メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲Cクラスのトップハイパフォーマンスモデル。マイスターが手作業で組み上げた2Lエンジンにパフォーマンス重視のモーターを組み合わせ、システム最高出力680ps/最大トルク1020N・mという驚きのパフォーマンスを発揮する

たかが2Lと侮るなかれ

実はAMGとCクラスはとても縁が深い。いまから約30年前の1993年、かつてのAMG社はダイムラークライスラー(当時)の傘下となり、いまのメルセデスAMG社となった。そのデビュー作が同年に発表された初代Cクラス(W202型)をベースとしたC 36 AMGだった。

コンパクトなボディにAMGチューンの3.6L 直6エンジンを搭載したこのモデルは、瞬く間に世界中の車好きの心を捉えた。C 36に続き、4.3L V8を搭載したC 43、そして5.4L V8を搭載したC 55が登場する。W203型の時代はC 32とC 55、そしてW204型の時代にはSLS AMGのベースにもなった名機といわれる自然吸気の6.2L V8エンジンを搭載したC 63が登場し、ひとつの頂点を迎えた。

2014年にW205型へとモデルチェンジすると、ダウンサイジングが始まり、C 43は3L V6ターボ、C 63は4L V8ターボと、車名と排気量とが符合しなくなる。

そして現行Cクラス(W206型)に登場したAMGモデルが「C 63 S E PERFORMANCE」。車名に「E」とあるように電動化モデル(プラグインハイブリッド)だ。パワートレインは、フロントに 2Lターボエンジン、リアにバッテリーとモーターを搭載する。
 

メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲排気管内に可変エグゾーストフラップを備えたAMGエグゾーストシステムを採用。ドライブコントロールスイッチなどでサウンド特性を変更できる

たかが2Lと侮るなかれ。A 45やSL 43などが搭載する、「One man, One engine」の主義に従い熟練のマイスターが手作業で丹念に組み上げた「M139」ユニットで、これにメルセデスF1チームが採用している技術を生かしたエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーを採用。エンジン単体で最高出力476ps/最大トルク545N・mを発生する。

リアアクスルに搭載されるモーターは、最高出力204ps/最大トルク320N・mで、フロントの2Lターボエンジンと電気モーターの組み合わせによりシステム出力は680ps、最大システムトルクは1020N・mに達するというからもう驚くほかない。

ちなみにモーターは、変速機内あるいは変速機よりも下流に電気モーターを置くP3 ハイブリッドと呼ばれるレイアウトを採用する。電動シフト式2速トランスミッションおよび電子制御式リミテッド・スリップ・デフとともにコンパクトなエレクトリックドライブユニット(EDU)にまとめられており、リアアクスル上方に配置される。この配置より車検証による前後重量は前1060kg、後1100kgと限りなく50:50に近いバランスとなっている。

前後アクスルにそれぞれ動力源をもつわけだから、駆動方式は無論4WD。Cクラスでは初めて、前後トルク配分の連続可変が可能な4MATIC+を採用。通常走行時はリア駆動を基本とし、走行状況やドライバーの操作に応じて前後トルク配分を0:100~50:50の間で連続可変するものだ。
 

メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲モーターでターボチャージャー軸を駆動させるエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーでブースト圧を維持、エンジンレスポンスはより自然になるという

そして、バッテリー容量は 6.1kWh。容量が小さいことからもわかるとおりEV走行の距離をかせぐのではなく、速やかな放電と充電が行えることを重点に設計されたものだ。これもF1マシン由来のAMGハイパフォーマンスバッテリーと呼ばれるもので、高出力を頻繁に繰り返し発生できる能力と軽量構造とを兼ね備えた。充電速度が速いことと出力密度が高いことによって、ワインディングなどでは上りでただちに100%のパワーを引き出すことができる一方、下りでは強力な回生ブレーキが得られる。ちなみにEV走行可能距離は15km(WLTCモード)だ。

バッテリー残量が十分であれば通常はEV走行をする。ワインディングの上りでガンガン踏めばあっという間にバッテリーは空になるし、下りを流していると残量がみるみる増えたりもする。なにをやっているのか体感することは難しいが、どうやらエンジン出力やら駆動力配分やら回生ブレーキやらシャシーやら相当に緻密な制御によるアシストをやってくれているらしい。要は、ドライバーはなんの違和感もなくスムーズに走ることができる。

