▲世間的にも、そしてカーセンサー的にもやはり大人気だったBMW 3シリーズ。その中古車の選び方を、想定予算別で真剣に考えてみます! ▲世間的にも、そしてカーセンサー的にもやはり大人気だったBMW 3シリーズ。その中古車の選び方を、想定予算別で真剣に考えてみます!

人気となるのも当然な「優等生」

カーセンサーだけがもっている膨大なデータをもとにした、毎年好例の中古車注目度ランキング「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。その2018年版で総合8位に付け、輸入車としては第2位に輝いたのは旧型BMW 3シリーズ(5代目・E90型)でした。


新車の方の現行BMW 3シリーズ(6代目・F30型)も、2018年上半期の輸入車モデル別販売ランキングで6位に付けたこの車は、

●比較的手頃なサイズでありながら
●高級感は十分以上で
●BMWならではのシャープな走行性能を堪能できる


というかなりの優等生ですので、人気が高いのも完全に納得です。

こういう車って他にもありそうで、実はあまりないですからね。

ということで、これから旧型BMW 3シリーズを買ってみたいという方に向けて「結論としてワタシはどの年式の、どんなグレードを買えばいいの?」という部分をズバリ解説したいと思います。

▲こちらが旧型BMW 3シリーズで、写真は2005年から2008年末までの前期型。扱いやすい適度なサイズ感と各部の上質なデザインおよび素材、そしていかにもBMWらしいタイトな走りが魅力の1台です▲こちらが旧型BMW 3シリーズで、写真は2005年から2008年末までの前期型。扱いやすい適度なサイズ感と各部の上質なデザインおよび素材、そしていかにもBMWらしいタイトな走りが魅力の1台です

お手頃予算で狙うなら目安は「総額100万円前後」

その気になれば「総額40万円ぐらい」という超破格値で買うこともできる旧型3シリーズですが、さすがにそこまで安い物件だと、若干オススメしづらい部分もあったりします。

「できるだけ安く買いたいが、ある程度キレイな物件であってほしい」という場合は、「支払総額80万円ぐらいから」というのがひとつの目安になるでしょう。

総額80万~120万円付近、つまり「総額100万円前後」で狙える年式とグレード、およびその流通量は下記のとおりです。

これは4気筒の2Lエンジンを積んだベースグレードです。

とにかく流通量が多いので、表面上のスペック(年式や走行距離など)だけで判断するのではなく、なるべくたくさんの実車を見比べることで「当たりの1台」は見つかりやすくなるでしょう。

BMWの代名詞である「2.5L直列6気筒エンジン」を搭載した初期のグレードです。

ただし後述する325iよりエンジン出力はやや抑えられています。

流通量がやや少なめですので、323iの決め打ちではなく「もしも素敵な個体と巡り合ったら買う」ぐらいのスタンスで臨むのが得策です。

323iと同じ2.5L直列6気筒ですが、325iは高出力版になります。かなり素敵なエンジンです。

こちらもこの価格帯では流通量少なめなので、グレード決め打ちは禁物。

「もしもイイのがあったら」ぐらいの気持ちで探してください。

考え方は人それぞれでしょうが、筆者としては「総額100万円前後のお手頃予算で探すなら、ベーシックな320iがベスト」だと思っています。

なぜならば320iは分母が大きい分だけ(流通量が多い分だけ)、いわゆる掘り出し物と巡り合う頻度が他のグレードよりも高いからです。

▲6気筒エンジンとなる325iや323iの走りは確かに魅力的ですが、4気筒の320iでも「ぜんぜん十分」と感じるケースは多いもの。320iはタマ数が多いため中古車の取捨選択がしやすいというメリットもあります▲6気筒エンジンとなる325iや323iの走りは確かに魅力的ですが、4気筒の320iでも「ぜんぜん十分」と感じるケースは多いもの。320iはタマ数が多いため中古車の取捨選択がしやすいというメリットもあります
▲写真は高額なオプション装備であるレザーシートなどが付いているバージョンですが、前期型のインテリアはおおむねこのような感じとなります▲写真は高額なオプション装備であるレザーシートなどが付いているバージョンですが、前期型のインテリアはおおむねこのような感じとなります

