タフで知的な新型NV350キャラバンは、超過酷な実験を経てできあがっていた
2017/08/10
▲マイナーチェンジした日産 NV350キャラバンの車体実験見学会に参加! その様子をリポートしたいトヨタ ハイエースのライバルといえば、日産 NV350キャラバン
商用車の王者がトヨタ ハイエースならば、常に王者の背後からその座を狙っているのが日産 NV350キャラバンだ。
実際に車両の特徴は似ており、ラインナップや派生の類もそっくり。ただちまたの人気はハイエースに軍配が上がる。それは販売シェアや中古車相場からも見て取れる。
ただ、NV350キャラバンの現行型からは、その差をじわりじわりと縮めている。今回のマイナーチェンジでは、より精悍なフロントマスクを手に入れたと同時に、安全装備や機能性を向上させてきた。
▲アラウンドビューモニターの表示だがナビ画面はもちろん、ルームミラーにも表示可能だ
安全装備としては「自動ブレーキ」を標準装備するとともに、ディスプレイに車両を真上から見られるよう表示する「インテリジェントアラウンドビューモニター」をオプション装備してきた。
商用車は走る距離がハンパなく多いため、自動ブレーキはもしものときに助かる機能だ。商用車のドライバーだって、運転技術に優れた人だけではない。運転を苦手としている人も業務上ハンドルを握ることが多い。
また、仕事現場の状況は刻々と変化している。整地された駐車場ではない狭い場所にバックで駐車することもしょっちゅう。そんなときに「アラウンドビューモニター」が大活躍する。ぶつける危険性が軽減するなら、法人所有の車の場合、社長さんも大喜びだろう。
新型は、エンジンなどのタフさもレベルアップしているとのこと。近年は、サーフィンやバイクなどの趣味用途や、バンコンと呼ばれるキャンピングカーとしての個人利用ユーザーも目立ってきたそうだ。長持ち、安全、カッコ良さも手に入れたNV350キャラバン……快進撃の予感がする1台だ。
今回は、そんなNV350キャラバンの性能をアピールすべく、メーカーが開催した車体実験見学会のリポートをお届けしたい。
NV350キャラバン vs 寒さ・暑さ・ロボット!
ダンスもおもしろい(?)車体実験見学@日産車体 秦野工場
【実験その1】ステージ上でタップダンスするキャラバン
悪路を走るとサスペンションはもちろんボディにもその衝撃が伝わる。衝撃が伝わり続ければボディへのダメージも少なからずあるわけだ。しかしタフな商用車たるもの、何度か悪路を走ったくらいで壊れるわけにはいかない。
ということで、4本のタイヤの下にセットされた機械がボディをガシガシとゆすり続け、剛性に問題はないかを繰り返し実験するのだという。その姿は、まるでタップダンス……。
▲キャラバンがステージ上でタップダンスをしているみたいにジタバタと大きな車体を揺らし続ける。これは見ていておもしろかった
【実験その2】バナナもカチコチになるような冷凍庫でキンキンに冷えるキャラバン
商用車たるもの、寒いからといって動かなくなるようじゃ仕事にならない。ましてや壊れるなんて言語道断。ということで、車が入るでっかい冷凍庫で寒さに耐える実験も行っていた。
特別にキャラバンと一緒に冷凍庫に入らせてもらったが、息をすると肺が痛くなるような寒さだった。一体マイナス何度なのさ、ここは……。
▲空気まで白く凍りつくような激烈に寒い冷凍庫にキャラバンが!
【実験その3】汗が噴き出るアツアツの大型トースターの中で耐えるキャラバン
商用車たるもの、暑いからといって日陰で休んでいるわけにはいかない。
キャラバンの活躍の場には中東や東南アジアなど、暑い国もあるのだから。メラメラと赤く光る天井と壁から熱風が噴き出ているでっかいトースターの中でじっと耐えているキャラバンがカッコいい。
「もう結構です」と丁重に断ったにも関わらず、暑さに耐えるキャラバン部屋に入れられてしまった。激暑っす……。
よくこんな中で平然としていられるもんだ。「偉いぞ、キャラバン」とボディを触って激しく後悔した。
▲暑い……。皮膚が痛いくらい暑い部屋でクールに佇むキャラバン
【実験その4】今何回目ですか? え、一晩中やるの!? がんばれキャラバン
質問です。商用車のスライドドアは1日何回開閉するでしょうか。
1ヵ月だと? 年間だと? では数年間では? ……その開閉回数は一般車の比ではないだろう。しかも丁寧に開閉されることは少ないのではないだろうか。
ドアがぶっ壊れてしまっては仕事にならない。そうなったら商用車としては生きていけないだろう。丈夫に作られているとはいえ、やっぱりこれも試すのだという。ロボットがドアを開けて、すぐにバタン! と閉めているが、これを1日中やっているらしい。
最初は「おーーー!」と見ていたが、3分もしないうちに飽きてしまった。ドアが閉まるたびにゆらゆらと揺れるキャラバンには哀愁が漂っていた。
▲「ガチャ、スーッ、バタン!……」というスライドドアの開閉音だけがリズム良く響く
【実験その5】ガンガン走る。とにかく走るキャラバン
石畳の道、傾斜道、不規則に波打つ道など様々なタイプの道があり、そこをキャラバンがマジ走りしていた。キャラバンには必要ないかもしれないが、場内には世界一小さいといわれているらしい、かわいい小さなバンクもあった。
まさかそこで商用車最高速テストはやってはいないと思うが、とにかくいろいろと負荷をかける試験を丁寧に行っているからこそ、世界に認められる壊れにくい日本車というものがあるのだと実感することができた。
▲大きな車体を揺らしながら凸凹道を行ったり来たり。こうやって車体を鍛えていくのね【関連リンク】
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