メルセデス・ベンツ Cクラス ▲「輸入セダン=高額」というのは半ば常識ともいえることですが、中古車の車種選びを上手に行えば、総額200万円という現実的な予算内であっても「もっとずっと高く見える!」というニュアンスの1台を見つけることが可能です。この記事では、そんな「高見え輸入セダン」を5車種ピックアップします

「高見え輸入セダン」の価格はトヨタ アクアの中古車とおおむね同じ!

「実際の購入価格よりも高く見える輸入車を買いたい」

決して全員ではないかもしれませんが、多くの人は、心のどこかでそう思っている部分もあるでしょう。

で、もしもそう思うのであれば「総額200万円ぐらいの輸入セダン」をチェックしてみることをオススメします。

国産車のセダンは今や完全に下火となっていますが、輸入車のセダンはまだまだ大いに元気。そして総額200万円ぐらい=現行型トヨタ アクアの中古車を買うの同じぐらいの予算であっても、「完全にそれ以上の値段に見える!」という車種がたくさんあるからです。

ということでこの記事では、旧型モデルを中心に、まだまだまるで古くは見えず、逆に“高見え”してしまう総額200万円級の輸入セダン5モデル+αを紹介します。
 

 

メルセデス・ベンツ Cクラス(4代目)

中古車平均価格:247.0万円
総額200万円以下の台数:108台


メルセデス・ベンツ Cクラス▲こちらがW205こと旧型メルセデス・ベンツ Cクラス

メルセデス・ベンツ Cクラスは、メルセデスの中では一番の売れ筋定番モデルといえるコンパクトセダン。もちろん「コンパクト」といっても本当に小さめだったのは初期の頃だけで、ここでご紹介する旧型ことW205型は全長4690mm×全幅1810mm×全高1445mmという、なかなか立派なサイズ感です。

2014年7月に発売された旧型Cクラスは、それまでのCクラスと比べると飛躍的なまでに品質が向上した世代でした。

ボディサイズの拡大にもかかわらず、革新的な軽量高剛性「アルミハイブリッドボディ」の採用により軽量化に成功。そして走行状況に応じてダンパー内のオイル流量を変化させて減衰力を調整する「アジリティコントロールサスペンション」などにより、それまでラグジュアリークラスでしか得られなかった快適な乗り心地を手に入れたのです。

パワーユニットは、最高出力156psの1.6Lターボと同184psまたは211psの2L直4ターボを基本に、その後、2L直4ディーゼルターボやプラグインハイブリッドを順次追加。

そして2018年7月には、変更部品点数が約6500点にも及ぶビッグマイナーチェンジを実施。内外装デザインを変更するとともにパワーユニットを刷新。そして運転支援システム「インテリジェントドライブ」も、Sクラスと同等にアップグレードされました。
 

メルセデス・ベンツ Cクラス▲それまでのCクラスと比べ、W205型Cクラスのインテリアのクオリティ感は大幅に向上している

そんな旧型Cクラスの中古車価格は、高いモノだと総額400万円を軽く超えるのですが、総額200万円以下の物件も100台以上が流通しています。ビッグマイナーチェンジ以降の後期型はさすがにまだ200万円では難しいのですが、前期型で良しとするならば1.6Lまたは2Lのガソリンターボでも、そしてトルクフルな2Lディーゼルターボでも、どれでも好きなモノを選ぶことができます。

もちろん“高見え”という部分では、後期型を選ぶにに越したことはありません。しかしこの世代のCクラスは、遠目には「Eクラスとほぼ見分けがつかない」というニュアンスのデザインを採用しています。そのため前期型であっても、キレイに洗車さえしておけば「500万円ぐらいの車」には確実に見えるはずです。
 

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メルセデス・ベンツ Cクラス(4代目) × 総額200万円以内×全国
 

メルセデス・ベンツ CLAクラス(初代)

中古車平均価格:171.7万円
総額200万円以下の台数:93台


メルセデス・ベンツ CLAクラス▲メルセデスのコンパクト4ドアクーペである初代メルセデス・ベンツ CLAクラス

メルセデス・ベンツ CLAは、メルセデスの新世代FFプラットフォームをもとに生み出された4ドアクーペ。現在は2代目のCLAが新車として販売されていますが、ここで紹介するのは2019年まで販売された「初代CLA」です。

