トヨタ ヴィッツ▲日本国内だけでなく、世界的な大ヒット車種となったトヨタ ヴィッツ。海外市場では初代からヤリスという名前で販売された

ヴィッツの中古車は今

1999年に初代が登場し、国内だけでなく欧州などグローバルな市場をにらんで開発されたヴィッツ。その後3代目まで生産され、いずれも世界的な大ヒットを記録した。

初代は流通量が少ないものの、スポーツグレードやMTの物件が約半数を占める。この型のヴィッツで走りを楽しみたい、というファンにはまだ選択肢が残されている。

2代目は「コンパクトカーをとにかく手ごろに手に入れたい」という人にオススメ。初代同様の総額30万円ほどで、豊富な選択肢が存在するからだ。

続く3代目は流通量が3500台超と、ヴィッツの中で最多。ハイブリッドや先進安全装備付きのものもあり、予算に応じて必要な性能や装備が最も選びやすい。

そして、ヴィッツでなく、「ヤリス」という名前で販売されている最新の現行型。まだ選択肢は少ないものの、新型を少しでもお得に手に入れたいという人は必見だ。

ここでは初代ヴィッツから新型のヤリスまで、全モデルの特徴、中古車相場を明らかにしつつ、グレードやエンジンなど中古車を選ぶ際のポイントを解説していく。
 

 

ヴィッツ(初代)の特徴と中古車相場

■ヴィッツ(初代)DATA
生産期間:1999年1月~2005年1月
中古車流通量:60台
中古車価格帯:10万~60万円
 

トヨタ ヴィッツ ▲ギリシャ人デザイナーの仕事により、かわいらしく存在感のあるデザインに仕立てられた初代ヴィッツ

■ヴィッツ(初代)の特徴
初代は世界戦略車として位置づけられ、外観デザインにはギリシャ人デザイナーのソティリス・コヴォスを起用。内装のデザインもセンターメーター(インパネ中央に速度計などを配置)を採用するなど、リーズナブルな価格帯の車種とは思えない、気合いの入った仕上がりのモデルとなっている。

屋根を高くし、エンジンをできるだけ前方に配置することで、見た目以上に広い車内空間を実現。それまでのコンパクトカーとは一線を画す、ボディ剛性の高さも魅力だ。当時、私も仕事用に乗り回していたが、国産コンパクトが欧州車並みのクオリティになったことに驚かされた。
 

トヨタ ヴィッツ ▲メーターがインパネ中央に配置された特徴的なインテリア

ボディタイプは3ドアと5ドアの2種類(2002年12月以降のモデルで3ドア車を選べるのは「RS」など一部グレードのみ)、グレードはベーシックな「B」、スタンダードな「F」、上級装備の「U」を基本として、様々なパッケージが設定されている。

エンジンは当初、1L 直列4気筒のみの設定だったが、その後1.3L 直列4気筒を4WD車に追加。さらにパワフルな1.5L 直列4気筒を搭載する「RS」を加え、徐々にラインナップを増やしていった。

2001年にバンパーを一体感のある形状にするなど、フロントデザインを大きく変更。その後、2002年に大きなマイナーチェンジがあり、「U」など一部グレードで新開発の1.3L 直列4気筒エンジンを採用するとともに、ヴィッツ初のCVT車も登場している。CVT車はコラム式シフトレバー(ステアリングポストからシフトレバーが生えているタイプ)を採用。「U」に設定されたインテリジェントパッケージではアイドリングストップ機能が導入され、燃費も向上している。

2002年以降のモデルはデュアルエアバッグを全車に標準装備。サイドエアバッグやTRC、VSCなども設定されるなど、安全装備がどんどん充実していった。
 

トヨタ ヴィッツ ▲走行性能に特化した「RS」
ヴィッツ(初代)の中古車相場
かつて一世を風靡した初代ヴィッツだが、現在の流通台数は約60台。最後期でも16年が経過していることを考えると、選択肢が少ないのは致し方ない。

