円以下の台数:2735台

 

ホンダ N-BOX▲ホンダ N-BOX(初代)の標準モデル
ホンダ N-BOX▲ホンダ N-BOX(初代)のカスタムモデル

今や「日本一売れる車」となったホンダ N-BOX。その第一歩は2011年12月にデビューしたこの初代から始まった。

最大の魅力は、後席で足を組んでもラゲージにベビーカーを畳んでしまえるほど、広い室内空間だろう。もちろん、後席を畳めば27インチの自転車をそのまま載せることもできるし、後席の座面を跳ね上げればベビーカーを畳まずに載せられる。

また、ティッシュボックスがぴったり入るグローブボックスや、スマートフォンなどをとりあえず置いておける助手席前のトレイなど、使いやすい収納も充実していた。

運転時の安心感も人気を支えたひとつの要因だ。デビュー時から他車に先んじて、横滑りを抑制するVSA(車両挙動安定化制御システム)や、坂道で発進する際にズリッと下がらないHSA(ヒルスタートアシスト)を全車に標準装備。

さらに2013年12月のマイナーチェンジでは、低速域での衝突被害軽減ブレーキ(シティブレーキアクティブシステム)と前席サイドエアバッグ+サイドカーテンエアバッグをセットにした「あんしんパッケージ」が、グレードにより標準装備またはオプションで設定された。
 

ホンダ N-BOX▲ホンダ N-BOX(初代)のインテリア。後席シートの座面を跳ね上げて荷物を載せることができる

原稿執筆時点で掲載されている中古車台数は約6000台と豊富。平均走行距離は約8万kmだ。このうち、総額約70万円×走行距離8万km以下で狙えるのは約550台ある。

内訳は、標準モデル:カスタムモデルの割合が約4:1といったところ。標準モデルが多く、中でもノンターボ車の「G Lパッケージ」は全体の5割近くを占めていて、比べて選びやすい。しかも、台数が多い=売れたグレードだけあって、装備も充実しているのでオススメだ。

例えばG Lパッケージは、デビュー時点でベースのGに対してエアコンがオートになり、助手席側スライドドアが電動になる他、インテリアに加飾が多数施されている。

総額約70万円×走行距離8万km以下で、G Lパッケージならマイナーチェンジ後の2017年式まで狙うことができる。

ただし、衝突被害軽減ブレーキ付きの物件はこの価格帯ではあまり見つからないので、必要な人は予算をもう少し上げるか、時間をかけて探した方がいいだろう。
 

▼検索条件

ホンダ N-BOX(初代)×総額70万円以内×全国
 

ダイハツ タント(2代目)
ミニバンよりも開口部の広いミラクルオープンドアを初搭載

中古車平均価格:31.5万円
総額70万円以下の台数:2727台

 

タント▲ダイハツ タント(2代目)の標準モデル
タント▲ダイハツ タント(2代目)のカスタムモデル

軽スーパーハイトワゴンという市場を作り出したと言えるのが、初代ダイハツタントだ。さらに、2007年12月に登場したこの2代目は、今や同車を象徴する機能である「ミラクルオープンドア」を初めて搭載して、再び大ヒットした。

ミラクルオープンドアとは、助手席のドアとその後ろのスライドドアの間に、他車にはあるピラー(柱)がない、広い開口部を作り出すドアのこと。ピラーは助手席ドアとスライドドアにピラーに組み込まれているため、両方のドアを開けると、あるはずのピラーがなくなるというわけだ。

現行型のミニバンにもない、1480mmという広い開口部は、人の乗り降りはもちろん、ちょっとした大きな荷物も簡単に載せ降ろしできて便利だし、チャイルドシートを取り付けたり、そこに子供を座らせることも簡単だ。

また、助手席は280mmもスライドできるから、一番前までスライドさせれば、ドアを閉めた状態でも後席でオムツを替える作業も楽に行える。さらに2010年9月のマイナーチェンジでは、オムツ替えをアシストするかのように、ティッシュやタオルなどをしまっておける天井収納(オーバーヘッドコンソール)が一部グレードに備えられた。

なお、今回紹介する5台のうち、唯一運転席側の後席ドアがスライドドアではない(一般的なヒンジ式ドア)ことと、この世代のタントには衝突被害軽減ブレーキが設定されなかったことは留意しておこう。
 

