30万円台で見つかることも! 絶滅危惧車のSX4セダンは、生い立ちは変わっているが真面目な車だった
2019/07/29
▲今回紹介するのはスズキ SX4セダン。一見普通のセダンに見えるが、変わった生い立ちをもつモデルだクロスオーバーから派生したセダン
2014年に絶版になったばかりのSX4セダン。しかし、原稿執筆時点(7月23日)でカーセンサーnetに掲載されているのはわずか2台!
スズキのクロスオーバー「SX4」をベースにセダンに仕立てられた、珍しい生い立ちの持ち主だった。
一般的にはクロスオーバーは、セダンなりステーションワゴンなりの派生車種であることが多い。その点SX4セダンはクロスオーバーからセダンになっていた。
SX4のデザインはイタリアの名門カロッツェリア「イタルデザイン」が担当し、フィアットと共同開発という触れ込みだった。
とはいえ、生産をしたのもスズキで、ベースとして用いたプラットフォームもスズキのスイフトであった。
SX4は2006年にデビューし、翌年に追加されたのがSX4セダンだった。
SX4と比べると335㎜長くなり、全高は40㎜低くなっていた。なお、全幅とホイールベースはSX4と同じだ。
パワーユニットはSX4には1.5Lと2Lエンジンが用意されていたが、SX4セダンは前者のみ。組み合わせられたトランスミッションは、4速ATのみだった。
▲(左)SX4セダン (右)SX4
▲クロスオーバーモデルに比べ低く長くなったボディにより、安定感とスピード感が増している
▲搭載されるエンジンは1.5L 直4エンジンのみ。最高出力は110psと、特に際立つものではなかった特筆すべき点はないが……真面目な車だ
SX4が若者をターゲットにしたクロスオーバーだったのに対して、SX4セダンのターゲットは子育てを終えた夫婦。
だからなのか……面白みや新しさといったことはほぼ皆無。
ラインナップされていたボディカラーは白、黒、シルバー、紺、グレーの極めて無難な5色だったことからも、面白みは感じさせない。
インテリアも綺麗にまとまっているが、特筆すべきことには欠けていた。
そればかりか、クロスオーバーのSX4(ウリは4WD)だったのに、SX4セダンに4WDの設定はされずにFFのみ。
スズキとしては、普通乗用車の真面目なセダンを投入したにすぎなかったのかもしれない。
トランクが設けられたことで積載容量はSX4の270Lよりも格段に大きい、515Lを誇る。
そして、トランクとキャビンを分ける部分には、ボディ剛性を確保するための補強材が配されている。
セダンとなったことでリアサスペンションの付け根付近がリアシートによって遮音されることもあり、ずいぶんと静かな車に仕上がっていた。
また、SX4のホイールサイズが16インチだったのに対して、セダンでは15インチになりタイヤの偏平率も60から65に変更され肉厚になった。合わせて、サスペンションのセッティングもセダン用に乗り心地を重視していた。
そのため、セダンの乗り心地はベースになっているSX4よりも柔らかくしなやかな雰囲気に。それでいて、コーナーリング中でも不必要なボディロールはなかった。
アクセルやブレーキ、ステアリングなどの操作系は軽く、“古典的”な日本車っぽさすら漂っていた。
▲セダンということで、乗り心地はしなやかで柔らかい。派手さはないが、必要十分といった感じのインテリア
▲クラス最大級のトランクスペースをもち、一般的な9.5インチのゴルフバッグなら5つ積むことが可能だセダンとしての仕上がりに文句をつける人はいなかった。とはいえ、極めて控えめというか、特筆すべき点に乏しかったことから……売れなかったことは容易に想像できる。
裏を返せば、それほどレアな存在とも呼べる比較的新しめなのに、タイミングによっては10万円台から狙える真面目なセダン……。これこそ、掘り出し物と呼ぶべき車だろう。
ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▲生真面目なモデルのSX4セダン。流通台数は少ないが、総額30万円台から狙えることを考えると掘り出し物と言ってよいだろう▼検索条件
スズキ SX4セダン(初代)×全国
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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