ホンダ アクティトラック▲間もなく生産終了になるアクティトラック。一部の中古車には新車より高い値が付けられている

生産終了で後継モデル登場の情報はなし! 今後は中古車に注目が集まる!?

2019年10月にホンダの軽トラック、アクティトラックが2021年6月をもって生産終了になるというニュースが流れた。

軽1BOXであるアクティバンはすでに2018年7月に生産終了となっていて、その役目はN-BOXから派生したN-VANに引き継がれている。

一方でアクティトラックは、次世代モデルに役目をバトンタッチする予定はない。つまり、アクティトラックの生産終了をもって、ホンダのラインナップから軽トラックが消滅することになる。
 

ホンダ アクティトラック ▲上級グレードの「タウン」はホイールキャップなどが備わる

アクティトラックの生産終了後は、新車で買える軽トラックがスズキ キャリイ、ダイハツ ハイゼットトラックと、両車のOEMモデルのみになる。

そのため、今後アクティトラックが欲しいと思ったら中古車を探すしかなく、需要が供給を上回って中古車相場が上昇する可能性もある。
 

スバル サンバートラック ▲中古車相場が値落ちしづらくなっている先代サンバートラック

過去の例を見ると、スバルが2012年まで製造していたオリジナルのサンバートラック(現在はダイハツからのOEMモデル)は、一部の中古車が新車よりも高値で取引されているケースも見られる。そのため、アクティトラックでも同じような現象が起こる可能性があるのだ。

なぜならば、サンバートラックのように、アクティトラックは特殊なエンジンレイアウトをしているからだ。

現状の中古車事情をお届けする前に、特殊なレイアウトを含めアクティトラックについて振り返ってみる。
 

MRレイアウトで『農道のフェラーリ』と呼ばれたアクティトラック

ホンダ アクティトラック ▲手前は2018年に限定販売された「スピリットカラースタイル」。奥がホンダ初の四輪車、T360

スポーツモデルのイメージが強いホンダだが、初の四輪モデルは、1963年に登場した軽トラックのT360だった。T360は1967年にTN360へと進化。そして、1977年に初代アクティトラックが登場した。

1960年に登場したダイハツ ハイゼット、1961年に登場したスズキ キャリイがFRの駆動方式だったのに対し、T360はエンジンをアンダーフロアに搭載したミッドシップに。この構造からスポーツトラックとまで呼ばれていた。TN360、そして初代アクティトラックもMRの駆動方式を踏襲。これは最終型となる現行型まで受け継がれている。
 

ホンダ アクティトラック
ホンダ アクティトラック ▲荷台にある四角いふたを開けるとエンジンが見える。真横からの写真だと後輪の前にエンジンが配置されているのがわかる

軽トラや軽1BOXが後輪駆動にこだわるのは、荷物を満載して後ろが重くなったときも、駆動輪にしっかりトラクションをかけるためだ(前輪駆動だと荷物満載時に駆動輪である前輪が浮き上がる可能性がある)。

ホンダは空荷も荷物満載時もしっかり四輪にトラクションをかけるため、重いエンジンをシート下に配置しているのだ。

RR方式だったスバル サンバーは、『農道のポルシェ』と称されることもあった。これに合わせる形でMRのアクティトラックは、『農道のフェラーリ』『農道のNSX』と呼ばれたりもする。

その名のとおり、サンバーのように独特な機構をしているため、実用面だけでなく走行性能も高いモデルなのだ。そんなアクティトラックが生産終了となるのだから、サンバーのような価格上昇が起こってもおかしくはない。
 

ホンダ アクティトラック
ホンダ アクティトラック ▲ピラーが細いので視界は良好。運転席は110mmの前後スライド機能を設定

アクティトラックと1BOXのアクティバンは基本的に同タイミングでモデルチェンジされていたが、2009年にそれが崩れる。

バンは2代目が継続販売される中で、アクティトラックは2009年12月にフルモデルチェンジ。フロントに小さなボンネットがあるセミキャブオーバー型から、フロントがスクエアな形になっている。

このデザインを採用したことでキャビンスペースが広くなり、さらにホイールハウスが市と下に配置されたことでペダル操作がしやすいレイアウトが実現。
 

ホンダ アクティトラック ▲3.6mという最小回転半径は、デビュー時には軽トラックNo.1の数字だった

また、ホイールベースが1900mmと先代より520mmも短くなったうえでタイヤの切れ角を大きく設定。これにより最小回転半径は4.3m→3.6mに縮小され、路地裏や細い農道での取り回しがしやすくなった。