ダイハツ タント▲ダイハツ タント(2代目)のインテリア。シートは撥水加工されている。助手席シートを倒すとテーブルになる

原稿執筆時点で掲載されている中古車台数は約2800台。平均走行距離は約9.1万kmだ。このうち、総額約70万円×走行距離8万km以下で狙えるのは約1000台ある。

約1000台の内訳は、標準モデル:カスタムモデルの割合が約7:3といったところ。台数が多く、比べて選びやすいのはノンターボ車の標準モデル「X」、次いでノンターボ車の「カスタムX」だ。

どちらも同じ「X」ということから分かるように、標準モデルかカスタムモデルかの違いはあれ、オートエアコンが備わるなど装備はほぼ同じだ。どちらも走行距離8万km未満で総額約30万円から選ぶことができる。走行距離3万km未満でも十分射程圏内だ。

ただし、手動式の助手席スライドドアが標準となる。もしも電動スライドドアにこだわるなら、「X リミテッド」「カスタムX リミテッド」をオススメする。XやカスタムXよりは台数は少ないものの、電動スライドドアが標準装備され、天井収納が備わるなど、装備も充実している。

こちらも総額約30万円から見つけることができる。
 

▼検索条件

ダイハツ タント(2代目)×総額70万円以内×全国
 

スズキ スペーシア(初代)
ライバルより低燃費で、広くて、小回りが利く超優等生

中古車平均価格:62.4万円
総額70万円以下の台数:1612台

 

スズキ スペーシア▲スズキ スペーシア(初代)の標準モデル
スズキ スペーシア▲スズキ スペーシア(初代)のカスタムモデル。標準モデルに少し遅れて2014年6月に追加された

2013年3月に登場した初代スペーシア。その魅力をひと言で言えば、 “そつがない”ことだろう。タントのミラクルオープンドアのような武器はないが、当時いくつものクラストップの成績を収めていた。

例えば、小回りが利く目安である最小回転半径4.2mをはじめ、車内の広さの目安のひとつである室内長や、乗降のしやすさを示すリアのステップの低さは、わずかとはいえ当時のライバルを凌ぐ。

さらにデビュー時の2WD車のJC08モード燃費では、初代スペーシアが29.0km/Lなのに対し、初代N-BOXの22.2km/Lを大きくリードしていた(2代目タントは10・15モード燃費で20.5km/L)。

また、軽自動車として初めてドアノブにあるスイッチを押すだけで開閉できる「ワンアクションパワースライドドア」など、使い勝手のいい機能や工夫も採用されていた。

安全性能面では、2013年8月に、衝突被害軽減ブレーキ「レーダーブレーキサポート」が全車にオプションで用意され、2015年5月のマイナーチェンジで、同機能が「デュアルカメラブレーキサポート」にアップデートされた。
 

スズキ スペーシア▲スズキ スペーシア(初代)のインテリア。後席を床下に収納すると27インチの自転車を載せられる

原稿執筆時点で掲載されている中古車台数は約3000台。平均走行距離は約7.3万kmだ。このうち、総額約70万円×走行距離8万km以下で狙えるのは約600台ある。

約600台の内訳は、標準モデル:カスタムモデルの割合が約4:1といったところ。標準モデルが多く、最も多くて選びやすいのがノンターボ車の「X」、次いでノンターボ車の「G」となる。中でもオススメは「X」だ。

「X」は助手席側が電動スライドドアとなり、上記で説明したワンタッチでの開閉機能が備わる他、リモコンキーでも開閉できる。また、前席の頭上に大型収納ボックスも備わるなど何かと便利。

「X」の走行距離8万km以下で総額約40万円から選べる。衝突被害軽減ブレーキ(レーダーブレーキサポート)を装着した「X」は台数こそ少ないが、それでも総額約70万円で見つけることができる。
 

▼検索条件

スズキ スペーシア(初代)×総額70万円以内×全国
 

日産 デイズルークス(初代)
先行車のいいとこ取り&先進機能で激戦区に挑んだ意欲作

中古車平均価格:86.5万円
総額70万円以下の台数:931台

 

日産 デイズルークス▲日産 デイズルークス(初代)の標準モデル
日産 デイズルークス▲日産 デイズルークス(初代)のカスタムモデルは写真の「ハイウェイスター」の他、「ライダー」や「ボレロ」もある

軽スーパーハイトワゴンで先行していたダイハツ・ホンダ・スズキを追って、日産と三菱が共同で開発したのが2014年2月に登場した初代・日産 デイズルークスと、このあと紹介する三菱 eKスペースだ。この2台は基本同じと考えていい。

