ミニ ▲新型である「ミニクーパー」が登場したことで“旧型”となった先代ミニですが、その車としての魅力は、新型が登場した今もほとんど減じていないような気がします。そこで、比較的お買い得になってきた感のある「先代ミニ」の選び方を考えてみましょう!

ついに「ミニクーパー」へのフルモデルチェンジが行われたが……

幅広い層のユーザーから大人気のしゃれた輸入コンパクトカー、「ミニ」がフルモデルチェンジを受けました。

それまではあくまでも通称として「ミニクーパー」と呼ばれることが多かったミニですが、今回のモデルチェンジで「ミニクーパー」こそが正式な車名に。

そして、それまで存在していた「クーパー」という中間グレードのグレード名は消滅。代わりにエンジン車は「C」と「S」という2グレード体制になり、「E」と「SE」というBEV(電気自動車)もラインナップされることになりました。
 

ミニ▲こちらが2024年3月に登場した新型「ミニクーパー」。写真のグレードはS
ミニ▲それまではミニの中間グレードのグレード名だった「クーパー」が車名に昇格し、現在の正式車名はミニではなく「ミニクーパー」に変更されている

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ミニ ミニクーパー × 全国
 

でも、先代も依然として魅力的なのでは?

すべてが新しくなった新型のミニクーパーは、当然ながらかなり魅力的な車です。しかし2024年3月をもって「旧型」になった先代モデルだって、まだまだ十分に魅力的であるとはいえるはずです。

ボディサイズは新型も先代もおおむね同等であり、ミニならではの小気味良い走行フィールは――もちろん新型の方が洗練はされていますが、先代も大きくは負けていません。

そして先代の内外装デザインは、今どきのシンプル系すっきりデザインに変わった新型と比較すると「装飾過多である」とする見方もありますが、若干装飾過多である分だけ、「程よい重厚感」のようなものを味わうことができます。
 

ミニ▲こちらは新型ミニクーパー。昨今のトレンドである「ツルンとしたシンプル系デザイン」でまとまっている
ミニ▲新型ミニクーパーのインテリア。こちらも同様に、デジタル世代の車特有のシンプルなデザイン構成
ミニ▲一方、こちらは先代ミニの後期型。新型と比べるとデコラティブ(装飾的)なデザインといえる
ミニ▲先代はインテリアも同様に、新型と比べると装飾的。好みは分かれるだろうが、「こちらの方が好き」という人も多いのでは?

そしてそれより何より新型ミニクーパーは、新車を買うとなると、最もベーシックなミニクーパー C 3ドアでも総額400万円台半ばの予算が必要になりますが、先代のグッドコンディションな中古車であれば、グレードや世代にもよりますが、総額100万円台後半から狙うことも可能です。

もちろん「それでも自分は新型のミニクーパーを買いたい!」と考える人を、無理やり止めるつもりはありません。しかし「よく考えると先代の中古車の方が、自分にとっては高コスパかもしれないな……」と考える一部の人に向け、今このタイミングであえて「先代ミニの選び方」を考えてみたいと思います。
 

 

中古車を絞り込むうえで知っておくべきグレードの差異は?

先代ミニは2014年4月から2024年2月までの約10年にわたって販売され、様々なグレードがラインナップされました。またマイナーチェンジも2度行われ、その他に特別仕様車も数多く登場しています。

それらすべてについて解説しようとすると、かなりのボリュームになってしまいます。そのためここでは「最低限これだけ知っておけばおおむねOK!」というニュアンスで、先代ミニのグレード関係を整理してみましょう。

【ボディ形状の違い】
先代ミニの基本形は「3ドアハッチバック」ですが、途中から「5ドアハッチバック」も追加され、こちらも大いに人気を博しました。それぞれの寸法の違いは下記のとおりです。

●3ドア:全長3835mm×全幅1725mm×全高1415mm ホイールベース2495mm
●5ドア:全長4000mm×全幅1725mm×全高1445mm ホイールベース2565mm
 

ミニ▲こちらが先代ミニの基本形である3ドアハッチバック
ミニ▲こちらは途中から追加された5ドアハッチバック。全長は3ドアよりも165mm長い

【エンジンの違い】
エンジンだけが異なるわけではないのですが、先代ミニには主に3種類のガソリンエンジンと2種類のディーゼルエンジンが用意され、搭載するエンジンごとに、下記のグレードに分かれていました。そしてそれぞれに「3ドア」と「5ドア」が存在します。

●ワン
最高出力102psの1.2L直3ガソリンターボを搭載するエントリーグレード(※2018年1月以降は1.5L)

