WRX STI Sport#の抽選に外れた皆さまへ。代わりにこちらのスバル製MT車に乗られてみてはいかがでしょうか?
2026/07/29
▲限定600台の抽選販売枠に対して約9000件もの申し込みがあったスバルのコンプリートカー「WRX STI Sport#」 。残念ながら抽選に外れてしまった人が今後乗るべきスバルのMT車について、真剣に検討してみよう「WRX STI Sport#みたいなMT車」を探せ!
現行型スバルWRXの日本仕様としては初めて6速マニュアルトランスミッションを採用し、バランスドエンジンなども組み込んだ600台限定のコンプリートカー「スバルWRX STI Sport#」の抽選申し込みが2026年5月17日、締め切られた。
同車には約9000件の申し込みがあったとのことだが、非常に幸運な600人を除く約8400人の人々は結果として抽選に外れ、涙をのむことになった。
しかし、それでも「WRX STI Sport#が欲しい!」という心の中の炎がどうしても消えない場合、我々はどうすればいいのだろうか?
▲こちらがスバル WRX STI Sport#。抽選の競争率は実に約15倍に達し、ほとんどの人は、残念ながら商談の権利を得ることができなかった「WRX STI Sport#の中古車が市場に出回るまで、ひたすら待つ」というのも、ひとつの手ではあろう。だが同車が中古車として登場するまでには何年かかるかわかったものではなく、市場に出てきたとしても、それにプレミアム価格が付いていないという保証もない。
であるならば、「WRX STI Sport#みたいなスバルのMT車」の中古車を適切な価格帯で探しだし、それをとっとと購入して日々愛用し、とっとと幸せに過ごす――という生き方こそが、最適解になるのではないだろうか。
いや、それが「最適」かどうかは意見が分かれるところかもしれないが、座して待つだけでは何の意味もない。とりあえず「WRX STI Sport#みたいなスバルのMT車」を探してみることにしよう。
「WRX STI Sport#みたいなスバルのMT車」とは結局、どんなモノか?
ご承知のとおりスバル WRX STI Sport#には、6速MTの他に「バランスドエンジン(ピストン&コンロッド、クランクシャフト)」「バランスドクラッチカバー&フライホイール」「STI製各種機能パーツ」「専用電子制御ダンパー(ZF製)」等々が採用されているわけだが、これらとまったく同一の要素を他のモデルに求めるのは酷であるというか、不可能である。
だからこそ大切なのは「要点を押さえること」だ。
車に限らず物事というのは、細かい部分がいろいろ異なっていたとしても「要点」さえ似ていれば、もちろん決して同じではないものの、似たような結果物となる場合が多いものだ。
そしてこのたび抽選が行われたスバル WRX STI Sport#の要点とは、筆者が思うに以下の6点である。
1. マニュアルトランスミッション(MT)である
2. バランスドエンジンである
3. 様々なスペシャル装備が奢られている
4. 新しい世代のスバル車である
5. 新しい世代のスバル車ゆえに、乗り心地が硬すぎない
6. そして新しい世代ゆえに、メンテナンスにさほど苦労しない
この6つの要点になるべく合致するスバル車を次章以降、広大な中古車マーケットの中から探しだしてみることにしよう。
▲写真上はWRX STI Sport#の要点である「MT」と「バランスドエンジン」関係、そしてbremboなどの「スペシャルな装備」。これらと同様なモノ、または似ているモノを備えているスバル車を探してみよう!候補①|スバル WRX(初代) STI EJ20 ファイナルエディション
「WRX STI EJ20 ファイナルエディション」はご承知のとおり、EJ20ターボエンジンを搭載するWRX STIの生産終了に伴い555台が限定販売された、スバル WRX STIの特別仕様車である。
▲EJ20型水平対向エンジン搭載車の集大成となる特別装備を採用し、2019年10月に555台限定で抽選申し込みが開始されたスバル WRX STI EJ20 ファイナルエディションコレであれば当然ながら「MT」であり、回転系パーツの重量公差と回転バランス公差を低減した「バランスドエンジン」も採用。そしてWRCで活躍したマシンをほうふつさせるゴールド塗装のBBS19インチ鍛造アルミホイールやbrembo製フロント18インチベンチレーテッドディスクブレーキ、同じくbrembo製の対向6ポットキャリパー等々、「スペシャル装備」も枚挙にいとまがない。
さらには、まあまあ新しい世代ゆえに乗り心地は決してハードすぎず、かなり古い年式のSTIコンプリートカーと違ってメンテナンスにもさほどの苦労はない。
そしてさらには「ファイナルエディション!」ということで、EJ20型水平対向エンジンの歴史と伝統を、心の中で日々かみ締めることもできる――となれば、これはもうWRX STI Sport#の代わりとしてはほぼ文句なしと思うのだが、いかがだろうか。
▲ステアリングホイールはウルトラスエード巻き(ハイグロスブラックベゼル+シルバーステッチ)となるWRX STI EJ20ファイナルエディションのコックピット