2013年7月に登場した初代メルセデス・ベンツ CLAのボディサイズは全長4685mm×全幅1780mm×全高1430mm。

当初のラインナップは最高出力122psの1.6L直4ターボを搭載する「CLA180」と、同211psの2L直4ターボを積む「CLA250」、そしてその4WD版である「CLA250 4マチック」の3種類。トランスミッションはいずれも7速DCTです。

2016年8月にはマイナーチェンジを実施し、前後のデザインを変更。そしてインテリアでは、8インチへと大型化されたワイドディスプレイが全車標準装備となり、視認性を向上させる意味で、メーターのデザインも少々変更されました。
 

メルセデス・ベンツ CLAクラス▲比較的小ぶりな車ではあるが、インテリアの質感とデザインはさすがのメルセデスクオリティ

2024年12月下旬現在、初代メルセデス・ベンツ CLAクラスにおける総額200万円以下の物件数は約200台。総額100万円台前半でも狙えることは狙えるのですが、総額200万円付近であれば十分に状態とビジュアルが良好な1台を見つけることが可能です。そして選べるグレードも1.6L直4ターボのCLA180だけでなく、2Lターボの「CLA250 4マチック」や「CLA220」など、より選択肢の幅が広くなります。

小ぶりなセダン(4ドアクーペ)である初代CLAクラスですから、高見えといっても「1000万円ぐらいに見える!」なんてことはさすがにありませんが、少なくとも「総額200万円で買えちゃう車」には、まず見えないはずです。
 

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メルセデス・ベンツ CLAクラス(初代) × 総額200万円以内×全国
 

ジャガー XE(初代)

中古車平均価格:190.7万円
総額200万円以下の台数:48台


ジャガー XE▲こちらがジャガー XE。写真は前期型

2014年10月に上陸したジャガー XEは、メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズなどと同じ「Dセグメント」に属する英国のスポーツセダン。ボディサイズも全長4680mm×全幅1850mm×全高1415mmと、旧型メルセデス・ベンツ Cクラスとおおむね同寸です。

デビュー当初のパワーユニットは、「XE S」が最高出力340psの3L V6スーパーチャージャーを搭載する他、2L直4ターボは2種類のチューンを用意。「XE ポートフォリオ」は同240p、「XE ピュア」および「XE プレステージ」は同200psのタイプを搭載しました。そして2016年には2L直4ディーゼルターボも追加しています。駆動方式はFRで、トランスミッションはすべて8速ATです。

2019年8月にはマイナーチェンジが行われ、前後バンパーのデザインを変更した他、レンズの外側から底部にかけて光源を設けた「Jブレード」デザインのLEDヘッドライトや、半円形のLEDテールランプを採用。インテリアでは、10インチと5インチの高解像度デュアルタッチスクリーンで構成される「Touch Pro Duo」を初採用しています。

また、このマイナーチェンジではラインナップも大幅に見直し、パワーユニットは最高出力180psの2L直4ディーゼルターボエンジンと、同250psまたは300psの2L直4ガソリンターボの全3種類のバリエーションに整理されました。
 

ジャガー XE▲いかにもジャガーらしい、上質な世界観の中にもスポーティな風味が感じられるインテリア

そんなジャガー XEの後期型(マイナーチェンジ後の世代)を総額200万円で狙うにはまだ難しいのですが、前期型で良しとするなら、2Lディーゼルターボエンジン搭載グレードを中心に、総額160万~200万円のゾーンで好条件な1台を見つけることができます。

ジャガー XEという車のスポーティな乗り味とビジュアルも魅力ですが、同じセグメントに属するメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズと比べれば圧倒的にレアな存在であるため、ジャガー XEは「ミステリアスな高見え輸入車」としてのポテンシャルを秘めています。ありふれてはいない分だけ、妙に高値に見られてしまうことでしょう。
 

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BMW 4シリーズグランクーペ(初代)

