ヤリスクロス▲街で乗ってもカッコ良く、アウトドアも似合うのがクロスオーバーの魅力(写真はトヨタ ヤリスクロス)

魅力を掛け合わせた車、それがクロスオーバー

SUV全体が隆盛となっている中で、近年特に人気となっているのがクロスオーバーだ。国産車、輸入車ともこの10年で一気にラインナップが増えた。

この記事ではクロスオーバーって、そもそもどんなカテゴリー? というところから解説。オススメの8モデルも紹介する。

カローラクロス ▲ひとくちにクロスオーバーと言っても、ボディ形状やサイズは様々だ(写真はトヨタ カローラクロス)
 

クロスオーバーとは? クロスオーバーSUVとは?

クロスオーバーとは、境界を越えて異なる要素同士が交じり合うことを意味する言葉だが、車においては「クロスオーバーSUV」のことを指すのが一般的。つまり「SUVと他のジャンルを掛け合わせた車」のことだ。

例えば「SUV×クーペ」が代表的で、他にも「SUV×ステーションワゴン」や「SUV×軽トールワゴン」もある。数は少ないが、「SUV×ミニバン」のクロスオーバーもある。

以前はベースとなるモデルがあり、それを車高アップした派生モデル的扱いの車種が多かったが、現在ではクロスオーバー専用に開発されたモデルが多い。

 ハリアー ▲トヨタ ハリアーは元々、セダンのプラットフォームを流用していたが、今では専用設計となっている
 

クロスカントリー(クロカン)との違い

セダンなどより車高がやや高めのクロスオーバーSUVだが、クロスカントリーSUV=本格四駆とはそもそも目的が異なる。クロスカントリーSUVが悪路走破性を重視し、頑丈なフレームやホイールトラベルの長いサスペンションなどを採用しているのに対して、クロスオーバーの設計は乗用車に近い。

そのため乗り心地やオンロードでのハンドリング、燃費においても乗用車に近く、日常の使い勝手にも優れているのが特徴だ。

クロストレック ▲乗用車に比べて高めの車高であるため、ちょっとした悪路なら走れるのもクロスオーバーの利点(写真はスバル クロストレック)
 

クロスオーバーSUVの魅力、オススメしたい人

クロスオーバーSUVの魅力は、やはり車高が高いことによる目線の高さ。乗用車よりわずか数センチ高いだけだが、その違いが運転しやすさ、視界の良さにつながっている。

シート座面位置も高めなので、乗り降りもしやすい。取り回しなどは乗用車とさほど変わらないため、誰にでもオススメできるカテゴリーだ。

また、デザイン面でもクロカンとは異なり、SUVの力強さをもちつつ、都市部にも馴染むマイルドな造形となっている。「SUVがいいけれど、ゴリゴリのタフさを出した見た目はちょっと……」という人にもオススメだ。

ヤリスクロス後席 ▲乗降しやすいため、子供やシニアが同乗する機会の多い人にもクロスオーバーはオススメ(写真はトヨタ ヤリスクロスの後席)
 

クロスオーバーSUVオススメ8選

そんな人気のボディタイプであるクロスオーバー車。数多くある車種の中から、オススメの国産モデル6車種、輸入モデル2車種をピックアップして紹介する。

 

1.スズキ ハスラー(2代目)

 スズキ ハスラー(2代目) ▲アンダーガード風に処理されたバンパー下部などはSUVを意識したデザイン

軽自動車のトールワゴンとSUVを掛け合わせた、斬新な発想のクロスオーバーモデル。トールワゴンの広い車内空間や多彩なシートアレンジと、レトロなデザインが魅力だ。

初代から踏襲された外観だが、2代目となる現行型はホイールベースを伸張して直進安定性を高め、ピラー確度を立てて車内の使い勝手をさらに良くするなど機能を向上させている。

オーバーハングが短いボディは、ちょっとしたオフロードでも有利に働く。

スズキ ハスラー(2代目) ▲グローブボックスのふたをテーブル代わりに使えるなどユーティリティも工夫がいっぱい

2019年12月の登場だが、中古車市場には1900台以上ものハスラーが流通。デビュー翌年から現在までまんべんなく分布している。

全車マイルドハイブリッドでNA(自然吸気)エンジンの他にターボエンジンも用意されているが、ターボ車は中古車全体の2割に満たない。

NAエンジン車を見てみると、最安値では2022年式・走行距離13kmの「ハイブリッド G」登録済未使用車で総額109万円。ほぼ新車に近いコンディションにもかかわらず、新車価格より30万円近く安いお買い得な物件だ。

