フォルクスワーゲン ゴルフ

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMCであるBoseが、カーセンサーで気になる中古車を探して実際に見に行く本企画。

今回は、雑誌カーセンサーで取材した横浜の販売店・COOLMAN(クールマン)さんのラインナップの中から、Boseさんの琴線に触れた車を3台厳選して紹介していきます!

Bose

スチャダラパー

Bose

1990年にデビューし、1994年「今夜はブギー・バック」が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。スチャダラパーが満を持してYouTubeチャンネルを開設! 詳しくは公式HPへ。愛車はフォルクスワーゲン ゴルフIIとフィアット ウーノターボ
 

編集部 クールマンさんには懐かしい車からマニアックなモデルまで、本当にいろんな車がありますね。

Bose しかも特定のジャンルにこだわっていないから、自分の気になった車を見に来たとしても、「え? こんな車もあるの!」って感じになるよね。専門店でもなかなか見られないラインナップで、いくつもの専門店がひとつに集合しているような雰囲気だよ。

クールマン代表 三浦崇二郎さん 正直、自分でも何を推し出しているのかわからなくなることがあります(笑)。

Bose せっかくだからお店の中をぐるっと見せてください。めったに出合うことができない激レア車を紹介していくから、みんなも楽しんでね!

フォルクスワーゲン ゴルフ▲代表の三浦さん(写真右)といろいろお話していきます!

【フォルクスワーゲン ゴルフI】1970年代にたどり着いた、カーデザインの最終形態

Bose 僕が好きな車を3台あげるとしたら、1台は絶対にこれ! ジウジアーロを好きになったきっかけの車だよ。

フォルクスワーゲン ゴルフ▲1台目は、フォルクスワーゲン ゴルフI

編集部 BoseさんはゴルフIIにも乗っていますもんね。

Bose 本当はゴルフIに乗りたいと思って結構探したんだけれど、もうほとんど流通していなかったんだよね。それでゴルフIIを買ったの。でも今じゃ、ゴルフIIも相場が上がっちゃってるね。

三浦 このゴルフIは1983年式で、ヤナセの正規輸入ものになります。

Bose その年式で内装がものすごくきれいなことに驚きましたよ。

三浦 仕入れたときにシートカバーがしてあって、それを外したらとてもきれいだったので私も驚きました。ただ、この車にはひとつ問題がありまして……。

Bose 問題? なんだろう。とてもそんなふうには見えないけれど。

三浦 これはディーゼルエンジンなので、首都圏などで登録できないんです。

Bose そうか、ディーゼル規制の対象だ!

三浦 もちろん規制対象でないエリアでは普通に登録できます。規制があるエリアでも触媒を適合させれば登録できますが、検査も含めてかなりの費用がかかってしまいます。カーセンサーに掲載してからかなりの数の問い合わせをいただいていますが、ここがネックになってみなさん諦めてしまうんです……。

フォルクスワーゲン ゴルフ▲「諦めるにはもったいない車だけどなぁ」

Bose 実は僕、ゴルフのクラシックラインに10年くらい乗っていたんだよね。ゴルフのカブリオはゴルフIのカブリオがそのまま継続されていたわけだけど、こうやってゴルフIを見ると、インパネデザインとかそのままなんだよね。すごく懐かしい!

フォルクスワーゲン ゴルフ

三浦 ゴルフIは本当に流通量が少なくなりました。その中でも3ドアはかなり珍しいと思います。

Bose ゴルフIはもう完全にクラシックの域に入ってしまったからね。カブリオに10年乗って、「いつかハッチバックに乗りたい!」と思っていたのに、完全にタイミングを外しちゃったな(笑)。

三浦 そうだったんですね。

Bose 僕は世界の車ってゴルフIで完成しちゃったと思っているんです。デザインが完璧で、すでに1970年代に車の最終形態に到達してしまった。

編集部 小さいのに室内は広くて荷物もたくさん乗る。一切の無駄がないですよね。

Bose 結局、デザインっていうのは機能からつながっていないと意味がないんだと思う。今の車は差別化を図るために意味がないものを足しているところが拭えないんだろうな。そう考えると、「これ以上は何もしなくてよかったのに」という考えにたどり着いちゃうんだよね。だから僕は旧車が好きなんだ!

編集部 この取材にBoseさんはゴルフIIでやってきていますが、2台を見比べてみると結構形が違うものですね。

Bose そうなんだよ!「どこが違うの?」とよく聞かれるけれど、全然違う! 例えば、テールレンズ。ゴルフIは四角くて、それがかわいいの。リアゲートもゴルフIは独特の形状をしていて、すごく凝ったデザインなんだよ。

フォルクスワーゲン ゴルフ▲ここが違う!

Bose さらにおもしろいのは、シフトノブ。運転席からだとかなり手を伸ばさないと届かないんだよ。これで、「ドイツ人はすごく手足が長いんだ」って理解したから(笑)。

【ホンダ シティターボ】シティの形は日本車史の大発明!

三浦 こちらのホンダ シティターボは1983年式。ゴルフIと同じ年式ですね。

フォルクスワーゲン ゴルフ▲2台目は、ホンダ シティのターボモデル!

編集部 シティは1980年代のメガヒット商品として、車の枠を超えて語られていますよね。

Bose これこそ、日本で機能を完全にデザインに落とし込むことに成功したモデルでしょう。なおかつポップなイメージも上手に盛り込んだ。CMもよかったよね。この形は発明だよ!

ホンダ シティ

編集部 たしか、Boseさんはシティカブリオレに乗っていたんじゃ……。

Bose そうそう。よくANIとSHINCOを乗せていろんなところに遊びに行っていたよ。クラブ帰りでは酔っ払った川辺ヒロシくんを担いで車に放り込んで、家まで送っていったこともあったな(笑)。

三浦 ちなみに、この翌年からドアミラーが解禁されたので、こちらは最後のフェンダーミラーになります。

編集部 シティのフェンダーミラーってなんかかっこいいんですよね。2本足が好きでした。

ホンダ シティ

Bose インテリアも懐かしいな。ダッシュボードに小物入れが付いているんだけれど、エアコンと連動していてジュースを冷やせるんだよね。ドアにはドリンクホルダーがあってさ。

編集部 へぇ~!

Bose 当時こんな車、なかったでしょう。センターコンソールの収納はカセットテープがぴったり収まるサイズ。

編集部 シートの形がメカっぽくてかっこいいです。

Bose カブリオレはアナログメーターだったけど、ターボはデジタルなんだ。さっきゴルフIを車の完成形と話したけれど、シティは日本車の完成形なのかもしれない。だってこの後、90年代には、軽自動車が背を高くするスタイルになったでしょ? シティの形を1980年代に思いついたことが本当にすごいと思うな。

ホンダ シティ

【ルノー エクスプレス】キャンプ場では無敵! 便利に使えるおしゃれな商用車

編集部 最後はルノー エクスプレスです!

ルノー エクスプレス▲1991年式のルノー エクスプレス

Bose ヨーロッパの商用車、フルゴネットバンのエクスプレスは日本でも大ヒットしているカングーの前身モデル。アウトドアで便利に使えるよね。

三浦 前オーナーは自転車を楽しんでいて、これに積んであちこちに行っていたそうです。

Bose 道具としてガンガン使っていたのが伝わってきますね。

ルノー エクスプレス

Bose 問題はこのシートをどうするかだな。ガムテープで補修してあるから(笑)。

三浦 座り心地は最高なのですが……(苦笑)。

Bose 新しくオーナーになる人の考え方次第だけれど、きれいに乗るならシートカバーで隠しちゃうのもひとつの方法だし、あえてこのまま乗るのも味になる気もする。

編集部 後ろのシートは外してあるんですね。

Bose これだけ広いと、車内でも余裕で寝られそう!

ルノー エクスプレス▲めちゃくちゃ広い!

編集部 これでGO OUTのイベントに行ったら目立つでしょうね。

Bose キャンプやフェスでは無敵でしょう。ラゲージをDIYして自分好みの仕様にしたら、かなりの手練れ感が出そうだね!

文/高橋満(BRIDGE MAN)、写真/篠原晃一