●クーパー
最高出力136psの1.5L直3ガソリンターボを搭載する中間グレード

●クーパーS
最高出力192psの2L直4ガソリンターボを搭載する上級グレード

●クーパーD
最高出力116psの1.5L直3ディーゼルターボを搭載する標準グレード

●クーパーSD
最高出力170psの2L直4ディーゼルターボを搭載する上級グレード

また、この他「ジョン・クーパー・ワークス」という超スポーティなグレードは、最高出力231psの2L 直4ガソリンターボを搭載しています。
 

ミニ▲写真は最高出力170ps/最大トルク360N・mの強力な2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載する「クーパーSD」

【世代的な違い】
先代ミニは2018年5月と2021年5月に、それぞれマイナーチェンジを行っています。この2回のマイナーチェンジを境に、先代ミニは「前期型」「中期型」「後期型」に分けることができます。それぞれの世代の主な特徴は下記のとおりです。

●前期型(2014年4月~2018年4月)
日本上陸から4年間続いた世代。各グレードのトランスミッションは6速ATまたは6速MT。
 

ミニ▲2014年に登場した前期型。写真のグレードはクーパー

●中期型(2018年5月~2021年4月)
新しいMINIのロゴを採用し、LEDのデイライトランニングライトを搭載。リアコンビネーションランプにはユニオンジャックのデザインを採用。インテリアパネルにもユニオンジャックのモチーフを採り入れられた。

オートマチックトランスミッションは「クーパー」と「クーパーS」は6速ATから7速DCTに、「ジョン・クーパー・ワークス」は6速ATから8速ATに、それぞれ変更された。
 

ミニ▲こちらが中期型のエクステリア。トランスミッションもDCTに変更されている
ミニ▲ユニオンジャックの絵柄が特徴となるリアコンビネーションランプ

●後期型(2021年5月~2024年2月)
2度目のマイナーチェンジで内外装のデザインを変更。エクステリアではLEDヘッドライトが全車標準となり、フロントグリルはフレームを太くしつつ、全体的に大型化。

インテリアはレザーステアリングホイールとタッチ式の8.8インチセンターディスプレイが全車標準に。また運転支援システムの強化も行われた。
 

ミニ▲口ひげのような(?)太く黒いフロントグリルフレームを採用した2021年5月以降の後期型
ミニ▲後期型では8.8インチセンターディスプレイが備わり、デジタル表示の5インチマルチディスプレイメーターパネルがミニ ワン以外に標準装備された

以上を踏まえつつ次章、「では今、どんな先代ミニを選ぶべきか?」という具体的な話に移ってまいりましょう。
 

 

中古車の買い方①|オススメゾーンは総額300万円付近または200万円台半ば

車に求めるものは人それぞれであるため、一概に「これがオススメ!」とは決めづらいものです。しかし、もしも「いろいろな面での“新しさ”を重視したい」と考えるのであれば、後期型の「クーパー 3ドア」がオススメとなります。

中古車価格は様々ですが、総額280万~320万円付近のゾーンで、十分に好条件な1台が見つかるでしょう。
 

ミニ▲こちらが後期型の中間グレードであるクーパー 3ドア

もちろん、より上級でパワフルな「クーパーS」もいいですし、同じクーパーの「5ドア」も、居住性の面ではより魅力的です。とはいえ、それらを選ぼうとすると若干高めの予算が必要となるため、「そこまでのお金を出すなら、いっそ新型の新車を注文した方が……」という迷いが生じてしまいます。

しかし後期型のクーパー 3ドアであれば「総額300万円付近」という比較的手頃な価格で好条件な個体を見つけることができるため、「先代の中古車であること」も割り切ることができるはず。

そして動力性能も1.5L 直3ターボのクーパーでも普通に十分であり、ビジュアル的にも「後期型」であるがゆえ、古さはほとんど感じません。それゆえ、とりあえずのオススメは「総額300万円付近の後期型クーパー 3ドア」ということになるのです。
 

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ミニ ミニ(3代目) × 2021年5月~ × クーパー × 3ドア × 全国
ミニ▲後期型クーパー3ドアのインパネまわり。8.8インチセンターディスプレイやデジタルメーターのビジュアルや使い勝手を含め、いわゆる古さはほとんど感じさせない

とはいえもちろん、「自分はもう少し予算を足してもOKだ」と思っているならば、下記の選択肢をチェックしてみるのも大いにアリです。

●後期型クーパー 5ドア|要チェックゾーン=総額310万~350万円付近
●後期型クーパーS 3ドア:要チェックゾーン=総額330万~380万円付近
●後期型クーパーS 5ドア:要チェックゾーン=総額350万~400万円付近

その他ではディーゼルターボエンジンのクーパーDとクーパーSDの後期型も気になるところですが、こちらは中古車の流通量が少なめであるため、やや探しづらいでしょう。

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ミニ ミニ(3代目) × 2021年5月~ × 全国

またさらにその他では、2018年5月以降の「中期型」を選んでみるのも悪くありません。後期型と比べるとデザイン的に若干の古さは感じますが、丁寧に乗られてきた物件でさえあれば、まだまだ「ミニならではのポップで痛快なフィーリング」を十分に堪能できます。

