劇中車

【連載:図説で愛でる劇中車】
国内外問わず様々な映像作品(アニメ含む)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!

第22回は、アメリカの特撮SFドラマ「ナイトライダー」シリーズをお送りします。自律走行が可能で主人公のピンチにはせ参じ、「はいマイケル」など、しゃべることも可能なAI「K.I.T.T.」を搭載した「ナイト2000」はあまりにも有名! 今回はそれ以外の知られざる「ナイト○○○○」もご紹介します。
 

自律走行に会話が可能! 夢のスーパーマシン「ナイト2000」

ナイト2000

車がドライバーに代わって自律的な運転を行う完全自動運転や、車に搭載されたAIが人間との会話を行うことは、かつては夢のテクノロジーでした。現代においては、技術の進歩により少しずつ実現が近づいています。

それを1980年代に先取りしていたのが、アメリカの特撮TVドラマ「ナイトライダー」です。1982年から1986年まで全84話が製作され、日本でも大きな人気を博しました。

人気の理由は、主人公マイケル・ナイトが乗る車「ナイト2000」が、まさに夢を実現したような車だったからです。

「ナイト2000」は、銃弾や爆発物などの攻撃を受け付けず、15m以上のジャンプを可能とし、最高時速は500km/hオーバーというスーパーマシンです。しかも無人での完全自動運転を可能としていました。さらに「ナイト2000」には人間味ある感情豊かなAI「K.I.T.T.(キット。Knight Industries Two Thousand)」が搭載されており、マイケルとのユーモアあふれる会話も魅力でした。

このAIを開発したのは、実業家ウィルトン・ナイトが設立した民間調査組織「ナイト財団」。同財団に命を救われたマイケルは、「ナイト2000」 =「K.I.T.T.」を相棒に、ウィルトン・ナイトの遺志を継いで世にはびこる不正や巨悪と戦っていくこととなります。

「ナイト2000」はポンティアック ファイアーバード・トランザムをベースとしており、フロントには、センサーが赤く発光する「スキャナー」を装備。操縦桿型のステアリングホイール・デジタルメーター・インジケーターなどに囲まれたハイテク感たっぷりな内装も、多くの人をとりこにしたのです。

知られざる「ナイト4000」と「ナイト3000」

SATカー

前述のように日本でも人気・知名度が高い「ナイトライダー」ですが、実は続編がいくつか作られていたことをご存じでしょうか。まず製作されたのは、1991年の「Knight Rider 2000(邦題:新ナイトライダー2000)」です。

2000年のシアトルを舞台とした本作では、すでにマイケルはナイト財団を退職しており、主人公は元女性警官ショーン・マコーミックに交代。しかし、マイケルも重要な役としてしっかり登場します。

同作内では「ナイト2000」と「K.I.T.T.」はすでに解体されていたため、新たに「ナイト4000」が開発され、のちに再生した「K.I.T.T.」を積み直して活躍します。「ナイト4000」は未来的なオリジナルデザインをもちますが、1988年のコンセプトカー「ポンティアック バンシー」をモチーフにしているといわれています。

2008年には、「ナイトライダー(2008年版)(邦題:ナイトライダーNEXT)」が製作されました。主人公はマイケルの息子であるマイク・トレーサーです。従軍経験がありレーサーをしていた彼は、様々な契機から新たなナイト財団「ナイトインダストリー」に合流。2代目マイケル・ナイトを名乗り、「K.I.T.T.」を積んだ「ナイト3000」とともに悪に立ち向かいます。

しかし本作では、「ナイト3000」のベース車が「フォード マスタング」をチューンした「シェルビー GT500KR」に変更。“元祖ナイトライダー”とは大きくイメージを変えています。ナノマシンによってモードチェンジを行える他、バンやSUV、パトカーなど様々な姿に変型することが可能となりました。また「K.I.T.T.」も、“初代”とは別のAIという設定になっています。

「ナイトライダー」に登場するライバルたち

ナイトライダー

「ナイトライダー」シリーズでは、スーパーマシンたちを苦しめるライバルも多数登場します。 中でも「K.A.R.R.(カール。Knight Automated Roving Robot)」は有名です。「K.I.T.T.」よりも前に完成したプロトタイプで、「K.A.R.R.」には「ナイト○○○○」のような“車名”はありません。「K.I.T.T.」と同じ姿をしているのに性格は真逆で利己的という特徴付けがされていました。初登場時の外観は「ナイト2000」と同じでしたが、のちにスキャナー色は黄色に変更、さらに追ってボディカラーも2トーンカラーに塗り直され、判別しやすいようになりました。

「ナイトライダーNEXT」にも「K.A.R.R.」が登場しますが、正式名称は「Knight Auto-cybernetic Roving Robotic exoskeleton」で、こちらはなんとロボットに変型して暴れまわります。

それ以外にも「ナイトライダー」では、「ナイト2000」の車体を守る「分子結合殻」をコーティングした強固な巨大トレーラー「ゴライアス」「殺人ヘリ」「赤い殺人カー」など、「ナイト2000」を窮地に追い込む敵が多数出現。中でも前方に長い突撃用の棒を伸ばした装甲車「ジャガーノート」は、「ナイト2000」をボロボロに破壊してしまいます。

修復された「ナイト2000」と「ジャガーノート」との戦いの顚末や、「ナイト2000」に実装された驚きの機能については、ぜひ本編をご覧ください!

文・絵/遠藤イヅル
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遠藤イヅル(えんどういづる)

イラストレーター/ライター

遠藤イヅル

1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はサーブ900、VWサンタナほか実用的な車ばかり。