ダイハツソニカ▲高速道路を使ったロングドライブを快適に楽しめるという、これまでにないコンセプトで開発された軽自動車のソニカ

ダイハツ ソニカの中古車は今

軽自動車に“グランドツーリング”という、これまでになかった新たな価値を盛り込むことにチャレンジしたダイハツ ソニカ。

全高を高くして車内空間を広くした軽トールワゴンが全盛の中で、空力性能などを考慮しあえて低く構えたスタイルを採用した。

一方で、パッケージングの工夫により、当時、軽ナンバーワンの室内長を実現して、前後席ともに快適に座れるよう設計されていた。

全グレードターボエンジンを搭載して、ロングツーリングでも余裕のある走りが可能だ。中でもトップグレードは、7速のシフトチェンジが行えるゲート式のアクティブシフトを採用して、スポーティな走りが楽しめるようになっている。

生産終了から12年が経過しているため、予算50万円でほとんどの物件が狙える状況で、中古車相場は底値になっていると言っていいだろう。

ここからはソニカの特徴や中古車相場について紹介する。
 

ソニカ(初代)の特徴と中古車相場

■ソニカ(初代)DATA
生産期間:2006年6月~2009年4月
中古車流通量:約140台
中古車価格帯:10万~70万円
全長:3395mm × 全幅:1475mm × 全高:1470mm
 

ダイハツソニカ ▲空気抵抗を減らすために、大きく傾斜したフロントガラスが特徴的

■ソニカ(初代)の特徴
2000年代に入ると、軽自動車メーカーは軽トールワゴンの次に来るムーブメントを模索し、新しいコンセプトの軽自動車が数多く登場した。

現在、軽自動車選びの主流となっている軽スーパーハイトワゴンは、2003年11月に登場した初代タントがその市場を切り開いたものだ。

ダイハツ ソニカも新たなカテゴリーを開拓すべく、2006年6月に投入されたモデルである。
 

ダイハツソニカ ▲広い視界を確保するため、ボディサイドにはガラス部を4ヵ所設置。これにより伸びやかなシルエットになった

“軽快ツアラー”というコンセプトで開発されたソニカを一言で表すなら、軽自動車のグランドツーリングカーだ。

軽自動車は小さなボディや圧倒的な小回り性能を武器に、街中や路地裏でも楽に取り回せることが最大の魅力だ。一方で、パワーが小さいこともあり、高速道路を使ったロングドライブは苦手なモデルも少なくなかった。

ソニカはそんな軽自動車のネガティブな部分を克服し、行動範囲が広いアクティブなユーザーにも選んでもらえる軽自動車を目指して開発された。
 

ダイハツソニカ ▲インテリアデザインは、前席を心地よく包み込むサラウンドインテリアを採用。ファミリーではなく、カップルをターゲットにしたソニカらしいデザイン
ダイハツソニカ ▲前席は前に足をゆったり伸ばせるように設計。インテリアカラーはブラックとレッドの2色が用意された

軽トールワゴン全盛の中では、異質に感じるほど低い全高と大きく傾斜したフロントガラスは見るからに空力性能が高く、高速走行時も風の影響を受けづらい。

そして最も大きな特徴は、タイヤをボディ四隅ぎりぎりに配置し2440mmというロングホイールベースを実現したことだ。さらに、サスペンションを固定するブッシュと呼ばれるパーツに専用チューニングを実施。これらにより、高速走行時に直進安定性と快適な乗り心地を獲得した。
 

ダイハツソニカ ▲2440mmというロングホイールベースとコンパクトなエンジンルームにより、軽自動車トップの室内長を実現

エンジンルームもコンパクト設計にしたことで、デビュー当時、軽自動車トップの室内長を誇っていた。前後席ともに広々とした空間が確保されたことで、トールワゴンほどの室内高がなくても快適なドライブを楽しめるようにしている。

搭載エンジンは全グレードターボエンジン。トランスミッションはCVTが採用された。
 

ダイハツソニカ ▲室内高は低めの設計だが、リアシートを倒せば大きな荷物も積載可能

前後のドアの2重シール化や空気抵抗を抑えたドアミラー形状などにより、風切り音など走行中の車内に騒音や振動が入るのを抑える構造を採用。これは、ロングドライブ時の疲労の低減に寄与している。

最上級グレードとなる「RS リミテッド」の2WD車には、レーザーレーダーで先行車を検知し、設定した車速内で適切な車間距離を保ちながら追従走行する、レーダークルーズコントロールがオプション設定になっていた。

この時代の軽自動車でレーダークルーズコントロールが用意されるのはとても珍しく、このことからもソニカがグランドツーリングを念頭に開発されたことがわかる。
 

ダイハツソニカ ▲トップグレードにはレーダークルーズコントロールをオプション設定(写真はレーダーレーザーのセンサー部)

2007年8月の一部改良では、フロントグリルのデザインやバンパー下部の色変更、シート表皮の材質変更などが行われた。

軽自動車がさらなるスペース効率という方向にシフトしていく中で、ソニカはデビューから3年を待たず2009年4月に1世代限りで生産終了となっている。

短い期間ではあったが、軽自動車の新しい方向性を提示したという意味においてはとても意義ある存在であり、自動車メディアではとても評価が高いモデルだった。

ロングドライブできる軽自動車を低価格で手に入れたいと考えている人には、現在でも積極的にオススメできるモデルだ。
 

■ソニカ(初代)の中古車相場
生産終了から12年が経過していることもあり、年式による価格差はほとんどなくなっている。

最も流通量が多いのは、エアコンがオートエアコンになる中間グレードの「RS」で約70台。価格帯は総額10万~60万円となっている。総額30万円以下でも選択肢は豊富だが、走行距離が10万kmを超える物件が多い。

走行距離6万km以下の物件は数が少ないが、予算を40万円までアップすれば見つけることができる。

7速のシフトチェンジが行えるゲート式のアクティブシフトが採用された、トップグレードの「RS リミテッド」は約40台流通している。

若干価格帯は上がり選択肢は絞られるものの、こちらも走行距離6万km以下の物件は手に入る。

流通台数が少なく他車種とは一線を画すモデゆえ、選択肢があり価格が底値と思われる今が買い時かもしれない。

▼検索条件

ダイハツ ソニカ(初代)× 全国

※記事内の情報は2021年7月17日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/ダイハツ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL