当時セダン世界最速とうたわれたAMG Eクラスは、100万円台から狙える絶滅危惧車だ!
2020/01/13
ハイパーチューニングモデルとしてのAMGの絶滅危惧車
ご存じ、AMGはM・ベンツの純正ハイパー・チューニングモデル。
いつの時代もAMG車はM・ベンツ車の快適性を損なうことなく、よりパワフルに、より速く走ること主眼に開発されている。
旧々型AMG Eクラスがお目見えしたのは、2002年のパリ・モーターショーでのことだった。
当時、市販されているセダンとして「世界最速」のタイトルとともに華々しくデビューした。
スーパーチャージャー付きの5.4L V8エンジンを搭載
搭載していたエンジンは、IHI製スーパーチャージャー付きの5.4L V8のみで「E55」として販売された。最高出力は476ps、最大トルクは700N・mと目を見張るものがあった。
0→100㎞/h加速は4.4秒と立派にスポーツカーぶりを発揮していた。
同じエンジンを持つ同時期のSL55の最高出力が500psだったのは、エグゾーストシステムの径と長さの違いによるものだった。
なお、この頃、7速ATがM・ベンツには存在していたにも関わらず、“古い”5速ATが組み合わせられたのは許容最大トルクが影響していた。5速ATは最大トルク1079N・mまで耐えられたが、7速ATは735N・mまでしか耐えられなかったのだ。
ベース車両であるEクラス同様、レバーを左右に動かすことでギアシフトできる「ティップシフト」に加え、ステアリングホイール上のスイッチでギアチェンジ可能な「AMGステアリングシフト」を採用。
ブレーキはフロントに360㎜ディスクと8ポットキャリパー、リアに330㎜ディスクと4ポットキャリパーを備えていた。電子制御エアスプリングとダンパーを備えるセミアクティブサスペンション「AIRマチックDCサスペンション」にもAMG専用チューンが施された。
スポーツカーであれば硬い足回りが当たり前のように感じるが、E55はパワーに見合う足回りの引き締め方でやみくもに硬いわけではなかった。そういう意味ではスポーツカーというより、グランドツアラー的味付けが特徴だった。
ボディロールは排除されていたわけではなく、速くコーナリングするには荷重移動させることを必要とした。つまりはドライバーの技量を要し、車と“対話”できるスペックに仕上がっていた。
エクステリアは単にEクラスとの差別化を図るにとどまらず、空力特性の向上や冷却効率を高めるためのもの。
インテリアは基本的にベースのEクラスと同じだが、AMG専用デザインメーターなどさりげない差別化が図られていた。
新車時1200万円オーバーの車が100万円台で狙える
新車時価格は1220万円だったE55だが、今となっては100万円台前半から狙えてしまう。
2007年にはマイナーチェンジで最高出力514psの6.2L V8NAエンジンを搭載した「E63」への進化を遂げた。
最大トルクは631N・mへと引き下げられ、ようやく7速ATと組み合わせられることになった。なお、E63の0→100㎞/h加速は4.3秒だった。
E63は200万円弱から200万円台半ば、という中古車相場を形成している。
NAエンジンの魅力を知りつつも、100万円台前半で狙えてしまうE55に個人的には興味津々だ。100万円台でE55ほどの走りを味わわせてくれる車が他にあるだろうか?
“型落ち”AMGの魅力は、まさに中古車ライフの醍醐味。現行モデルにこだわらなければ、本当にリーズナブルにハイパフォーマンスを満喫できる。
新車時価格が高い車の部品は古くなっても高いままだが、しっかりメンテナンスされてきた車であれば、そこまでビビる必要もないだろう。
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▼検索条件
AMG Eクラス(2002年12月~2009年7月生産モデル)×全国自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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