中古車平均価格:197.4万円
総額200万円以下の台数:62台


BMW 4シリーズグランクーペ▲BMW 4シリーズの4ドアクーペ版である初代4シリーズ グランクーペ

初代BMW 4シリーズグランクーペは、2ドアモデルである「初代4シリーズ」の4ドアクーペ版。4シリーズクーペの美しさに、4ドアモデルとしての機能性を融合させた形の1台だといえます。

ボディサイズは全長4640mm×全幅1825mm×全高1395mmで、2ドアの4シリーズクーペモデルと全長と全幅は同じですが、車高は12mm高められており、ルーフパネから後方へなだらかに下降していくラインと、伸びやかサッシレスのガラスエリアが、同じ4ドアモデルであっても「3シリーズセダン」とはずいぶん異なる印象を形作っています。

……何を言っているかよくわからないかもしれませんが、実車を見ればすぐにわかります。4ドアセダンとの微妙な形状の違いが、実に大きな印象の違いを作っているのです。

初期モデルのパワーユニットは、最高出力184psまたは245psの2L直4ガソリンターボの他、同306psの3L直6ガソリンターボ。トランスミッションはいずれも8速ATで、フルタイム4WDのグレードもラインナップされました。

2016年4月にはエンジンのラインナップを刷新し、2017年5月にマイナーチェンジを実施。エクステリアデザインを大幅にリフレッシュさせるとともに、インテリアにはマルチディスプレイメーターパネルなどが標準装備されました。
 

BMW 4シリーズグランクーペ▲「Mスポーツ」のインテリア。いわゆる高級感とスポーティな雰囲気が見事に同居している

2024年12月下旬現在、総額200万円以下の初代BMW 4シリーズクーペは約60台が流通しており、最安に近いものであれば総額110万円付近から狙うこともできます。しかし総額180万~200万円のゾーンであればマイナーチェンジ後の後期型の、まずまず好条件な個体を見つけることができます。

前期型が悪いとも思いませんが、「高見え効果」という意味では、新デザインのLEDヘッドライト&LEDテールライトとデイタイムランニングライト、そして9スピーカーからなるHiFiスピーカーシステムが標準装備となった後期型の方が、威力は強いでしょう。とてもじゃないですが、総額200万円級の車には見えないはずです。
 

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フォルクスワーゲン パサート(8代目)

中古車平均価格:200.8万円
総額200万円以下の台数:18台

VW パサート▲2023年まで販売されたフォルクスワーゲン パサート(セダン)の最終世代

フォルクスワーゲン パサートは、その初代モデルは1973年に誕生したフォルクスワーゲンのミドルサイズセダン。ここで紹介する8代目のパサートは2015年から2023年まで販売されましたが、2024年11月からパサートは「ステーションワゴン専用車種」となったため、セダンとしてのパサートはこれが最終型となりました。

ボディは全長4785mm×全幅1830mm×全高1465mmという、Dセグメントとしては余裕たっぷりな寸法で、ホイールベースも従来型比で80mm延長され、以前からクラス水準を上回っていた居住空間は一段と広くなりました。またラゲージスペースもさらに拡大し、586L容量を誇るに至っています。

前期型のパワーユニットはアルミ製クランクケースを採用して軽量化した1.4L直4ガソリンターボで、最高出力は150ps。数値的には大したことがありませんが、実際には、7速DSGを介して必要十分以上のパワーを感じることができます。また2016年9月には排気量2Lの直4ターボエンジンも追加され、2018年2月には2L直4ディーゼルターボも追加されています
 

VW パサート▲フォルクスワーゲンらしいシンプル系なインテリアだが、フラッグシップモデルだけあって、全体と細部の上質感は十分以上

そんな最終型フォルクスワーゲン パサートの中古車や、流通量が少ないのがややネックではありますが、総額150万~200万円付近のゾーンにて、十分に好条件な物件を見つけることができます。

とはいえ、2021年4月のマイナーチェンジを経た「後期型」をこの予算で見つけることができないのですが、パサートの場合、前期型と後期型のデザインは「似たようなもの」ともいえますので、高見え効果の部分に関してはさほどの影響はありません。

