ポルシェ カイエン▲欧州製プレミアムSUVを代表するモデルのひとつであるポルシェ カイエンの第2世代が今、新車時価格(約800万円~)の半値以下で狙える状況に。お手頃価格の2代目カイエンは実際のところどうなのか? 様々な角度から考えてみます

一番安い部類なら総額200万円台からイケる

人は、なんだかんだで「イケてる感じがするモノ」に弱く、それに憧れを抱く場合が多い。そして今、車の世界で「イケてる感じがするモノ」といえば、おそらくは「輸入プレミアムSUV」が筆頭格であり、その中でも「ポルシェ カイエン」こそが、いわば西の横綱みたいなものだろう(東の正横綱はメルセデス・ベンツ Gクラスか?)。

そんなポルシェ カイエンを「欲しい!」と思う人は多いはずだが、しかしポルシェ カイエンという車は端的に言って高い。新車を買うとなれば一番安いグレードでも車両価格1071万円であり、その中古車であってもおおむね900万円以上はする。

しかし1世代前のポルシェ カイエン、マニアからは「958」という型番で呼ばれることが多い2代目の中古車であれば、なんと総額230万円ぐらいから探すこともできる。

230万円であれば、筆者のようなド庶民であってもなんとか払うことはできるため、「欲しい!」とは思う。だが世の中というのは光あるところに必ず影があり、安い中古車にもたいていの場合、何らかの「安い理由」があるものだ。

……となると、新車時の半値か半値以下で買えてしまう先代ポルシェ カイエンの格安系中古車というのは「買ってもOK」なものなのか? それとも「やめておいた方がいい」という代物なのだろうか?

様々な角度から検証してみることにしよう。
 

ポルシェ カイエン▲こちらが2010年から2018年にかけて製造販売された、2代目ポルシェ カイエン。写真はマイナーチェンジ前の前期型ベースグレード

お手頃予算で検討対象になり得るのは「前期型」

まずは958こと先代ポルシェ カイエンという車自体について、簡単なおさらいから。

2002年から2010年まで販売された初代の後を受け、2代目ポルシェ カイエンが登場したのは2010年3月のこと。ボディサイズは初代より若干大きくなったが、車両重量は逆に若干軽量化された。

グレード構成は、ベースグレードに相当するのが最高出力300psの3.6L 自然吸気V6エンジンを搭載する「カイエン」で、その上の「カイエンS」は同じ自然吸気ながら4.8LのV8エンジンを搭載し、こちらの最高出力は400psとなっている。

そして最上級グレードに相当するのが最高出力500psの4.8L V8ターボを搭載する「カイエン ターボ」で、その他に、3L V6スーパーチャージャー付きエンジンに電気モーターを組み合わせた「カイエン S ハイブリッド」も存在する。2012年6月にはカイエンSのさらなる高出力版である「カイエン GTS」を追加している。

2014年7月にはマイナーチェンジが行われ、車体前後のデザインを変更するとともにパワーユニットを刷新。これ以降の世代が俗に「後期型」と呼ばれるわけだが、後期型の中古車相場はまだ少しお高いため今回は省略し、マイナーチェンジ以前の「前期型」に焦点を絞って話を進めたい。
 

ポルシェ カイエン▲こちらが2代目ポルシェ カイエン前期型のベースグレード。搭載エンジンは3.6Lの自然吸気V6
ポルシェ カイエン▲こちらは同じ自然吸気エンジンでも4.8L V8となる「カイエンS」の前期型
ポルシェ カイエン▲で、こちらは最高出力500psの4.8L V8ターボエンジンを搭載する「カイエンターボ」の前期型
ポルシェ カイエン▲こちらが2014年7月以降の後期型ベースグレード。このマイナーチェンジで車体前後のデザインが変更されるとともに、カイエンSのエンジンが大幅に刷新されるなどの変更が行われた

「新車の半値以下」の中心はベースグレード

先代カイエン前期型ベースグレードの新車時価格は800万円前後だった(※時期により微妙に異なる)。そこから考えて「明らかにお安い!」と感じられるのは新車時価格の半値以下、つまり中古車の支払総額が「400万円以下」になっているケースではないだろうか。

2021年1月下旬現在、総額400万円以下で狙える2代目ポルシェ カイエンの流通台数は全国で48台。そのグレード別の内訳は、下記のとおりとなっている。

●カイエン(ベースグレード)|22台(46%)
●カイエン S|7台(15%)
●カイエン ターボ|6台(12%)
●カイエン GTS|3台(6%)
●カイエン Sハイブリッド|8台(17%)
●プラチナエディション|2台(4%)

これは要するに「総額400万円以下でイケる先代カイエンの約半分はベースグレードで、高出力なカイエン Sとターボはぼちぼち狙える程度。そしてハイブリッドも、ぼちぼち狙うことはできる」ということだ。

これらのうち、ド迫力エンジンを搭載するカイエンターボは魅力的ではあるものの、筆者が専門店筋にヒアリングしたところによれば「ターボは壊れたときにシャレにならないぐらいの修理費用がかかることもある」とのことなので、安全策を取って除外することとしたい。

