ステップワゴン ▲新型の登場で新車で買えなくなった先代の5代目ステップワゴン。中古ではまだまだ狙える存在なので、現在の中古車事情をのぞいてみましょう

現在のミニバンのベースを作ったホンダ ステップワゴン

キャブオーバータイプの3列シート車が全盛だった90年代中ごろに、フロントエンジンフロントドライブレイアウトを採用し、箱型のボディという現在に至るミニバンレイアウトの形を作り上げた初代ステップワゴン。

その後フルモデルチェンジを繰り返しながら、2022年5月に最新型となる6代目が登場しましたが、中には5代目が欲しかったのに……とお嘆きの方もいるでしょう。なので、ここではあえて旧型となった先代型をチェックしてみたいと思います。

先代型ステップワゴンは2015年に登場し、現在の中古車掲載台数は1100台以上と豊富で、平均価格はおよそ250万円となっており、安価な物件では総額100万円台前半から狙うことができるようになっているのです。

そんなステップワゴンのモデル概要を振り返りつつ、現在の中古車事情をのぞいてみましょう。
 

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先代型ステップワゴンってどんな車?

通算5代目となる先代型ステップワゴンは、2015年4月に登場したモデル。それまでは2L~2.4Lのエンジンを搭載していたステップワゴンですが、5代目では従来の2L並みの出力をもった1.5Lダウンサイジングターボとなったことが大きな変更点でした。

グレード体系は従来型と同じく、プレーンな通常モデルとスポーティな上級グレードとなるスパーダの2本柱となっており、先進安全装備の「Honda SENSING」も全グレードにオプション設定されています。

2016年には一部改良がなされてHonda SENSINGを標準装備としたグレードが登場した他、2017年9月のマイナーチェンジでは、ステップワゴン初となるハイブリッドモデルをスパーダに設定するとともにスパーダ系の外観を一新し、Honda SENSINGは全車に標準装備となりました。
 

ステップワゴン ▲こちらが発売当初のスパーダ

このとき追加されたハイブリッドは、2モーターハイブリッドの「SPORT HYBRID i-MMD」(現e:HEV)と呼ばれるもので、通常時はエンジンが発電を担当してモーターで走行し、高速域ではエンジンが直結となって燃費を稼ぐという両者の弱点を補うものとなっていました。

そんな先代ステップワゴンの大きな特徴として挙げられるのが、リアゲートに備えられた「わくわくゲート」なるもの(グレード別設定)。
 

ステップワゴン ▲ドアの一部のみ開閉可能なわくわくゲート

このわくわくゲートは、通常の縦開きタイプのリアゲートに横開き式のサブドアを組み合わせたもので、3列目シートを分割して床下へ格納できる「マジックシート」との組み合わせによって、サブドアから荷物の出し入れだけでなく、人員の乗り降りも可能とした画期的なものでした。
 

ステップワゴン ▲3列目シート半分を格納させた状態

デビュー時は飛び道具的なイロモノ装備というイメージもあったわくわくゲートでしたが、実際に使ってみると非常に便利という声がファミリー層を中心に多く挙がり、新型(6代目)にはわくわくゲートが備わらないというニュースが出ると、旧型に駆け込み需要が発生したといわれるほどだったのです。

また、ボディの全幅が1695mmと5ナンバーサイズに収まっている最後のステップワゴン(新型は1750mm)でもあり、駐車場の都合で幅広車両がNGというユーザーにもオススメしたい1台となっています(スパーダ系はエアロパーツによって全長が4700mmを超えるため、登録は3ナンバー)。

なお、乗車定員はハイブリッドモデルが2-2-3の7人乗りのみ、それ以外のモデルは7人乗りの他、オプションで2-3-3の2列目ベンチシート8人乗り仕様も選択できたため、購入時のチェックは忘れずに。
 

ステップワゴン ▲こちらは7人乗りのセカンドシート

では今から先代ステップワゴンを狙うなら、どんな仕様がいくらくらいで狙えるのかチェックしてみたいと思います。
 

ステップワゴンそれぞれのグレード別の中古車事情はどうなってる?

