スバル BRZが走りの質感と存在感を高め、大人なスポーツカーにビッグマイナーチェンジ
2016/07/17
▲試乗したスバル BRZ(2.0 Sグレード)スバル BRZ がビッグマイナーチェンジ
2012年の登場以来、初めてのビッグマイナーチェンジとなるBRZ。水平対向ユニット特有の低重心を巧みに利用したデザインは4年経過しても全く古い感じを受けない。完成度が高いゆえにビッグマイナーチェンジを行うのは逆に難しい。
エンジンの最大出力は207ps(152kW)と従来よりも7ps、最大トルクも212N・m(21.6kgf・m)と7N・m向上している。エクステリアには細かな意匠を凝らしLEDを多用し質感と存在感を高めている。しかしBRZはスポーツカー。見た目以上に走った質感が最も大切だろう。公道では試乗できなかったが、富士スピードウェイのショートサーキットで既存グレードの中で最も装備が充実した「S(6MT)」のプロトタイプを試乗することができたので報告したい。
足回りの進化に合わせ、走りの質感も向上
着座位置が低いポジション、シフトやペダルの扱いやすいレイアウトは本物のスポーツカーだ。シートも、スバルの中ではレカロなどのスペシャルシートを除いて最もホールド性が高く質感が良い。
初めに一般道を想定した構内の連絡道路を試乗する。低速時にちょっとした段差を乗り越えると、引き締まったサスペンションではあるがボディがバイブレーションすることなくダンパーとコイルでキメ細かくいなしている。ファイナルギア比の変更で、発進からシフトアップするたびにパワーバンドに収まる。マニホールドのアルミ合金化の影響か、車内に入る吸気音はその気にさせるサウンドだ。
ステアリングフィールもしっとりと重みを増した。ECUのマッピング変更で最少舵角のコーナリングでもインフォメーションが向上して安定感が増した。パワーアップしたエンジンというよりもパワーバンド内に収めやすくなったファイナルギアが好印象だ。これがアクセルのレスポンスの良さにつながり、楽しさを倍増しているのだ。
▲インテリアは随所にレザー調素材巻きに赤いステッチが施されるなど、質感を向上させているVDCにTRACKモードが追加
小雨が残るショートサーキットも走ってみた。この車が本領を発揮するステージといえるだろう。
今回のビッグマイナーチェンジでは限界時の横滑り防止装置(VDC)の特性を変更したと同時に、TRACKモードというサーキットでのスポーツ走行を想定したVDCセッティングを選択できるスイッチが追加されている。濡れた路面ということもありパワードリフトは容易だ。VDCが作動しても適度に滑らせる楽しさが特性の変更点だ。路面状態が悪くてもトラクションはとても良い。コーナリング中のリアサスペンションは特に良いと感じる。
数周し慣れたところでコーナリング中にカウンターを当てながらTRACKモードのスイッチを入れてみた。車を横に滑らせている状態で最も挙動がわかる特性なので試したところ、びっくりするほど強力に作動して瞬時にスピンしてしまった。下手にコントロールするよりもスピンアウトした方がダメージが少ないという考えも踏まえているのだろう。欧州のモデルに例えるならBMWよりもポルシェに近いセッティングといえる。
▲最大出力は207ps(152kW)、最大トルク212N・m(21.6kgf・m)とパワーアップしたエンジン。吸気ダクトの形状変更、またインテークマニホールドの材質をアルミ化している最上級グレード「GT」はより大人なスポーツカーへ
ラインナップの頂点に新しく加わることになる「GT(6MT)」(プロトタイプ)にも試乗した。GTはブレンボ製のモノブロックキャリパーを装着したモデルだ。
ダンパーもF1で最も使われるメーカーのSACHS社製。外周路を軽く走るとそのしなやかさは標準モデルと一線を画す。質感を向上させた動きはより大人な感じだ。ブレーキタッチもカチッとしてとても良い。
こちらもショートサーキットで試してみる。軽く走ったときは本当に乗り心地が良く、懐の深いダンピングはドイツのスポーツカーに近づいた印象だ。ちょっと速度を上げてコーナリングを楽しむ。振り返しのS字コーナーはバネ下の重みの反動なのか少々バタつきがあるが、しなやかさは変わりない。GTとして大人の乗り物に近づいたことは事実である。気軽に山間部のドライブを楽しむモデルに一層磨きをかけたのは間違いない。「GT」の発売は2016年秋の予定だ。
▲フロントバンパー形状の変更でよりワイド&ローを強調するシャープなデザインに。ライトはフロント、リアともにフルLED化
▲GT専用の17インチアルミホイールとブレンボ製ブレーキ。ダンパーはSACHS社製だ
▲100台限定の特別仕様車「Yellow Edition」の先行予約は7月7日より【SPECIFICATIONS】
■グレード:2.0 S ■乗車定員:4名
■エンジン種類:水平方向4気筒DOHC ■総排気量:1998cc
■最高出力:152(207)/7000[ kW(ps)/rpm]
■最大トルク:212(21.6)/6800[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:6MT
■全長×全幅×全高:4240×1775×1320(mm) ■ホイールベース:2570mm
■車両重量:1240kg
■車両価格:297万円(税込)
【関連リンク】
あわせて読みたい
あの名車は今? その後継モデルたちは……20年という時の流れは車をどう変えたのか。SL、ムルシエラゴ、911…
オフロードもなんのその!趣味も日常も共に走り抜けるイタリアンコンパクト フィアット パンダ
M・ベンツのセダン狙いのあなたに推したい“粋な別解”4ドアクーペ CLSクラス。新車で1000万円超えが今中古車なら総額300万円台! オススメの選び方は?
6台を所有する根っからのスポーツカー好きのイチオシは、“ノーマル戻し”のトヨタ スープラ70
アーティストカップルのカントリーライフを支える“いなたい”相棒 スバル レガシィアウトバック L.L.Bean エディション
スバル クロストレック ウィルダネスエディションが抽選500台のみに絶望した人に贈る「この小型クロカン、代わりにどう?」3選
フォレスター ウィルダネスの日本導入未定にがっかりしたあなたに贈る「代わりにこのタフなSUV、どうですか?」5選
R32型 スカイラインGT-Rが50万円から? あの時買っときゃ良かった……のモデルを振り返り“後悔を楽しむ”
アメリカで販売台数ナンバーワンのF-150が日本の公用車に!? 知るほど沼る、魅惑のフォード車5選
マツダ ロードスター12Rの抽選に外れて絶望している人必見! 代わりにコレ、どうですか? 5選