平均価格は22.1万円。掲載車の半数近くが、スポーツグレードである「RS」に集中しており、スポーティな走りを楽しみたいという人には選びやすい状況だ。

コンパクトカーの中では耐久性が高い……と言えるが、走行距離10万kmを超えていると、さすがに疲労感が出るもの。そのため、走行距離の少ないものから目星をつけていくのがいいだろう。中には5万km以下の物件も見つけられるが、いずれにしてもブッシュ類など消耗品の交換は必要になるだろう。
 

 

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ヴィッツ(2代目)の特徴と中古車相場

■ヴィッツ(2代目)DATA
生産期間:2005年2月~2010年11月
中古車流通量:810台
中古車価格帯:10万~130万円
 

トヨタ ヴィッツ ▲丸形のフォルムはそのままに、スタイリッシュな印象が増した2代目ヴィッツ

■ヴィッツ(2代目)の特徴
デザインは初代からのキープコンセプトで、かわいらしいフォルムを継承。だが、ボディ幅は5ナンバーぎりぎりの1695mm。全長も3750mmと、堂々とした車格となっている。

初代よりも全長が長くなったこともあり3ドアモデルは廃止され、5ドアのみのラインナップに。大きくなったボディとタマゴ型のフォルムによって実現された、コンパクトカーとは思えないほど広い車内空間、ラゲージルームが魅力だ。

全世界的なスタンダードカーとして使い勝手が追求された2代目だが、一方で「RS」というスポーツモデルでも実力を発揮するなど、基本的な走行性能もアップしている。前席サイドエアバッグ、前後席カーテンシールドエアバッグなど、現代的な衝突安全装備を標準装備とするグレードが登場したのも、この世代からだ(2007年以降のモデルでは全車標準装備)。
 

トヨタ ヴィッツ ▲センターメーターのインテリアは2代目でも健在

エンジンは1L 直列3気筒と1.3L 直列4気筒の2タイプ。前者はベーシック装備のビジネスモデル「B」などに搭載され、あくまでコストを重視したもの。後者のエンジンこそ2代目エンジンのスポットライトといえ、充実装備の「F」、上級装備の「U」など多くのグレードに搭載された。

初代で1.5L 直列4気筒を搭載するのは16インチタイヤを採用するスポーツグレードの「RS」のみだったが、2代目では「X」グレードにも拡充。1050kgしかない車重にして最高出力110psのパワーは、現代でも十分に満足できる性能だ。なお、MTを選べるのは「RS」のみで、他グレードはすべてCVT、4WD車のみ4ATとなっている。

その後、先進的なアイドリングストップ機構を採用した「インテリジェントパッケージ」が加わる。さらに、専用フロントグリル&リアエンブレム、本革&スエード調ファブリックシート&ドアトリム表皮、本革巻きのステアリング&シフトノブなどで上質感を高めた「I'll(アイル)」を追加した。コンパクトなのに高級、という路線が斬新だ。

デビュー2年後の2007年に大きなマイナーチェンジが実施され、バンパーなどの形状が変わるとともに、前席サイドエアバッグ、前後席カーテンシールドエアバッグが全車標準装備となっている。
 

トヨタ ヴィッツ ▲「I'll(アイル)」では質感にこだわった内装が話題に

■ヴィッツ(2代目)の中古車相場
最後期のモデルでも生産から10年以上経過している2代目だが、800台以上の物件が流通しており選択肢は豊富。しかもその6割以上が、総額50万円以下という状況だ。日常の足として実用的な車をリーズナブルな価格で手に入れたい、という人には最適なモデルと言える。

比較的長い期間乗ることを想定している場合、この価格帯なら購入時はやや値段が高めでも、走行距離の少ない物件を選んだ方が、後々の修理代を含めるとオトクになることもある。

排気量別にみると、全体の4割強が1.3Lエンジン搭載車で、4割ほどが「B」や「F」などの1L車。残りが1.5Lエンジン搭載の「RS」「X」「U」「I'll(アイル)」となっており、各グレードが満遍なく分布している。

