LBX ▲コンパクトなSUVボディに最高水準の機能と質感を詰め込んだ「レクサス LBX」はぜひ入手してみたい1台ですが、その中古車平均価格は、新車価格よりも高い約492万円。……さすがにまだお買い得感に欠けるということで、その半額ぐらいで狙えて、同程度の満足を得られそうなプレミアムコンパクトを探してみることにしましょう!

ぜひとも狙いたいレクサス LBXだが、中古車平均価格は新車より高い

「高級車の概念を変えるサイズの、ヒエラルキーを超えた次世代レクサス」として2023年11月に登場したレクサス LBXが今、けっこうな人気を集めています。

レクサス LBXは、全長4190mm × 全幅1825mm × 全高1545mmという小ぶりなサイズの中に、レクサスならではの上質さと走りの良さ、そして最新の安全装備を満載させたコンパクトSUV。いわゆる「小さな高級車」というやつです。

そしてその中古車流通量も直近では50台を超えてきましたが、まだまだ「お買い得」とは言い難い状況です。

レクサス LBXの新車価格は、特殊なグレードを除いて考えると420万~486万円ですが、2024年12月上旬現在の中古車平均価格は493.5万円。つまり今、レクサス LBXの中古車は「新車と同じぐらいか、むしろ高い」という状況なのです。

……レクサス LBXが素敵な「小さな高級車」であることは理解できますが、ユーザーとしては、できれば新車の半額ぐらい、つまり総額240万円前後で入手できたらうれしいのに……というのが正直なところです。

であるならば、探してみることにしましょう。レクサス LBXの約半値で買えて、それでいて、LBXとおおむね同程度の満足が得られそうな中古車を!
 

LBX▲これが買えるなら、それに越したことはないのですが……他の車種を検討してみることにしましょう!

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レクサス LBXの代わり①|アウディ Q2(初代)

まず順当なところでは、レクサス LBXとおおむね同サイズのプレミアムコンパクトSUV「アウディ Q2」が候補となるでしょう。
 

LBX▲こちらがアウディ Q2。写真は2017年に登場した際の初期型
 

アウディ Q2は、2017年6月に初上陸したコンパクトSUV。ボディサイズはレクサス LBXとおおむね同寸といえる全長4200mm × 全幅1795mm × 全高1530mm。こちらQ2もLBX同様、一般的な機械式駐車場に収めることができるサイズです。

デビュー当初のパワーユニットは最高出力116psの1L直3ターボまたは同150psの1.4L直3ターボで、2020年12月には2L直4ディーゼルターボを追加。トランスミッションは全車7速DCTで、駆動方式も全車FFです。

アウディ Q2はコンパクトSUVではあるものの、運転支援システムは充実しています。最安のベースグレードを除いて自動ブレーキシステムやアダプティブクルーズコントロールは標準装着で、アクティブレーンアシストや渋滞時の追従機能、ハイビームアシストといった機能も「セーフティパッケージ」として設定されています。
 

LBX▲赤い差し色などの細部はグレードやオプションによって異なるが、アウディ Q2のインテリアはおおむねこのような洗練されたデザインが採用されている
 

同車は2018年9月に仕様を一部変更し、2021年5月にはマイナーチェンジを実施。ガソリンエンジンのラインナップは新開発の1.5L直4ターボに一本化されました。

できればこのマイナーチェンジ以降の世代を狙いたいところですが、その後期型は総額290万円以上となる場合がほとんど。そのため「レクサス LBXの半額で」と考えるのであれば、2018年9月に一部仕様変更を受けた「30 TFSIスポーツ」というグレードを、総額240万円前後で狙うことになります。

30 TFSIスポーツが搭載するパワーユニットは排気量わずか1Lの直3ターボですが、動力性能にはまったく不満はなく、乗り味にも高級感があります。そして総額240万円前後でも走行距離2万km台までの物件を普通に見つけることができますので、「半値で狙えるレクサス LBXの代わり」としては、かなり悪くない選択肢です。
 

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レクサス LBXの代わり②|BMW X2(初代)

全長はレクサス LBXより185mmほど長くなりますが、よく似たサイズのプレミアムコンパクトSUVとしては、先代BMW X2という選択肢も考えられます。
 

LBX▲クーペスタイルのSUVとして2018年に登場した初代BMW X2

2018年から2023年の途中まで販売された先代(初代)BMW X2は、クーペスタイルのデザインをまとったコンパクトSUV。ボディサイズは、全長以外はLBXとおおむね同等の全長4375mm × 全幅1825mm × 全高1535mmで、こちらも一般的な機械式駐車場に入れることができます。

当初のパワーユニットは最高出力140psの1.5L直3ガソリンターボと同192psの2L直4ガソリンターボの2種類で、2020年6月には同150psの2L直4ディーゼルターボを追加。駆動方式はFFと4WDの両方が用意されています。
 

