プロボックス▲最近ではアウトドア仕様のカスタムベースとしても注目を集めるトヨタ プロボックス。そんなプロボックスを実際に購入し、ロングドライブに適した「GT仕様」へとカスタムした体験記をお送りします。商用ではなく乗用としてプロボックスを検討している人は必見です!

車以外では、できるだけ移動したくない

昨年、新型コロナウイルスの感染拡大という事態に直面して実感したのは、無用な密を回避するために車以外ではできるだけ移動したくない、ということだった。

この先は、これまで以上に車で移動する時間(距離)が増えることになるだろう。日々の移動だけではなく、新幹線や飛行機を利用していた長距離もできるだけ車で移動したい。それが自分にとっての「ニューノーマル」なライフスタイルとなる。

となると、これまで8年間乗り続けてきた車齢30年の、まだまだ元気とはいえご老体には違いないフォルクスワーゲン ゴルフ2では、いささか心もとない。愛するゴルフ2にずっと乗り続けていたい思いはやまやまだけど、いつご機嫌ななめになるかわからない……。

というわけで、いつでも、どこまでも気がねなく走り出せる新たな相棒を探すことにした。
 

ゴルフ2▲筆者が8年間を共にしてきたゴルフ2

「いつでも、どこまでも気がねなく」なんて、車なら当たり前のことじゃないか! と思われるかもしれないが、コトはそう簡単ではない。「どこまでも」といっても、「となり町のショッピングモールまでも」と「地の果てまでも」とでは、おのずと車選びは違ってくるはずだ。

ましてや、今後は車以外ではできるだけ移動したくない(=車で過ごす時間が長くなる)となれば、その相棒としての車選びには、よりこだわらざるを得ない。

なんて、もっともらしい理屈をこねては、たんなる車選びを「ああでもない、こうでもない」と楽しんで(苦しんで?)しまうところが、車馬鹿の車馬鹿たるゆえんでもあるのだが……。

さて、そんな車馬鹿にとって、未曽有のコロナ禍における理想の車選びとは?

結論を先にバラしてしまえば……

たどりついたのは、2008年式のトヨタ プロボックスである。
 

新たな相棒となる車選びの条件

ニューノーマルの時代にふさわしい、いつでも、どこまでも気がねなく走り出せる車を探すにあたっては、いくつかの条件を掲げた。

条件とは、すなわち自分がどんな車を欲しているのか、という要件の洗い出しでもある。ここを整理しておかないと、ファミリーカーを買うつもりが、気がつけば2シーターのオープンカーを選んでいた、なんてことになりかねない。ま、それはそれで幸せな結末ではあるけれど。

掲げた条件は、以下のとおり。

① 経費(燃料費、整備費、税金など)ができるだけかからない車であること
② 駐車スペースを選ばないコンパクトな車であること(タワーパーキングにも入ること)
③ 過度な性能や機能、無駄な装飾がないシンプルで質実な車であること
④ なんでも積めて、ロングドライブにもへこたれないタフな車であること
⑤ 自分の価値観やオリジナリティを表現できる車であること


上記の①②だけなら今どきの車の中から、いくらでも見つけることができる。が、③が加わった途端に選択肢は狭くなる(国産の新車ではほぼ皆無)。さらには④をクリアして、ましてや⑤を満たすとなると、僕が思い浮かぶのは「新車のゴルフ2」だけである。まさに無いモノねだり……。さて、困った。

どうやら、ポイントは③④のようだ。シンプルで質実でタフな車となれば、プロの道具たる商用車か。しかし、はたして商用車で⑤を満たすことができるのか?

いや待てよ、むしろ商用車だからこそオリジナリティを発揮できるかもしれない。なんたって信頼性の高い実直な商用車を作らせたら、わが国の自動車メーカーは世界一に違いない。

そうだ! 四角四面で、まさに「走る実直」のようなプロボックスがあるじゃないか!
 

プロボックス▲こちらがトヨタ プロボックス(現行・前期型)。平日の昼間によく見かける「ザ・商用車」だ。

1台だけあったよ、熊本に

新たな相棒として候補に挙がったプロボックスだが、気になりだすと、じつは街中をプロボックスが(兄弟車であるサクシードも含めて)走り回っていることに気がつく。高速道路のパーキングエリアなんて、プリウスとプロボックスだらけである。

さて、そんなプロボックスで、いかに⑤の条件を満たすか。下手すりゃ配達途中のオジサンだと思われやしないか。そこでプロボックスを探すにあたっても、さらなる条件を課した……。

⑥ 4ナンバーのバンではなく、前期型に存在した5ナンバーのステーションワゴンであること
⑦ ボディカラーは、いかにも商用車っぽい白と銀以外であること
⑧ 走りを楽しめるマニュアルミッションであること


またまた、困った。この3つの条件をすべて満たすプロボックスは、カーセンサーnetで検索しても1台もヒットしない(白か銀のATのバンなら数百台ヒット/当時)。そりゃそうだよな、と諦めかけていたところへ、前々から声をかけておいた車屋の友人から電話が入った。

「1台だけあったよ、熊本に」

友人がネットワークを駆使して探し出してくれたプロボックスは、5ナンバーの5MT車で、ボディカラーはダークブルー。車検も2021年6月まである。まさに条件どおりの、むしろ7万㎞という中古の商用車としては少ない走行距離を考えれば希望以上の個体だった。

さらに、熊本には僕の実家がある。たった1台だけの車が、わが故郷、熊本にあったとは、これは運命の出会いに違いない! なんて、車馬鹿は同時に運命論者でもある。

写真を送ってもらって、オーナーさんに電話で状態を確認し、実車を見ることなく試乗することもなく購入を決める。昔から「1台だけ」とか「最後の」といった言葉に弱い……。

中古車を実車の確認もせずに買うのは、冒険である。今回の場合は、プロである友人が間に入ってくれたこともあるし、オーナーが自動車整備工場の社長さんで、自分で走らせるために自ら整備しているからなんら問題ない、ということだったので思いきることができた。

なんたって、ほら、運命の出会いだから。
 

プロボックス▲たった1台だけ見つかった条件どおりの個体

自ら課したいくつもの条件をクリアし、運命の糸にもたぐり寄せられて、どうにか5ナンバーで5MTでダークブルーという要望どおりのプロボックスを手に入れることができた。

困った、困ったと言いながらも、ここまでの過程そのものがすでに十分に楽しかったけど、じつはここがスタートラインなのである。これから、このプロボックスを「いつでも、どこまでも気がねなく走り出せる相棒」へと育んでいかねばならない。

商用車たるプロボックスを、いかに自分仕様の快適な車へとカスタマイズしていくか……。

名付けて、「プロボックスGT化計画」。

お楽しみは、これからだ。

(つづく)
 

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トヨタ プロボックス/サクシード(現行型・5ナンバー)×全国
文/夢野忠則 写真/阿部昌也、トヨタ
 
夢野忠則

ライター

夢野忠則

自他ともに認める車馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。 現在の愛車は2008年式トヨタ プロボックスのGT仕様と、数台の国産ヴィンテージバイク(自転車)。