人や荷物を載せる機会が少なく近距離の移動だけなら1Lでもよいが、そうでなければ価格差はほとんどないだけに1.3L、1.5L車がオススメだ。

走りを楽しみたい人には無論、スポーツグレードの「RS」を推す。しかし、前オーナーによってローダウンなどが施された物件も存在し、改造によってサスペンションやボディに疲労が生じていることもあるので、その点のチェックは抜かりなくしておきたい。
 

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ヴィッツ(3代目)の特徴と中古車相場

■ヴィッツ(3代目)DATA
生産期間:2010年12月~2020年2月
中古車流通量:3230台
中古車価格帯:20万~230万円
 

トヨタ ヴィッツ ▲3代目ヴィッツはさらにボディサイズを拡大し、力強い印象に

■ヴィッツ(3代目)の特徴
3代目はコンパクトカーとして異例とも言える、10年もの長きにわたって生産された。“ヴィッツ”という名前で販売された最後のモデルでもある。

スタイルは2代目までとはまったく異なる、高級感、躍動感を感じさせるものに。5ナンバーサイズのボディサイズを維持しながらも全長をさらに伸ばし、リアシートまで快適性が向上している。インテリアもセンターメーターが廃止されて一般的なレイアウトになり、スポーティなデザインが採用された。

それまでの単身者向け、またはセカンドカーのイメージが強かったモデルから、この3代目では“セダンからの買い替えもあり得る車”に進化したのだ。それでも最小回転半径を4.5mに抑え、コンパクトクラスらしい小回り性能は維持している。

アイドリングストップなどの採用による燃費の向上と、快適装備の充実。そして衝突安全性能の高さはもとより、後期モデルでは衝突被害軽減の先進安全装備も採用され、最新のコンパクトカーと比べても何ら遜色ないモデルとなっている。中古車としても、まさに今が狙い時だろう。
 

トヨタ ヴィッツ ▲メーターが一般的な位置となり、質感もアップした3代目ヴィッツ
トヨタ ヴィッツ ▲荷室を3重にすることができるなど、使い勝手が向上

ベーシックグレードとなるのは「F」。内外装にメッキ加飾を施した「ジュエラ」、スマートエントリー&スタートシステム、オートエアコンなどの上級装備を採用した「U」、16インチタイヤを採用するスポーティモデルの「RS」という4種類のグレードがベースとなる。

エンジンは1L 直列3気筒(F、ジュエラ)、1.3L 直列4気筒(F、ジュエラ、U)、1.5L 直列4気筒(U、RS)の3種類が用意され、のちに1.5L+モーターのハイブリッドモデルが追加になっている。

基本グレードの他に様々なパッケージが設定されたが、中でも「スマートストップパッケージ」は先進的なアイドリングストップ機構を採用し、燃費の向上が図られている。安全装備では2015年に衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスC」を上級グレードに装備、2018年に歩行者もその検知対象に加えられたのがトピック。後期の上級モデルほど安全装備が充実しているが、そのあたりは価格との兼ね合いというところ。
 

トヨタ ヴィッツ ▲意匠が凝らされている「ジュエラ」の内装
トヨタ ヴィッツ ▲初代、2代目に引き続き、スポーツグレードとして設定された「RS」

■ヴィッツ(3代目)の中古車相場
3代目の流通台数は3400台超で、選択肢は非常に豊富。予算に合わせて、希望にかなう装備内容やコンディションの物件を見つけやすい状態だ。

イニシャルコスト重視なら、2010年12月~2014年3月までの初期型がメインの選択肢に。1L車が中心ながら、走行距離3万km以下の物件を見つけることができる。

日常使いの車として燃費を重視したい人は、燃費性能が向上した1.3Lエンジンを搭載する2014年4月以降のモデル。もしくは、2017年1月以降に追加になったハイブリッドモデルがオススメだ。予算は、1.3Lなら70万円、ハイブリッドなら100万円程度が目安となる。

モデルサイクルが長かった分、特別仕様車・限定車も豊富。中でも「セーフティセンス」を装備した「セーフティエディション」は人気が高く、中古車市場にも数多く流通している。安全装備重視派は外せない選択肢だ。

