スバル フォレスターは落ち着いた乗り心地でクルージングに良好な1台だ
カテゴリー: スバルの試乗レポート
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2015/12/28
ステアリングギヤ比の変更とバネの最適化により安定感ある落ち着いた仕上がりに
発売以来3年が経過したフォレスターは各部リファインされ、今回が初めての公道試乗会となった。テストコースでは静粛性の向上とサスペンション系が成熟した印象であったが、果たして公道ではいかがだろうか。高速周回路のテストコースと公道との最も大きな違いは路面状況である。周回路で良好でも一般道になると全くイメージが変わってしまうことも多々ある。
今回試乗したのはX-BREAKモデルというホイールやステッチにこだわりを持ったモデルだ。試乗会の会場は車を渡されると私道のグラベルを走り抜けてターマックの公道へと変わる道だ。私道を鋭く加速してみる。足元はスリップひとつすることなく完璧なトラクションだ。片輪が滑ってトルクステアーも考えられるが、そんな心配はなく極めて安定感がある。
結論から先に言うと、スポーティなSUVであった前モデルに比べてゆったりと高速を走りたい車になった印象を受けた。なぜならば機敏な動きよりも落ち着いた乗り心地に舵を振ったように思うからである。これは他のスバルのモデルもそうだが、サスペンションは動かしてなんぼだという結論がそうさせている。
以前のフォレスターはロールを抑えて機敏でスポーティな要素を持ちながら、ステアリングギヤ比をゆるくすることで操縦安定性が図られていた。新たなフォレスターはステアリングギヤ比をよりクイックにしながらも、安定感ある落ち着いたハンドリングに仕上げたのである。高速道路では、以前よりも外乱(横風や轍)に対して神経質ではなくなっており、遠出でも疲れない。また風切り音も減少しており、クルージングに良好な仕様によりXVとのすみ分けをきっちりとさせた印象がある。
低速時から積極的にサスペンションを動かしてダンパーの役割もきっちり果たす。バネとダンパーを最適化したというが、最も大きな功績は大きなパーツの変更ではなく見ることも触れることも難しいブッシュ類の硬さを見直したことにある。結果として、ゴムの柔らかさで静粛性と乗り心地を作り出すのではなく、本来のサスペンションの働きに対して忠実にダンパーとスプリングで役割を担わせているのだ。これが新しいスバルのサスペンションの考え方だ。
良いとされるものは車種のヒエラルキーに関係なく採用することは、この会社がエンジニアリング主導だという証しである。スバルは"WRX"という走りに徹したスポーツセダンを作り上げた。このモデルがスバルの方向性を決めているように思える。なぜならば最高のパフォーマンスを持ったモデルを作り、結果を出すことによって他のモデルに反映させることができたからである。しかしパフォーマンスの向上に伴い、内外装の質感を一層高めなくては世界的には戦えない。今とは比べものにならない質の向上をただ願うだけである。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:2.0 X-BREAK 4WD ■乗車定員:5名
■エンジン種類:水平対向4DOHC ■総排気量:1995cc
■最高出力:148/6200[ps/rpm]
■最大トルク:196/4200[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:4610x1795x1735(mm) ■ホイールベース:2640mm
■車両重量:1510kg
■車両本体価格:275.4万円(税込)
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