▼検索条件

スズキ ハスラー(2代目)× 全国

●ボディサイズ:全長3395mm × 全幅1475mm × 全高1680mm
●室内サイズ:室内長2215mm × 室内幅1330mm × 室内高1270mm
●乗車人数:4人
●燃費性能:20.8~25.0km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:179.8万~293.6万円
●中古車価格帯:99万~277.7万円

 

2.トヨタ ヤリスクロス(初代)

トヨタ ヤリスクロス(初代) ▲インナーブラックのヘッドライトでちょっと大人な印象

コンパクトカーのヤリスをベースとしたクロスオーバーだが、ただ車高アップしただけではない。全長240mm、全幅20mm、全高90mmずつサイズアップ。オリジナルデザインのバンパーまわり、フェンダーアーチモールを採用するなど、ベース車とは全く異なるたくましいイメージに仕上げられた。

パワーユニットは1.3Lガソリンエンジンと、同排気量エンジン+モーターのハイブリッド。どちらにも2WDと4WDが用意される。ガソリン車の4WDシステムはアクティブトルクスプリット型、ハイブリッド車のそれは後輪を専用モーターで駆動する「E-Four」だ。

4WD車はリアサスがダブルウィッシュボーン式となり、路面追従性においても有利な構造となっている。

トヨタ ヤリスクロス(初代) ▲内装もコンパクトカーとは思えない豪華さ

2020年のデビューであるため、中古車市場に流通している物件の多くは走行距離1万km未満。中古車平均価格も240万円前後となっているが、2020年式・走行距離4000kmの「1.5 X」で総額173.7万円、新車価格より15万円以上安いリーズナブルな物件も見つかる。

ハイブリッド車での最安値(ひょう害車を除く)は2021年式・走行距離3.1万kmの「1.5 ハイブリッドX」で総額197.5万円と、こちらもお買い得。全体の半数弱が4WDとなっている。

▼検索条件

トヨタ ヤリスクロス(初代)× 全国

●ボディサイズ:全長4185~4200mm × 全幅1765mm × 全高1580~1590mm
●室内サイズ:室内長1845mm × 室内幅1430mm × 室内高1260mm
●乗車人数:5人
●燃費性能:17.4~30.8km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:179.8万~293.6万円
●中古車価格帯:154.4万~427.8万円

 

3.マツダ CX-30(初代)

マツダ CX-30(初代) ▲ヘッドライトとグリルをつなぐシグネチャーウイングが際立つ、シンプルなデザイン

機械式駐車場の利用にも配慮されたボディサイズがちょうどいい、CX-3とCX-5の中間的クロスオーバーとして2019年に登場したのがCX-30だ。

外観デザインは洗練された造形の中にも、大きなサイドガーニッシュ、フェンダーアーチモールなどでたくましさが表現されたもの。全高を1540mmに抑えながら、ルーフ形状を工夫することで十分なヘッドクリアランスが確保されている。

パワーユニットは、2Lガソリンエンジン、1.8Lディーゼルターボエンジン、2Lガソリンエンジンのハイパワー版というやや変則的な構成。2022年8月のマイナーチェンジで、ガソリン車は2Lガソリンエンジンのマイルドハイブリッド仕様一本に集約された。

 マツダ CX-30(初代) ▲ヒップポイントを低くすることで乗降性の良さにも配慮された

デビューから4年弱、中古車市場には約1000台のCX-30が流通。全流通量の6割強がデビュー翌年である2020年式となっている。

例えば、2020年式・走行距離2.1万kmの「2.0 20S」の場合、新車価格より50万円以上安い総額185.4万円。現行モデルながら中古車平均価格も230万円前後とリーズナブル、狙い目のクロスオーバー車だ。

▼検索条件

マツダ CX-30(初代)× 全国

●ボディサイズ:全長4395mm × 全幅1795mm × 全高1540mm
●室内サイズ:室内長1830mm × 室内幅1490mm × 室内高1210mm
●乗車人数:5人
●燃費性能:14.8~19.5km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:239.3万~407万円
●中古車価格帯:175.3万~354.3万円

 

4.スバル クロストレック(初代)