▲EJ20ファイナルエディションのピストン&コンロッドとクランクシャフト、クラッチカバー&フライホイールは重量公差と回転バランス公差が徹底的に低減されている唯一の問題は「中古車の数が少なく、価格もけっこう高い」ということだ。
2026年7月上旬現在、レカロシートやアドバンスドセイフティパッケージも付いている「フルパッケージ」を含むWRX STI EJ20 ファイナルエディションの流通量はわずか7台で、価格は総額650万~750万円といったところ。
WRX STI Sport#の新車総額以上となるかもしれないこの中古車価格をもしも受容できるのであれば、素晴らしい選択肢となるだろう。
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スバル WRX(初代) × 「STI 2.0 EJ20 ファイナルエディション」系グレード × MT候補②|スバル WRX(初代) STI S207
2015年10月に400台限定で発売されたWRX STIベースのコンプリートカー「S207」も、要点となる部分においてはWRX STI Sport#に近しい1台だ。
▲「Sport, Always!」~究極のロードゴーイングSTI ~をコンセプトに、400台が限定発売されたスバル WRX STI S207スバル WRX STI タイプSのB型をベースとするS207が搭載するEJ20ターボエンジンは、専用設計のECUや通気抵抗を低減した排気システム、ピストン、コンロッド、クランクシャフトのバランス取り、ボールベアリングターボチャージャーの高効率化、過給圧のアップなどにより、最高出力328psをマーク。
そしてフロントサスペンションには専用開発のビルシュタイン製減衰力可変ダンパー「DampMatic II」を採用し、ステアリングギアレシオも標準モデルの13:1から11:1に変更。また、ボディには補強部品としてSTI製フレキシブルタワーバーやフレキシブルドロースティフナー等々も装着している。
さらに、フロントブレーキはbrembo製6ピストンモノブロック対向キャリパー+2ピースドリルドローターの組み合わせで、リアブレーキも――という感じで全部書いていくとかなり長くなってしまうのだが、要するにWRX STI Sport#とおおむね似たような方向性でSTIが仕立てたコンプリートカーである。
もちろんトランスミッションは6速MTであり、乗り心地も決して悪くない。硬めではあることは間違いないが、不快な突き上げはないのだ。
▲専用ルミネセントメーター(マルチインフォメーションディスプレイ付き、STIロゴ入り)や、専用STI 製RECAROバケットタイプフロントシート等々を標準装備するS207のインテリア
▲STI製bremboモノブロック対向6ポットブレーキキャリパー(シルバー塗装、STIロゴ入り)。その奥には、専用STI製ビルシュタインフロントストラット「DampMaticⅡ」が見えるこちらも前述のWRX STI EJ20 ファイナルエディションと同様に「中古車の数が少なく、価格もけっこう高い」というのがネックではあるものの、総額620万~700万円付近にて、S207またはS207 NBRチャレンジパッケージ(専用ドライカーボン製リアスポイラーなどが付いているバージョン)を見つけることは可能だ。
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スバル WRX(初代) × 「STI S207系」グレード候補③|スバル BRZ STIスポーツ タイプ RA
水平対向エンジンの最高出力が235psでもOKであれば、また、新車時価格以上のプレミアム価格が付いてしまっていることを許容できるなら、2代目スバルBRZの「STIスポーツ タイプ RA」も、WRX STI Sport#の代わりとして十分に機能する。
▲スバルがスーパー耐久シリーズで培ってきた技術と、様々なレースを戦ってきたSTIの技術を融合させ、2025年11月に300台(うち100台はタイプRA ウィズ リヤスポイラー)が限定発売されたスバル BRZ STIスポーツ タイプ RA2025年11月13日に台数300台限定のコンプリートカーとして抽選申し込みが開始された「スバル BRZ STI Sportタイプ RA」は、スバルとSTIがスーパー耐久シリーズなどのモータースポーツで培ってきた技術や知見を生かし、走る楽しさを追求したコンプリートカー。
これに搭載される2.4L水平対向4気筒のFA24型エンジンは、スーパー耐久シリーズ参戦車両「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」と同様の高精度なバランス取りが行われたもので、これまたスーパー耐久シリーズ参戦車両で採用されている冷却フィン付きリアデファレンシャルケースも装備。
さらに、これもスーパー耐久シリーズの現場における課題から生まれたシフトアシスト機能(レブシンク/フラットシフト)も採用されており、足回りにも、しつこくて申し訳ないが「スーパー耐久シリーズで培った知見」を生かした専用ZF製ダンパーとSTI製フレキシブルパーツが装着されている。
そしてトランスミッションは6速MTのみである。