すなわち、ひとまず検討対象とするのは、総額400万円以下の下記3グレードである。

●カイエン(ベースグレード)
●カイエン S
●カイエン Sハイブリッド

ポルシェ カイエン▲ちなみに2代目ポルシェ カイエンの運転席まわりは、グレードにより細かな違いはあるものの、おおむねこのようなテイスト
ポルシェ カイエン▲前期型ベースグレードの3.6L V6自然吸気エンジン。最高出力300psは、車重との関係で「超パワフル!」と感じられるものではないが、多くの人が「普通に十分」とは感じるはず

「高かったグレードが格安になった中古車」はリスキーな場合も

前述した3グレードの中からどれを狙うべきかといえば――もちろん「絶対」ではないのだが――基本的には「ベースグレードがいいでしょう」ということになる。1000万円以上だったモノが400万円になった中古車より、800万円だったモノが400万円になった中古車の方が、一般的にはモノが良くて信頼性も高い場合が断然多いからだ。

そして2代目カイエンの場合は、最高出力300psの3.6L 自然吸気V6エンジンであっても(普通に運転する分には)かったるさを感じない人がほとんどであると推測できる。そのため、よりいっそう「変に無理をするよりも、もともと安かったベースグレードの中から、なるべくコンディションの良い物件を探し出すのが、この場合は得策というか安全策でしょう」ということになるのだ。

で、総額400万円以下の2代目カイエン前期型ベースグレードに的を絞った場合に探せる物件は、おおむね下記のようなものになる。

●年式|2010~2014年式
●走行距離|約5万~約12万km
●支払総額|約290万~約400万円

これらの中から「なるべく年式が新しく、なるべく走行距離が短い物件」を探したくなるのが人情ではあるが、それは実は間違っている。

いや「絶対に間違っている」というわけでもないのだが、車というのはこのぐらいの世代(10年近く落ち)になると、年式や走行距離よりも「それまでの扱われ方」でコンディションが決まってくる場合の方が多い。それゆえ、年式や距離は当然気にはするものの、それ以上に下記のような点が重要になる。

●内外装の美観(手荒く雑に扱われてきた痕跡はないか? 車内に異臭は染みついていないか?)

●基幹となる部位のフィーリング(エンジンや足回りから、異音や妙な振動などは発生していないか? またステアリングギアボックスからの異音はないか? 等々)

●それまでの整備履歴(2年に一度、ポルシェ正規ディーラーで点検と整備を受けているか?)

こういったあたりを重視しながら探す方が、結果的には「当たり」を引き寄せる確率は高まるだろう。

ポルシェ カイエン▲これまた「絶対」ではないのだが、歴代オーナーからの扱われ方というのは、その車の「内装コンディション」にしばしば現れる。明らかに手荒く扱われていた痕跡が目立つ物件は、基本的にはパスするのが賢明だ

「総額400万円前後」を目安に探し、購入後の整備費用確保も忘れずに

以上のもろもろを踏まえたうえで、筆者の直近フィールド調査から導き出された答えは、おおむね以下のとおりとなっている。

●総額400万円級|しっかり吟味しながら探せば、「当たり」を当てる可能性も大なゾーン。

●総額300万円台半ば級|上記より確率は下がるが、「当たり」を当てる可能性もあるゾーン。

●総額200万円台級|もちろん断言はできないが、個人的にはあまりオススメしないゾーン。

以上を参考に、「車両価格の安さ」ではなく「全体のコンディションと整備履歴の良し悪し」に着目しながら、「総額400万円前後」をひとつの目安にして焦らず探せば、まずまず満足できるコンディションの2代目ポルシェ カイエン(のベースグレード)が見つかる可能性はある。

また2代目カイエンのベースグレードは、センサー類の故障や冷却水の漏れ、トランスファーからの異音などが発生する可能性はあるものの、「エンジン本体やトランスミッションなど基幹部分がとにかく壊れまくる」といった類の車ではないため、故障問題に対して過剰に神経質になる必要はない。

だがその場合でも、ポルシェ カイエンの交換部品代や修理費用というのは決して安くはないため(というか、ぶっちゃけ高い)、ギリギリの予算で車両を買うのだけはご法度。

具体的な金額はケース・バイ・ケースなので明示するのは難しいが、「ある程度の整備費用」であればいつでも出せる属性の人が購入すべきプレミアムSUVであることは、最後に指摘しておきたい。
 

ポルシェ カイエン▲整備履歴とコンディションが良好なベースグレードであれば、「金食い虫」的な状態にはならない場合が多いはず。しかしそれでも、消耗部品の交換費用などは国産実用車クラスと比べれば確実に高額なことはお忘れなく
文/伊達軍曹、写真/ポルシェ

▼検索条件

ポルシェ カイエン(2代目) × 3.6 4WD & 3.6 ティプトロニックS 4WD × 総額400万円以下
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。