ボルボ V60 ▲大人気の北欧製プレミアムステーションワゴン「現行型ボルボ V60」の平均価格がこの1年で30万円ほど下がり、グッと狙いやすい状況になってきました。ならば、具体的には何年式のどのグレードに注目すべきなのでしょうか? もろもろ考えてみましょう!

決して爆安ではないが「現実的なプライス」に変化

スタイリッシュで上質感があってブランドイメージが良好で、走りが良くて先進安全装備も充実していて、さらにはステーションワゴンゆえに使い勝手もすこぶる良好で――といった具合に、ほぼ「いいことだらけの車」と言える現行型ボルボ V60。

その中古車価格が、この1年間でおおむね30万円下がっています。

まずは下のグラフをご覧ください。

ボルボ V60
ボルボ V60

2020年の10月から11月にかけて一度大きく跳ねた現行型V60の平均価格は、その後順調なダウントレンドに復帰。流通量の増加にほぼ反比例する形で相場を下げてきました。その結果として直近の平均価格は、昨年の同時期より約30万円お安い「450.1万円」になっているのです。

400万円超ということで決して爆安な車ではないのですが、「まずまず現実的なプライスになってきた」とは言えるはず……ということで、本稿では「今、もしも現行型ボルボ V60を狙うなら“何年式のどれ”を選ぶのが正解なのか?」という点について、中古車相場とモデル概要を振り返りながらじっくりチェックしてまいります。
 

ボルボ V60▲伸びやかなフォルムがなんとも美しい現行型ボルボ V60

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モデル概要:安全装備が充実し、デザインも乗り味も良好な最新世代

まずは、現行型ボルボ V60というステーションワゴンの概要について。

初代ボルボ V60は、一世を風靡したV70よりもちょこっと小さな中型ステーションワゴンとして2011年に登場し、スマッシュヒットを記録。それを受けて「2代目のV60」として2018年9月に上陸したのが、現行型のボルボ V60です。

SUVであるXC60に次ぐ「新世代60シリーズ」の第2弾として登場した現行型V60は、SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)と呼ばれる最新のプラットフォームを採用し、エクステリアデザインも「最新のボルボ流デザイン」にのっとったものへと生まれ変わりました。

ボディサイズは全長4760mm×全幅1850mm×全高1435mmで、初代V60より全長は125mm延長されている一方、全幅は15mm狭く、全高は45mm低くなっています。しかし5人乗車時のラゲージスペースは、初代より99L広い529Lが確保されているのが特徴です。

ボルボ自慢の安全技術は、衝突回避・軽減フルオートブレーキシステムやアダプティブクルーズコントロール、車線維持機能など16種類以上の先進安全・運転支援機能からなる「IntelliSafe」を全車に標準装備。衝突回避・軽減フルオートブレーキシステムには、対向車が自車の走行車線に進入して衝突が避けられないと判断した場合、自動ブレーキにより対向車との衝突速度を最大10km/h低下させるなどする機能「オンカミング・ミティゲーション Byブレーキング」も新たに搭載されました。
 

ボルボ V60▲北欧神話に登場する雷神「トール」が手に持ったとされるハンマーをモチーフにしたLED ヘッドライトは、直近のボルボ車すべてに共通するデザインアイコン
ボルボ V60▲現代的な面構成とキャラクターラインの中に、ボルボの伝統的なテールランプの造形が見事にハマっている
ボルボ V60▲仕様により素材や色味は大きく異なるが、現行型ボルボ V60の運転席まわりはおおむねこのようなデザイン
ボルボ V60▲その昔から「安全性」には徹底的にこだわっているブランドゆえ、現行型ボルボ V60は全グレードに先進安全装備のパッケージである「インテリセーフ」が標準装備されている

初期型のパワーユニットは、T5系に搭載された最高出力254psの2L直4ターボと、「Twin Engine」と呼ばれたプラグインハイブリッド車に搭載された87psのモーター+スーパーチャージャー付き2L直4ターボエンジンというシステム。「T8 Twin Engine」はエンジンの最高出力が318psで、「T6 Twin Engine」のそれは253psでした。駆動方式はT5系がFF、Twin Engineはともに4WDで、トランスミッションはいずれも8速ATです。

2019年6月には、T6 Twin Engine AWD インスクリプションの装備内容をやや落としてお手頃価格とした「T6 Twin Engine AWD モメンタム」を追加するとともに、運転支援機能の一部をさらに向上させるなどの一部改良を行った現行型V60は、翌2020年10月にラインナップを一新。純ガソリン車がカタログから消え、全車が電動パワーユニットになりました。
 