 スバル クロストレック(初代) ▲クロストレックの車名の由来は「クロスオーバー」と「トレッキング」を組み合わせた造語

2022年12月、2代目XVからバトンタッチする形で登場したのがクロストレックだ。インプレッサベースのクロスオーバーとしてはインプレッサXV、XVに続く通算4代目となる。

未塗装樹脂パーツをアクセントに使用した外観などはSUVテイストあふれるもの。取り回しの良いボディサイズと使い勝手の良い車内空間を両立させている。

パワーユニットは2L水平対向ガソリンエンジンのe-BOXER仕様(ハイブリッド)のみ。XVでは4WDしかなかったが、クロストレックではアクティブトルクスプリット式4WDに加え、FFも設定された。

スバル クロストレック(初代) ▲エアコンなど、ほとんどの操作はセンターパネルのディスプレイで行う

デビューから半年ほどしかたっていないため、中古車市場に流通している台数はまだ30台程度だ。現段階ではすべての物件が2023年式、走行距離500km未満で、中古車平均価格も最上級グレードの新車価格以上となっている。

価格の一例を挙げると、2023年式・走行距離7kmの「2.0 ツーリング」で総額288.6万円。新車価格より20万円強ほど高いが、諸経費、納車の早さを含めて考えるとお得感があるだろう。

▼検索条件

スバル クロストレック(初代)× 全国

●ボディサイズ:全長4480mm × 全幅1800mm × 全高1575mm
●室内サイズ:室内長1930mm × 室内幅1505mm × 室内高1215mm
●乗車人数:5人
●燃費性能:14.7~22.3km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:266.2万~328.9万円
●中古車価格帯:288.6万~388.6万円

 

5.トヨタ カローラクロス(初代)

トヨタ カローラクロス(初代) ▲フロントエンブレムはトヨタマークでなく、カローラの「C」

約70年にも及ぶカローラシリーズの歴史で初めて登場したクロスオーバー。ベースとなった11代目カローラより185mmも全高が高い。

フロントバンパー下部に台形の大型メッシュグリルを配置、エンブレム周辺を前に張り立たせるなど、デザインもクロスオーバー専用だ。ステーションワゴンとSUVを掛け合わせたパッケージにより荷台の使い勝手は抜群で、487Lもの最大荷室容量(5名乗車時)を確保している。

搭載されるパワーユニットは1.8Lガソリンエンジンと同排気量のハイブリッドで、4WD(E-Four)が用意されるのはハイブリッド車のみ。

カローラクロス(初代) ▲後席を畳んだときの荷室長は1885mmと、荷物を積むにも車中泊するにも十分だ

中古車市場におけるガソリン車、ハイブリッド車の比率はほぼ半々。走行距離別に最もボリュームが多いのは「500km未満」の物件で、ガソリン車なら総額210万円弱から探せる。

ハイブリッド車ではやや価格帯が上がり、2021年式・走行距離2.1万kmの「ハイブリッド G」で総額264.2万円からのスタート。最安値はガソリン車、ハイブリッド車とも新車価格+5万~10万円程度のアップとなっているが、走行距離が少なく、納車が早いこと、諸経費分を合わせて考えると損はないだろう。

▼検索条件

トヨタ カローラクロス(初代)× 全国

●ボディサイズ:全長4490mm × 全幅1825mm × 全高1620mm
●室内サイズ:室内長1800mm × 室内幅1505mm × 室内高1205mm
●乗車人数:5人
●燃費性能:17.4~30.8km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:199.9万~319.9万円
●中古車価格帯:199.8万~447.1万円

 

6.トヨタ ハリアー(4代目)

ハリアー(4代目) ▲堂々としたボディサイズ、シンプルながら風格ある外観もハリアーの魅力

クロスオーバーの先駆者的存在のモデル。世代が代わり、4代目となった今もクーペとSUVが融合した美しいフォルム、斬新なパッケージは魅力的だ。

現行型RAV4と同じプラットフォームを採用しながらも、ハリアーは全く違うキャラクターに仕上げている。特に乗り心地の上質さ、インテリアの豪華さには磨きがかけられた。採り入れる光の量を任意に変えられる調光式パノラマルーフは4代目の特徴的な装備だ。