まずは、オラオラ系フェイスが多いミニバンの中で、柔和なフロントマスクが癒し系な雰囲気の標準モデル。グレードは下から「B」、「G」、「G・EX」となっており、全車1.5Lのダウンサイジングターボエンジンを搭載しています。

手頃な価格の物件には「B」や「G」が目立ちますが、「G」以下では内装の加飾やグラブレール、コートフック、センターテーブル、シートヒーターといった装備が省かれてしまい、「B」に至ってはわくわくゲートすら非装着となってしまうため、ファミリーカーとして選ぶなら、装備充実の「G EX」がオススメとなるでしょう。
 

ステップワゴン ▲こちらは「G EX」のエクステリア

「G EX」系は総額150万~260万円という価格帯となっており、総額200万円ほどの予算があれば、走行5万km未満のHonda SENSING付き車両も見つけることができますが、そもそもステップワゴンはスパーダが圧倒的人気となっているので、物件数が少なめなのが玉にキズと言えそうです。
 

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続いてスポーティなルックスが人気のスパーダ系ですが、基本的な装備は標準グレードとほぼ同等となり、エクステリアの変更や専用サスペンション(2WD車)などが主な違いとなります。

前期型の過走行気味の物件や修復歴アリの物件であれば総額150万円以下のものもそれなりに存在し、一方で大型ナビ付きの試乗車アップのような高年式低走行車となると総額400万円近い価格と幅の広さが特徴となっていました。

とはいえ、前期型であれば総額250万円ほどの予算があれば走行距離3万km台未満で、人気の「クールスピリット」系も十分射程圏内となります。
 

ステップワゴン ▲こちらは前期型のスパーダ

逆に近しい予算で後期型となると、総額260万円くらいの予算を捻出できれば、後期型の5万km前後の物件(ただし非クールスピリット系)もわずかながら狙うこともできますが、もう少し低走行車ということであれば総額280万円くらいの予算は見ておきたいところでしょう。
 

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そして、狙っている方も多いであろう2017年9月のマイナーチェンジで追加された2Lハイブリッド仕様。モーターならではの胸のすくような加速と低燃費が魅力のモデルですが、後期型のみ&元々の車両価格が高かったということもあり、執筆時点で総額200万円を切るものはなく、最安値でも総額230万円ほどとなっています。
 

ステップワゴン ▲こちらは後期型のスパーダのハイブリッドモデル

しかし、予算を総額290万円くらいまでアップすることができれば、修復歴なしの5万km前後という物件も十分射程圏内となります。後期型からはHonda SENSINGが全車標準装備となっただけでなく、ハイブリッドモデルでは電動パーキングブレーキが標準装備となったことで、渋滞追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールが備わる点も魅力的なのです。
 

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ホンダ ステップワゴン ハイブリッドモデル(5代目) ×全国

最後に紹介するのは「モデューロX」。元々走りに定評のあるホンダ車ではありますが、そのスポーティさに磨きをかけた、メーカー謹製のコンプリートモデルです。
 

ステップワゴン ▲スポ―ティな見た目が特徴的なモデューロX

専用の内外装の他、空力も考慮したバンパーやディフューザー、アンダーカバーなどを装着し、サスペンションも専用のものを装着。当初は1.5Lターボのみの設定でしたが、2018年12月にはマイナーチェンジを実施して2Lハイブリッドモデルも追加されています。

そんなモデューロXは1100台余りある先代型ステップワゴンの中古車の中でもわずか30台のみの掲載となっており、価格も前期型の最も安価なものでも総額200万円ほどと高値安定で、前期型の低走行のものでは総額280万~300万円ほどは用意しておきたいといった状況です。

後期型はそもそもの掲載台数がさらに少なくなるので相場感も難しいところですが、ガソリンモデルで総額350万円~、ハイブリッドモデルでは総額390万円~というのがひとつの目安となるでしょう。
 

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ホンダ ステップワゴンモデューロX(5代目) ×全国

このように、わくわくゲートが消滅したことや、全幅が3ナンバーサイズとなってしまったことで、新型ステップワゴンに食指が動かないという人にもピッタリの先代型ステップワゴン。実は新型もパワートレインは先代型を踏襲しているため、動力性能的にもそこまで大差がないというのはナイショのお話です。
 

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文/小鮒康一 写真/尾形和美、ホンダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車はホンダ インサイト、初代パルサー、NAロードスター、S660など