カングー(2代目)▲欧州でフルゴネット(ライトバン)として愛されているカングー。独特のかわいらしさで日本でも人気になっている

日本でも大ブレイクしたフランスの人気車

ルノー カングーといえば、フランスを代表するビジネスカーゴであり、キャンプやアクティブな遊びを楽しむユーザー御用達の車だ。

そんなカングーが2代目から3代目へとモデルチェンジ。洗練されたスタイルと大幅にサイズアップしたボディ、格段にスムーズになったパワーユニットを引っさげて登場した。日本でも今年2月から供給がスタートしている。

カングー(3代目) ▲こちらが3代目となる現行型のカングー。シュッとして洗練された分、魅力だった独特のいなたさは後退した?

新型登場の影響か、2代目の中古車が下落傾向にある。日本で3代目の販売が始まった3月から、半年で平均価格はおよそ20万円下落しているのだ。

【2代目カングーの中古車平均価格(2023年3月~8月)】
・3月:166.4万円
・4月:156.8万円
・5月:157.5万円
・6月:149.9万円
・7月:149.7万円
・8月:146.6万円

最新の3代目モデルもいいが、2代目がもつ独特の柔らかいフォルムが好みという人は、狙うなら今がチャンスかも。ここでは2代目カングーの概要を振り返るとともに、オススメの買い方を紹介する。

カングー(2代目) ▲広大な荷室空間、ワンタッチでダイブダウンする後席など、使い勝手も抜群にいい
 

2代目カングーってどんな車?

2代目カングーは世界的な大ヒット作となった初代カングーの跡を継ぎ、ビジネスユースとプライベートユースの両方をカバーすべく開発された2ボックススタイルの車だ。

日本でデビューしたのは2009年9月のこと。初代で好評だった背の高いスタイルと後部スライドドア、観音開き式リアゲートなどを踏襲しつつ、ボディサイズを大幅に拡大。その結果、後席使用状態で660L、最大で2866Lもの大きなカーゴスペース容量が実現された。

なお、フランス本国などではビジネスユース専用の「カングー・エクスプレス」をはじめ、様々なバリエーションが用意されていたが、日本に導入されたのは標準的な仕様のみだった。

 カングー(2代目) ▲2代目デビュー当初は初代をそのままサイズアップしたようなフロントマスクだった
 

2代目カングーのパワートレイン/グレードの差異

国内モデルに搭載されたエンジンは、以下のとおりとなっている。

●1.6L 直4ガソリン(2018年4月):最高出力105ps(78kW)/5750rpm・最大トルク15.1kg・m(148N・m)/3750rpm
●1.2L 直4ガソリンターボ(2014年5月~):最高出力115ps(84kW)/4500rpm・最大トルク19.4kg・m(190N・m)/2000rpm
●1.5L 直4ディーゼルターボ(2021年7月):最高出力116ps(85kW)/4500rpm・最大トルク26.5kg・m(260N・m)/2000rpm

デビュー当初に搭載された1.6Lガソリンエンジンは、初代から引き継いだもの。5速MTと4速ATが組み合わされた。

2014年5月に採用された1.2L ガソリンターボエンジンは排気量こそダウンサイズされたものの、従来のエンジンを大きく上回る動力性能となった。トランスミッションも進化し、6速MTもしくはデュアルクラッチ式の6速AT(2016年7月~)が与えられている。

待望のディーゼルはモデル末期になってようやく登場。しかしレギュラーモデルでなく、2021年7月に設定された限定車「リミテッド」のみに搭載された。

特別仕様車を含めると、膨大なバリエーションがあった2代目カングー。ここではレギュラーモデルのみを紹介する。

●1.6(~2013年8月):前期型に設定されたベースグレード
●イマージュ(2012年3月~2013年8月):前期型に設定された上位グレード。シルバーのアクセント入りバンパー、3トーンカラーのシートなどを装備
●アクティフ(2013年8月~):後期型に設定されたベースグレード
●ゼン(2013年8月~):後期型に設定された上位グレード。カラードバンパーなどを装備

