薄めの低速トルク+MTという(ある意味)贅沢
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2015/11/05

往年の直4アルファロメオがもたらす超快感
過日、日産 ジュークのNISMO RSなるスポーツグレードに乗る機会があった。全体として非常にステキな車であり、特に最高出力214psとなるNISMO RS専用チューンの直4ターボエンジンはなかなか素晴らしいと思えた。だが、若干の物足りなさを覚えたことも否定はできない。
どんな物足りなさかといえば、エンジンが下から上まで非常にパワフルというかトルクフルであるため、あまりにも運転しやすい……ということだ。もっとこう「下の方がスカスカで運転しづらい!」と悲鳴をあげるぐらいの方が、いかにもスパルタンなスペシャルモデルを運転している実感みたいなものが強く感じられ、筆者のような自動車変態としては萌えるのである。

しかしそういったエンジン特性はジュークのNISMO RSに限った話ではなく、昨今のハイチューンエンジン全般にいえることであるため、NISMO RSとしても「そんな言いがかりをつけられても困るよ」と苦笑するほかないだろう。それについては重々承知だ。実際、筆者が乗っていたルノーの現行メガーヌR.Sもかなりパワフルなエンジンを搭載する車だったが、低速トルクはやたらと充実していたものだ。
山道を走る際、本当はタイトコーナーの手前でヒール&トウを駆使して3速→2速とシフトダウンしたいのだが、あいにく筆者は運転がさほどうまくないため、無理にヒール&トウを行うとブレーキングにもシフトチェンジにも失敗し、そのままガードレールに突き刺さるおそれがある。しかしコーナーのかなり手前で2速にシフトダウンすると、今度は回転数高すぎになってしまう。さて困った……となった筆者がとった手段は「3速のままタイトコーナーを曲がる」だった。そんなマヌケな手段でも、最近のハイパワーエンジンは低速トルクが十分以上にあるため、けっこうなペースで走れてしまうのだ。

まぁそれは車好きとしてはかなり邪道な話だが、世の中の高性能エンジンがこうも「低速トルク盛々」になると、逆に昔の「低速スカスカ系エンジン」が恋しくなったりするのは確かだ。スカスカな低速をなんとかするべくMTを上手に操作することは、今の時代はやりたくてもできない贅沢な行為といえる。
しかし中古車というタイムマシンを上手に使えば、現代の世でも、憧れの(?)低速スカスカ体験を味わうことはできるはずだ。例えばクラシックカーと呼べるような年代の車や、古めの英国製ライトウェイトスポーツに乗れば、いつだって「低速スカスカ」は堪能できる。しかしそういった類の車は乗り手を選ぶため、できればもう少し一般的な何かも探したいところではある。
そんなときに注目されるべきは、ちょっと前のアルファロメオ。それもV6ではなく、直列4気筒のツインスパークエンジンを搭載したMT仕様だ。これがなかなか痛快な「低速スカスカ系」なのである。

理想をいえば94年までのアルファ155に搭載されていた8バルブエンジンの低速スカスカっぷりをMTで味わいたいところだが、その現存数は極めて少ないため、実際は95年以降のフィアット系シリンダーブロックを用いた16バルブエンジンが選択肢となるだろう。これは8バルブと比べてしまうと「十分な低速トルクを有している」と評せるエンジンなのだが、その他の一般的な4気筒エンジンと比べれば、まずまず魅惑のスカスカ系ではある。
実際、筆者の知人は旧型アルファ スパイダーの2.0ツインスパークに乗っていた際、いわゆるラブホテル出口の急坂をトルク不足ゆえに登ることができず、かなり恥ずかしい思いをしたと言っていた。……さすがにそれは低速トルク不足のせいではなく、単にその個体の調子が悪かっただけのような気もしないではないが、いずれにせよ、16V系であっても往時のアルファロメオ製ツインスパークエンジンは、自動車変態にとってはなかなかステキな低速トルクのなさを披露してくれる車であることは間違いない。


ということで、かなりマニアックというか逆説的な提案ではあるのだが、今回のわたくしからのオススメは「あえての低速トルク不足を味わうための、往年の直4系アルファロメオのMT仕様全般」だ。
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- Car:アルファロメオ 147&145&155&156
- Conditions:MT&修復歴なし
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