中古車価格はまちまちですが、3ドアまたは5ドアの「クーパー」であれば総額200万~250万円付近、同じく3ドアまたは5ドアの「クーパーS」であれば、総額230万~280万円付近が要チェックのゾーンです。
 

ミニ▲比較的手頃な予算で狙うことができるのが中期型。写真のグレードはクーパーS

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ミニ ミニ(3代目) × 2018年5月~2021年4月 × 全国
 

中古車の買い方②|今のところ先代でしか買えない「ジョン・クーパー・ワークス」を狙う

超スポーティなフィーリングと活発な動力性能を堪能できるのが「ジョン・クーパー・ワークス」というグレードですが、新型ミニクーパーには今のところ、ジョン・クーパー・ワークスは設定されていません。

そのため「猛烈にスポーティなミニが欲しい!」と考えるなら、自動的に先代のジョン・クーパー・ワークスが選択肢になります。
 

ミニ▲こちらは先代ミニの前期型ジョン・クーパー・ワークス
ミニ▲こちらは2018年5月以降のジョン・クーパー・ワークス

2024年11月下旬現在、ジョン・クーパー・ワークスの中古車流通量は約150台。価格は総額180万~580万円というイメージです。トランスミッション別で見ると、6速MTはわずかに約20台で、ほとんどが6速ATまたは8速ATという状況。特に流通量が多いのは8速ATの後期型です。

そういった状況下で、もしも「それでも自分は6速MTにこだわりたい!」と考えるのであれば、その価格目安はおおむね下記のとおりです。

●前期型6速MT|総額200万~300万円
●後期型6速MT|総額320万~470万円

前期型MTの良質車を探したい場合は総額200万円台後半、後期型MTの比較的手頃な良質車を探したい場合は、総額400万円台前半が狙いどころです。数は少なめですが、前オーナーからの扱われ方と整備履歴の良し悪しを吟味しながら、じっくり探してみてください。

一方で「自分はATでもぜんぜん構わない」ということであれば、ジョン・クーパー・ワークスであっても流通量は比較的豊富です。そして前期型と後期型それぞれの価格的な狙い目ゾーンは、おおむね下記のニュアンスとなるでしょう。

●前期型6速AT|総額220万~300万円
●後期型8速AT|総額260万~350万円

 

ミニ▲ジョン・クーパー・ワークスのAT仕様。手動での変速に特別なこだわりがないのであれば、物件数が豊富な「ATのジョン・クーパー・ワークス」を探してみるのもアリだ

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ミニ ミニ(3代目) × ジョン・クーパー・ワークス × 全国
 

中古車の買い方③|今のところ先代でしか買えない「MT車」を狙う

ジョン・クーパー・ワークスと同様に「MT」も、新型のミニクーパーには今のところ設定されていません。それゆえ「自分はやっぱり常に己の意思で変速させたい!」と考えるなら、自動的に先代ミニの中古車を選ぶことになります。

しかし残念ながらミニは、先代であってもMT車の数はいささか少なめです。

先代ミニ全体の中古車流通量は2024年11月下旬現在、2000台以上ときわめて豊富なのですが、そのうちMT車は約80台のみ。MT車の比率は全体の約4%でしかなく、やや特殊なグレードであるジョン・クーパー・ワークスを除いてカウントした場合のMT車比率は約3%まで低下します。
 

ミニ▲残念ながらMTの先代ミニはやや希少だが……

とはいえそれでもMT車が流通していることだけは確かです。「自宅から近い販売店には置かれていない」などの諸問題はあるかもしれませんが、下記の価格イメージにて6速MTの先代ミニを見つけることはいちおう可能です。(※流通台数と価格は2024年11月下旬現在)

●ワン 3ドア|5台|総額120万~130万円
●クーパー 3ドア|20台|総額110万~400万円(※特別仕様車を含む)
●クーパーS 3ドア|30台|総額120万~380万円(※特別仕様車を含む)

なお、5ドアの各車に6速MTは設定されませんでしたが、「アイスブルー ブラック エディション」という特別仕様車は唯一、6速MTが設定された5ドアのミニです。そちらは前述日現在、わずか4台ですが総額250万~400万円付近で流通しています。

希少なアイスブルー ブラック エディションはさておき「MTのミニが欲しい!」と思う場合には、まずは3ドアのクーパーまたはクーパーSを総額200万~300万円付近のゾーンでサーチする。そしてその中からコンディションと整備履歴が良好なモノを選び出すというのが、最も現実的な方策となるでしょう。ぜひ、じっくり探してみてください。
 

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ミニ ミニ(3代目) × MT × 全国

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文/伊達軍曹 写真/ミニ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。