システムトルクは1020N・mで、0→100km/h加速は3.4秒なのだからそれはもうめちゃくちゃ速い。けれども暴力的な速さとか、危うさとか、そういうものはまったく感じない。2Lエンジンも7000回転あたりまで淀みなくきれいに吹け上がる。それなりに勇ましい音もする。けれどもそこはやはりV8と比較すると、どこか物足りない気もする。

乗り心地のよさもそう感じさせる一因かもしれない。これまでのC 63にあった緊張感ある硬さのようなものがない。四輪それぞれを電子制御する連続可変ダインピングシステム備えたAMG RIDE CONTROLサスペンションは実にしなやか。もちろんお好みで「Sport」や「Sport+」といったハードなモードを選択することも可能だ。また、後輪操舵システムのリア・アクスルステアリングを標準装備したことで中高速域での安定性と、駐車するシーンなどでの取り回しのよさを両立させている。

考えてみれば、いまやF1のパワーユニットも1.6Lターボエンジンに2つのモーターを加えたハイブリッドシステムだ。かつての甲高いエグゾーストノートは聞かれなくなったけれど、タイムは年々速くなっている。見た目はふつうのCクラスのように見えるけれど、いま最もF1由来の技術を詰め込んだハイテクマシンなのだ。
 

メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲ベースモデル比で全長80mm、ホイールベースは10mm拡大している
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス ▲20インチの鍛造アルミホイールを装着。フロントフェンダーにはサイドエンブレムが備わる
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲赤い縁取りで“パフォーマンスハイブリッド”を示したエンブレムが備わる
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲インテリアデザインはベースモデル同様だが、AMG専用ドライブコントロールスイッチを備えたAMGパフォーマンスステアリングなどが装着されている
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲AMG専用のナッパレザーを用いたスポーツシートを標準装備。オプションとしてホールド性を高めたAMGパフォーマンスシート(写真)が用意されている
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス▲ハイパフォーマンスモデルながら、後席の居住性はベースモデル同様

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メルセデスAMG Cクラス(現行型)× 全国
文/藤野太一 写真/郡大二郎、茂呂幸正

ライバルとなるBMW M3(現行型)の中古車市場は?

BMW M3

3シリーズをベースに、BMW M社がサーキット走行を念頭において仕立てた「Mハイパフォーマンスモデル」で、同社が手がけたS58型3L 直6ツインターボエンジンを搭載する。M3初の4WD(xDrive)もラインナップするものの、内燃機関のみで500psオーバーの直6を後輪駆動で楽しめる貴重なモデルだ。軽量化を図った、さらにサーキット志向を強めたトラックパッケージも用意されている。

2024年3月上旬時点で、中古車市場には20台ほどが流通。価格帯は880万~2650万円となる。国内30台限定の高性能モデル「CS」もわずかだが流通している。
 

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BMW M3(現行型)× 全国
文/編集部、写真/ビー・エム・ダブリュー

【試乗車 諸元・スペック表】
●C63 S E パフォーマンス 4WD

型式 4LA-206080C 最小回転半径 5.9m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.84m×1.9m×1.46m
ドア数 4 ホイールベース 2.88m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.65m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 2130kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.13m
マニュアルモード
標準色

オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー

オプション色

オパリスホワイト

掲載コメント

※交流電力量消費率 WLTCモード 325Wh/km 市街地モードWLTC-L 339Wh/km 郊外モードWLTC-M 308Wh/km 高速道路モードWLTC-H 333Wh/km
※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 14km
※一充電消費電力量(WLTCモード)4.40kWh/回

型式 4LA-206080C
駆動方式 4WD
ドア数 4
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 オブシディアンブラック、ハイテックシルバー、スペクトラルブルー
オプション色 オパリスホワイト
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.9m
全長×全幅×
全高
4.84m×1.9m×1.46m
ホイール
ベース
2.88m
前トレッド/
後トレッド
1.65m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2130kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.13m
掲載用コメント ※交流電力量消費率 WLTCモード 325Wh/km 市街地モードWLTC-L 339Wh/km 郊外モードWLTC-M 308Wh/km 高速道路モードWLTC-H 333Wh/km
※充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)WLTCモード 14km
※一充電消費電力量(WLTCモード)4.40kWh/回
エンジン型式 139 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 60リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1991cc 燃費(WLTCモード) 10.2km/L
└市街地:7.6km/L
└郊外:11.1km/L
└高速:11.3km/L
燃費基準達成 -
最高出力 476ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
545(55.6)/5500
エンジン型式 139
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1991cc
最高出力 476ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
545(55.6)/5500
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 60リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 10.2km/L
└市街地:7.6km/L
└郊外: 11.1km/L
└高速: 11.3km/L
燃費基準達成 -