最低地上高は185mm確保されているので、凸凹道でも車体下をぶつけにくくなっている。
 

ホンダ アクティトラック ▲最低地上高が高くホイールベースも短いので、ボディ下部を地面にぶつけにくい

ここで言うまでもなく、軽トラは仕事の道具。荷物をガンガン積んでどんなところでも走るので、当然荷台には多くの傷がつく。傷がつけば錆が発生しやすくなるが、アクティトラックはデビュー時にクラストップレベルの防錆性能を誇った。軽トラを長く使ううえで、これは地味だけれど重要な性能だ。
 

ホンダ アクティトラック ▲荷物を積みやすくするため、ゲートはみち板をひっかけられる構造になっている

また、2009年からのモデルライフの中で、アクティトラックは2015年3月に一度だけマイナーチェンジを行っている。

新色の追加や標準装備の見直しに加え、燃費性能が向上。マイナーチェンジ前の2WD車の燃費は、グレードにより異なり15.4~17.2km/Lだったが、一律で18.4km/L(JC08モード)を達成している。4WDモデルも同様に16.8km/Lから18.2km/Lに向上している。

ちなみに、スズキ キャリイとダイハツ ハイゼットトラック(およびOEM供給モデル)にはAT限定免許で運転できるものもあるが、アクティトラックはMTのみの設定になっている。
 

農業仕様のアタックも設定!

ホンダ アクティトラック ▲農業仕様のアタック

軽トラで忘れてはならないのが、農業仕様の存在。

田んぼのあぜ道や畑は未舗装なので、雨が降るとぬかるんでしまい、普通の車ではスタックして身動きが取れなくなってしまうこともある。また、農地には起伏の激しい荒れた路面もある。

アクティトラックは、農業仕様のアタック(4WD)のトランスミッションに、前進の1速より下のウルトラローに加え、通常のバックよりさらに下のウルトラリバースを追加。

歩くような速度で走行が可能になり、ぬかるみからの脱出や急な坂道での発進、収穫時の積載作業に合わせた速度での走行を容易にした。もちろん、4WDにはデフロックも備わる。
 

すでに新車価格を上回るものもちらほら……

新車のアクティトラックはグレードによっては注文受付を終了しているようだ。そのため、届出済み未使用車や未登録新車の中には新車価格(76.7万~212.7万円)よりも高い値が付けられたものが出てきている。

例を挙げると、新車時価格が123.2万円の660タウン 4WDの登録済み未使用車が、車両本体価格で159.8万円、支払総額169万円といった具合だ。

また、過去1年の中古車平均価格の推移を見ると、2019年式と2020年式が昨年の夏前から上昇傾向に転じている。2018年式はまだ相場が下がっていたが、年末頃に上昇傾向に転じた兆しが見えてきた。

同じように生産終了となった、2012年までのスバル製サンバートラックを見てみると、2010年式、2011年式あたりは価格がやや高めで推移していて、走行距離が少ないものだと新車時とほぼ変わらない価格が付けられたものもある。
 

ホンダ アクティトラック ▲荷台にはりんごコンテナ48個、みかんコンテナ52個を積むことが可能

「軽トラならどれでも構わない」なら手頃な中古車を探せばいいが、アクティトラックじゃないと困る人は相場が高くてもそれを選ぶしかない。

現行型アクティトラックの中古車は約560台流通。価格帯は30万~210万円となっている。高価格帯はアクティトラックをベースにした軽キャンピングカーが中心となる

最安価グレードのSTD(掲載は4台のみ)は、総額60万~80万円、AM/FMラジオなどが装備された中堅グレードのSDX(掲載420台)が総額30万~140万円。

それに加え、ガードパイプ付きの鳥居やキーレス、パワーウインドウなど装備がアップグレードされたタウン(掲載67台)は、総額40万~170万円となる。農業仕様のアタック(掲載52台)は、総額60万~132万円といったところだ。

そして、2018年に限定発売されたスピリットカラースタイル(掲載4台)は、160万~180万円となっている。新車価格は115.6万~128.8万円だったので、すでにプレミア化が進んでいる状況だ。

スピリットカラースタイルは希少性が高いので、しばらくは値落ちすることはないだろう。
 

ホンダ アクティトラック ▲スピリットカラースタイルは上で紹介したブルーの他、ホンダのパワープロダクツをイメージしたレッドも設定

全グレードを加味したうえで、もし比較的程度を重視し、走行距離5万km前後の物件で探すとなると、予算は80万円を見ておきたいところ。そうすれば2017年式あたりの個体が狙えてくる。

それよりも予算を抑えると、燃費性能が向上する前の前期型が中心となるが、予算50万円程度で狙うことも可能だ。
 

※記事内の情報は2021年2月22日時点のものです。
 

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文/高橋満 写真/ホンダ、スバル

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL