ホンダ S660▲ホンダ ビートが1996年に生産終了して以来、同社のミッドシップ・リアドライブ軽自動車として実に19年ぶりに登場したS660も、狙い目の2015年3月に登場した

価格と状態のバランスがちょうどいい“5年落ち"

中古車を選ぶ際、当然選択肢が多いときに探した方が自分にピッタリの1台を見つけやすい。では欲しい中古車が増えるときってどんなときだろう?

そもそも新車は、販売台数を見れば明らかだが、デビューした年が最も売れる。それを手放すタイミングは、車検時期が多い。「車検費用を払うならそろそろ次の車にしようかな」と考えやすいからだ。つまり、その車がデビューした3年後、5年後、7年後……が中古車の増える目安のひとつとなる。

では、3年後、5年後、7年後……の中でどこが中古車購入のベストタイミングか。オススメは「5年後」だ。3年落ちよりは値落ちが進んでいて、7年落ちよりは中古車の状態に期待ができそうだからだ。

しかも5年落ちなら、たいていはまだ現行モデル。このように、価格と状態のバランスがちょうどいいのが“5年落ち"だと言えるだろう。

そこで、今回はベストバランスの5年落ち物件の掲載が比較的多い、2015年に登場した軽自動車3モデルを紹介したいと思う。

デザイン、低燃費、安全機能が魅力のかわいい系
スズキ アルトラパン(現行型)

スズキ アルトラパン▲ラパンらしい箱型フォルムを継承しつつも、丸みが与えられている。ライト内など車の隅々にうさぎのキャラクターが潜むなど、遊び心もたっぷり詰まっている
スズキ アルトラパン▲3種類のシートが用意され、上級グレードにはパイピングが施されている。メーターは置き時計のようなフォルムをイメージしたという。また、天井にはキルティングを模したパターンが採用された

女性を中心に高い人気を誇るスズキ アルトラパン。2015年6月に登場した3代目では、さらに女性ユーザーを意識したモデルとなった。

インテリアのコンセプトを「わたしの部屋」とし、テーブルのようなインパネデザインや、タブレットのようなカーナビモニターなどが採用された。さらにカーナビとセットオプションで、駐車時に自車を俯瞰して見られたり、左右の見通しが悪いときに前方・後方のワイド映像や助手席側のサイド映像を見られる機能が備わるなど、女性ユーザーの声から設定された機能もたくさん用意されている。

搭載されたエンジンは660cc自然吸気のみ。2ペダルのMT「5ASG」とCVT車があり、CVT車には減速エネルギーを使って電気を作る「エネチャージ」が搭載される。エネチャージ搭載車は低燃費が魅力のひとつで、2WDのCVT車でJC08モード燃費は35.6km/L。

衝突被害軽減ブレーキと誤発進抑制機能を備える「レーダーブレーキサポート」を全車に標準装備されている。2019年6月には、歩行者を検知する「デュアルセンサーブレーキサポート」に進化するとともに、後退時のブレーキサポート機能も全車に標準で備わるようになった。

デビュー時の車両本体価格は107万7840円~149万2560円。原稿執筆時点で1500台以上が見つかり、2015年式は160台ほど見つかった。修復歴なし・走行距離5万km未満でも支払総額100万円以内で十分探せる。

▼検索条件

スズキ アルトラパン(現行型)×2015年式×全国

▼検索条件

スズキ アルトラパン(現行型)×全国

SUV、街乗り、スポーツの3タイプから選べる
ダイハツ キャスト(現行型)

ダイハツ キャスト▲クロスオーバーSUVの「アクティバ」。下まわりをガードするような樹脂製プロテクターが備わる。インテリアは黒基調
ダイハツ キャスト▲レトロ調な「スタイル」。エクステリアではメッキ加飾がアクセントになっている。インテリアは黒とベージュのツートーンカラー。スエード調の生地を使ったシートが採用されている
ダイハツ キャスト▲赤い線の入るエアロバンパーや常時点灯のフロントLEDを装備する「スポーツ」。インテリアは黒基調に赤がアクセントに使われている。シートはブラックのレザー調で、オプションでホワイトのレザー調シートも選べた