その魅力のひとつは、先行車の魅力的な装備を採用するとともに、先進的な便利機能を搭載したことにある。

デビュー時から日産のミニバンなどでお馴染みの、自車を俯瞰で眺めるように周囲の状況を確認できる「アラウンドビューモニター」や、リモコンキーを持っていればスライドドアのドアノブに備わるボタンを押せば開閉できる「リモコンオートスライドドア」、タッチパネル式のオートエアコンなどが採用されていた。

また、子育て層に便利な機能が備わるのも、見逃せないポイントだろう。例えば、信号待ちの際に子供を見守れるよう、後席のシートを大きく前にスライドできる。また助手席背もたれには、両方に取っ手があるベビーバッグも置ける専用ホルダー付きの折り畳みテーブルが備えられた。子供のいる後席が暑く&寒くならないよう、天井のファンがエアコンの空気を車内にまんべんなく行き届ける等々だ。

衝突被害軽減ブレーキはデビューから1年もたたない2014年12月から一部グレードに備わり、2015年4月には全車標準装備となった。
 

日産 デイズルークス▲日産 デイズルークス(初代)のインテリア。後席は左右別に最大260mmスライド可能

原稿執筆時点で掲載されている中古車台数は約4000台。平均走行距離は約5.3万kmだ。このうち、総額約70万円×走行距離8万km以下で狙えるのは約300台ある。

約550台の内訳は、標準モデル:カスタムモデルの割合が約9:1と、圧倒的に標準モデルが多い。中でもノンターボ車の「X」が半数以上を占める。やはり選びやすさからいっても、「X」を中心に選ぶのが正解だろう。

「X」の主な標準装備は助手席側電動スライドドア(アンタッチ開閉機能付き)やアラウンドビューモニター、タッチ式オートエアコン、オーバーヘッドコンソールなど。標準モデルの上級モデルゆえ、装備は充実しているのでオススメだ。

走行距離8万km以下で、衝突被害軽減ブレーキが標準装備された中古車でも、総額約50万円から見つけることができる。
 

▼検索条件

日産 デイズルークス(初代)×総額70万円以内×全国
 

三菱 eKスペース(初代)
兄弟車とともに使い勝手と先進機能でライバルたちを追う

中古車平均価格:72.6万円
総額70万円以下の台数:308台

 

三菱 eKスペース▲三菱 eKスペース(初代)の標準モデル
三菱 eKスペース▲三菱 eKスペース(初代)のカスタムモデル

三菱の初代eKスペースは2014年2月に登場した。上記、初代日産 デイズルークスで述べたように、両車は基本的に同じ車だ。装備などについては上記デイズルークスを参照してほしい。

ただし、内外装デザインはもちろん、グレード構成やグレード別の装備内容は両車で異なる。特に、デイズルークスと異なり、衝突被害軽減ブレーキは標準装備ではなく、搭載車には「eアシスト」や「セーフティ」などのグレード名称が追加されているので、必ず事前にチェックしてから購入を検討するようにしよう。
 

三菱 eKスペース▲三菱 eKスペース(初代)のインテリア。一部グレードにデイズルークスにはない撥水加工生地が採用されている

原稿執筆時点で掲載されている中古車台数は約800台。平均走行距離は約6.1万kmだ。このうち、総額約70万円×走行距離8万km未満で狙えるのは約100台ある。

約100台の内訳は、標準モデル:カスタムモデルの割合が約4:1といったところ。とはいっても約100台しかないため、カスタムモデルの各グレードは、あっても1ケタなので、やはり標準モデルを狙うといいだろう。

標準モデルの中では、「E」と「G」の台数が拮抗しているが、オススメはEより装備の充実している「G」だ。

「G」なら助手席側電動スライドドア(アンタッチ開閉機能付き)やアラウンドビューモニター、タッチ式オートエアコン、オーバーヘッドコンソールなどが標準で備わる。

走行距離8万km未満で総額約50万円から、衝突被害軽減ブレーキ付き(G eアシスト)なら総額約60万円から見つけられる。
 

▼検索条件

三菱 eKスペース(初代)×総額70万円以内×全国
文/ぴえいる、写真/尾形和美、ホンダ、ダイハツ、スズキ、日産、三菱

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。先日、中古車のホンダeも加わった。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。