パワーユニットは2Lガソリンエンジンと、2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッド、2022年10月に追加されたプラグインハイブリッドの3種類。ガソリン車は2WDと4WD、ハイブリッド車は2WDとE-Four(電気式4WD)、プラグインハイブリッド車はE-Fourのみ、という構成になっている。

ハリアー(4代目) ▲馬のくらをイメージしてデザインされたセンターコンソールなどは重厚感あふれる作り

デビューから3年ほどだが、中古車市場には2800台以上が流通。全体の約3割がハイブリッド車、プラグインハイブリッド車はごくわずかという状況だ。

中古車平均価格は390万円前後だが、リーズナブルなところでは2020年式・5.2万kmのガソリン車「2.0 S」で総額283.5万円の物件も見つかる。ハイブリッド車は総額290万円台前半からのスタートだ。

▼検索条件

トヨタ ハリアー(4代目)× 全国

●ボディサイズ:全長4740mm × 全幅1855mm × 全高1660mm
●室内サイズ:室内長1880mm × 室内幅1520mm × 室内高1200mm
●乗車人数:5人
●燃費性能:15.8~16.4km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:299万~620万円
●中古車価格帯:270.2万~715万円

 

7.ミニ ミニクロスオーバー(2代目)

ミニクロスオーバー(2代目) ▲プラグインハイブリッドはシステム最高出力224psを発揮するパワフルなモデル

人気輸入ハッチバックのミニをクロスオーバーに仕立て、ヒットモデルとなったモデルの2代目。3代目ミニをベースに、よりアクティブなイメージに仕上げられている。

パワーユニットは2Lディーゼルターボエンジンと、1.5Lガソリンエンジン+モーターのプラグインハイブリッド、2Lガソリンターボの「ジョン・クーパー・ワークス」の3種類。ディーゼル車には最高出力150psの「クーパー D」と、190psの「クーパー SD」という2バリエーションある。

プラグインハイブリッド車は後輪をモーターで駆動する、4WD専用モデルだ。

ミニクロスオーバー(2代目) ▲ミニらしく遊び心あふれる内装はクロスオーバーでも健在

デビューから6年以上経過した現在、中古車市場での流通量は約590台と輸入クロスオーバーとしては多め。年式では2018~2021年が充実している。

価格の一例を挙げると、2017年式・走行距離4.2万kmの「クーパー D」で総額179.7万円。4WD車も総額230万円前後から狙える。ハイブリッド車の流通量は約50台。こちらは総額240万円からのスタートだ。

▼検索条件

ミニ ミニクロスオーバー(2代目)× 全国

●ボディサイズ:全長4315mm × 全幅1820mm × 全高1595mm
●乗車人数:5人
●燃費性能:11.3~16.9km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:335万~616万円
●中古車価格帯:138万~630.7万円

 

8.BMW X2(初代)

 BMW X2(初代) ▲下部が広がった形状のキドニーグリルが独特!

BMW Xシリーズの中でもクーペに近いスタイリングのモデルを、SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)とBMWは呼んでいる。そのSACの中でX6、X4に続いて2018年に登場したのがコンパクトなX2だ。

車高を低く抑えながら、ボディ下部をラギッドな印象とした個性的なデザインが特徴となっている。

パワーユニットは、最高出力140psを発生する1.5L ガソリンターボと、192psを発生する2L直4ガソリンターボの2種類。前者が2WD、後者が4WDというラインナップだ。流麗なスタイリングとしながら、470L(5名乗車時)の荷室容量を確保するなど実用性も高い。

 BMW X2(初代) ▲インパネまわりはフラットなデザインで、サイズ以上の広さを感じる

かなりユニークなキャラクターのモデルだが、中古車市場には意外に多めの約300台が流通。年式ではデビュー年とその翌年がボリュームゾーンとなっている。

リーズナブルなものでは2018年式・走行距離1.7万kmの「xドライブ 20i 4WD」で総額185.7万円という物件も見つかる。全流通量の約7割が4WD車だ。

▼検索条件

BMW X2(初代)× 全国

●ボディサイズ:全長4375mm × 全幅1825mm × 全高1535mm
●乗車人数:5人
●燃費性能:11.4~15.3km/L(WLTCモード燃費)
●新車時価格:436万~728万円
●中古車価格帯:185.7万~599.8万円

※記事内の情報は2023年7月23日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/尾形和美、篠原晃一、スズキ、スバル、トヨタ、マツダ、ミニ、BMW
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。

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