2015年9月に登場したダイハツ キャストは、まずクロスオーバーSUVの「アクティバ」と、レトロ調で都会的な「スタイル」の2タイプで登場。翌10月にはもうひとつのバリエーションとなるスポーティモデルの「スポーツ」も追加された。

いずれも丸みを帯びた、同社のムーヴとほぼ同サイズの新型車だ。ただし、2020年3月に「アクティバ」と「スポーツ」は生産が終了し、現在は「スタイル」のみが新車で販売されている。

「アクティバ」は他の2モデルよりも最低地上高が30mm高い180mmに設定され、雪道や荒れ地での走破性が考慮されている。さらに4WD車には、ぬかるみなどでタイヤが空転すると瞬時に他のタイヤに駆動力を与えて発進をサポートする機能などが備わる。

「スタイル」は肌触りのよいファブリックシートや、室内のカラーコーディネートがシックにまとめられている。

「スポーツ」はスポーティな走りを楽しめるよう、足回りが専用チューンされた他、CVTながらパドルシフトを備えたMOMO製ステアリングが備わる。

いずれも同社の衝突被害軽減ブレーキ「スマートアシストII」が設定され、採用モデルにはグレード名に“SA II"が付く。2017年10月には「スマートアシストIII」へ進化し、グレード名に付く名称も“SA III"となる。また、一部グレードに自車を俯瞰で見られる「パノラマモニター」が用意された。

デビュー時の車両本体価格は122万400円~174万4200円。原稿執筆時点でアクティバが約700台、スタイルが約1200台、スポーツが約160台見つかった。

アクティバとスタイルは支払総額100万円以下でも十分探すことができるが、スポーツはまだ台数が少ない。ちなみに、トヨタではピクシス ジョイとして2016年8月に登場。原稿執筆時点で約100台が見つかる。

▼検索条件

ダイハツ キャスト(現行型)×2015年式×全国

▼検索条件

ダイハツ キャスト(現行型)×全国

新車時の半額ほどで見つかる希少な軽オープン2シーター
ホンダ S660(現行型)

ホンダ S660▲ルーフは脱着式のソフトトップ。外してフロントの収納部に収めることができる。吸・排気音やターボチャージャー作動音、アクセルオフ時に過給圧を開放するブローオフバルブ音などに独自のサウンドチューニングが施されている
ホンダ S660▲ホンダ最小径ステアリングが備わる。ももから腰にかけて風を送ってくれるエアコンや、風の流れを調整する昇降式リアセンターガラスの採用など、オープン時でも快適に過ごせる配慮がなされている

ホンダ久々の軽2シーターオープンカーとなる、S660が発売されたのは2015年3月。往年の名車「ビート」同様、シート後方にエンジンを置き、後輪を駆動させるMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)レイアウトが採用されている。

低重心化と前45:後55の重量配分により回頭性が良く、コーナリング時もロールが抑えられているなど、運動性能の高い車に仕上げられた。

搭載されるエンジンは660ccターボのみ。トランスミッションには軽自動車初となる6速MTと、7速パドルシフト付きCVTが用意された。

また、これも軽自動車初となる「アジャイルハンドリングアシスト」が採用されている。これはブレーキ制御を活用したボディコントロール技術で、コーナリング時に狙ったラインをトレースしやすくなる。

ノーマル車よりもさらに運動性能を高めた、メーカー製コンプリートカー「モデューロX」も2018年5月に発売された。

衝突被害軽減ブレーキは、30km/h以下で作動するシティブレーキアクティブシステムがオプションで用意され、デビュー時に販売された特別限定モデル「S660コンセプトエディション」には標準装備された。

ホンダといえば、多彩な安全運転支援機能をパッケージ化した「ホンダセンシング」が各車に採用されているが、原稿執筆時点でS660には採用されておらず、シティアクティブシステムのままなので、5年落ちを購入しても新車と遜色はない。

デビュー時の車両販売価格は198万~289万円。原稿執筆時点で600台近くが見つかり、うち2015年式は180台ほど。

修復歴なしで絞ると走行距離7万km超の100万円ちょっとからあり、5万km未満でも支払総額150万円ほどで探すことができる。MT車とCVT車の台数は半々といったところ。

▼検索条件

ホンダ S660(現行型)×2015年式×全国

▼検索条件

ホンダ S660(現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/ホンダ、スズキ、ダイハツ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。