【名車への道】’73 BMW 2002ターボ
2020/04/28

■これから価値が上がるネオクラシックカーの魅力に迫る【名車への道】
クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにも、これから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを自動車テクノロジーライター・松本英雄さんと探っていく企画「名車への道」。

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
もっと有名になってもおかしくない素性の車なんだよ
――松本さん、今月は昔からずっと探していた車両を見つけてきましたよ。
――この車です。BMW 2002ターボ。


――早速、基本から教えてください。
まず簡単にこの2ドアスポーツサルーンの成り立ちを紹介すると、BMWは戦後、実は弩級の高級モデルしか作ってなかったんだ。
ブランドの始まりがエンジン屋さんだったのは有名な話だけど、その特徴を生かすとなるとどうしても高級路線になってしまうんだよね。
でも、当時会社を立て直す必要があったBMWには大衆的なモデルが必要だった。そこでイタリアのISO社のマイクロカーのライセンス生産を行ったんだよ。
――イセッタ(*1)ですよね?
――2002の登場はまだですか?(笑)
――エンジンが有名なんでしたっけ?

――なにが凄いんですか?
そのブロックは1980年代のターボ絶頂期のF1にも使われていて、伝説では1500馬力も発揮したといわれているんだよ。
――その時代にそれって……凄いですね。
だから2002ターボのM31ユニットの170馬力というのはブロック自体の強度としては朝飯前の出力なんだ。BMWは航空機エンジンでターボのノウハウは十分に熟知していたからね。
60年代のヨーロッパツーリング選手権でポルシェに煮え湯を飲まされていたんだけど、2002ターボが登場する4年前にすでに2002tii(*4)をベースにターボを装着して280馬力を発揮していたんだ。
圧縮比こそ6.9と抑えられていたけど、ポテンシャルを感じさせるスペックであることは間違いないね。
――BMWらしいエピソードですね。

――スタイルがもう独特ですよね?
――あ! そういうことだったんですか?

――なんかこの個体はなぜかリベット留めなのに、国内ディーラー車なんですって。
で、マクファーソンストラット、リアがセミトレーリングアーム式なんだ。BMWはこの時代からマクファーソンストラットを大切にして、今も進化させているよね。
本当に凄いと思うよ。単純な構造だからこそ進化が難しいのに60年近くこだわっているんだから。
――もっと有名でもいい車ですよね。
■注釈
*1 イセッタ
BMWがライセンス販売をしていた2名乗車のコンパクトカー。本家のISO社より販売台数が多かったため、BMW版の方が有名に。
*2 ノイエ・クラッセ
BMW1500シリーズにつけられた社内での呼称。1961年から1971年まで製造された4ドア乗用車を指し、当時のBMWの主力になった。
*3 アレクサンダー・フォン・ファルケンハウゼン
1907年生まれのレーシングドライバー。エンジニアとしても多くの功績を残した、BMW史を語る際に欠かすことのできない人物。
*4 2002tii
1971年に発売されたインジェクションモデルの2002。130psを誇り、ファストバックのツーリングなども設定されていた。
BMW 2002ターボ
1966年から1977年にかけて生産された02シリーズの最上位モデルが2002ターボ。1973年に追加され、独特のルックスと性能で同時代のBMWを代表するモデルに。最高速度211km/hを生み出すために磨かれた空力はBMWの名車3.0CSLとほぼ同じ数値となっていた。総生産台数が少ないため、日本の中古車市場に流通する機会は非常に少ない。
※カーセンサーEDGE 2020年6月号(2020年4月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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