LBX▲レザーステアリングホイールやインパネ付近のアルミ調パーツ、ファブリックとアルカンターラのコンビ素材を使用したスポーツシートなどが特徴となる「MスポーツX」のインテリア

2023年10月には新型(現行型)のX2が登場済みであるため、先代BMW X2にはレクサス LBXのような「目新しさ」はないかもしれません。しかし、歩行者検知機能が付いた衝突回避・被害軽減ブレーキ機能や、レーン・ディパーチャー・ウォーニングおよびアダプティブクルーズコントロール、前車接近警告機能などを備えた「ドライビング・アシスト」は採用されており、走行感覚も「しなやかでありながら、高速域でのしっかり感も強い」という、BMW特有の美点を強く感じさせる仕上がりです。

またクーペ的なシュッとしたフォルムも、レクサス LBX以上に魅力的かどうかは人それぞれの判断に任せますが、なかなかカッコいいことは間違いありません。

そんな先代BMW X2は、1.5Lまたは2Lのガソリンターボ車と2Lディーゼルターボ車の走行距離2万km台までの物件が、総額240万円前後のゾーンで豊富に流通しています。レクサス LBXの約半値で狙えるSUVとしては、アウディ Q2と並んでこちらもなかなか悪くない選択です。
 

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レクサス LBXの代わり③|メルセデス・ベンツ Aクラス(4代目)

レクサス LBXという車の本質的な魅力ポイントは「小さな高級車である」ということであって、「流行りのSUVである」という点ではありません。いやもちろん、流行りのジャンルであることも重要な要素ではあるでしょうが、「SUVであることにこだわらなくてもいいのでは?」という話です。

で、もしも「そうだよね、別にSUVじゃなくてもいいかもね」と思っていただけるのであれば、現行型である4代目メルセデス・ベンツ Aクラスも、レクサス LBXの約半額で買えるプレミアムな車としては大いに魅力的です。
 

LBX▲こちらが4代目メルセデス・ベンツ Aクラス。写真はマイナーチェンジ以前の前期型

通算4代目となる現行型メルセデス・ベンツ Aクラスは、日本では2018年10月に登場したプレミアムな5ドアハッチバック。メルセデスの最新のデザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」によって無駄なラインやエッジが減らされたエクステリアはスポーティかつエモーショナルで、斬新なデザインが採用されたインテリアも同様にエモーショナルです。

ボディサイズは全長4420mm × 全幅1800mm × 全高1420mmであるため、「高さがもたらす車内の広々感」についてはレクサス LBXより劣っています。しかし「広々感」よりも「穴蔵感」を好む人もいるでしょうし、Aクラスの車内は決して穴蔵的に狭いわけでもないため、「自分はSUVじゃなくても構わない」と思っている人でさえあれば、何ら不満は感じないはずです。
 

Aクラス▲2段構造のダッシュボードが特徴的な現行型メルセデス・ベンツ Aクラスのインテリア。ジェットエンジンのタービンを模したエアコン吹き出し口も、この世代のメルセデスの特徴的なデザイン。対話型インフォテインメントシステム「MBUX」も採用されている

デビュー当初のパワーユニットは最高出力136psの1.3L直4ガソリンターボで、トランスミッションは7速DCT。そして2019年3月に同150psの2L直4ディーゼルターボを追加し、こちらには8速ATが組み合わされました。2020年9月以降は、それまではオプション扱いだった運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」が標準装備となり、2023年2月にはマイナーチェンジを実施。内外装デザインなどが変更されました。

できればマイナーチェンジ後の世代を狙いたいところですが、そちらはあいにく総額400万円以上。そのため実際には2018年式付近の「A180スタイル AMGライン」を総額240万円前後で探すか、やや高めにはなりますが、ディーゼルターボの「A200d AMGライン」を総額260万円前後で探すことになります。

1.3LガソリンターボのA180系は軽快さが魅力となりますし、2LディーゼルターボのA200dは力強さが魅力ですが、いずれの場合も足回りのしっとり感は抜群。背の高さではレクサス LBXに負けますが、それ以外の点においては、おおむね同等または同等以上に満足できるでしょう。
 

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レクサス LBXの代わり④|BMW 2シリーズグランクーペ(初代)

現行型メルセデス・ベンツ Aクラスはかなり素敵な選択肢だと思いますが、人によっては「ハッチバックはややカジュアルすぎる」と感じる可能性もあるでしょう。

であるならば、「フォーマル感の強い、でもってレクサス LBXに対抗する」というアイデアはどうでしょうか? そしてその場合の選択肢は「BMW 2シリーズグランクーペ」ということになります。
 

LBX▲セダンというか正確には4ドアクーペだが、こちらがBMW 2シリーズグランクーペ

車名が表しているとおり、2シリーズグランクーペはセダンではなく「4ドアクーペ」です。しかし4ドアクーペとの違いは微妙というか曖昧ですので、「これもまたの一種!」と考えても間違いではありません。また、4ドアクーペであるがゆえに「フォーマルであると同時にセクシーでもある」というニュアンスになるため、よりいっそう魅力的であるとも考えられます。

