▲10年以上前の車であるにも関わらず、いまだ高い人気を誇る初代ミニ。その2019年的なグレード選びを、ちょっと真剣に考えてみます ▲10年以上前の車であるにも関わらず、いまだ高い人気を誇る初代ミニ。その2019年的なグレード選びを、ちょっと真剣に考えてみます

考えてみれば、今なお十分魅力的なその個性

カーセンサーならではの膨大なデータをもとにした中古車注目度ランキング「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。今回、輸入車部門第1位(総合6位)の座に輝いたのは「初代ミニ」でした。


考えてみれば確かに、

●時代を超えるポップな内外装デザイン
●俗にゴーカートフィーリングと呼ばれる楽しすぎるハンドリング性能
●小ぶりだが大人4人が普通に座れるパッケージング
●アフターパーツも豊富であること
●それでいて非常に安価であること


等々の理由により、2002年の初登場から17年がたった今なお、中古車としては大人気となっているのも必然なのでしょう。

ということで今回は初代ミニ(R50)の購入ガイドを勝手に展開することで、ひとりでも多くの人が「手頃なミニがあるナイスな生活」を確実に始められるよう、ひそかにサポートさせていただきたいと思います。

▲こちらがミニの初代ミニ。カーマニアは、その開発コードネームから「R50」と呼ぶことが多いコンパクトカーです。日本市場での販売期間は2002年から2007年でした▲こちらがミニの初代ミニ。カーマニアは、その開発コードネームから「R50」と呼ぶことが多いコンパクトカーです。日本市場での販売期間は2002年から2007年でした

今から買うなら「クーパーS」がとりあえずイチオシ

大きく分けて3種類のグレードがあり、その他にも多くの特別仕様車が存在する初代ミニ。

そのなかで「今から中古車として買う場合のオススメはどれですか?」

と聞かれたなら、筆者は迷いなく「クーパーSでしょう!」と答えます。

▲こちらが初代ミニの最上級グレードであるクーパーS。スーパーチャージャー付きの高出力エンジンを搭載していて、ボンネット上の空気取入口がビジュアル上の目印になります▲こちらが初代ミニの最上級グレードであるクーパーS。スーパーチャージャー付きの高出力エンジンを搭載していて、ボンネット上の空気取入口がビジュアル上の目印になります

理由は2つです。

まず、『いわゆる「ミニらしい走り」が楽しめるから』

先ほど「初代ミニは大きく分けて3種類のグレードがある」と申し上げましたが、具体的には以下のとおりです。


①ワン
最高出力90psの1.6L自然吸気エンジンを積むベーシックグレード。変速機は5MTまたはCVT

②クーパー
最高出力116psまで強化された1.6L自然吸気エンジンを積む中間グレード。変速機は5MTまたはCVT

③クーパーS
最高出力170psの1.6Lスーパーチャージャー付きエンジンを積む最上級グレード。変速機は6MTまたは6速AT


ミニという車に何を求めるかは人それぞれでしょうが、「活発な走り」が楽しめないミニはミニではない――という見方は根本にあるはずです。

そのときに、やや非力なワンは真っ先に除外するとしても、中間グレードのクーパーでも走りは十分活発だったりします(筆者もクーパーに乗ってましたのでよく知ってます)。

しかし「今や中古車相場はクーパーもクーパーSも大して違わない」という理由と、後述するメンテナンス上の理由により「どうせならクーパーSが良いのでは?」と筆者は思うのです。

実際、クーパーSの加速は強烈で、かなり楽しいものがあります。

もちろん常に猛加速をカマす人はいないでしょうし、オススメもしません。

でも「たまにそれをやる」のは、なかなか愉快なものです。

ATがやや鬼門っぽい「CVT」ではないのもポイント

そしてクーパーSをオススメしたいもうひとつの理由はコレです。

『オートマがCVTではないから』

MTではなくオートマの初代ミニを選ぶ場合、ワンとクーパーのそれはCVTという無段変速機になるのですが、初代ミニのそれが実はけっこう故障しやすかったりもするのです(※そこに関する詳細と対策は後述します)。

しかしクーパーSのオートマ版にはCVTではなく、日本のアイシンAW製6速ATが採用されています。

「6速ATだから絶対に壊れない!」というわけでもないのですが、筆者がこれまで行った様々な独自取材によれば、初代ミニの場合はCVTより6速ATの方が信頼性は高いと思ってほぼ間違いないようです。

それゆえ、どうせ多くの人がMTではなくATの初代ミニを買うのでしょうから、「ならば比較的信頼性の高い6速ATを採用してるクーパーSを選ぶのが一番!」と、中古車専門記者としては強く思うのです。

もしも新車を買うのであれば、変速機の形式なんて別に何だって構いません。

ですが中古車の場合は、こういう部分まで(いちおう)考えておくべきでしょう。

▲写真はクーパーSの運転席ですが、こちらの個体は6速ATではなく6MT。MT車を運転することに抵抗がないのであれば、もちろん6MTのクーパーSもかなりオススメです▲写真はクーパーSの運転席ですが、こちらの個体は6速ATではなく6MT。MT車を運転することに抵抗がないのであれば、もちろん6MTのクーパーSもかなりオススメです

「ちょうどいい感じ」がお望みならクーパーだが

とはいえ「最高出力170psのクーパーSは自分には強烈すぎる。もっと控えめでいい」と考える人も多いかもしれません。

そういった人には「ワンほど非力じゃないが、クーパーSほど強烈すぎもしない」という、中間グレードのクーパーがオススメです。

▲こちらが中間グレードであるクーパー。ベーシックグレードであるワンと同じ自然吸気の1.6Lエンジンですが、クーパーの方はまずまずパンチ力のある出力になるようセッティングされています▲こちらが中間グレードであるクーパー。ベーシックグレードであるワンと同じ自然吸気の1.6Lエンジンですが、クーパーの方はまずまずパンチ力のある出力になるようセッティングされています

実際、筆者もそのような理由で12年ほど前にクーパーを買いました。

とってもちょうど良い感じの、とっても素晴らしい小型車でした。

ですが問題は前章で指摘した「CVT」です。

5MT仕様を買うなら何の問題もないのですが(筆者は5MTを買いました)、オートマが欲しいとなるとクーパーの場合はどうしてもCVTになるので、信頼性の面でやや不安があるわけです。

あ、念のため申し上げますが、すべてのワンとクーパーのCVTが必ず壊れるわけではありません。

ぜんぜんノートラブルでいける場合も多々あります。

ただ、残念ながら「6速ATと比べるなら故障発生の可能性は相対的に高い」ということです。

では、どうすればいいのでしょうか?

12年前の筆者のように5MTを買う?

……それは確実な対策であり、一番オススメしたい選び方ですが、なかなかそうもいかないケースは多いでしょう。

であるならば、方法はひとつしかありません。

「記録簿を見て、なるべく直近の時期にCVTの修理が行われた個体を探す」です。

CVT全体のアッセンブリー交換(70万円ぐらいかかります)か、分解修理かはケース・バイ・ケースです。

しかしそういった修理を近い過去に行っているCVTのクーパーであれば、変速機に関してはおそらく何の問題もなく乗り回すことができます。

どうしても5MTが無理な場合は、そういった感じのCVT車を探してください。

流通量がかなり多いので、じっくり探せば見つかるはずです。

▲写真はクーパーの内装ですが、こちらもCVTではなく5MTの個体が広報写真に使われています。整備済みのCVTうんぬんよりも、本当は「5MTのクーパーを探す」のが一番ではあります▲写真はクーパーの内装ですが、こちらもCVTではなく5MTの個体が広報写真に使われています。整備済みのCVTうんぬんよりも、本当は「5MTのクーパーを探す」のが一番ではあります

車両価格ではなく「整備の内容」に注目したい

以上のとおり

○基本的にはクーパーSがイチオシ
○だが程よいパワーが好きならクーパーの5MTで
○しかしオートマじゃないとダメならば、直近にCVTの修理を行ったCVTクーパーを探す


……というのが、初代ミニを2019年に買ううえでの基本的な考え方になります。

そのうえで、クーパーSとクーパーには「パークレーン」「セブン」「チェックメイト」などのステキでお得な特別仕様車もありますので、お好みに応じてそれらも探してみてください。

▲写真は2005年10月に発売された特別仕様車「パークレーン」の内装。パイピング入りレザーシートなどが特徴となるシックな仕様で、クーパーおよびクーパーSの双方に設定されました▲写真は2005年10月に発売された特別仕様車「パークレーン」の内装。パイピング入りレザーシートなどが特徴となるシックな仕様で、クーパーおよびクーパーSの双方に設定されました

最後になりますが、初代ミニをこれから買ううえで一番大切なことは――ここまで申し上げてきたグレード選びも当然重要ですが――それ以上に「整備履歴と納車前整備にこだわる」ということです。

初代ミニはデザインがなかなか古びないため、そうは思えないかもしれませんが、最終年式でも10年以上前の車であり、初期年式であれば17年も前の車です。

そういった年式の車というのは初代ミニであろうが他の車種だろうが、どうしたってあちこちの部品を交換する必要性が生じますし、交換しないことにはマトモに走らなかったりする場合もあります。

車両価格の安さだけにつられて、必要な部品交換がほとんど行われてこなかった初代ミニを安く買ったところで、その後の修理代で「安く買えた分」なんてすぐに吹き飛んでしまうかもしれません。

ですから、購入時は車両価格だけでなく「これまでの整備履歴」をまずはしっかり確認し、そのうえで「納車整備」もケチらずバッチリやるのが結局は得策です。

逆に言えば、そのような探し方をすれば、初代ミニはまだまだガンガン使えて楽しめる、ステキで安価な中古車となることでしょう。

ぜひ、ポップでナイスな1台を探してください。

text/伊達軍曹
photo/BMW

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