ボルボ V60▲2020年10月にすべてのパワーユニットを電動化。写真はプラグインハイブリッドの「リチャージ プラグインハイブリッド」の充電口

2020年10月以降の新ラインナップを大きく分けると、13.6psのモーターが2Lターボエンジンをアシストする48Vマイルドハイブリッド車と、従来からあるPHEVシリーズ「Twin Engine」を「リチャージ プラグインハイブリッド」へと改称したシリーズの2種類。それぞれの詳細は下記のとおりです。

●B4 モメンタム:48Vハイブリッドで、2Lターボエンジンの最高出力は197ps
●B5 インスクリプション:48Vハイブリッドで、2Lターボエンジンの最高出力は250ps
●B5 R-DESIGN:48Vハイブリッドで、B5 インスクリプションにスポーティな装備類を付加したグレード
●リチャージ プラグインハイブリッドT6 AWD インスクリプション:それまでのT6 Twin Engine AWD インスクリプションを改称したグレード
●リチャージ プラグインハイブリッドT6 AWD インスクリプション エクスプレッション:上記の装備レベルを落とすことで価格を抑えた、プラグインハイブリッドのエントリーグレード

318psの高出力ターボエンジンにモーターを組み合わせた旧「T8 Twin Engine」はこのタイミングで廃番となり、PHEVのエンジンはすべて253psバージョンになっています。
 

ボルボ V60▲V60 リチャージ プラグインハイブリッドの充電は200Vのいわゆる普通充電で行われる

そしてさらに2021年12月にはB4モメンタムのトランスミッションが8速ATから7速DCTに変わるという変更もあったのですが……この章もそろそろカタカナと数字だらけで「読む気が失せた!」となっているかもしれません。

そのため、下記に箇条書き的にまとめてみることにしましょう。現行型ボルボ V60のパワーユニット軸で見た場合のラインナップの変遷は、おおむね以下のとおりです。

■2018年9月~2020年9月
・T5系は254psの2L直4ターボ。上級グレードが「T5 インスクリプション」で、エントリーグレードが「T5 モメンタム」 ・PHEVは「Twin Engine」という車名を使用。318psのエンジンを使っているのが「T8 Twin Engine AWD インスクリプション」で、253psのエンジンを使っているのが「T6 Twin Engine AWD インスクリプション」または「T6 Twin Engine AWD モメンタム」

■2020年10月~
・純ガソリン車(T5系)がカタログから消滅。
・新たに登場した48Vマイルドハイブリッドの高出力版が「B5 インスクリプション」で、低出力版(といっても197ps)が「B4 モメンタム」
・それまでの「Twin Engine」(要はPHEV)が「リチャージ プラグインハイブリッド」に改名
・高出力PHEVだった「T8 Twin Engine」は廃番
・253psのエンジンにモーターを組み合わせたPHEV「リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD(旧名T6 Twin Engine AWD」は、上級の「インスクリプション」と普及版「インスクリプション エクスプレッション」の2種類に分かれた

……これでもまだカタカナと数字が多くて申し訳ないのですが、とりあえずは以上です。
 

 

値落ちの理由は「車検タイミング」と「電動ユニットへの乗り替え」か

お次は「この1年間で平均価格が約30万円も下がった」ことの“理由”について考えてみましょう。

といっても、新車時価格が約500万円から約800万円だった高額輸入車の平均価格が年に30万円ほど下がるのは「よくあること」でしかないので、これといって力説するような仮説はありません。

単純に「登場初期の個体群が納車から丸3年の初回車検時期を迎えたことで買い替える人が増え=流通量が増加し、それに伴って小売価格が順次下がっていった」と考えられます。

現行型ボルボ V60は2022年7月下旬現在、2018年式から2022年式までの中古車が計190台流通していますが、年式別で見ると最多流通量となるのが、2018年9月に発売された現行型V60の納車が本格化した時期である「2019年式」です。このことが、上記の仮説をおおむね裏付けているはずです。また2020年10月に、前述のとおりV60全車のパワーユニットが電動化されたことも、流通量増加(買い替える人の増加)の大きな要因だったでしょう。

つまり現行型ボルボ V60の平均価格下落は「ネガティブな理由に基づくものではない」と考えられますので、その中古車購入に対して特に神経質になる必要はありません。内外装や機関、足回りなどのコンディションと整備履歴、異臭や異音の有無を確認するといった「中古車選びの基本」を押さえながら探せば、それでおおむねOKなのです。
 

ボルボ V60▲機械製品ゆえにマイナートラブルが皆無とは言わないが、これといって重大な機械的弱点は特にないのが、現行型ボルボ V60という車の良いところではある
 

狙い方1|お手頃系の狙い目は総額300万円台のT5 モメンタム

それでは、いよいよ「具体的には“どれ”がオススメなのか?」ということについて考えてまいりましょう。

まず「なるべく手頃な予算で、なるべく状態のいい現行型ボルボ V60が欲しい」という場合は、初期年式のベーシックグレードであるT5 モメンタムの低走行物件を総額360万~390万円あたりのゾーンで狙ってみるのがオススメとなります。
 

