フォルクスワーゲン ゴルフ|ニューモデル試乗

多くのユーザーが競合車にあげるというプリウスにだって迫る実用燃費性能。お父さんもガイシャに乗ってみたい、それくらいのワガママは無条件に許される。それほどに全方位型万能モデルだ

最強の後出しジャンケン

まずは価格に「ヤラレタ…」

Cセグメント群雄割拠の2013年。1月、大きくコンセプトを変えたベンツAクラスが登場。2月、スタートプライス269万円で周囲の度肝を抜いたボルボV40が現れた。さらに通なフォードフォーカスと続き、そして大本命、7代目フォルクスワーゲン ゴルフが上陸した。

まずは価格構成を見る。トレンドライン(1.2L)249万円、コンフォートライン(1.2L)269万円、ハイライン(1.4L)299万円。競合の気持ちを察するに、ヤラレタ…。

ひと転がしで「世界のベンチマーク」を感じる

室内の第一印象はまず後席が広い。先代で気になったセンターコンソールなどの樹脂パーツの質感も上がった。

そしてひと転がしで「世界のベンチマーク」を感じる。1.4Lエンジンには気筒休止システムが付いており、ときに2気筒で走行するのだが、その制御はインジケーターを見ていなければわからないほどにスムーズ。カタログ燃費は19.9km/Lで、街中でも15km/Lくらいは走りそうだ。1.2Lモデルでももちろん動力性能に不満はない。燃費は歴代最高の21km/Lという。

さらに1.4Lなら、自動ブレーキに全車速追従機能付きACC、レーンキープアシストを標準採用って…安全装備もすごい。ゴルフなのにACCで走ることに正直、違和感を覚えなくもないが、速度調整やブレーキの制動加減は相当にカシコイ。

ところで、カタログには大きくうたわれていないが、リアサスが1.2Lと1.4Lでは少々異なる。1.4Lはマルチリンク化されており、その上で、先代のGTIから設定されていたアダプティブシャシーコントロールDCCがオプションで用意される。路面追従性の高さ、この乗り味はもはやクラスを超越している。しかも、17インチホイールとのセットでまとめて14万7000円という価格設定なのだから。

これまでならゴルフは1.2Lで十分、そう断言してきた。でもこの7代目は、1.4LにDCCの全部のせでオーダーしたくなるほどに悩ましい価格設定と出来栄えだ。

新プラットフォーム戦略(MQB)のもと全面刷新。旧型から比較して20~50kg軽量化され、走りと環境性能が高められている

新プラットフォーム戦略(MQB)のもと全面刷新。旧型から比較して20~50kg軽量化され、走りと環境性能が高められている

1.4Lにはフォルクスワーゲン初の気筒休止システムが搭載された。アイドリングストップ機構やエネルギー回生システムも装備されている

1.4Lにはフォルクスワーゲン初の気筒休止システムが搭載された。アイドリングストップ機構やエネルギー回生システムも装備されている

ラゲージも旧型から30L拡大され380Lに。ラゲージの床面を100mm下げられる可変カーゴフロアが新たに採用されている

ラゲージも旧型から30L拡大され380Lに。ラゲージの床面を100mm下げられる可変カーゴフロアが新たに採用されている

SPECIFICATIONS

グレード TSI Highline
駆動方式 FF
トランスミッション 7DCT
全長×全幅×全高(mm) 4265×1800×1460
ホイールベース(mm) 2635
車両重量(kg) 1320
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1394
最高出力[ps/rpm] 140/4500-6000
最大トルク[N・m/rpm] 250/1500-3500
車両本体価格(万円) 299
Tester/藤野太一 Photo/河野敦樹