▲こちらはリーフをベースにした、日産の最新型実験車両。ハイウェイから一般道まで自動運転が可能とのこと ▲こちらはリーフをベースにした、日産の最新型実験車両。ハイウェイから一般道まで自動運転が可能とのこと

車の自動運転化まであと4年!

日産が東京モーターショー2015で発表した「IDS コンセプト」が話題だ。“2020年代の自動運転技術”と“航続距離などの課題を克服する”という世相を反映したコンセプトモデルだけに注目を集めているのにも納得できる。特に、自動運転技術に関しては、センセーショナルな内容だけに各メディアも大きく取り上げた。

そもそも日産は企業ビジョンとして、日産車が関わる交通事故の死亡・重傷者数をゼロにする「ゼロ・フェイタリティ」と、走行中のCO2の排出をゼロにする「ゼロ・エミッション」を掲げている。そのゼロ・フェイタリティを実現するうえで、自動運転技術が大きな役割を担っているのは明白だろう。

事実、そういった考えを元に開発された技術がIDS コンセプトにも導入された「ニッサン・インテリジェント・ドライビング」だ。これは車を“知能化”することで快適性と安全性を高め、楽しみと安心をもたらすコンセプトのことで、今後段階的に市場にも投入される。

第1弾は2016年末までに混雑した高速道路での自動運転技術を導入予定。さらに2018年には高速道路でも自動で車線変更する複数レーンでの自動運転技術を実用化し、2020年までに交差点を含む一般道での自動運転技術の導入を計画しているという。

すでに自動運転で公道を走れるレベルに達している!?

では、具体的にどのような技術が使用されるのか。リーフをベースにした日産の最新型実験車両からそれを解説しよう。

使用されるデバイスは、ミリ波レーダー、車両周囲の物体との距離を正確に把握するレーザースキャナ、360度の視野を持たせるための8つのカメラなど。特徴の異なる複数の機器で情報を収集し、それを高性能チップによって高速で処理する。

そして自動運転はHMI(ヒューマンマシンインターフェース)と呼ばれる専用装備にて“操作”される。センターコンソールでは、通常走行モードと自動運転モードの切り替えや、自動車線変更の指示等を行うパイロットドライブコマンダーを備える。大型の液晶画面では車両情報を運転モードによって切り替え表示。通常走行モードではスピードメーターやバッテリー残量計、航続可能距離などを、自動運転モードではシステムが認識している周囲の状況を表示する。

こうした最新装備の導入により、高速道路だけでなく一般道を含むルートにおいて、ナビゲーションシステムで設定した目的地まで自動走行することが可能なのだ。

これらの技術は、もはや実用段階にある。公道での走行もすでに行われているし、一部のジャーナリストに向けた体験試乗会も開かれているほどだ。技術は十分。やっちゃうのか、日産!!

▲最新型の実験車両には、ミリ波レーダーやレーザースキャナ、8つのカメラなどを搭載。人の目よりも広く、正確に車両の周辺情報を把握する ▲最新型の実験車両には、ミリ波レーダーやレーザースキャナ、8つのカメラなどを搭載。人の目よりも広く、正確に車両の周辺情報を把握する
▲こちらがHMIを搭載したインテリア。大型液晶画面には車が把握している情報が表示される ▲こちらがHMIを搭載したインテリア。大型液晶画面には車が把握している情報が表示される
▲車両周辺の状況を把握し、複数のレーンでの車線変更が可能! ▲車両周辺の状況を把握し、複数のレーンでの車線変更が可能!
▲複数のレーンを走りわけ、前方の低速走行中の車両も追い越すことができる ▲複数のレーンを走りわけ、前方の低速走行中の車両も追い越すことができる
▲インターチェンジはもちろん、幹線道路や高速道路での合流や分岐も可能 ▲インターチェンジはもちろん、幹線道路や高速道路での合流や分岐も可能
▲信号や車両サイドの状況をセンサーが把握することで、交差点での信号停止や左折も自動運転のままこなせる ▲信号や車両サイドの状況をセンサーが把握することで、交差点での信号停止や左折も自動運転のままこなせる
text/亀井野 明昌
photo/日産