初めてVTECエンジンを搭載! 絶滅危惧車のインテグラセダンはクールなCMとともに登場したモデルだ
2019/06/16
▲今回紹介するのは1989年に登場したホンダ インテグラセダン。大きなガラス面が印象的なスタイリッシュセダンだクールなCMとともに登場した「カッコインテグラ」
ホンダ インテグラセダンは1989年4月にデビューした。
インテグラは、当時のホンダのシビック(コンパクトカー)とアコード(ミドルクラスセダン)の中間という位置づけで、ラインナップの拡充の一端を担うものだった。
それまでインテグラセダンは「クイント・インテグラ」と呼ばれていたが、2代目からは3ドアハッチバックも4ドアセダンも「インテグラ」で統一された。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で大人気だった、マイケル・J・フォックスが「カッコインテグラ!」と締めくくるテレビCMを覚えている人も少なくないだろう。
この型のインテグラを「カッコインテグラ」と呼んでいた人もいるほど。
マイケル・J・フォックスがらみの選曲だったのか、CMソングは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主題歌「パワー・オブ・ラブ」が採用されていた。
その中の「お金も名声もいらない」という意味のサビ部分が使われたのは、安さを強調したかったのだろうか。
今となっては、真相はわからない。
最近のテレビCMとはまったく違うテイストで、ナレーションはせいぜい「DOHC VTEC搭載」と一言入っているくらいで、あとはただただ戯れるマイケル・J・フォックスとインテグラを様々な角度で撮影した映像が流れる、というもの。
ゴチャゴチャした説明はなく、見せて魅せるCMは今見てもクールだ。
▲一部の車好きの間では、いまだに「カッコインテグラ」と呼ばれることもあるとか……1Lあたり100psを絞り出すVTECエンジン搭載
デビュー当初は1.6L直4エンジンのみをラインナップし、VTECは最上級モデル「XSi」にのみ搭載された。
低回転域と高回転域で、バルブの開閉タイミングとリフト量を油圧で切り替える、VTECは世界初の機構で画期的な技術だった。
最高出力160psをたたき出していたので、1L当たり100psと当時では珍しいハイパワーぶりだった。
そのほかVTECなし・電子制御燃料噴射装置採用車が120ps、デュアル・キャブレター採用車が105psであった。
いずれのグレードも、車両重量は1010~1190㎏だったので、思いのほか軽快感にあふれていたことは想像に難しくないだろう。
▲ホンダの代名詞ともいえるVTECエンジン。軽い車重と相まって、軽快な走りを可能にした上皇陛下が即位された年に登場した
車好きの間では有名な話だが、この型のインテグラセダンといえば……上皇陛下がご自身でステアリングを握って、皇居内をプライベートで移動する際に乗られていた。
特段、どのモデルかは明らかにされていないが、5速MTであることは報じられている。
ホイールカバーが付かないスチールホイールを採用しているのは、VTEC非搭載で電子制御式燃料噴射装置を採用した、RXiであると推測される。
くしくも、上皇陛下が平成天皇に即位した年にデビューしたのが、インテグラセダン。
単にデビュー年でお選びになられたのか、カッコインテグラに惹かれたのかは定かではない。
ただ、平成をインテグラセダンで全うされた、という事実だけは、これからも語り継がれるだろう。
そしてVTECエンジン搭載モデルは、ホンダの歴史を語るうえで欠かせない車ゆえに、貴重な存在と呼べよう。
原稿執筆時点でカーセンサーnetに掲載されているのは、わずか3台。
中古車価格は50万~80万円。年式と新車時価格が120万~198万6000円であったことを考えれば、もうネオクラシックとしての価値が見いだされているのかもしれない。
はたまた、上皇陛下も同車にお乗りだった、ということでプレミアムがつけられているのか……。
いずれにせよ、26年前に生産終了した2代目インテグラセダンの流通台数が今後増えるとは到底思えない。
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▲スポーティなフォルムのモデルだが、居住空間は十分確保されていた
▲今後流通台数が増えることはまずないだろう……。気になったら早めにチェックを!▼検索条件
ホンダ インテグラ(1989年5月~1993年6月生産モデル)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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