WRX STI Sport#ほどのハイパワーを堪能することはできないが、一般的には最高出力など235psもあれば普通に十分以上であり、そんな数値よりも「バランスドエンジン」であることの方がよっぽど重要かつ有意義である。
▲重量公差を50%低減したピストン&コンロッド、回転バランス公差を80%低減したクランクシャフト、67%低減したフライホイール、50%低減したクラッチカバーを採用し、STI製フレキシブルVバーも標準装備
▲「タイプ RA ウィズ リアスポイラー」に装着されるSTIドライカーボンリヤスポイラーは、スーパー耐久のレースカーにも装着されていたものだということでスバル BRZ STIスポーツ タイプRAは、WRX STI Sport#の抽選に外れてしまった人には大いに推奨したい一台ではあるものの、残念なことに中古車は2台しか流通しておらず、その中古車価格も、新車時価格よりいくぶんお高い総額600万~700万円という状況。
とはいえ「それでも構わない!」と思える猛者には、大いにオススメできる選択肢である。
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スバル BRZ(2代目) × 「STIスポーツ タイプ RA」系グレード候補④|スバル BRZ(2代目)
先ほどスバル BRZ STIスポーツ タイプRAを推奨したが、冷静に考えれば「中古車流通台数は2台のみ」というのは、さすがにちょっと厳しいかもしれない。
ならば、ごく一般的な現行型となる2代目スバル BRZ(MT車)の低走行物件を普通に購入し、普通に楽しむというシンプルなライフプランはどうだろうか?
▲こちらが一般的なスバル BRZ(2代目)。写真のグレードはSTIスポーツ「バランスドエンジン」や「様々なスペシャル装備」が魅力的なのは当然だが、仮にそんなモノがなかったとしても、車というのは大いに楽しいものであり、特にスバル車は、特に2代目BRZは楽しい。
だからこそ、あまり難しいことは考えずにスッと現行型BRZのMT車をおトクな値段で購入してしまえば、そのままスッとシアワセになれる可能性は高いのだ。
▲初代とはやや異なる水平基調の造形に改められた2代目BRZのコックピット参考までに「ごく一般的な2代目BRZ(MT車)の低走行物件」の価格目安は、おおむね下記のとおりである。
・R(新車価格332.2万円):総額260万~340万円
・S(新車価格350.9万円):総額270万~350万円
・STIスポーツ(新車価格378.4万円):総額340万~400万円
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スバル BRZ(2代目) × MT候補⑤|レガシィB4(2代目)3.0 R スペックB
スペシャルなパワーユニットという意味では、WRX STI Sport#などが搭載する「バランスドエンジン」がそれに該当するわけだが、過去の一部のスバル車(とポルシェ 911)が搭載する「水平対向6気筒エンジン」も、十分以上にスペシャルなパワーユニットであるはず。
そんなスペシャルユニットを搭載するスバルのMT車が、2代目レガシィB4の「3.0 R スペックB」だ。
▲2003年から2009年まで販売された2代目スバル レガシィB4に、2004年に追加されたレガシィB4 3.0 R スペックB。ポルシェ 911と同様の「水平対向6気筒エンジン」にMTを組み合わせたグレードだレガシィB4 3.0 R スペックBは、世界的にも希少な3L水平対向6気筒エンジンを搭載する2代目レガシィB4の6速MT版として、2004年10月に追加設定された1台。その最高出力はわずか(?)250psでしかないが、高回転域での超絶スムーズな回転フィールは「まさにスペシャル!」といったところ。
専用チューンを受けた6速MTのなめらかさとともに、このうえなく甘美なドライブフィールを堪能できる。
WRX STI Sport#やS207などのスポーティなコンプリートカーとは方向性がまったく異なるが、レガシィB4 3.0 R スペックBもまたスペシャルな存在であることは間違いない。そしてWRX STI Sport#とは方向性が真逆であるからこそ、その抽選に外れた悲しさと悔しさを忘れさせてくれる――かもしれないのだ。
▲3L水平対向6気筒ユニットを搭載する3.0 Rの中でも「6速MTのスペックB」は、2006年5月登場のD型までしか生産されなかったそんな2代目レガシィB4 3.0 R スペックBの中古車は今や流通台数が少なく、総額100万~300万円付近のゾーンで、約6台の中古車が流通しているのみ。
安価な物件は特に、納車時のメンテナンスを徹底的に行う必要があるかもしれない。だがもしもいい感じの状態に仕上げることができたならば、「……WRX STI Sport#の抽選に外れて、結果として良かったかも!」と思えるほどの(?)、感動を味わえるだろう。
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スバル レガシィB4(2代目) × 3.0R スペックB
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2005年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。