 カングー(2代目) ▲助手席を前倒すれば、長尺物も楽々積める。シートバックテーブルは「ゼン」の装備
 

2代目カングーの年式による違い

13年半という長きにわたって販売されただけに、マイナーチェンジも何度か行われた。主要な変更時期と内容は以下のとおりとなっている。

●2013年8月:ヘッドライト、グリルなどフロントまわりのデザインを一新。併せてグレード体系も「アクティフ」と「ゼン」の2種類に変更
●2014年5月:1.2L 直4ガソリンターボを6速MT車に新設定。1.6L 直4ガソリン車も2018年まで継続販売
●2016年7月:「ゼン」にデュアルクラッチ式ATの「6速エフィシエントデュアルクラッチ(EDC)」を追加
●2021年7月:1.5L 直4ディーゼルターボエンジンを搭載した限定車「リミテッド」を発売

カングー(2代目) ▲こちらが2021年7月に登場した「リミテッド」
 

2代目カングーのオススメの買い方①できるだけ安く買う

アウトドアやマリンスポーツ、ビジネスなど実用車としてカングーをガンガン使いたい人は少なくないだろう。そんな人には2013年7月までに生産された前期型がオススメだ。

 カングー(2代目) ▲カングーといえば、2代目前期型の顔を思い浮かべる人は少なくないだろう

前期型は初代カングーを踏襲したデザインで、愛らしいフロントマスクが特徴。中古車市場には約350台の2代目カングーが流通しているが、その約3分の1が前期型となっている。

デビュー直後の物件なら総額30万円台から、走行距離5万km未満の物件でも総額100万円程度で十分に狙える。ただし前期型は製造から少なくとも10年経過しているため、タイミングベルトの交換など、ある程度のメンテ費用は見越しておきたい。

▼検索条件

ルノー カングー(2代目)× 2009年9月~2013年7月
 

2代目カングーのオススメの買い方②装備重視で選ぶ

実用的な装備重視でいわゆる快適装備は少ない2代目カングー。その中で装備内容の充実したモデルを選ぶとなると、2013年8月以降に生産された後期型の「ゼン」、あるいは「ゼン」と同等の装備をもつ限定車が候補となる。

 カングー(2代目) ▲カーテンエアバッグも「ゼン」は標準装備していた

「ゼン」はカラードバンパーやオートエアコン、本革巻きステアリングなどを備えた上級グレードだが、今どきのミニバンのような先進予防安全装備、パワースライドドアといった装備はないのでご承知おきを。そうした意味ではあくまでも実用車だ。

「ゼン」の中古車市場における価格帯は総額30万~390万円。後期型全体の流通量は約250台で、そのおよそ7割が「ゼン」と、選択肢は豊富にある。一例を挙げると、2014年式・走行距離3.3万km・4速ATの物件で総額155万円。

予算に余裕があるなら、2016年7月以降に販売された「ゼン EDC」がオススメだ。この1.2L ガソリンターボエンジン+デュアルクラッチ式6速ATの組み合わせは日本市場向けに企画された仕様とのことで、走りがとってもスムーズ。こちらは総額180万円前後からのスタートとなる。

▼検索条件

ルノー カングー(2代目)× 「ゼン」系
 

2代目カングーのオススメの買い方③MTを狙って選ぶ

カングーはMT車を選ぶ人が多い車。中古車市場でも全体の約2割がMT車となっている。実際、2代目は初代に対して260kgも車重が重くなっているにもかかわらず、2014年5月までは初代と同じ1.6Lガソリンエンジンが搭載されていた。4速ATではパワー不足と感じる人が少なくなかったようだ。

 カングー(2代目) ▲こちらは「リミテッド」のインパネ。MTで運転したくなる雰囲気がカングーにはある

1.6L ガソリンと1.2L ガソリンターボ、どちらもMTで操るのが楽しいエンジンだが、中古車市場での流通量が充実しているのは、生産期間が長かった後者。1.6L ガソリン+5速MTは総額40万円から、1.2L ガソリンターボ+6速MTは総額90万円から狙える。

数は少ないが、2021年に限定発売された「リミテッド」は力強いディーゼルエンジンと6速MTを搭載する魅力的なモデルだ。こちらの中古車相場は総額350万円~となっている。

▼検索条件

ルノー カングー(2代目)× MT

▼検索条件

ルノー カングー(2代目)

※記事内の情報は2023年9月1日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/尾形和美、篠原晃一、ルノー
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。