ちょっと変わったところではスポーツモデルの「RS G’s」、「GRスポーツ シリーズ」、かなり変わったところではGAZOO Racingが手がけたカリッカリのホットモデル「GRMNターボ」「GRMN」という選択肢もある。総額200万円前後の価格帯にはこれらスポーツモデルが多くなっており、その中から自分好みの1台を探すのも楽しいだろう。
 

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ヤリス(現行型)の特徴と中古車相場

■ヤリス(現行型)DATA
生産期間:2020年2月~
中古車流通量:340台
中古車価格帯:110万~260万円
 

トヨタ ヤリス ▲ヤリスという名称に統一され、外観もアグレッシブな印象に。ヴィッツにはなかったツートーンカラーも登場

■ヤリス(現行型)の特徴
世界共通の名称となり、スタイリングも一新されて名実ともに生まれ変わったのが、新型ヤリス。外観はかわいらしいコンパクトカーという印象が全くなくなり、彫りの深いアグレッシブなイメージとなった。その印象は見た目だけでなく、低重心化と大幅なボディ剛性アップで、走りにもスポーティさが与えられている。運転していて楽しいコンパクトを目指したことは、前席を優先したパッケージングからも明らかだ。

エンジンは1.5L 直列3気筒、1.5L直列3気筒ハイブリッドを新開発。ハイブリッドはグレードも豊富になり、ガソリンエンジン車と同等のバリエーションとなった。

白線がなくてもガイドしてくれる高度駐車支援システムや、交差点右折時の対向直進車・右左折後の横断歩行者も検知対象とした最新の「セーフティセンス」などハイテク装備もてんこ盛りだ。
 

トヨタ ヤリス ▲コンパクトカーを超えた質感を目指して作られたヤリスのインテリア
トヨタ ヤリス ▲夜間でも歩行者を感知してドライバーに危険を知らせるプリクラッシュセーフティなど先進安全装備が充実

グレード体系はガソリン、ハイブリッドともに同じで、シンプル装備の「X」、オートエアコンやシートヒーターなどの快適装備が充実した「G」、本革巻きステアリングなど豪華装備を奢った「Z」という3つがベース。エンジンは1.5L 直列3気筒ガソリン、1.5L 直列3気筒ハイブリッドに加え、「X」と「G」には1L 直列3気筒ガソリンも用意されている。

3代目のヴィッツでは、MT仕様を選べるのはスポーツモデルの「RS」だけだったが、1.5L 直列3気筒ガソリン車のどのグレードでも6MTが選択できるようになっている。なお、「RS」は2020年9月に発売された「GRヤリス」のグレードに組み込まれ、別車種の扱いとなっている。

デビュー時、4WDが選べるのはハイブリッドのE-Four(電気式4WDシステム)に限定されていたものの、後に1.5L 直列3気筒ガソリン車の各グレードにもフルタイム式4WD仕様が追加された。
 

トヨタ ヤリス ▲プラットフォームが刷新され、走行性能が向上

■ヤリス(現行型)の中古車相場
デビュー間もないモデルであり、しかも実際に納車が始まってからはまだ半年ほどしか経っていないため、中古車市場での流通量は350台前後。内訳は1Lガソリン車が半数を占め、次いで1.5Lガソリン車が3割強。ハイブリッドは全体の2割弱と少数派だ。

ヴィッツからヤリスになって新車価格が高くなったこともあり、中古車市場での平均価格は152.9万円。120万~150万円がボリュームゾーンとなっている。

先代までのヴィッツほどではないが新車との価格差が出ているものもあり、新型を少しでもお得に手入れたい、もしくは納車を急ぎたいという人は要チェックだ。

ちなみに、新車並みのコンディションの登録済未使用車は全体の3割強ある。

なお、別モデルとして2020年8月に追加された「GRヤリス」の流通台数は10台以下。価格も、新車時の2倍程度とプレミアムがついている状況だ。
 

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※記事内の情報は2021年1月10日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。