総額180万円前後の前期型TSI(ガソリンターボ)またはTDI(ディーゼルターボ)でも、もしも筆者が輸入車に詳しくない人間だとしたら「……500万円ぐらいか?」と思うでしょう。そして輸入車のことをある程度知っている人間として最終型パサートを眺めてみても、これが総額200万円以下とは思えないというのが正直なところです。
 

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番外編:マツダ MAZDA6セダン(現行型・初代)

中古車平均価格:240.5万円
総額200万円以下の台数:3台

マツダ MAZDA6▲こちらがマツダ MAZDA6。写真は初期年式の25T Sパッケージ

ここまでは輸入セダンに絞って「高見え」について検討してまいりましたが、冷静に考えてみれば、輸入車にこだわらなければならない理由は特にありません。国産セダンであっても「高見え」するのであれば、それでOKなはずなのです。

ということで国産セダン界隈を見渡してみると……やはりコレでしょう。マツダの「MAZDA6セダン」です。安いモノは総額200万円ほどで狙えますが、とてもじゃありませんが200万円の車には見えません。肌感としては「400万円ぐらい」といったところでしょうか。

ご承知のとおりMAZDA6セダンは、2019 年7月に「マツダ アテンザ」から車名を変えて発売された、マツダのフラッグシップセダン。パワーユニットはアテンザ時代の2Lガソリン自然吸気と2.2Lディーゼルターボに加え、2.5Lガソリンターボの「スカイアクティブG 2.5T」を追加。

また、より安心感のある走りを実現する「G-ベクタリング コントロール プラス(GVC プラス)」が全グレードに標準設定され、IRカットガラスの設定やマツダ コネクトへのApple CarPlay、Android Auto対応機能追加など、フラッグシップにふさわしい快適性と利便性が獲得されています
 

マツダ MAZDA6▲欧州系セダンの世界観にまったく引けを取らないMAZDA6のインテリア。シンプルで美しい

そんなMAZDA6の中古車は、正直「総額200万円以下」では3台しか流通していないのですが、想定予算をもう少し上げて「総額250万円」くらいまで上げることができれば、まずまず好条件なディーゼルターボ搭載グレードか、スカイアクティブG 2.5T搭載グレードを余裕で見つけることが可能です。

非常に美しいエクステリアおよびインテリアデザインを伴っているセダンですので、妙な改造はせずに「常に内外装がキレイであること」さえ心がければ、まず間違いなく200万円ちょっとで買った車には見えません。おそらくですが、前述したとおり「400万円ぐらい」には見えるはずです。ぜひ、ご検討ください。
 

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マツダ MAZDA6セダン(現行型・初代) × 総額250万円以内×全国
 

【Q&A】総額200万円的輸入セダンにまつわるよくある質問

Q. この値段の輸入車ならではのチェックポイントは?

A. 車の基本的な構造というのは国籍によって変わるものではないため、「輸入車ならではのチェックポイント」というのは特にありません。輸入車でも国産車でも「比較的安価な中古車」を探す際は、主に下記のポイントをしっかりチェックするといいでしょう。

・内外装に荒れた雰囲気や、嫌なにおいなどはないか?
・整備点検記録簿は付帯しているか?
・エンジンを始動させた後、妙な異音は発生していないか?
・走行中、足回りから「コトコト」というような異音が聴こえてこないか?
・変速時、トランスミッションから大きなショックや異音は発生していないか?
・エアコンから冷風は出るか?(※冬場でも忘れずに確認しましょう)

Q. 総額200万円で買える輸入セダンの維持は大変?

A. 「モノによる」というのが正確な答えになります。総額200万円前後の輸入セダンであっても、しっかりメンテナンスされたものであれば、購入後の維持に苦労することはさほどありません。

しかしまったくのノーメンテで、内外装だけキレイに仕上げたような物件を買ってしまうと、様々な消耗部品が順次交換タイミングを迎えてしまうこともあり得ます。そのため購入時は、走行距離だけでなく「これまでにどのような整備(部品交換)が行われてきたか?」を確認することが重要です。
 

文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ、ジャガー・ランドローバー、BMW、フォルクスワーゲン、マツダ

※記事内の情報は2024年12月24日時点のものです。

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。