総額100万円台半ば以上の予算なら「後期型」にこだわりたい

「総額100万円前後と言わず、総額100万円台後半ぐらいまでなら出す用意はあるぞ」というのでしたら、選択肢はさらに広がります。

で、その場合にキーワードとなるのが「後期型」です。

旧型BMW 3シリーズは2008年11月にマイナーチェンジを行っていて、このタイミング以降の個体は後期型と呼ばれます。

前後バンパーやライトのデザインなどを変更するとともに、ボンネットには2本のラインを追加。

インテリアでは新型iDriveを採用して操作性を高め、8.8インチのワイドディスプレイも高解像度なものになりました。

また追突時に乗員頭部のダメージを軽減する「アクティブヘッドレスト」が標準装備されたのも、地味ですが重要なポイントかもしれません。

▲こちらが後期型のビジュアル。ちなみに日本仕様はこのタイミングから、1815mmだった全幅が15mm狭められて1800mmへと変更され、より扱いやすいボディ寸法になっています▲こちらが後期型のビジュアル。ちなみに日本仕様はこのタイミングから、1815mmだった全幅が15mm狭められて1800mmへと変更され、より扱いやすいボディ寸法になっています
▲iDriveコントローラーのまわりにダイレクトメニューコントロールボタンを追加。地図を直接呼び出せる「MAP」ボタンは日本仕様独自のもの。その他にも、後期型のインテリアは微妙に変わっています▲iDriveコントローラーのまわりにダイレクトメニューコントロールボタンを追加。地図を直接呼び出せる「MAP」ボタンは日本仕様独自のもの。その他にも、後期型のインテリアは微妙に変わっています

そんな後期型(つまり09年式以降)を総額140万~180万円ぐらいで狙う場合のオススメは、おおむね以下の2方向であると考えられます。

後期型の320iに「Mスポーツパッケージ」という大人気のパッケージオプションが装着されたものです。

専用の前後バンパーやサイドスカート、17インチホーイル、専用サスペンション、そしてMスポーツパッケージ専用となる内装アイテム各種がとにかくカッコいいパッケージですので、スポーティな雰囲気を好む人にはハマること間違いなしです。

基本的には320i Mスポーツパッケージが流通の中心を占めますが、もしも類似価格帯で良コンディションな「325i Mスポーツパッケージ」と巡り合えたなら、そちらもかなりオススメです。

前述のとおり素晴らしいエンジンですから。

▲総額150万円以上を用意するなら、できれば「Mスポーツパッケージ」を狙いたいところ。写真は2010年8月に110台限定で登場した特別仕様車「Mスポーツ・カーボン・エディション」▲総額150万円以上を用意するなら、できれば「Mスポーツパッケージ」を狙いたいところ。写真は2010年8月に110台限定で登場した特別仕様車「Mスポーツ・カーボン・エディション」

燃費性能が格段に向上した「最終型」も気になる

後期型を総額100万円台後半で狙う場合の、もうひとつの方向性がコレです。

旧型3シリーズは2010年5月に最後のマイナーチェンジを行い、燃費性能を大幅に向上させました。

320iの場合はいわゆる直噴エンジンに変更され、「希薄燃焼」と呼ばれる技術や、その他様々な技術も投入しました。

これにより、320iでは出力&トルクが約10%アップしたにも関わらず燃費は約45%向上するという、かなり嬉しい結果になったのです。

そんな最終型の320iは、カーセンサーnetでは車名のところに「LCI後期」とか「直噴EG」などと記載される場合がほとんどですので、それがひとつの目印になります。

ちなみに「LCI」というのは要するにマイナーチェンジのことで、「EG」というのは、この場合は「エンジン」を意味します。

▲「LCI後期」と表記される場合が多い最終型。320iは直噴方式のエンジンに変更された他、「エンジン オートスタート/ストップ機能」(アイドリングストップ)も追加されました▲「LCI後期」と表記される場合が多い最終型。320iは直噴方式のエンジンに変更された他、「エンジン オートスタート/ストップ機能」(アイドリングストップ)も追加されました

この他、かなり強力なターボ付きエンジンを積む「335i」というグレードもあります。

そちらの場合、パフォーマンスはかなり魅力的なのですが、デリケートな部分もあるエンジンですので万人向けとは言いがたいかもしれません。

それゆえ基本的にはここまでに示した方向性、すなわち、

●総額100万円前後で、極力コンディション良さげな前期320iを探す
●もしくは総額100万円台半ばから後半ぐらいで後期型320iまたは325iを探す


というのが、旧型BMW 3シリーズをこれから買ううえでの得策となるはずです。

コンディション良好な個体と巡り合うことさえできれば、E90型BMW 3シリーズは旧型となった今なお「駆け抜ける歓び」、そして「所有する歓び」を味わわせてくれます。

流通量も非常に豊富ですので、ぜひともじっくり、そして楽しく悩みながら「自分だけの1台」を探し出していただけましたら幸いです。

text/伊達軍曹
photo/BMW

▼検索条件

BMW 3シリーズ × 2005年4月~2011年12月生産モデル