ボルボ V60▲最高出力254psの2L直4ガソリンターボエンジンを搭載する「T5 モメンタム」

T5 モメンタムは、上級グレードである「T5 インスクリプション」の装備レベルを抑えることで、新車価格をT5 インスクリプションより100万円お安くしたグレードです。

しかしエンジンはまったく同じでトランスミッションも同じ。そしてADAS(先進運転支援システム)をパッケージにした「インテリセーフ」に関しても差はありません(このあたり、ボルボというブランドのマジメで好ましいところです)。

T5 インスクリプションとの違いは「快適装備の類がやや劣る」ということでしかありません。

具体的には、標準のシート生地がレザーではなくなる他、シートヒーターとシートベンチレーション、マッサージ機能、助手席パワーシートなどが省略され、ホイール径も18インチではなく17インチになります。
 

ボルボ V60▲2タイプ選べたT5 モメンタムの標準内装のうち、「City Weave」というコーディネートで採用されたシート生地は写真の「T-Tec」というもの。これはこれでかなりおしゃれなのだが、残念ながら(?)市場の中古車はオプションの革シートを装着しているものが多い

これら快適装備はあった方が何かと便利ですが、「なくても大勢に影響はない」とも言えるものでしょう。またT5 モメンタムの標準シート表皮はT-Tecというボルボ独自のファブリックと合皮のコンビですが、市場にあるT5 モメンタムの大半はオプションのレザーシートを装着しており、このレザーパッケージには、T5 モメンタムでは省略されるバックドアの電動開閉機能もコミになっています。そして17インチホイールであることにより小回りも利き、一般道での乗り心地も良好になります。

つまり、ボルボ V60のT5 モメンタムというベーシック(?)グレードは、快適装備がほんの少々劣る以外はほぼ欠点なしの車なのです。

おおむね同条件のT5 インスクリプションを買おうとすると総額で400万~450万円ほどが目安になりますが、T5 モメンタムであれば、前述のとおり総額360万~390万円あたりのゾーンで結構な1台が探せます。

……これはもう「お値打ち!」としか言いようがないと思うのですが、いかがでしょうか? ちなみにT5モメンタムは流通量も非常に豊富です。
 

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狙い方2|「なるべくいいモノを適価で」と願うなら総額450万円前後の「B4 モメンタム」

お次、「中古車とはいえなるべく高年式で“いいモノ”が欲しい!」という場合には、2020年10月に登場した48Vマイルドハイブリッド車であるB4 モメンタムの走行1万km台までの物件を、総額450万円前後で探してみるのがオススメとなります。
 

ボルボ V60▲2020年10月のパワーユニット電動化時に登場した、197psの2Lターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた「B4 モメンタム」

B4 モメンタムのパワーユニットは、最高出力197psの2Lターボエンジンを13.6psのモーターがアシストするというもの。上級グレードである「B5 インスクリプション」とモーターは同じですが、そちらの2Lターボエンジンは最高出力250psです。

B4とB5ではエンジン出力に約50psの開きがあるわけですが、B4でもモーターが低速域をうまく補ってくれるため、レスポンスは非常に良好で、いわゆる物足りなさみたいなものほとんど感じないはず。

また装備レベルも、当然ながら上級グレードであるB5 インスクリプションの方が充実はしていますが、B4 モメンタムも「けっこう高額なプレミアム系輸入車」であることに変わりはありませんので、基本的な装備レベルに不満を覚えることはまずないでしょう。

さらにその中古車は、26万円のオプション装備だったレザーシートや、21万円のオプションだったパノラマガラスサンルーフ、9万5000円だったクライメートパッケージ(ステアリングヒーターなどのセット)が装着済みである場合も多いものです。

しかしそれでいて、B5 インスクリプションの中古車価格がおおむね510万~650万円とかなり高額であるのに対し、B4 モメンタムは440万~510万円であり、前述のとおり「450万円前後」で、なかなかの1台を見つけることができるのです。

これも、前章のT5 モメンタムと同様に「お値打ち!」と言いたくなる選択肢ではないかと確信する次第です。
 

ボルボ V60▲ここまで述べてきたことに加えて「インテリアのデザインが細部までいちいち気が利いてて、かなりセンスが良い」というのも、V60に限らず、ここ最近のボルボ車の美点だと言える

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ボルボ V60 B4 モメンタム(現行型)×全国

その他、ご自宅に充電設備を設置できる場合はプラグインハイブリッドのTwin Engine系またはリチャージ系を選ぶのもありかと思いますが、いずれにせよ現行型ボルボ V60は今、やや高額ではありますが「中古車としての旬」を迎えています。

ご興味のある方は、ぜひともさらなるチェックを進めてみてください。
 

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文/伊達軍曹、写真/ボルボ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。