そんなBMW 2シリーズグランクーペは、2019年10月に上陸した全長4535mm × 全幅1800mm × 全高1430mmのコンパクト4ドアクーペ。日本仕様の当初のパワーユニットは最高出力140psの1.5L直3ガソリンターボと、同306psの2L直4ガソリンターボ。2020年8月には2L直4ディーゼルターボを追加しています。駆動方式は、強力な2Lターボを搭載する「M235i xドライブ グランクーペ」以外はFFです。
 

LBX▲10.25インチのフルデジタルメーターパネルと、タッチ操作が可能な10.25インチのインフォメーションディスプレイが組み込まれている2シリーズグランクーペの運転席まわり。6色に変更可能なインテリアトリムライトも装備する

そして新しい世代の車ですので当然ながら先進安全装備も充実している2シリーズグランクーペの中古車は、総額260万円前後で1.5L直3ガソリンターボ搭載グレードの低走行物件を狙うことができます。また総額280万円前後という若干お高めな予算を許容できるのであれば、2L直4ディーゼルターボも検討可能です。

BMWならではのスポーツ性と、(4ドアクーペ)ならではのフォーマル感により、十分以上にレクサス LBXに対抗可能な1台であるといえるでしょう。
 

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レクサス LBXの代わり⑤|ミニ ミニコンバーチブル(3代目)

レクサス LBXに勝るとも劣らぬ「小さな高級車」を総額240万円付近のゾーンで探してきた本稿ですが、我ながら、何か本質的なことが欠けているような気がしています。

ラグジュアリーで、なおかつ小ぶりな車を探しているわけですが、「ベンツやビーエム、あるいはアウディとかのエンブレムが付いている=ラグジュアリーということなのか? お前の考えはちょっと浅いんじゃないか?」と誰かに詰め寄られたら「うぐぐ……」と、返す言葉を失ってしまいそうです。

そこで、さらに考えてみました。「真のラグジュアリー、つまり本当の“贅沢”とは何か?」ということを。

10分ほど沈思黙考を続けたところで、答えは出ました。

真に贅沢な行為とは「屋根がない車に乗ること」です。つまりはオープンカーこそが、本当の意味でラグジュアリーなカテゴリーなのです。
 

LBX▲真の贅沢とは「屋根のない車に乗ること」と見つけたり?

オープンカーにも開閉可能な屋根(ソフトトップやメタルトップ)は付いていますが、固定屋根の車と比べると、いろいろな意味で若干不便ではあります。また、新しいうちはぜんぜん大丈夫ですが、古くなってくると雨漏りが発生することもあります。

それゆえ、筆者を含む「普通の人」はオープンカーをあまり選ばないわけです。しかし、「雨漏りするかもしれないから」とか、「日本は雨が多いから」「ソフトトップを収容するスペースが必要な分だけ、荷室が狭くなるから」などの理由でオープンカーを忌避する姿勢は、まったくラグジュアリーではありません。言葉は悪いですが「みみっちい」とすら言えます。

真にラグジュアリーな精神および態度とは、そういった不便さも丸ごと飲み込んだうえで「でもさ、屋根のない車ってやっぱり素敵じゃない?」とにっこり微笑み、誰か大切な人を助手席などに乗せ、海へ行く。そして、ルーフを開け放つ。……これではないでしょうか?

以上の見解にもしもご賛同いただけたなら、選ぶべき車は先代のミニコンバーチブルです。
 

LBX▲こちらが先代(3代目)ミニコンバーチブル
LBX▲いわゆる「高級車」ではないミニコンバーチブルだが、デザインを含むインテリアの上質感は十分以上であり、そもそも「屋根を開け放つ」という行為自体が、きわめてラグジュアリーだといえる

ボディサイズは全長3835mm × 全幅1725mm × 全高1415mmですので、十分にコンパクト。いささかコンパクトすぎるきらいはあるかもしれませんが、「2人乗りである」と割り切れば、十分な広さです。

「でも、急に人を乗せることもあるかもしれないから……」などとみみっちいことを考えるのは、この際やめましょう。何せ我々は今、“贅沢”という概念を追求しているのですから。もしものことばかりを考えて、その結果として「美」や「贅」を失ってしまうのは、筆者を含む我々普通人の悪いクセです。

そんな素晴らしくラグジュアリーでありながらコンパクトサイズでもある先代ミニコンバーチブルは総額260万円付近にて、トランスミッションが7速DCTに変わった中期型の低走行物件を見つけることができます。

ぜひミニコンバーチブルにて、レクサスの最新モデルにも負けない「贅沢」を堪能してみてください。
 

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文/伊達軍曹 写真/レクサス、アウディ、BMW、メルセデス・ベンツ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。