AMG Eクラス
AMG Eクラス ▲今回、紹介するのは2002年に登場したAMG Eクラス

ハイパーチューニングモデルとしてのAMGの絶滅危惧車

ご存じ、AMGはM・ベンツの純正ハイパー・チューニングモデル。

いつの時代もAMG車はM・ベンツ車の快適性を損なうことなく、よりパワフルに、より速く走ること主眼に開発されている。

旧々型AMG Eクラスがお目見えしたのは、2002年のパリ・モーターショーでのことだった。

当時、市販されているセダンとして「世界最速」のタイトルとともに華々しくデビューした。
 

AMG Eクラス

スーパーチャージャー付きの5.4L V8エンジンを搭載

搭載していたエンジンは、IHI製スーパーチャージャー付きの5.4L V8のみで「E55」として販売された。最高出力は476ps、最大トルクは700N・mと目を見張るものがあった。

0→100㎞/h加速は4.4秒と立派にスポーツカーぶりを発揮していた。

同じエンジンを持つ同時期のSL55の最高出力が500psだったのは、エグゾーストシステムの径と長さの違いによるものだった。

なお、この頃、7速ATがM・ベンツには存在していたにも関わらず、“古い”5速ATが組み合わせられたのは許容最大トルクが影響していた。5速ATは最大トルク1079N・mまで耐えられたが、7速ATは735N・mまでしか耐えられなかったのだ。

ベース車両であるEクラス同様、レバーを左右に動かすことでギアシフトできる「ティップシフト」に加え、ステアリングホイール上のスイッチでギアチェンジ可能な「AMGステアリングシフト」を採用。

ブレーキはフロントに360㎜ディスクと8ポットキャリパー、リアに330㎜ディスクと4ポットキャリパーを備えていた。電子制御エアスプリングとダンパーを備えるセミアクティブサスペンション「AIRマチックDCサスペンション」にもAMG専用チューンが施された。

スポーツカーであれば硬い足回りが当たり前のように感じるが、E55はパワーに見合う足回りの引き締め方でやみくもに硬いわけではなかった。そういう意味ではスポーツカーというより、グランドツアラー的味付けが特徴だった。
 

ボディロールは排除されていたわけではなく、速くコーナリングするには荷重移動させることを必要とした。つまりはドライバーの技量を要し、車と“対話”できるスペックに仕上がっていた。

エクステリアは単にEクラスとの差別化を図るにとどまらず、空力特性の向上や冷却効率を高めるためのもの。

インテリアは基本的にベースのEクラスと同じだが、AMG専用デザインメーターなどさりげない差別化が図られていた。
 

AMG Eクラス ▲ナッパレザーとヌバックを組み合わせたスポーツシート

新車時1200万円オーバーの車が100万円台で狙える

新車時価格は1220万円だったE55だが、今となっては100万円台前半から狙えてしまう。

2007年にはマイナーチェンジで最高出力514psの6.2L V8NAエンジンを搭載した「E63」への進化を遂げた。

最大トルクは631N・mへと引き下げられ、ようやく7速ATと組み合わせられることになった。なお、E63の0→100㎞/h加速は4.3秒だった。

E63は200万円弱から200万円台半ば、という中古車相場を形成している。

NAエンジンの魅力を知りつつも、100万円台前半で狙えてしまうE55に個人的には興味津々だ。100万円台でE55ほどの走りを味わわせてくれる車が他にあるだろうか?

“型落ち”AMGの魅力は、まさに中古車ライフの醍醐味。現行モデルにこだわらなければ、本当にリーズナブルにハイパフォーマンスを満喫できる。

新車時価格が高い車の部品は古くなっても高いままだが、しっかりメンテナンスされてきた車であれば、そこまでビビる必要もないだろう。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
 

AMG Eクラス
AMG Eクラス
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/ダイムラー

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AMG Eクラス(2002年12月~2009年7月生産モデル)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。